それでは前回のあらすじ
結羽と露木の戦いがここに!
それではどうぞ!
side結羽
次にやって来たのはゲームセンター。なのだが、私達は二人とも気が乗らなかった。
確かに来たことがあるし、一般的な男子高校生だったら好きな人も多いだろう。
しかし、優也は一般的な男子高校生ではない。ゲームも全くせず、やる娯楽としたら読書くらいな物だ。
そんな優也がゲームセンターを楽しむとは思えない。
だけど一般的な理論では結構好きな人も多いからあわよくば的な感じで来てしまったが失敗だったかもしれないと引き返そうとしたその時、
「ん? あ、結羽と露木ちゃんじゃん」
「結羽と、優也といつも飯食ってる後輩ちゃんか」
そこに居たのは悠真と童明寺君だった。この二人はこのゲームセンターに入ろうとしている所で鉢合わせたのでここに遊びに来たのだろう。
そうだ、折角だから二人に案を聞いてみても良いんじゃないかな。
「あの、聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「優也ってどんな施設が好きなのかな?」
悠真なら中学からの付き合いだし、童明寺君とは妙に仲が良くて一緒に遊びに行ったりとかがあるから良い情報が得られるかも。
そんな訳で聞いたのだが、二人とも少し考え込み始めた。
どうやら中学の頃から優也はあんまり遊びに行かない人だったらしく、どう言う所で遊ぶのが好きなのかはっきりとは分からないと言う。
「でもまぁ、優也の奴が好きそうな所と言えば喫茶店だよな」
それは知ってるんだよ……。だって優也、休日は朝バイトで、昼で終わるんだけど終わったら喫茶店で勉強してから帰って来るんだよ。
これで好きじゃなかったら逆になんなんだよって話だよ……。
すると童明寺君も思いついたみたい。
「優也は最近、読書に嵌っているらしいんだが、喫茶店に寄ったあと本屋に寄ってから帰るのが習慣になってるんだとよ」
喫茶店だけじゃなくて本屋にも行ってたんだ。通りで休日はすごい荷物と共に帰宅する訳だ。
あんまり何を買ったの? とか問い詰めるのは好きじゃないから聞いた事がなかったため、知らなかったけど多分ねあれは大量の漫画や小説なんだろうな。
ちなみに本は沢山あったけどその全てが健全な内容だったのが彼女としては安心ポイント。もしエッチなやつとかあったら……燃やす。
エッチなものはわ、私が居るんだから要らないよね。……全然そんな素振りは見せてくれないけど。
「本屋かぁ」
今はどんな本があるんだろう。
優也は意外とSFとかの小説、漫画をよく買っているからそれ系の物が好きなんだろう。話を合わせられるように私も何か買ってみようかな。でも優也の持っているのはレベルが高すぎて分からなかったけど。
「そういや最近何か優也の奴、周りをキョロキョロしながら本屋に入って行くのを見たな」
周りをキョロキョロ? あ、怪しすぎる。もしかしてエッチな本とか? いや、でも昨日もエッチな本チェックしたのにそんなもの無かったし……。でも普通の本を買うならそんなに挙動不審に周りを確認する必要がない。
これは帰ったら問い詰める必要があるね。
「じゃあ本屋に行ってみましょう」
「うん。そうだね」
何故か物凄くやる気の露木ちゃん。そんなに協力的にしてもらって嬉しいな。
(百合に目覚めつつある柴野先輩が何故先輩の事を聞いたのかは分かりませんが、これはチャンスです。ここで先輩の好きそうな本をプレゼントすればきっと先輩の心も揺らぐはずです)
そんな訳で私達は本屋に行く事にした。
本屋に着くと私は直ぐにSFコーナーへ向かった。勿論優也の趣味を理解するためだ。
中でも私が理解しやすそうなSFを見てみる。
私の後ろでは露木ちゃんもSF小説を見ている。もしかして露木ちゃんもSFが好きなのかな?
(普通に好きなのを見るのも良いけど何か先輩の好きそうなものとか見に行こうかな? あ、これ出てる。買おうかな)
あ、露木ちゃんが本を手に取ってる。面白いのかな? 結構続きが出ているものみたい。確かこの小説は優也の部屋の本棚にあったはず。
見る限り私でも理解出来そうな内容だし、これ買ってみようかな。
そして私はその本を手に取ってレジへ向かった。
露木ちゃんはと言うと今度は難しそうな政治の本の方へ行った。
私も一瞬、優也と話を合わせようと思ってそれ系の物を見てみようかなって思ったけど前にボソッと純粋な政治の話とかはあんまり好きではないって言っていたから私は別にいいかな。
買ってから私は露木ちゃんの後を追っていく。
露木ちゃんはこういう物も好きなのかな? なんか露木ちゃんの事がすっごく大人に見えてきた。
(先輩の心を掴みたいけど、全く理解が出来ない。そもそも私、社会が苦手なのを忘れてた。中学の社会すらうろ覚えになっててあんまりついて行けない)
なんか露木ちゃん、難しそうな顔をしてる。何かあったのかな?
「これでいいかな」
そう呟いて手に持ってた本を露木ちゃんは買って来た。
そこでもう既にかなりの時間になっていた。
冬なので既に空は茜色に染まっていて、そろそろ帰らないと危ない時間。だからデート練習はここで終わりにすることにした。
「ありがとうね。露木ちゃん」
「いえいえ、私もなんだかんだ言って楽しかったですから」
それなら良かった。勝手に連れ回して悪かったなと思っていたから。
そして別れの挨拶をして別れた。
家に帰ると優也が料理をしていた。
「何作ってるの?」
「ポテトチップス」
「ポテチって作るものなの!?」
しかし、私の事は気にせずどんどんとじゃがいもを薄く包丁でスライスして揚げるを繰り返していた。
出来上がった物を食べさせてもらったら塩味の加減が良くてまだ暖かくて美味しかった。
料理出来過ぎる彼氏を持つと将来、何もする事が無くなりそうで怖いです。
はい!第108話終了
デート練習編終了
それでは!
さようなら