Skull   作:つな*

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俺はいなかった。


skullの追求

クロームside

 

「どうやってスカルを探し出せば…」

「僕なら、彼を見つけることが出来るかもしれませんよ」

「骸!?どういうことだ…!」

 

そう呟いたボスの言葉に私の側で休んでいた骸様が動き出し、まだ止血が十分じゃない骸様を心配した私は骸様の後ろをついていく。

骸様は血だらけの肩を抑えながら眉間に皺を寄せ、ボスに視線を固定する。

 

「僕は少し前に、彼の精神世界に訪れたことがある……今彼の精神世界を探し出し、入り込めば…」

「スカルの居場所が分かるかもしれない…ってことか」

「そういうことです」

 

私は骸様が誰かの精神世界を探し出すほど体力が回復していないことに気付き、骸様、と声を掛けた。

骸様は私の考えてることが分かっているかのように、流し目で私を捉える。

 

「クローム、お前が考えている通り…今の私に彼の精神世界を探し出す体力はない」

「骸様……」

「お前の力を僕に貸しなさい……お前がこの代理戦争で身に付けた技術は私をサポートするに不足はありません」

「!」

 

骸様が私を……私の力を、一人の戦士として求めてくれていることが、私にとって喜びであり、これ以上ない幸せ。

私は骸様の為に…骸様の全てを支えていたいっ…!

 

「はい、頑張ります!」

 

私の言葉に薄く笑みを見せ、片手に握っていた槍を構えた骸様をボスが心配をするけど、それを骸様が鼻で笑いながら一蹴した。

私は骸様の足りない炎を側で補い、精神体を安定させるために寄り添うように骸様に炎を(まと)わせる。

霧の炎が私と骸様を覆う中、骸様が私の名前を呼び、私は閉じていた瞼を開けて骸様へと視線を移す。

 

「恐らくお前も彼の精神世界を見ることになる…彼の精神世界に呑まれそうになれば、なりふり構わずお逃げなさい…分かりましたね?」

「骸様………分かりました」

「いきますよ、クローム」

 

骸様の言葉と共に、身体全体に浮遊感が襲う。

少しの間、骸様と共に精身体のまま空気中を流れるように浮遊する。

私は少し怖くなり、骸様に寄り添った。

体感時間でいえば20分くらいで、浮遊する感覚に慣れ始めたと思えば骸様の身体が止まり、つられて私も止まる。

 

「クローム、彼の精神世界だ……気をしっかり持ちなさい」

 

骸様の言葉をハッキリと聞いた私は胸の上で手を重ね、もう一度はいと呟き骸様と共に体がとある方向へと流されるまま身を委ねた。

 

 

 

気付けば、隣に骸様はいなくて…私は一人、見覚えのない風景の中立っていた。

その現状に目を丸くして驚いたのもつかの間、私は周りを見渡し現状把握に努める。

でも視界に入る情報はどれも新しく、一体ここがどこなのかすら分からない。

少し昔の雰囲気がある村…のような場所で、子供たちの声が耳に届く。

遊んでいるのか楽し気な子供達の声に周りを見渡していると、ふと視界の奥に大きな木が見えた。

大きな樹木の幹には、大きな(くぼ)みがあり、それはまるで人の顔みたいに模様を描いている。

その顔は、大きな歪んだ目と、叫んでいるような口元…そしてその口を縫い付けるかのように樹木の表面を垂直に削られている傷跡。

私はその顔に、云い寄れぬ怖さを感じた。

怖くて一歩、足を後ろへと引けば、途端先ほどまで聞こえていた子供の声が消え、不気味さを覚えた私は無意識にこの場にいない骸様の名前を呟く。

 

ガリ……ガリガリ……

 

何かを削るような音に驚いて、私はその音の元を探す。

すると、先ほど恐れていた樹木の真下に、子供が一人座り込んでいた。

子供は樹木に背を預け、膝を折って座り込み、ノートを膝の上に置いて何かを書いている。

先ほどから耳元で響き渡る音の正体が分かると、私は恐る恐るその子供に近付く。

 

「あ、あの……」

 

