Skull   作:つな*

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俺は喜んだ。


アルコバレーノ以後
skullの歓喜


最近ポルポが2m超えた。

これ以上大きくなられても……

ある程度大きくなったら自然に帰そうかな。

今日もまた仮面野郎が直々に声掛けてきた。

そろそろ本気で人違いであることを言った方がいいと思うこの頃。

どう切り出そうか迷っていたら仮面野郎から声を掛けられた。

 

「なに、直ぐに依頼を済ませてくれればいい」

 

君なら簡単だろう?じゃねーよ!

こっちとら痛い思いしてんだけど?

こいつの鼻にこのツーフィンガーをぶっ刺してやろうか。

…………ポルポが。

 

「今日の依頼もいつも通り簡単なものさ」

つけ

 

やっべ本音が少し漏れてしまった。

仮面野郎を覗き見ると無言で俺を見てる。

やっべー、怒らせた。

土下座するビジョンまで見えたところで怖くなって、仮面野郎の隣を通り抜けて、バイクの鍵を取りに行く。

今日も憂鬱な日だ。

後ろを振り返ると仮面野郎がどこにもいなくて、本当に毎度ながらあいつどうなってんだと思う。

バイクに乗ろうとしたらポルポが背中にへばり付いてた件について。

剥がそうとしても頑なにへばり付いてる。

非力体質なめんなよコラ。

諦めてポルポを背負った…というか張り付かせたまま集合場所へ向かうことに。

まぁヴェルデなんてワニ連れてきてるし、大丈夫か。

遠い道のりを走って漸くいつもの指定場所に到着した。

ポルポにはバイクで待っててもらった。

中に入ると全員座ってた。

毎回思うけど俺の疎外感。

いや別に怪しい職業のお前らと仲良くするつもりないけど。

今回は財宝探しらしい。

なんか一気に盗賊っぽくなったぞオイ。

いやでもまぁ、人殺しよか断然マシか。

役割を振り分けられた。

どうやら俺は財宝を運ぶだけらしい、ヤッタネ。

取り合えず財宝が隠されてるのはこの山付近ということで皆で山に来たわけだが。

俺だけ運ぶことも視野に入れてバイクで来たけど皆は歩きらしい。

ルーチェ先生に至っては妊婦なのに逞しいことよ。

道中暗号やらなんやらを解いていく皆と、それを眺める俺氏。

一度風に暗号を見せてもらったけど、全く分からんかったわ。

何もすることないから景色を眺めていたら、地上から見える山頂付近に一匹のカラスが見えた。

山頂にカラス?コンドルとかじゃなくて?

興味深く目を細めてたらカラスがこっち向かって飛んできた。

ひぃっ

避けようとしたところでバイクに乗せてたポルポが丸呑みしてしまった。

ポルポお前……案外ワイルドに食べるんだな。

するとポルポが何かを吐き出した。

地面にコロンと落ちたそれを拾い上げると、それは宝石だった。

いや比喩とかじゃなくて……え、これ本物?

手の平にある宝石を眺めてはポルポを見る。

カラスの口の中に入ってたのかな?

待てよ…このカラス……山の山頂から出てきたよな…………

俺はじーっと山頂を眺めてたけど、皆が動き出したからそっちについていった。

数時間の末漸く財宝の在処が分かったらしい。

 

「宝は山頂だ」

 

んんん?

それさっき俺が見た所じゃね?

カラスが出ていったところ…

うわぁ、これなら最初に言えばよかったや。

リボーンと風が先に洞窟に入っていって中を調べていくらしい。

洞窟の中に財宝があったとのこと。

つってもこれが俺らのになるわけでもねーし…

さっきからポルポが異常に引っ張ってくる。

ポルポの触手が俺の首に張り付き、グリンと180度くらい回された。

いっだ!何すんだこのクソダコ!

今ゴキンって鳴ったぞオイ!

遊びたいのは分かるけど後にしてくれ。

頭撫でたら大人しくなった。

ポルポ、お前もうバイクのトランクの中にいとけ。

ポルポ仕舞い込んで皆の下に行った瞬間だった。

 

皆の身体がちっさくなった。

もう一度言う、皆の身体が小さくなった。

ええええええ!?

何があったのか分からず困惑していると、自分の目線も変わっていることに気付く。

んでもって自分の両手を見ると、小さなもみじがそこにはあって……

俺まで小さくなってる………?

ええええええええええ!?

どういうこっちゃ!

 

「ち、小さくなってる!」

「な、何故だ!?」

 

他の皆も俺同様に驚いて自分の身体を見つめてる。

待て、一人知らん奴がいる。

誰だアイツ。

あれ?何でルーチェ先生だけそのままなんだ?

いやそれよりもどういうことだよ、コレ……

あれか、頭脳は大人、体は子供って奴か。

どこぞの名探偵を思い出すが、あんなレベルじゃねーぞコレ。

いやだってコレどう見ても子供っていうか赤ちゃんじゃん。

バブみ感じてる頃の身体じゃん。

いや俺の場合は地獄だったけど。

にしても本当に何があったし。

こんな小さな身体じゃ碌に運転も……ハッ

 

 

……赤ちゃんだから合法ニートじゃね?

