Skull   作:つな*

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俺は焦った。


skullの危機

リボーンside

 

ツナとクロームが眠り始めた様子を横目で確認した俺は、先ほどから黙り込んでいるユニが気になり声を掛けた。

 

「ユニ、さっきからやけに黙ってるが大丈夫か?」

「リボーンおじさま……私は大丈夫です」

 

ユニなりに気丈に振る舞っているつもりだろうが、顔色が僅かに悪い。

それを指摘してやればユニは苦笑し、リボーンおじさまに隠し事は無理のようですと胸に手を置きながら呟く。

 

「未来の記憶を受け継いだ時から…私の中で誰かの声が聞こえるんです」

「声…?」

「最初は何を言っているのか分からなかったんですが、代理戦争が終わりスカルの手掛かりを求めてここへ来てからその声がハッキリ聞き取れる程強くなっていて…」

「お前のシャーマンとしての能力なのか?」

「多分違うと思うんです………予知ではなくて、何と言ったらいいのか分からないんですが…こう……誰かが私に大切なことを訴えているような」

「……声は、何て言ってるか分かるか?」

「はい……眩しい生命よ…その一言だけを延々と」

 

温もりを持っていた声が段々と焦りと不安を帯びてきていることが怖くて、と告げるユニの言葉に嘘はなく俺は考え込む。

ユニがこのタイミングでそれを明かすということは、その声はスカルと関りがあるのかもしれない。

そういえばユニは未来でスカルと接触していたハズだ。

ユニ、と名前を呼べば視線が交差する。

 

「未来でトリカブトに(さら)われそうになった時、横やりを入れてきた奴を覚えているか?」

「スカル…のことですよね」

「ああ、お前あいつと何か話したか?」

「いいえ……あ、でも私を見て祖母の名前を呟いていました」

「ルーチェの名前を…?」

「はい、私と祖母はとても似ていると聞いたので、驚いたのだと思っていましたが」

「なるほど、それ以外は何か言われてねぇか?」

「ごめんなさい、所詮記憶の引継ぎなので、全部覚えているわけじゃないんです…」

 

それだけで十分だ、と俺はユニの頭を撫でる。

ルーチェはスカルに対してよく話しかけていたが、それが関係しているのか…?

木に背を預けるユニを見ながら、かつて大空のアルコバレーノであった女を思い出した。

一輪のクロユリがルーチェの手から零れ落ちる瞬間を、スノードロップを胸に飾りながら亡き人となったルーチェの安らかな笑みを…今でも覚えている。

 

『俺はお前を信用も、信頼もしてねぇ』

『変な真似してみろ…おめーの頭に風穴を開けてやる』

『久しぶりにてめぇの顔が見れて嬉しいぜ…狂人野郎』

 

思えば俺は、あいつの声を聞いたことは殆どない。

ボンゴレと懇意(こんい)にしていたあまり、噂や人伝(ひとづて)だけで奴を一方的に敵視していたのは俺の方か。

奴が招いた惨劇も忘れてはいけない事実であり、数多の命を葬った所業は許されるものではない……

だが、それが奴の意志ではなく、偶々多くの人間が恐怖を募らせ形どった偶像に奴が当てはまってしまっただけならば……

それを咎だと断罪するには俺は無知であり、加担者であり、加害者になりうる立場だ。

中身のない空っぽの人間に、狂った思考を押し付け狂わせたのはこの村の者達で、それを悪へと昇華させたのは俺だったんだ。

ああ、くそったれ……(たち)の悪い冗談の方がよっぽどマシだ。

ルーチェ……あんたはそれに気付いていたのか?

だからこそ、あいつに手を伸ばしていたのか?

 

『あなたの死を望みます』

 

あんたは一体……あの花に何を思って、安心したまま死んでいったんだ…

 

 

「リボーン」

「!」

 

風の呼びかけで我に返り、風へと視線を移す。

俺の内心を察しているような、曖昧な笑みを見せた風はヴェルデとバミューダのいる方向へと視線を投げた。

 

「ヴェルデが一旦自らの研究所に戻り、戦力になるものを準備してくると言っていますが、あなたも何か準備が必要であればバミューダと共に今行くべきですよ」

「いや、俺はいい」

「そうですか」

 

俺と風の会話を聞いていたバミューダは、こちらに目もくれずにヴェルデと共にワープホールを潜り姿を消す。

涼し気な風が俺の頬を撫でる中、ラルの隣にいたコロネロが沈黙を破った。

 

