こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 むかーしむかしある所に、少年とその妹とその従妹が居ました。

 少年は中二を拗らせて妹は毎日頭を抱えていました。

 そんなある日、少年は従妹の家に遊びに行く事になりました。

 そこで少年は恐ろしいものを見てしまったのです。

「お兄ちゃん……見ましたね〜?」
 そして従妹は恐ろしい笑みを浮かべながら少年に近づいていき……

「ねぇ!こんなホラーじゃ無かったよね?」
 そんなこんなで今日も平和な一日が過ぎていくのか?
「不安になるんだが……」



 それではどうぞ!


第64話 恐怖の軽音部

side優也

 

 遂に今日、終業式が行われて遂に夏休みに入ろうとしていた。

 

 そして俺は今廊下を歩いている。

 

「今日も疲れたな……」

 そう呟きながら歩く。

 

 帰ったら早く寝たい。

 最近はあまり寝れてないからな……

 

 寝たらみんなが俺の前から消えてなくなるような夢を見るようになってしまった。

 だから寝るのが怖い。

 

「ははっ。トラウマ第二号だな」

 

 そして歩く。

 

「すみませーん……」

 なんか物凄く小さい声が聞こえるな。遠くで誰かが話してるのか?

 

「今日は誰にも捕まらないうちに帰るぞ〜」

 と意気込んで周りを見て誰も居ない場所を通っていく。

 

「すみませーん……」

 またもや聞こえてきた。

 

 疲れてるんだな……この夏休み。久々にばあちゃんの所に行って休もうかな……ダメだ!あのくそ爺が居たんじゃ休めるもんも休めねぇ。

 

「しょうがない……あれをやるしか……」

 

 そして歩いていると突然

「すみませーーん!」

「うわぁっ!」

 目の前に急に現れた。

 

 驚いて尻もち着きそうになったが何とか堪える。

 

 そして容姿を見ると男子の制服を来ているのに女の子用のヘアピンとヘアゴムを短い髪に付けている人だ。

 それにしても気を抜いたら見失いそうな位存在感が薄いな。

 

「え、えっと君は誰だ?」

 

「あ、僕は(ひいらぎ) (あおい)です。1年生です」

 女子みたいな声を出すやつだな。顔も中性的な顔立ちだし、女装してもバレない系男子だ。

 

 それにしても一年生か……

 

「俺は絆成 優也だ。で君は一体何の用だ?」

 そう言うと恥ずかしそうに笑ってからこう言った。

 

「ちょっと……音楽室の場所を忘れてしまいまして……案内して貰えたらと……」

 こいつ、入学してから何ヶ月も経ってるのにまだ覚えていかったのか……

 

 取りあえず面倒くさそうな案件だな。

 

「それにしてもどうして今?何か用でもあるのか?」

 そう言うと「はい!」と元気な返事をしてからこう言った。

 

「僕、軽音部なんですよ。パートはドラムです」

 そう言ってドラムのスティックをカバンから出してくる葵。

 

 こいつが軽音部な事もビックリだが、ドラムをやってる事もビックリだ。

 人は見かけによらないってことだな。

 

「そうか……お前、部員なら音楽室の道のりを覚えておけよ」

 

「すみません。僕は如何せん方向音痴なもんで」

 方向音痴にも程がある。そう思うぞ?俺は

 

 なんにせよ余計に面倒くさそうな雰囲気。

 

 俺は寝たいんだ!

「悪いが他を当たってくれないか?」

 そう言うと物凄い勢いで地面に頭を付けて懇願(こんがん)してきた。

 

「ヘアピンとヘアゴムだけで気づいてくれたのはあなただけなんです!」

 ん?どういう意味だ?

 

「お前に普通は気がつくことが出来ないってことか?」

 そう聞くと小さく頷いた。

 

 どうしてだ?そう思ってると俺の心の中の問に答えてくれた。

「実は生まれつき存在感が無くてですね……僕が生まれた時も皆さん、僕が生まれた事に気が付かなかったそうです」

 なんて気の毒なやつなんだ!

 

 それでさっき見失いそうになったのか……

「それでですね、女装したら存在感が上がるらしいです」

 何その変な体質!?

 

「何やらポイント制みたいで、女装を完璧にしていけば行くほど気がついて貰えるみたいです」

 あー。話の流れが見えてきた。

 

 つまりあれだ……

「もっと女装したら気が着いて貰えるけどあまりこれ以上はしたくないと」

「あまりじゃなくて絶対にです!」

 厄介なことになったな……俺以外気づけない奴か……

 

「それにしてもなんで気がつけたんでしょうか?」

 ああ、それが。実は俺も原理はあまり分かってないんだが

「ある時を境に俺は運動神経や力、更には気配察知能力が上がったんだ。理由は知らん」

 理由は多分あれだろうな……

『お前は何を望む』

 あれは夢だと思ってたが実際に色々と起きてしまってるからな……

 

「そうなんですか!?これは運命としか言い様がありません!どうか!お願いします!」

 しょうがない。ちょっと行って帰ってくれば良いか。

 