私が小さく声を掛ければ、子供は動かしていた手を止め、私の方へと顔を上げた。

その顔はボヤけてよく見えず、男の子であることだけ分かった。

紫色の髪を乱雑に(なび)かせた男の子は、周りを見渡すと再びノートに視線を戻し手を動かし始める。

まるで私が見えないような様子に私は何度か声を掛けるが男の子が再び反応することはなく、気付けば青空が澄み渡る空は赤く染まっていて夕方だと気付く。

暫くすると男の子はノートを閉じて、幹の窪みの中へとノートを放り入れる。

そしてそのまま男の子はその場を離れ、私はそれを追いかけようとした時だった。

 

 

「その子には悪魔が乗り移っています、今すぐ悪魔祓いをしましょう」

 

 

いきなり背後から聞こえた、男の人の声に私は驚いて振り向く。

先ほどまで誰もいなかったそこには神父姿の人と、数名の男の人が先ほどの男の子を掴んで何かを言っていた。

男の子は掴んでくる大人の手を払おうとするが、中々払えず苦戦している様子で、そのまま椅子に座らされ始める。

 

「名前を云え!■■■に憑りついているお前は誰だ!」

 

 

神父の怒鳴り声に私は段々と目の前の光景が怖くなり耳を塞ぐが、神父の声が耳に入ってくる。

 

「云え!貴様の名前を‼」

「神はすべての人が救われることを望まれておられる」

「貴様の名前を、云うんだ!」

 

何度も何度も、男の怒鳴り声がその場に響き、私は遂にその場から逃げ出す。

何故か分からなかったけれど、あの男の人の怒鳴り声や、男の子が抵抗する音が酷く恐ろしかった。

息を切らしながら辿り着いたのは、先ほどの樹木がある場所だった。

先ほどと同じで男の子が木の下で座ってノートを開いている。

 

 

「悪魔だ…」

 

どこからともなく聞こえてきた言葉に周りを見渡しても声の正体は掴めず、私は困惑する。

 

 

「あいつは悪魔だ…母さんや父さんが言ってた」

「先生も陰でそう言ってる…あいつは悪魔だって」

「だからあいつは呪われた木の下にいても平気なんだ」

「あいつがいつも持ってるノートには地獄の文字が書かれてる」

「俺は見たぜ、青い悪魔が描かれてたのを」

 

あちらこちらから複数の声が聞こえ、私は怖くて破裂しそうな胸を抑える。

四方八方から聞こえる声は、見下すように冷たくて、(さげす)むように苦しくて、とても怖かった。

恐怖から足が竦んでいると、ふと背後からくる熱気にビクリと身体を強張らせる。

恐る恐る後ろを振り向けば、そこには炎の魔の手がこちらへと向かって来ていて、突然のことに私の身体は動かなくなった。

そのまま炎に飲み込まれると瞼を固く閉じた時だった。

 

 

「クローム‼」

 

名前を呼ばれ、体が後ろへと引っ張られる。

背中に優しく当たる感触に、私は目を見開き声がする上方へと視線を上げた。

 

「骸様!」

「探しましたよ」

「む、骸様、ここ…」

「僕にも詳しいことは分かりませんが場所も特定出来たことですし、早いところ抜け出しますよ」

 

骸様の言われるがままに、今いる場所から外へ外へと押し出されるような感覚に目を見開く。

浮遊感がこの身を襲い、この空間から出される、と思っていると視界の端にふととある光景が映る。

 

先ほどの紫色の髪をした男の子が、黒い人の形をした何かを覗き込んでいた。

黒い人へと男の子が手を伸ばそうとして、隣にいた人に遮られる。

 

 

私が見ることが出来たのはここまでだった。

私の身体は物凄い速さで外に押し出され、肩を抱いてくれている骸様と共に体のある場所へと吸い込まれていく感覚に瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

沢田綱吉side

 

 

 

「クローム‼」

 

二人を覆う霧の炎が紛散すると共に、クロームが力が抜けたようにガクリと崩れ落ちる。

俺が座り込んだクロームに呼びかければ、彼女の瞼がゆっくりと開く。

 

「いきなり崩れ落ちるからどうしたのかと思ったけど……無事でよかった」

「骸…様は?」

「骸も今隣で起きたぞ」

 