 

ニートに違法もクソもないが、赤ちゃんなら別に働かなくて当たり前だよな。

っていうか働いたらある意味違法じゃね?

やべぇ、これは……まさか…ついに俺のニートライフが出来るということか!

 

「コロネロ!何でお前がここにいる!」

「き、気になってついてきたんだよ!」

「クソッ、この馬鹿が!」

 

あ、ラル姉さんの彼氏か、そうですか。

リア充爆は……いや、ラル姉さんだから生き残りそうだな。

にしてもどうやって帰ろうかな。

これじゃバイクに跨ることだって出来やしねーよ。

って思ってたらいきなり俺の足が地面を離れて宙に浮かんだ。

いきなりのことで叫ぼうとしたらお腹を締め付ける何かに既視感が。

あ、これポルポだ。

赤ちゃんの身長じゃポルポの顔が見えないんだよ。

おいちょっと待てリボーン、その手に持ってる拳銃仕舞え。

ポルポは俺のペットだこの野郎。

ポルポ、ちょっとバイクの場所まで連れてってと指で指示してみるとポルポは理解したようでバイクまでズルズルとそのでかい巨体を引き摺っていく。

バイクの椅子に乗っけてくれるかと思ったら、ポルポがバイクを持ちあげた。

…………え。

はい?おま、バイク何kgあると……え?

そのまま山を下り始めたポルポだが、8本の触手の内1本を俺、3本でバイク、残りの4本で歩いている。

色々とペットが規格外な件について。

まぁ困ったことないけど。

むしろ今大助かりしてるけど。

後ろから戸惑う声が聞こえるけど無視。

正直あいつらと関わって碌なことがなかったが、今回だけは心の底から喜んだね。

なんせこれからニートライフが俺を待っているからな!

俺はそのままポルポに抱えられて山を下りて行った。

家に帰るとポルポにお礼を言った。

するとへばりついてきた。

待って、今の俺にそれやるとマジでシャレにならん!

お前今2m以上あんだろうが!

やめっ、ぎゃあああああああああああああああ

 

あ、辞職届…出さなきゃ……

ふとそう考えたのが、ポルポとのじゃれ合いが終わった数時間後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

チェッカーフェイスside

 

 

 

「私は今、世界最高の❝選ばれし7人❞を集めている」

 

私は今目の前の男にそう言い放った。

目の前の男は何も言うことはなく、ただ無言で私を見返すのみ。

ヘルメットを被っているせいか、その表情は分からぬがこちらを警戒していることだけは分かる。

彼の前に最強の殺し屋に声をかけたが、彼の比ではない程の殺気を私に放っている。

これまで出会ったどのアルコバレーノ候補でもここまで濃密な殺気を放つ者は果たしていただろうか。

なるほど、流石マフィア界でも恐れられるだけある。

 

狂人の運び屋スカル。

 

彼の名前を耳にしたのはつい最近だ。

そろそろアルコバレーノの代替えの時期だと思い、次期アルコバレーノ候補を探している時に、彼はいきなりその名をマフィア界に広めたのだ。

数多の命を葬った運び屋で、冷徹無情の残忍な男だと知られている。

彼の行動を把握しようと探ってみれば、カルカッサファミリーの専属で動いているようだった。

そして彼の行動にはこの私でさえ目を見張るものがあった。

強い、というわけではなく…ただ通常の感性は持っていないであろう印象を受けた。

周りの状況を理解し、どれだけ多く殺せるかを理解して動いているようにも感じ取れた。

数多の者から恨みを買っている者をアルコバレーノにするにはリスクがあったが、この男は心配ないだろう。

なんせ、不死身とすら思えるほどの生命力と耐久力をもっているのだから。

高さ1000mの地点から落ちて死なない人間など見たことがなかったが、この男は平然と立ち上がっていた。

人柱にするに値する者であると判断し、私は彼の前に現れた。

彼から私に届くのは警戒と殺気のみ。

恐らく自身の領域(テリトリー)に侵入してしまったのが悪かったらしい、

直ぐに説明をして帰ろうと思い、依頼の大まかな内容とその報酬を教える。

報酬は普通に考えて乗らない手はないとすら思うが目の前のスカルは、一度として首を縦に振ることはなかった。

さて、参ったな。

彼は何かを目標に動いているわけではない。

だから釣れるものがないのだ。

次期アルコバレーノ候補に教えた指定の日時になる1時間前、唯一承諾を得ていないスカルの様子を見れば、案の定というか彼は全く行く気がなかった。

再び彼に声を掛けると、警戒と殺気がこの身に放たれた。

報酬の上乗せの条件で指定日時を伝えると、渋々と動き出した。

彼の原動力は分からないので、一番手こずるなとは思うがこれもトゥリニテッセの為だと思い込む。

結果から言えば彼らは私の期待通りの成果を挙げた。

思考が一般とかけ離れているスカルがチームで動けるか少々気にしていたが、杞憂だったようだ。

報酬を渡しに行くが、その場にスカルはいなかった。

私自ら出向けということか。

だが彼は自分の領域(テリトリー)に侵入されるのを嫌う。

私はスカルの口座を調べ、勝手ながらそちらに振り込む。

さて、もう少しの間本当にこの者達で大丈夫なのかを見定めなければ。

まさかこれから何度も依頼の度に、スカルを呼ぶことになるとは思わなかったが。

それから2か月が経った頃に、ルーチェがスカルと接触を図ったようで、少しスカルと彼女の距離が縮まったように思う。

今だにスカルの思考が私には理解出来ないので、これを機に何か分かればと考えていた。

 

