こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 結羽達を家に招いた優也はテーブルの上に積み重なったカップ麺の空を発見し焦る。

 そして優也がDOGEZAをしている間に萌未がカップ麺の空を片付けた。

 それで一件落着かと思ったが……

「優也。これ……どうい」
 カップ麺の空が見つかってしまった。

 果たしてどうなってしまうのか?


第62話 大ピンチ

side優也

 

 俺は現在結羽に土下座をしていた。

 

「これ……あまりこういうのばかり食べてちゃダメだって言ったでしょ?」

 

「すみません。すみません。すみませーん!」

 何度も謝る。床に必死に頭を擦り付ける。

 

 必死だった。

 

「え、あ、その……」

 予想外だったのが俺の必死の謝罪に対して結羽が驚いているということ。

 

「いつもツッコミ担当で人に強い態度を取って決して人に頭を下げないあの絆成君があの伝家の宝刀DOGEZAをなさっている!」

 本当ならここで人聞きの悪いことを言うな!とツッコミたい所なんだが、俺の謝罪は本気だ。ここでつっこんだら負けだと必死に堪える。

 

「あ、あの絆成君がつっこんでこない!?」

 神乃さん。少し静かにしていてもらっていいですかね?もうそろそろ我慢の限界だ。

 

「つ、露木ちゃん。絆成君が病気みたいだよ!」

 

「そうですね。明日空から槍でも降ってくるんですかね?」

「さすがに失礼すぎだろ……」

 そんな言葉がぼそっと零れてしまった。

 

「お?ツッコミましたね。本業をやっと思い出しましたかな?絆成殿」

 その言葉を聞いて起き上がる。

 

「あーもう開き直って言っちまうけどよ!なんだよ人聞きの悪いことばかり言いやがって!なんだよ伝家の宝刀DOGEZAって!俺そんな変なもの伝家の宝刀にした覚えは無いんだけど!?それとなんだよ俺がつっこまないのはやばいみたいな雰囲気出しやがって!俺だってな必要な時は頭下げるし、場合によってはツッコミを我慢すんだよ!それとツッコミを職業にしてる訳じゃないからな!お前らが欲しがってきてるんじゃねーかよ!特に神乃さん。何度も何度もあんたはボケなきゃ死ぬのか!?あんたはマグロか!?」

 言い切ってツッコミ疲れしてしまう。

 

 でもこれで謝る雰囲気じゃなくなってしまった。

 

「優也。私は怒ってます」

 でも結羽に睨まれると萎縮してしまう。

 

 蛇に睨まれた蛙みたいだな。

 

「なぜ怒ってるでしょうか」

 

「……えーと……偏った食生活をしているから?」

 

「正解」

 

「で、でもでも!朝はパンとか食ってる……し!」

 物凄い笑顔でこっちを見てきた。

 

「昼は?夜は?」

 だがその笑顔が逆に俺の恐怖心を駆り立てる。

 

「すみません」

 

「やっぱり……」

 そう言ってむーと頬を膨らませた。

 

 少し可愛いなどという完全に場違いなことを考えていた。

 

「それよりボクが泊まるか泊まらないか問題はどうしたんですか!?」

 なんかあっさりバレたわけだし借りが崩れた。

 

 てなわけでデートの話ではぐらかす事はもう出来ないよな。

 

 でもまぁそれは置いておいて

「これからお前のあだ名はKYだ」

 俺の従妹のあだ名はKYに決定しました!パチパチ

 

「嫌だ!すごく嫌だ!」

 飲みかけていた緑茶を吹き出して掴みかかってきた。

 

「もういい。怒る雰囲気じゃなくなったし」

 そう言って出ていく結羽。

 

 も、もしかしてこれって……「私……約束守れない人って……嫌いなんだよね」って出て行ったんじゃ?

 

 わざとじゃ無かったんだ!

 

 俺がガックリと崩れ落ちると

 

「あ、私は帰るけど露木ちゃんは泊まっていく?」

 

「さすがに泊まったら身の危険を感じるので遠慮します」

 そうして二人も結羽同様出て行った。

 

 これもまた絶交ってやつなんじゃないかと最悪のシナリオを考えてしまう。

 

「さぁお兄ちゃん!やっと二人きりになれましたね」

 

「ああ、そうだなKY」

 

「その呼び方やめて!?」

 とまたもや掴みかかってくる。

 

 しかし直ぐにそれを突き放さないのが失敗だった。

 

 俺に超接近した萌未は俺の事を押し倒してきた。

 

「さぁ、始めましょう?人には言えないような事を」

 

「や、やめろぉぉっ!」

 その瞬間玄関が開いた。

 

 そしてそっちを見ると大きいスーツケースを持った結羽がそこには居た。

 

 え?絶交したんじゃ無かったの?