クロームの隣で骸は、立ったまま目をあけ、手を額に押し当てていた。

 

「イタリアの〇〇という小さな村……彼の精神世界はそこで固定されていた…恐らく彼の居場所への手がかりがあるはずです」

「‼」

「それと…チェッカーフェイスの彼が自殺志願者であるという言葉、信憑性が出てきましたよ」

「どういうことだ…?」

「僕が見せられたものはその村の図書館と乱雑に置かれた数冊の本……どれも来世の存在を示唆(しさ)し、死ぬことへの美徳とやらを延々と綴られていました」

「それって……」

「恐らく彼は死ぬことを一種の救い、自由であると認識しているはずです」

 

何故救いを求めるのかまでは測りかねますが、と言い残した骸の言葉に俺は驚く。

チェッカーフェイスの言葉が本当かもしれない事と、スカルの暗い部分を見たような気がして、眉を顰める。

隣のリボーンを横目でちらりと覗き見たけど、リボーンも他のアルコバレーノも決して軽くない雰囲気を放っている。

俺はスカルの居場所がイタリアであることを考え、バミューダの方へと歩き出し、座って皆の様子を眺めていたバミューダに声を掛けた。

 

「バミューダ……お前の力を、貸してくれないか?」

「……」

「お前の瞬間移動がないと時間的にスカルを探し出すのは厳しいんだ」

「ふん、今回だけだ……おしゃぶりをチェッカーフェイスの元に返すわけにはいかないのでな」

 

バミューダの妥協ともいえる承諾に俺は安堵し、リボーンへと視線を向ければリボーンが俺も行くぞと呟き、それに続き他のアルコバレーノ達がスカルの元へ行くと言い始めた。

獄寺君や山本もついていくと言い出したが、俺がハッキリと断った。

リボーンもそれには賛成で、獄寺君がどうしてですか、と俺に聞いてくるがそれに答えたのはリボーンだった。

 

「相手はスカルだ…対話を前提として奴とおしゃぶりの譲渡を交渉してみるが、あいつが実力行使で俺達を殺しにかからないという可能性がないわけじゃねーんだ」

「‼…しかし…」

「いいか、奴は数多の命を葬って来た虐殺者だ、奴が弄び殺した命がいくつあったと思ってんだ……今回も気まぐれに俺達を攻撃するかもしれねー」

「な、なら俺らも戦えばっ」

「傷を負ってるお前等じゃただの足手纏いだ」

 

獄寺君と山本の言葉をリボーンがバッサリと切り捨てた。

歯を食いしばる二人以外にも、名乗り上げようとしていた数名が押し黙る。

そんな中、今まで黙っていたチェッカーフェイスが俺達の会話に割り込んできたのだ。

 

「その話の流れだとアルコバレーノは全員彼の元に行く気のようだが、少し懸念事項がある」

「どういうことだ」

「少し、彼の側にいるあの巨大な生物について…語らねばならない」

 

そう呟いたチェッカーフェイスの表情は、先ほどとは違い険しかった。

 

 

あの生物は、遥か昔に存在していた古代生物の一種だ。

その古代生物は海を統べる王であり、両生類だったが故に陸上の生物の脅威にすらなった種族だ。

恐らくデボン紀があの種族が誕生し最も繁栄していた時期であり、彼らは古第三紀前半で絶滅した。

その後、移ろい()く環境下であの種族の遺伝子に最も類似している種族が、ヒトというホモサピエンスが誕生した時期に現れた。

ヒトは、その生き物をこう呼んだ………クラーケン、とね。

遺伝子が最も類似しているというだけで、古代生物との力は天地ほどの差があったわけだが。

私の種族は、君たちの目から見ても桁外れの生命力を宿していることは分かるだろうが、最も繁栄していた時期は今以上に生命力に満ち溢れていたのだ。

だが一族の中にも数名、あの古代生物に食い殺されたものがいた、というのが事実だ。

それほど脅威であり、恐怖であり、数多の生命をその身に宿した、最恐の古代生物なのだ。

そんな生物が何故この時代に蘇ったかは私にも理解しかねるが、一つ、分かると言えば…現代に蘇ったあの生物は全盛期であった古第三紀より数倍図体が小さいということだ。

全盛期では、あのサイズが生まれたての赤子の大きさなのだが、あの生物はあの大きさで既に成体が持つべき(うろこ)を身に(まと)い、牙が一際鋭くなっていることから、現代ではあの大きさで既に成体であることを意味している。