「俺はお前らのアルコバレーノになる前…スカルとの間で起こったいざこざなんて知らねーけどよ、さっきから辛気臭ぇ空気垂れ流してんじゃねぇぞコラ!」

「あ"?」

「バミューダの言う通り、狂人を気付かねぇ内に創ったのが俺らだとしても、まだあいつは死んでねぇ……まだこれからでもやりようはあんだろコラ!じめじめしてねぇで今後のこと考えやがれってんだ」

「そうですね……コロネロの言う通り、まだ私達にやれることがあるはずです…全てやってみましょう」

 

コロネロの言葉は尤もで、奴の言葉にユニと風、ラルが賛同し出す。

俺とマーモンはコロネロの意見だということが気に食わず鼻を鳴らしながら視線を外したが、僅かに険しかった雰囲気が少しだけ和らいだのも事実だ。

俺は視線を外した先に寝息を立てながらスヤスヤと眠っているツナを視界に入れ、あまりのアホ丸出しな姿に幾分か冷静さを取り戻した。

このまま考えても埒がねぇと、取り合えずスカルを日本へ連れていく方法を考え始める。

一時間ほどすればヴェルデとバミューダが戻り、スカルとその側にいるであろう古代生物をどうするか話し始めた。

 

 

数時間経てば、ツナが欠伸をしながら体を起こした。

体力を出来る限り回復した様子に疲労は見当たらず、横でほぼ同じ頃に目を覚ましたクロームも先ほどより数段と顔色が回復していた。

時間に余裕があるわけではなかったので、クロームには忙しいだろうがそのままスカルの精神世界を探してもらう。

クロームが槍を地面に突き立てると、死ぬ気の炎がクロームの周りを覆い、クロームの意識が薄れていくのが分かった。

クロームが完全に意識の外に出たことを確認したツナは、不安そうにクロームを見つめている。

クロームがスカルを探している間、俺達はスカルに持ちかける交渉の内容や万が一戦闘になった場合の戦闘配置を決めていった。

未だスカルに対して複雑な思いがあるのか、ツナは何度か眉を顰めながら作戦を練っている。

それが戦闘で集中を切らしてしまうことに直結しなけりゃいいんだが……

 

俺は陽が落ち切った曇天を眺めなら、内心舌打ちを零した。

 

 

 

 

 

 

 

 

クロームside

 

 

私の親は、私に興味がなかった。

家の中では私はいない人間で、きっと煩わしかったんだ。

両親の瞳の中に私は映っていなくて……

だから、望まれて生まれてきたのではないとすぐ気づいてしまった。

何の為に生きているのか分からず過ごす日々は、何よりも苦痛で、何よりも悲しく、今にも心臓が潰れそうなほど辛かった。

好きの反対は無関心だ、という言葉の意味を、私はこの身で味わった。

誰にも必要とされない人間は、何の為に生きてるんだろう…

何で息をしていて、何で動いてて、何で生きてるんだろう、ってずっと思ってた。

私はきっとその時、絶望の底を確かに(のぞ)いていた。

内臓も右眼も失った私を見捨てた親には、やっぱり…といった感情しか持てなくて、怒りとか憎しみよりも悲しみや苦しさの方が上回った。

私の存在はあの人たちの瞳には映っていないと……ずっとずっと前から分かっていたのに、いざ捨てられた事実を突きつけられて、もっと悲しくなった。

何でまだ生き永らえてるんだろう……それだけを考える日々だった。

寝ても覚めてもずっと、ずっと、ずっと、ずっと。

そんな時に骸様と出会って、私は救われた。

私を必要としてくれる人が存在するという事実に、救われた。

 

私は…自分が分からず、己が何者であるかも理解出来ず、有耶無耶なまま生きていた。

だから、スカルの過去を聞いて、なんとなく彼の痛みが分かったような気がした。

自分が分からない苦しみを、私は知っていて、彼もその苦しみに囚われている。

死にたく、なるよね……

私も、死にたかった。

自分を失うことがどれほど怖いことか、私は分かる。

彼はそんな苦しみに何十年も囚われ続けている。

今も、これからも…ずっと、ずっと………

 

でも、私は知ってる。

この世に救いはあったんだって

希望はあったんだって

 

きっと、あなたを傷付けない世界が、人が、周りが、どこかにあるって、教えたい。

もう苦しまなくてもいいんだよ、って伝えたい。

 

 

だから、私は……あなたを探し出して見せる

 

 

 

 

 

 

 

沢田綱吉side

 