 

「し、仕方ないですから私がボディーガードとして泊まってあげても……って何してるの!?」

 た、助かったァ……

 

 それにより渋々萌未は俺の上から降りた。

 

 と言うか今泊まるとか言わなかった?

 

 すると萌未は俺の左腕に抱きついてきた。

「結羽さん。ボクのお兄ちゃんを奪う気ですか!?」

 

「いやちげーよ」

 

 そして結羽までもが俺の右腕に抱きついてきた。

「じゃあ私の」

 

「いやお前のでもねーよ」

 お前はせめてまともであってくれ。

 

 抱きついてくるのやめろ。

 

 左右に抱きつかれて何も出来ないんだが……邪魔だ。

 

「い、いい加減離れてくれませんか?」

 しかし二人は一切動こうとしない。

 

「よーし。萌未はあれ片すの手伝ってくれ。結羽は……そうだな。最近カップ麺ばかりだったから久々に結羽の手作りの料理食いたい」

 適当に離れてくれそうな事をお願いする。

 

「「任せて(ください)!」」

 二人はそう言って結羽は台所へ、萌未はカップ麺の空が散らばった所へかけて行った。

 

 とりあえずこれで離してくれたから俺も萌未の所に行ってカップ麺の空を片付けようかな。

 

 そう思って立ち上がる。

 

 はぁ……先が思いやられる。

 

「んー。何作ろうかな……保存の効く食材しか無いね……この分だと買ってくる必要がありそう……優也!」

 急に俺の名前を呼んできた。

 

「なんだ?」

 

「あまり食材が無いみたいだから買い出し行ってくるね」

 そうか。ココ最近、買うものと言えばパンとカップ麺ばかりだったから食材が無いのか。

 それに料理してないから食材もダメになってきて徐々に捨ててからな。

 あるのは保存の効くインスタント麺と缶詰位なもんだもんな。

 

「ああ、そうか。んじゃ俺も着いていくよ。外も薄暗いしな。なんかあったら大変だろ」

 そう言って立ち上がる。

 

「と言うわけで萌未。留守番頼む」

 そう言うと萌未は大層驚いたような顔をした。

 

「ボクは!?ボクはどうでもいいの?」

 

「お前は誰かが侵入してきたとしても返り討ちに出来るだろ?」

 

「失礼な!?ボクだって女の子ですよ!」

 実際問題、萌未の方が俺より強い。確かこいつ、空手を習っていたはずだ。

 

「それにお前は俺以外の男になびかないってのは徹底してるから心配ねーよ」

 そう手をひらひらと振って出ていこうとする。

 

「留守番は甘んじて受け入れます。その代わり帰ってきたらボクを抱いてください」

 

「一年中発情期共の所に縄で縛った状態で放り込まれる覚悟があるなら聞いてやらんことも無い」

 

「すみませんでした」

 萌未は俺以外の男に性的対象として見られることを心底嫌っている。そこを着けば簡単に萌未を制する事が出来る。

 

「んじゃ行ってくるな」

 

「行ってきます」

 そして俺と結羽は朱色に染まる町へと繰り出した。

 


 

 買い物も終わり既に町は真っ暗になっていて街頭と家から出てる光が町を照らしていた。

 

「色々買ったが俺一人だと食いきれねーぞ?多分」

 そう言うと結羽は頭にハテナを浮かべてこちらを見てきた。

 

「え?一人?お父さんは?」

 やべっ!今の一言で結羽に勘づかれてしまった。

 

 どう言い訳したものか……

 

「ああ、父さんは出張で今は居ないんだ」

 

「目を逸らした!今絶対に目を逸らした。嘘だよね!?嘘を着いたよね!?」

 直ぐにバレてしまいました。俺って分かりやすいかな?