それでもその身に宿す力は本物だ。

もし、油断して掛かれば一瞬でその身を食い潰されるぞ。

さて、何故私がこの生物の話を語ったのかといえば、単にアルコバレーノ諸君がスカルの元へと自ら赴くと言ったからであり、万が一彼と戦闘になればあの生物が必ず君たちの前に現れるからだ。

あの生物の全盛期の実力は私が最も知っている…だから、どれだけ弱体化したあの古代生物であっても今の君たちでは勝てない、と言っておこう。

 

 

長ったらしい話を語ったものだ、と言うように俺達を見て言い放つチェッカーフェイスの表情は読めず、冷めた眼差しで俺達を捉えていた。

俺はチェッカーフェイスの言葉があまりにも衝撃で、暫く呆然と彼の言葉を繰り返していた。

あの巨大なタコのような生物が、古代生物で……海の王……

隣にいるリボーンを覗けば、リボーンも予想だに出来ない事実に表情を強張らせている。

チェッカーフェイスの言葉通りなら、俺達はあの生物に対して何も出来ないまま殺されるかもしれないということだ。

ならスカルとの戦闘は出来るだけ…いや、必ず避けなきゃいけない。

 

「待て」

 

思考がこんがらがってきた時、ふと落ち着くようなリボーンの声に我に返る。

 

「"今の"俺達だと勝てない……だと?」

「ああ、そうだ…まぁこれは保険の意味でだが、君たちを一時的にこの3日間だけ元の姿に戻そう」

「「「「「「‼」」」」」」

 

チェッカーフェイスの言葉にバミューダを含む現アルコバレーノが皆目を見開いた。

 

「トゥリニテッセは大丈夫なのか?」

「短い間であれば私一人で補えるが、あくまで君たちを元の姿に戻すのは万が一戦闘になった場合に保険であって、戦闘に仕向けるためのものではないことを覚えていてくれ……元の姿に戻った君たちならば、あの古代生物の足止めくらいは出来るだろう」

 

リボーンの問いにチェッカーフェイスがそう答えた瞬間、アルコバレーノ達のおしゃぶりが輝きだす。

皆その眩しさに驚き目を瞑っていると、段々と光が弱くなっていく。

俺は目を薄め、目を慣らしていると、ふいに隣にあった小さな気配がなくなっていることに気付く。

 

「リ、リボー…」

 

相棒の名前を呼ぼうとして、途中で途切れた。

何故ならそこには、大人のリボーンが自分の手を眺めながら目を見開いていたからだ。

ざわつく周りを見渡せば、他のアルコバレーノ達も呪解して大人の姿に戻っている。

バミューダまで戻っていたことから、チェッカーフェイスはバミューダを戦力として数えていたからなのだろうか。

バミューダも気になって、そこらへんをチェッカーフェイスに問いただしていた。

 

「おいチェッカーフェイス…何故僕まで戻した?」

「私がしたのは呪解ではない、一時的に全アルコバレーノのおしゃぶりを彼ら自身の中へ内蔵しただけだ」

「全、アルコバレーノ…?」

「勿論スカルもだがね、だからバミューダ…君も元の姿に戻す形となった」

「なるほど、通りでおしゃぶりが外れたような感覚がないわけだ」

 

 

おしゃぶりが割れては困るので君たちの中に隠した、と平然と言い放つチェッカーフェイスにアルコバレーノの顔が強張る。

俺達が死んだらどうするつもりだったんだ、とヴェルデが質問したが、アルコバレーノが死んだからといって中に隠したおしゃぶりが壊れるわけではない、とのことだ。

俺はチェッカーフェイスの言葉も驚いたが、呪解したアルコバレーノが一人を除いて全員揃っていることに圧倒されていた。

これが……世界最強の7人……

唾を飲み込んだ俺とリボーンの目が合う。

 

CHAOS(カオス)…だな」

 