クロームがスカルを探し出してから既に5時間が過ぎようとしていた頃、彼女の体が急に揺らいだ。

直ぐに俺は崩れ落ちようとしていた彼女の肩を支えると、クロームの閉じていた瞼がうっすらと開かれる。

 

「クローム!」

「……ボス…遅くなってごめんなさい…」

「大丈夫だよ!クロームが無事に戻れたことに安心したよ!」

 

俺はずっと立ちっぱなしだったクロームを座らせ話を聞くと、骸がいなかった分探すことに時間がかかったらしいがスカルのいる場所が見えたらしい。

 

「イタリアで……誰も人のいない町、山を挟んで海が広がってて……海とは反対側に森があった」

 

それとスカルの隣にタコみたいな生き物もいた、というクロームの言葉にその場にいる全員の顔が強張る。

 

「あ、錆びれて最初の文字しか読めなかったけど案内標識にAって書かれてた…」

「なるほど、絞り出せたぞ」

 

クロームの言葉の直ぐ後に、ヴェルデが片手に持っていたパソコンの画面をこちらに向ける。

そこには地図があり、クロームの言葉通り海と森の間に位置していた町があった。

 

「ほぼ10年前に人がいなくなった町……というよりギリギリ村だな」

「何で人がいなくなったの?」

「公開されている情報では、人を食らう害獣が出現し村人や警察隊では対応出来なかった為に住民は避難したらしい」

「それってまさか!」

「恐らくスカルの飼っている古代生物の仕業だろうな…」

 

ヴェルデの調べた情報に俺は怖くなる。

あの生物は人間を食べるんだ。

俺達も負ければ、村の人達のように食べられて……

 

「ツナ、お前はいらねぇことばっか考えてんじゃねぇよ」

「あでっ」

「そうだぜ、俺らを忘れてもらっちゃ困るぜコラ!」

「いっだ!もう叩くなよぉ!」

 

怖気づきそうになれば、リボーンとコロネロが俺の背中を思い切り引っ叩いてきた。

急な衝撃に痛みを訴え、俺は二人を睨み返す。

確かにここには頼りになる戦力しかいないけどさ。

 

「沢田さん…大丈夫ですよ、きっと」

「ユニ……」

 

…あれ?なんだかユニが気になる、ような……

何だろう、ユニに違和感を覚えるなんて…体調でも悪いのかな?

でも顔色に変化はないし…俺の思い過ごしかなぁ。

俺は逸れた思考を戻し、ヴェルデが特定してくれた位置へとバミューダが繋いだワープホールを見る。

 

「僕もその村には行ったことがないから、僕が覚えている中でその村に一番近い場所にワープホールを繋いだ」

「ワープホールは位置が正確でなければ繋げられないのか?」

「いいや、そういうわけではないが、今回のように全く分からない場所に行くとなれば空中に出ることがある上に、最悪土の中に埋もれたりするのだ」

「なるほど」

 

バミューダとヴェルデの会話を聞いて、俺は空中に放り出される場面まで思い浮かべてしまい、顔面蒼白になる。

瞬間移動ってすごく便利だなとは思ったけど、ある意味使いどころ間違えば死んじゃうこともあるのか。

ワープホールの中に入っていったバミューダに皆も続く。

長い間スカルを探し続けてくれたクロームの疲労を考えて、この村で待っててもいいよと言ったけれど、クロームが頑なにそれを拒んだ。

何だか今回の件でクロームがスカルに対してすごく意識してるような気がするけど何でだろうと、そんなこと考えながら俺はワープホールを潜った。

 

潜った先で、まず初めに潮の香りが鼻についた。

それが海だと分かったのは、目の前にある一面の海を視界に捉えたからだ。

そう、一面の海を。

一面の………海を…………え?

 

「は、え?うわあああああああ!?」

 

俺は咄嗟に地面を見れば、あと数㎜前へ進めば海に落ちるというような場所に立っていた。

 

「わわわわ、おち、落ちる!」

「るせぇぞツナ」

「ぐえっ」

 

後ろから軽く当たるそよ風にバランスを崩して、体が海の方へと傾き落ちそうになったところを、リボーンが襟元を掴んで後ろに引いてくれた。

俺はそのまま地面に尻もちをつき、顔を青くする。

 

「バ、バミューダ!お前知ってる場所なら大丈夫じゃなかったのかよ!?」

「知ってる場所といってもここらは地盤沈下が多くて数十年前とは地形が変わっているんでね、落ちなかったのだから騒ぐなうっとおしい」

「うっとおしいってお前…」

 