 

「ああ、嘘だ」

 

「なんでそんな嘘を着いたの?」

 

「それは……」

 まぁ他人に言うことでもないが、結羽を一概に赤の他人とは言えないしな。

 

「先日。父さんが死んだんだ」

 

「えっ」

 

「そんでさ……つい最近まで俺は落ち込んでたんだよな。あそこまでなるとは思えなかった……」

 そう言うと結羽が悲しそうな顔をした。

 

「んな顔するな。んじゃ、萌未待たせてるし帰るか。所で何作るんだ?」

 暗い雰囲気を変えるために話題を変える。

 

「あ、うん。今日はひき肉と卵が安かったから目玉焼きハンバーグでも作ろうと思ってるよ。付け合せにちょこっと野菜炒めを作るつもり」

 へー。確かにさっきひき肉と卵に値引きシールが貼ってあったな。

 

「それは美味そうだな。よし!こんな話をしてたら腹減ってきた。急ぐぞ!」

 と走り出す俺。

 

「あ、待ってって速い!ねぇ!なんかもんの凄く速くない?そのスピードおかしいよ!ねぇっ!」

 と抗議の声を上げながら俺の後を必死に結羽は走ってきた。

 


 

「はぁ……はぁ……」

 家に帰ったら結羽はもう既に肩で息をしていた。

 

「よし。萌未!帰ったぞ」

「なん……で、優也はあんなスピードで走ってたのに……息が上がってないの……はぁ……」

 とツッコミを入れてくるが俺の体に説明つかないことが起きているため無視する。

 

「おーい萌未ー」

 とリビングの扉を開くと

 

「お帰りあなた。ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ・た」

 俺は言い切る前に扉を閉める。

 

「見てはいけないものを見てしまった。もしかしたら疲れているのか?」

 そして再度確認の為、扉をまた開く。

 

「お帰りあなた。ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ」

「お前、何してんだ?」

 言わせねーよ最後のは

 

 でも夢でも幻でも無かったようだ。

 

「それより服着ろ服を」

 そう。萌未は今エプロンをしているのだが、その左右からは真っ白な肌が覗いている。

 

「ふ、ふーん。甘いよ。プレーンヨーグルトよりもあまーい!」

「そもそもあれは甘くないだろ……」

 俺は冷静にツッコミを入れる。

 

「って事はあれか?水着でも着てんのか?」

 

「ピンポーン!名ずけて……」

 そして横を向いて水着を見せつけるように立つ。

 

「デン!水着エプロン!」

 そのままじゃねーか。と言うか効果音自分で言うのかよ。

 

「と言うか水着の上からエプロン着るのがおかしい」

 

「え!?って事はお兄ちゃんは裸の方が良いと……待っていてください。今脱ぎますので」

「おい。そうじゃないそうじゃないから脱ぐなー。何でもいいから服着ろ服を」

 服着ろって言ったの二回目のような気がする。

 

「え!?まさか服を着たまま!?なんてだいたってお姫様抱っこ!?その方向はまさかお兄ちゃんの部屋ですか!?やっと認めてくれるんですかっ!?」

 俺はベットに萌未を放り投げて部屋のドアを外から鍵をかける。

 

 俺の部屋の鍵は内外両方鍵で開け閉めするタイプだから開けれないのだ。

 

「開けて!お兄ちゃん開けて!」

 その声を無視してその場を離れようとするとガチャと音がした。嫌な予感がする。

 

「開けてって言ってるじゃないですか!?」

 と叫びながら飛びかかってきた。

 

「危ない!落ちる落ちる!落ちるから!」

 俺の家は二階建てで、その二階に俺の部屋がある。そしてその階段を登ってすぐの所に部屋がある。

 

 だからそんな所で飛びつかれたら当然そうなるよね。

 

 俺は萌未と共に階段を転がり落ちる。

 

「いてて……」

 そう階段の下で呟いて仰向けの状態から起き上がろうとする。

 するとその上に萌未が乗っかってる事が分かった。そして目を回しているようだ。

 

 それなら好都合。萌未を下ろして退散すれば良いだけだ。

 

 そして何とかそれを実行して先程していたカップ麺の空の片付けを再開する。

 

 あまり気が付かなかったが結構量があったようだ。

 

「優也……もうすぐ出来るよ」

 

「ああ、ありがとな」

 

「二人がイチャついてる(・・・・・・・)間に作ってましたので運ぶのを手伝ってください。イチャついてる(・・・・・・・)間に作ったのでね」

 なんか会話の一部分が強調されてるように感じる。

 

「イチャついては無い。ウザイだけだ」

 

「でも素直に好意を伝えるって勇気があるよね」

 それは分かるが他の人にはああなっては欲しくないな。

 

「いつからなの?ああなったの」

 そう言えばいつからだっただろうか?