ふん、と鼻で笑われたような気がして俺は頬を膨らますが、リボーンは俺を一蹴するとチェッカーフェイスへと向き合う。

 

「他にあの生物のことでいうことはあるか?」

「ああ、最後に2つほど…」

 

2つも?と突っ込みたくなった俺はその言葉を飲み込みチェッカーフェイスの言葉を待つ。

 

「1つ目は()の生物が持つ毒だな…致死性の極めて高い毒を持っていて血液は勿論、皮膚接触も毒の侵入経路だ」

「毒……」

「2つ目は…()の生物の逆鱗には触れぬことだ」

「どういうことだ」

「さて、私も直接見たことはないが…あの種族の逆鱗に触れると全てが闇に染まる、と言われていたのでな……」

 

 

闇に……そう呟いた俺に、チェッカーフェイスの険しい顔が、決して嘘ではないと超直感が訴えていた。

 

「何はともあれ、行くしかねぇだろ!コラ!」

「もう時間がないな…今からでも行けるかバミューダ」

 

コロネロとラルが武器を片手に、バミューダの元へと近寄る。

二人の言葉にバミューダは頷き、ワープホールを作り出した。

俺はもう行くの!?と思い、待ったを掛けようとしたら急に服の端を引っ張られる。

後ろを振り向けばクロームがいて、どうしたの、と優しく問いかければクロームは覚悟を決めたような顔をした。

 

「ボス、私も連れて行って…!」

「え、ええ!?」

「あ、沢田さん!私も行きますよ!」

「ユニまで!?」

 

疲労しているであろうクロームと、非戦闘員のユニが名乗り上げたことに俺は狼狽(うろた)える。

獄寺君や山本、他の人もクロームやユニを止めようと声を掛けるが、二人とも首を横に振った。

 

「骸様が動けない今、私がスカルの居場所を探すから…連れて行って、ボス!」

「クローム……」

 

確かに骸は今、軽くない怪我を負っているからこれ以上動くことは難しい。

クロームならまだ体力に余裕があるから、スカルを探すという点においてクローム以上に適任がいない…

答えに考え込む俺を他所に、リボーンが承諾してしまった。

俺は待て待て、とリボーンに口答えしようとするが、時間がないという理由だけで一蹴され、近くまで寄ってきていた風が私達が守りますので安心してください、とクロームに伝えていた。

もう行く気満々なクロームと、それに賛同する周りに脱力し、俺はクロームの同行を渋々認める。

だけどユニは……と、ユニの方に視線を向ければ、ユニが俺の視線に気付き見つめ返してきた。

 

「お願いします……どうしても、行かねばならないと……私の中で何かが訴えているのです」

 

ユニの瞳はどこまでも澄んでいて、でもどこか焦りが現れているようにも見えた。

ユニのこういう発言はその通りにした方がいいのは分かっているので、拒むことも出来ず渋々だがユニの同行も許してしまった。

ハッキリいって二人が傷つかないかがとても心配だ。

俺はユニがワープホールを通ったのを確認して、後ろを振り返り皆の顔を見渡した。

 

 

「いってきます!」

 

俺の言葉に目を見開いた仲間たちの目からは、不安が薄らいでいくのが見えて俺は思わず笑みが漏れた。

ご武運を‼十代目!、と獄寺君の声を最後に俺はワープホールの中へと足を入れた。

 

数日前に体感した、あの不思議な感覚に目を閉じる。

数秒すると肌寒い風が頬を撫で、指に嵌まっているボンゴレギアの擦れ合う音と共に俺は瞼を開いた。

 

 

そこには、骸の言っていた町の案内標識と、クローム…そして元の姿のアルコバレーノ達が佇んでいた。

 

 

 

 

 




スカル:出番なし、知らぬところでロックオンされている、さよなら束の間の平穏。
アルコバレーノ:スカルを総出で捜索中。
ヒットマンなあの人:スカルを生け捕りにしないといけないことに遺憾の意、スカル絶対殺すマン健在。
クローム:スカルの精神世界で見たものが気になり同行を希望した。
地獄の文字:日本語への熱い風評被害。

愉悦レベル:★★★☆☆



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