若干涙目の俺に、ユニとクロームが心配そうに声を掛けてくれる。

二人の優しさが心に沁み渡ったところで、現在の場所をヴェルデのパソコンに埋められているGPS機能で確認する。

 

「ふむ、西の方に40㎞…あの山を二つ越えた辺りが目的の村だな」

「結構距離あるね」

「ふん、視界に入る場所であれば瞬間移動は可能だ、そこまで歩く手間はない」

 

ヴェルデの言葉に俺が思ったことを言えば、バミューダが鼻を鳴らしながらワープホールを作り出す。

俺達がそのワープホールを潜れば、先ほど遠目に見えていた山の頂上へと出た。

こういう使い方が出来るんだと思いながら、山頂から辺りを見渡すが、あるのは海と山だけだった。

数回ワープホールを潜れば、クロームの見たという案内標識の場所まで来ることが出来た。

 

「ここからは歩きだ」

「え?何でだよ」

「無駄にワープを使って奴等の目の前に出てみろ…交渉以前に攻撃を仕掛けられるに決まっているだろう」

「た、確かに…」

 

ダメツナは健在か、と後ろの方で呟くリボーンの言葉にカチンと来たけど、今ここで大声をあげてもまた怒られそうだ。

案内に従って進めば、廃れた無人の村が見えた。

本当に人の気配がどこにもなく、店の中、家の中…どこも(つた)が伸びきっている。

 

「村の地図からして、今我々がいるのはこの辺りだ」

 

ヴェルデが地図を空中に映し出し、とある場所を指差す。

クロームがまじまじと地図を眺め、あ、と声を溢しては地図に指を向けた。

 

「ここ……えっと、中心の噴水から…山が後ろに見えた方向の逆に歩いていった」

「なるほど北の方に拠点があると考えていいわけだ」

 

クロームの言葉から的確に方角を割り出していくヴェルデが最短距離を指示し、割り出された道を俺達はただ進んでいった。

手分けして探すには古代生物が危険なので全員で行動することになっている。

周囲を見渡せば所々(こけ)蔓延(はびこ)り、金属はほぼ錆びついていた。

1㎞ほど歩き、クロームの言っていた噴水が見えたところで、コロネロとラルが足を止める。

二人は噴水の周りとその隣にある草むらを見つめていた。

 

「何かあったの?」

「何かタイヤのようなものを引きずった跡と……まだ新しい足跡が草むらにあった」

「じゃあやっぱりスカルはこの辺りで生活してたんだ…」

「だろうな…」

 

ラルが地面を見ながら俺に教えてくれた。

誰もいない場所で暮らすって何だか怖いし寂しそうだなぁ……

いや、スカルにとって……自分以外が一番怖いのかな。

そんなの絶対悲しいよ。

俺達が来たのは呪いを解く為だけど、このままスカルを放って置くのは…可笑しいと思うんだ。

アルコバレーノの呪いもそうだけど、スカルのことをどうにかしなきゃ…俺は絶対に後悔すると思う。

 

瞬間、俺の背筋を物凄い速さで悪感が駆け上った。

 

「‼」

 

心臓を握りつぶされたような重苦しさに、目を見開き一歩下がる。

俺だけじゃない、クロームとユニ以外の皆が腰を低く落としていた。

 

「これは、殺気か!」

「おっも……くっ」

 

風さんとマーモンの言葉でこの重苦しいものが殺気だと分かり、何が何だか分らずに膝をついて苦しそうにしているクロームとユニの元へと近寄る。

彼女達がこれ以上近づくのは危ないと感じた俺は、死ぬ気丸を飲み二人を離れた場所へと移動させた。

 

「二人ともここで休んでいろ」

「は、はい………」

「ボス、私…」

「クロームも休め、スカルを探し出したことで結構体力使い果たしてたんだ…ここからは二人を庇いながらどうこうできる相手じゃない」

 

俺の言葉に渋々頷いたクロームを確認し、俺は二人をベンチに座らせればそのまま他のアルコバレーノがいる場所へと戻る。

先ほどの場所にいたリボーンと風さんが近づいてくる俺に気付く。

 

「二人とも遠くで休ませた…にしてもなんて重い殺気なんだ…」

「この村に足を踏み入れた時から気付かれていたようですね」

 

風さんの言葉にマーモンとヴェルデの頬には冷や汗が一筋伝っていて、俺は唾を飲み込む。

バミューダとリボーン、コロネロや風は殺気に慣れれいるのか、涼やかとはいえないが幾分か余裕を持っていた。

 

