こんな僕に彼女は必要なのだろうか?   作:ミズヤ

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 はい!第49話終了



 それでは前回のあらすじ

 数学のテストも終わった優也は次の日に結羽とCDショップに行った。

 そこで優也は昔を思う。ある四人の存在を

 そして優也は普通の人が入学してくるのを願うのだった。



 それではどうぞ!


第49話 新入生

side優也

 

月曜日

 

 今日は入学式。

 

 そんな日でも俺らにとっちゃ普通の日だ。

 

 入学式には在校生は参加しない。そして通常授業だ。

 

 なんてめんどくさい。どうせなら在校生も入学式に出席して2時間位潰れてくれれば良いのに

 

 まぁ、そんなことを言っていても仕方が無い。

 

 とりあえず普通の人だ。普通の人が欲しい。

 

 俺の周りはバカ(悠真)バカ(白波さん)と気難しい女の子二人に、傍から見ればカップルの幼馴染に、掴みどころのない奴。そして普通の人がオンリーワン。あれ?普通の人は俺の周りには少なすぎね?

 

 そして昼休みになったんだが、入学生は校内を見て廻っていい事になっている。そのため何人かは先程から見かけている。

 だが、こんな偶然あっていいものなのだろうか?

 

「やぁやぁ。我がライバル絆成 優也君」

 京哉だった。

 

「あ、フルで覚えてくれてどうも」

「ここで君と出会えて嬉しいよ。やはり僕と君はライバルとして互いに」

 以下略だ。3分もよく噛まずにペラペラと喋り続けられるもんだな。と感心してしまうほどだったため略した。

 

「あ、そうですか。それではこれで」

 と適当に流して去ろうとすると後ろから掴まれた。

 

「どうせなんだ。これから人気者同士語り合おうじゃないか」

 まだなんかあるのかこいつは…

 

 と言うか人気者は自分のことを人気者って言うか?

 

 とりあえず俺にとっちゃ面倒くさいことこの上ないのでどうにかして切り抜けたい。

 

 そして少し考えると脳裏にある一つの作戦が浮かんだ。

 

「あっちにお前のことが好きすぎてお前と今すぐにでも話さないと死んでしまいそうだと言っている女の子が居たぞ?俺を見て嫉妬で変なオーラが出てしまっている。俺の為にも話してやってくれ。でないと俺はあの女の子に殺されてしまうかもしれない」

 

「それは大変だ!自分が殺されてしまうかもしれない時に他人の心配をするなんて!それでこそ我がライバル絆成 優也君!」

「興奮しなくていいんでさっさと行ってくれないですかね?」

「感動した!我がライバルに不足なし!」

 話聞いてくれない…

「待っててくれ。子猫ちゃん!今、あなたの王子、新藤 京哉が今行くぞ!」

 と言ってものすごいスピードで走って行ってしまった。

 だがこれらは全て嘘八百。全て俺が作った話だ。

 

 あっちには女の子なんて居ないし、そもそも話さなかったら死ぬなんて無いしそのため嫉妬に狂った女の子に俺が殺される心配もない。

 

 計画通り。

 

 恐らく今の俺の顔は非常にゲス顔になっているだろう。だがそんなのはどうでもいい。今のうちにここから離れよう。

 

 そしてイケてる面をしているだけの性格が残念な男。略してイケメンが帰ってくる前に急ぎ足でその場を去った。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 そして飯を買おうと購買に向かっているとふらふらと挙動不審気味に歩いている女の子が居た。

 おどおどしていて気が弱そうだ。

 

 そして他の人にぶつかるとおやまり倒してぶつかられた人も困ってしまっている。

 

 やがてついに俺の近くまでやってきた。

 

 すると彼女の顔がはっきり見えて驚いた。

 

 あの子は…神乃さんの妹

 

「き、君!」

 と、思わず声を掛けてしまった。

 

 するとビクゥっ!と肩を震わせて固まってしまった。

 

 そして俺の事を見るやいなや自分の肩を抱いて俺から離れていく。

 

「わ、私の事を食べても美味しくないですよ」

 は?何言ってるんだ?こいつ

 

「わ、私はまだ小さいですし幼いですし」

 

「ちょっと待て!なんで俺が君を食べるんだよ!」

 

「う、うぅ…もうちょっと清い体で居たかったです。あの…もうちょっとしたら多分もっと美味しくなると思うので待ってくれませんか?」

 

「話聞いてくれ」

 と言うか今サラッと凄いこと言わなかったか?

 

「とりあえずなんで俺が君を食べると思ってるんだよ」

 

「だ、だって…男の人はみんなケダモノだってお姉ちゃんのお友達が」

 凄い偏見だな。

 

「とりあえず俺は見境なくそういうことはしねーから」

 

「本当に?本当ですか?」

 何度も尋ねてきた。

 

「ああ、本当だ」

 

 そんな話をしていると遠くからおーい!と言う声が聞こえてきた。

 

「良かった。ここに居た…ん?あ!絆成君」

 

 すると向こうが俺に気がついて声を掛けてきた。

 

「そういうあなたは神乃さんじゃ無いですか!」

 

 神乃さんだった。

 

「ありがとう。この子を捕まえててくれて。この子危なっかしいから…」

 そう言って妹さんの頭を撫でる神乃さん。

 

 微笑ましい姉妹だな。

 

「ん。お姉ちゃん…私はもう子どもじゃないんだからぁ」

 そう言いながらも嬉しそうな妹さん

 

「でもよく逃げなかったね。この子は人見知りだからすぐ逃げるのに」

 

「その代わり凄い勘違いをされそうになったけどな」

 そう言うと神乃さんは頭にハテナを浮かべた。

 

「それより」

 俺が何勘違いされそうになったのかは気にならないのか。

 

「一緒にご飯食べない?」

 それよりの内容はご飯のお誘いだった。

 

「「なんでですか?」」

 ハモった。

 

 それを見て神乃さんはくすりと笑いながらこう言った。

「だってついこないだ会った時はあんなにおびえてたのに今は隠れもしないじゃない」

 そう言われて二人で顔を見合わせる。

 

「「あ、」」

 そうハモった後、すぐさま妹さんは神乃さんの後ろに隠れた。

 

「怖いです」

 

「…なぁ、なんか嫌われるようなことしましたかねぇ?」

 

「強〇される!」

 そう妹さんが言うと神乃さんはジト目で見ながら妹さんの事を腕の中に隠した。

 

「しねーよ」

 

「じゃあレ〇プされる!」

 

「一緒だよ!」

 

 そう言うと神乃さんは笑った。

 

「ここまで他人と話してる露木ちゃん初めて見たよ」

 そうか。それは良かったですね。俺は賛同出来ないです。

 

「それよりもえーと…神乃さん妹」

 

「露木でいいです」

 

「じゃあ露木ちゃん。さっきの言ってた話は本当か?」

 

「はい。お姉ちゃんのお友達が確かに言ってました」

 

「そうか」

 今度あったら説教だな。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「くしゅん」

 

「ん?どうした?白波くん、風邪か?」

 

「いえ、多分誰かが噂をしたのでしょう。それよりも震えが止まりません」

 

「ほ、本当に大丈夫か?」

 

「はい」

 

「お大事にな」

 

「ありがとうございます」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「それよりもお昼、どうするんですか?」

 

「あ、じゃあそちらがご迷惑じゃないなら」

 

「じゃあ決まりだね!」

 

 そうして俺達は歩き出した。

 

 あれ?何か忘れているような。




 はい!第49話終了

 次回はこの続きからです。

 それでは!

 さようなら

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