ある日、私は彼らの前に姿を現さず、幻術で気配と姿を消して彼らを観察していた。

依頼からいち早く帰って来たスカルがルーチェと外に出ていくのが建物から見えた。

私はその様子を眺めていると、いきなりスカルの目線が私を捉えた。

 

「!」

 

私は自身の指を覗けば、そこには確かにリングが嵌められていた。

だがスカルの視線が私から外れることはない。

馬鹿な、ヘルリングを付けている今の私の気配を読み取ることは出来ないハズだ。

ヘルメット越しのスカルがこちらを覗き込んでいる。

まるで、私が見えるというかのように。

数十分ほどスカルはこちらを見つめていたが、ルーチェが声を掛けたことで視線が逸れた。

私は自身の頬に冷や汗が一筋伝っているのに気付く。

 

私は未だに彼の素顔を見ていない。

いつもヘルメットをしているわけではないだろうが、私が彼の前に現れると、彼は決まってヘルメットをしていた。

まるで私が来るのが分かっていたかのような様子で。

ああ、やはり彼は私には理解しかねる。

いや…だからこそ、彼は狂人なのだ。

スカルのお陰で見定める期間が大分長引いてしまった。

そろそろ、彼らには人柱になってもらわねば。

 

呪いを彼らに与えるその日も一向に指定場所に向かおうとしないスカルに声を掛ける。

いつものように軽く一言二言声を掛けて、その場を去ろうとしていた。

 

「なに、直ぐに依頼を済ませてくれればいい」

「今日の依頼もいつも通り簡単なものさ」

 

 

 

嘘……

 

 

酷く掠れた小さな言葉は確かに私の耳に届いた。

私は一瞬彼が何を言っているのか分からず、彼を凝視した。

初めてのスカルの声に驚く以上に、彼の発した言葉が無視出来なかった。

『嘘』と、彼は呟いた。

何が、などと言わずとも分かるだろう?と言っているかのように私をヘルメット越しで見つめる。

一体どこでそれを知った。

誰にも言ってはいないハズなのに。

そう聞こうとした直前に、スカルは一歩踏み出し私の隣を過ぎ去っていく。

私は開きかけた口を閉ざし、彼の前から姿を消した。

なんとか動揺を押隠す。

今までも奴の思考が理解出来なかったが、彼も人間に過ぎないと油断していた。

あの男が分からない。

何を知っていて、何をしたいのか、これから何をするのか…全てが分からない。

やはり彼は危険過ぎたか?

だが今からまた探すとなれば時間が…

既にスカルは彼らの下へ向かってしまった。

何を思って向かったのか、これから何が起こるかなど分かり切っているのに。

自らこの星の(いしづえ)になろうとでもいうのか。

 

「ああ、そうか………そうだ」

 

漸く私は理解した。

 

「彼は狂っている」

 

だから私に理解出来ない

 

否、誰にも理解されることはない

 

 

そう、私は()()()()のだ。

 

 

 

 

そして彼らは星の(いしづえ)となった。

 

 

「どういうことだ!?」

「な、何故…っ!?」

「体が小さくなっている!?」

「皆落ち着いてっ」

「おしゃぶり…?」

 

 

ああ、ルーチェの呪いは腹に宿った子にも受け継がれてしまったか。

全く……彼女と面影が似ているせいで余計心苦しいよ

 

 

いつだって

 

呪いを授かった者らが見せる絶望は

 

心苦しいものだ

 

だが星の為だ

 

必要な犠牲だった

 

その言葉を免罪符に今日もまた、(いしづえ)を生み出した

 

 

彼のように狂った者ならば或いは

 

 

こんなにも苦しむことは

 

 

 

なかったのだろうか…

 

 

 

「今なら君が少し…羨ましいよ……スカル」

 

 

 

私は仄暗い処で 一人呟いた

 




スカル:唯一赤ちゃんになって喜んだ奴、俺の待ちに待ったニートライフゥ!
チェッカーフェイス:何気にスカルが理解出来ず困惑中
ポルポ:ご主人様が小さくなっても匂いで一発だぜ、カラス(゚д゚)ウマー

今回原作?と乖離点をば
・ルーチェは小さくならなかった。これに限る。
正直赤ちゃんの姿でどうやって出産するの?ってなわけで、大人のままにしました。
でも呪いのせいで短命に。
あとお腹の子アリアに呪いが分散して赤子にならなかったでも通せる気がする。


次回予告

ニートライフ「アデュー!」


スカル(レーシングスーツver)

【挿絵表示】



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