領域(テリトリー)に入った時点で、交渉の余地は無さそうだな…」

 

バミューダの言葉にどういうことだと言おうとしたが、俺の言葉は喉を通ることはなかった。

目線の先に、いたのだ。

 

大きな、何かが。

 

 

(なぶ)るかのように 蹴散らすかのように 

 

蹂躙(じゅうりん)すべくこちらを見据えている

 

 

大きな 大きな 目が二つ

 

 

 

(なんじ)らの命 ここで散ると知れ」

 

 

 

 

 

 

スカルside

 

傷心旅行中の俺氏、帰り道を走っているといきなり元の姿に戻ったでござる。

な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…

いきなりおしゃぶりが光ったと思えば、体がでかくなって、エンジン掛けたままのバイクが一人でに明後日の方向へと暴走したと思えばそのまま崖から落ちていった。

え、なにこれ泣きたい。

バイクに跨ってたポルポが、崖からバイクごとよじ登って来た時は本気で泣いた。

にしても何で元の姿に戻っているんだろうか。

俺は何度も自分の体をぺたぺた触りまくるが何一つ状況が分からず、取り合えず家に帰ることにした。

子供用のバイクは今の俺では乗れないので、元の大きさに戻ってくれたポルポに(またが)って帰路に着く。

久しぶりに元の姿に戻ったはいいけど、これ社長になんて言えばいいんだよ。

また運ちゃんするのやだぞ俺。

家に着くと俺はすぐさま元の姿で乗っていたバイクを置いていた車庫へと向かう。

結構年数立ってるから動くか分からないバイクのエンジン部分を確認していると、ポルポがいきなりお外に飛び出していった。

どしたん…

 

「主、そなたはここで待っていろ」

 

と言われてバイクを弄りながら待つこと数分、急な轟音が聞こえたのでビックリした俺は車庫から飛び出した。

外に出れば少し離れた、森を超えた辺りで煙が漂っている。

はいぃ!?ポルポお前何したの。

屋根裏部屋に行き煙の出た場所を覗いてみれば、人らしき影が7つ…とポルポが何やら戦っているように見える。

しかも、だ。

人らしき影の大半が見覚えのある奴等ときた。

これはもしかしなくても:殺される

殺人鬼集団が俺ん家特定してきたオワタ……

今ポルポが足止めしてるからこれに乗じて逃げようかな?

いやいや待て待て、もしポルポがあいつらに殺されたらどうするんだよ。

っていうかあいつらまで元の姿に戻ってんのかよ!もっとポルポやばいじゃん!

ひえぇぇ、怖ぇぇえええ…

何で俺にヘイト集中してんの、俺何かしたっけ…?

それよりもポルポ救出してこの町から逃げねば。

俺は直ぐに車庫に戻り、バイクのエンジンが動くかを試す。

若干不穏な音が出ているけど、怖くて乗れないとか言ってる場合じゃねぇ!

家の中にあった最低限必要なものをバイクのトランクへと詰め込んでいく。

パソコンは諦めて、他には………あ。

家の中を見渡していると、護身用にと社長から渡された拳銃が視界に入る。

いくら俺でも死地に出向くのに手ぶらは怖い。

使わないことを祈りながら拳銃を腰に差して車庫へと急ぎ、バイクのエンジンをかけた俺はポルポがいるであろう森の向こう側へと走りだした。

 

ちくしょおおお、俺が何したって言うんだよぉぉぉおおおおおお

 

 

 

 




スカル:大体こいつのせい、訳も分からず命狙われてて涙目、ポルポ連れて逃げる算段を立てる。

不穏な音が出るバイク:なるほど俺の出番か。

クローム:スカルに共感するところがあったのか、誰よりもスカルに対して同情的。

リボーン:愉悦式ダメージ反射機能の影響をもろに受けている、もっとやれ。

ツナ:スカルを救い隊、今後の超直感に全てが掛かっている。

超直感:いっそ殺せ



愉悦レベル:★★★☆☆

~以下蛇足~

村と町の違い:()()では、色々と条件はあるのですが人口面でいえば町は8千人以上、それ以下は村というラインがあり、元々「町」だった場所がその後に人口や施設が減少しても、名称はそのまま「町」で固定されるので、めっちゃ村やんって場所でも昔町だったなら町のままで放置らしいです。
日本の「市町村」にあたるものはイタリアではすべて「Comune」なので明確な区切りはありません。ですが今作品では日本の感覚で名称分けして書いていたので、そのまま区分方法も日本のものと同じにしておきます。

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