「わかった。こっちだ」

 そう言って歩き出す。

 

 しかしまぁ、俺の察知能力で声しか聞こえないやつが居るとは思わなかった。

 

 まぁそんな訳で流されて俺は面倒臭い役を受けてしまった。

 正直、ここまで気が乗らないのは初めてだ。

 

 何故なら

 


 

「ここだ」

 

「ありがとうございます!」

 着いて直ぐに俺はドアの位置を指さす。

 

 そして葵はドアノブを回して引っ張るも開かない。傍から見るとアホっぽさが半端ない。

 

 因みにあそこは今現在鍵は開いている。

 

 それにしても影が薄いとドアノブガチャガチャしてても気が付かれないんだな。

 

 何故開いていると気がついたかと言うと中からギターやベースの音が聞こえてくるからである。

 

「つ、遂にはドアからも認知されなくなったか……」

 と手を地面に付けて落ち込むも俺の中では「馬鹿か?こいつ」と言う思考で埋められていた。

 

 そして葵の奴が落ち込んでる間にドアに近づいて開けた。

 

「あ、あなたは神ですか!?」

 と両手を両手で包むようにして握ってキラキラとした目で見てくる。

 

「いやお前。この扉」

 そして一泊置いてから言い放ってやった。

 

「スライド式だから」

 そう。この扉はドアノブが着いているスライド式の扉なのだ。

 

 すると徐々に葵の顔が赤くなっていく

「お前、この数ヶ月間この学校通ってんのに知らなかったのか?」

 それが更なる追い討ちになってしまい、顔を真っ赤に染めたまま「うわぁぁっ!」と叫びながら部室に入っていった。

 

 そしてこの場を去ろうと歩くと一瞬にして目の前に男が現れた。お前、完全に人の動きを超越してんぞ。人間辞めたのか?最も、俺がそれを言えた立場では無いが……

 

「軽音部。入りませんか?」

 先程の超人的なスピードで走る男とは想像もつかないほどのギャップの話し方で勧誘してきた。

 

「絆成さん。どうっすか?ねぇ!どうっすか!?」

 

「何度も言ってますが入る気は」

「それなら体験入部してみては如何ですか?今なら特別に我が学年のマドンナ。咲峰さんのストラップが着いてくるぞ?」

 勧誘の仕方が完全に悪徳商法じゃねーか。と言うか肖像権はどうした肖像権は!?ダメだ……こいつら部員集めに必死すぎんだろ。

 

「何度言われても……」

「良いですから!ね?」

 そして手を掴まれる。

 それを離そうとするもこいつ握力強すぎだろ。既に腕がぶっ壊れそうなんだが?

 

 こいつなら誰にも負けない気がしてならない。

 

「さ、行きましょう?」

 しかし連れていかれたらおしまいだ。

 悪徳セールスマンの法則。入れたら負けの連れていかれるバージョンだ。

 

 そう。何故俺がここまで軽音部に行くことに乗り気じゃなかったのかと言うとこいつだ。元副部長で現部長のこの男の名前は五十嵐(いがらし) 灯夜(とうや)と言う。

 俺が一年生の時、ちょっとこの前を通っただけでこの男が(物理的に)吹っ飛んで来たのでトラウマにもなっている。

 急にドアをぶち破って飛んでくるのは反則だ。……あんなことしていたら逆に来なくなる気がする。

 その時にぶち壊したおかげで立て替えた時に間違えてドアノブの着いたスライド扉となった。どう間違えてそうなったかは知らんが……

 

「先輩!本当に無理です!無理ですから!」

「いやいやそんな事ない。君なら出来る」

 しょうがない。あれをやるしか

 

 そして俺は何とか柔道の投げ技っぽい体制を作り上げて投げる。

 そして五十嵐先輩は打ちどころが悪かったらしく気を失ってしまって白目をむいた。

 

 これなら逃げれると思ったら何と気を失った状態でも握力が健在であった。

 

「なんでだよ!必死すぎだろ!」

 もうやだ軽音部。

 

 因みにこの人はどんなに攻撃しても離れることは無かったのでこの人のギターに蹴りをお見舞いしようとしたところ急に起き上がって「蹴らないでください」と土下座して懇願してきたのでその隙に逃げることにした。

 因みにベースの人とキーボードの人には哀れみの目を向けられてしまった。

 

 もう二度とここには近づくもんか!と心に深く誓ったのであった。

 

 その後家帰って寝ると夢にあの人の吹っ飛んできた時の顔が出てきて総睡眠時間が30分にも満たなかったのは悪い思い出。




 はい!第64話終了

 はい!また新しく濃いキャラが出てきましたね。

 因みに五十嵐君は出る回数は少ないけど多分設定が効いてくる場面で登場すると思います。

 葵の設定は面白いと思うので弄られ要因として度々出ると思います。

 それでは!

 さようなら

優也のヒロインで一番好きなヒロインは?

  • 柴野結羽
  • 星野光
  • 如月咲桜
  • 神乃露木
  • 絆成萌未

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