 

 そして思い出してみる。

 

「あ、そんな話をしてたらハンバーグ冷めちゃう。まずは食べよう?」

 そうしてまずは萌未を起こしてハンバーグを食べることにした。

 


 

「うん。美味い」

 

「ほんとですねお兄ちゃん。悔しいですが料理部門では結羽さんに勝ちを譲ります」

 とガツガツ目玉焼きハンバーグを食べる俺達。

 

「それなら良かった」

 とスローペースで微笑みながらハンバーグを口に運ぶ結羽。

 

「そう言えばさっきの話の続きだけどいつから萌未ちゃんは優也に好意を持つようになったの?」

 さっき気になったことを聞いてみることにした。

 

「そうだね。ボク達は前世から結ばれて」

「適当なこと言うな〜」

 萌未に任せると変なことを言い始めそうだから俺が説明する。

 

「そうだな……最初から変態だったわけじゃないけど、急にスキンシップが多くなった時期があったな」

 

 最初は軽いスキンシップ程度だったんだ。泊まったら普通の兄妹みたく一緒に風呂入ろうとか言ってきて、そこに七海が乱入してきて……ってな感じだったんだが……

 

 いつの間にかパンツが減っている時があったんだ。そんでもって萌未の部屋で遊ぶことになって部屋に行くと棚に何かが挟まって締まり切ってなかったんだ。

 そんで好奇心で見てみて思考が固まったね。

 

 そこにはぎゅうぎゅうに詰まった俺のパンツが詰まっていた。それを見た瞬間俺は危機感を覚えてしまったね。

 

 それから暫くして俺が泊まりに行くと毎夜寝込みを遅いに来たのだ。

 

「まぁ、こんな感じだな」

 気がつけば皿には何も無くなっていた。

 

 喋りながら食べていたからだ。あ、口の中に含みながら喋っては無いよ?マナーだからね。

 

「そんな事があったんだ……それは確かに怖いかも」

 結羽は若干と言うかドン引きのようだ。

 

 すると萌未は顔が赤くなっていた。

「あれ。見たんですか?」

 こいつが居たのを忘れてた。

 

 なんか地雷踏んだような気が……

「あ、ああ」

 

「夜は楽しみにしていてくださいね」

 そう言ってニヤッと不気味な笑みを浮かべる萌未

 

 それを見て恐怖した俺は「俺は自室に居るから隣の七海の部屋使ってくれ。くれぐれも萌未。俺の部屋の鍵開けて来るなよ」と伝えて自室に逃げ込んだ。

 


 

 あの後直ぐに眠ってしまった。疲れたのだろう。

 

 すると体に急に重みが加わった。

 

 目を開けてみるとそこには

 

「あ、お兄ちゃん。起きちゃった?」

 下着姿の萌未が居た。

 

「何してる」

 

「夜這い」

 最悪の回答が帰ってきましたよ!

 

 するとバタン!と扉が開いた。

 

「やっぱり居た!優也!今助けるね」

 結羽だった。

 

 よっしゃ!これで助か

「混ざっても良いよ?」

 へ?

 

「ふ、ふぇぇっ!」

 変な声を出しながらペタンと座り込んだ。

 

「どうするんですか?結羽さん」

 

「分かった」

 分からないで!お願いします!一生のお願いですから!

 

 すると結羽も近づいてきた。

 俺、一生のお願いを使っちゃったんだけど!?

 

 それを見た俺は萌未を上から下ろして脱兎のごとく逃げ出した。

 

 そして夜の町を駆け抜ける。

 

「助けてくれ」

 

「なんだ。こんな夜中に……久々に話す第一声がそれかよ」

 冷静につっこむ悠真

 

「で、お前は殺人犯にでも追われてるのか?」

 

「似たようなもんだ」

 

「え!?マジかよ!大丈夫か!?」

 

「危うく萌未と結羽に襲われるところだった」

 そう言うとゆっくり扉を閉めながら悠真は「帰れリア充」と言ってきた。

 

 そして扉の隙間に手を入れ込む。

 

「一生のお願いですから!一晩だけでいいんです!一晩だけで良いから泊めて貰えませんか!?」

 そして頭を下げ続けた結果、何とか許可が貰えた。

 

 これで俺も安眠できるってもんだ。

 

 今日は二人のことはもう忘れよう。明日またパンツが減ってるかもな……




 はい!第62話終了

 今日はいつもの3倍ものの長さがありました。

 そろそろ話数節約しないととんでもない長さになるような気がしまして。

 ピッタリ6000文字です。

 それでは!

 さようなら

優也のヒロインで一番好きなヒロインは?

  • 柴野結羽
  • 星野光
  • 如月咲桜
  • 神乃露木
  • 絆成萌未

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