Skull   作:つな*

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俺は怖くて仕方がなかった。


skullの印象

そこはとある一室、7名の人間が集められた場所である。

7名はとある一人の男によって選ばれ集められた。

そして集められた彼らは、男の持ってくる依頼をチームとして遂行することを前提に雇われたのだ。

 

「私はルーチェよ」

 

最初に若い青緑がかった黒髪の女性が自身の名を口にした。

 

「ジッリョネロファミリーのボスを務めています、どうかあなた方の素性を軽く教えて下さい」

「そうだな、これからチームとして依頼を任される身…最低限の自己紹介はしておこう」

 

インテリそうな雰囲気を持った白衣の青年がルーチェという女性に賛同した。

 

「私の名前はヴェルデ、科学者だ」

「ほう、あのダ・ヴィンチの再来と謳われた天才科学者か…興味深いな」

「私を知っているか、まぁその道の者ならば一度は耳にする名だろうがな」

 

次に黒い帽子を被っている黒スーツの男性がヴェルデという科学者の名に反応した。

 

「俺の名前はリボーン、ただの殺し屋だ」

「お前の名は聞いたことがあるぞ、最強の殺し屋」

 

リボーンという男に喋りかけたのはルーチェとは別の女性だ。

 

「俺はラル・ミルチ、イタリア海軍兵士だ」

「君のことは知っているよ、同じイタリアで活動している者ならば皆知っているんじゃないかい?」

「そういうお前は何者だ」

 

ラルが自身の名を知っていると口にしたフードの人物に問いかける。

 

「僕はバイパー、情報屋さ」

「あなたの名前は私の耳にも届いていますよ、情報屋バイパー」

「ふぅん、そういう君は僕の情報リストに載っているよ」

 

バイパーが目線を移した先にはチャイナ服を着た男性が涼やかな表情で佇んでいた。

 

「私の名前は風、中国の武道家です」

「お前は俺も知っているぞ、中国武道大会で優勝していた奴だな」

「ええ」

 

リボーンが風に喋りかけ、観察している。

数秒の間、皆がとある一人の男へと目線を移した。

未だ自己紹介をしていない最後の一人だが、その人物はヘルメットを被っていて顔が視認出来ていなかった。

ルーチェが腕を組みながら黙っているその男に優しく問いかけた。

 

「あなたで最後です」

 

静かな空間の中で、その男は影と同化しそうなほど闇を背負っていた。

この場にいる者ならば誰もがそれに気付くほどである。

この男は危険であると頭が警報を鳴らしていた。

 

この男からは死の匂いがする。

 

幾多の命を葬り、死がこの男にこびりついている。

ヘルメットで顔が見えずともこの威圧感…こいつは危険だ。

その場に居た者がその時、同じ緊張を、警戒を、その男に向けていた。

そんな中、ついに男が一言、呟いた。

 

 

「…スカルだ」

 

 

 

たった一言、されど一言。

その一言にどれ程の闇を垣間見ただろうか。

僅か1秒の時がその場に居る者を縛り付けるかのように殺意で威圧する。

誰もがその男から目が離せなかった。

離せば、そこで、自身の命の終わりを感じたからだ。

深淵を覗いているような、いや覗かされているような感覚に吐き気が襲う。

そんな中最初に我に返ったのはヴェルデだった。

 

 

「……スカル、君はあの狂人の運び屋、スカルか!」

「何だって!?」

 

ヴェルデの言葉にバイパーが驚きの声を上げる。

狂人の運び屋・スカル。

狂人の運び屋と呼ばれる彼の逸話は数知れず、裏の者であれば誰しもが知っている男だ。

彼の運び屋としての仕事の遂行率は100%、つまり今まで失敗したことがないのだ。

麻薬、武器、金、情報、死体、何でも運ぶこの男に失敗という文字はない。

時には色々な組織がこぞってスカルの殺害を企てたが敢え無く失敗、その上大損害を被ったという。

この男に容赦の二文字は存在しないのだ。

邪魔をする者には死を、それを貫く姿はまさに悪。

ただ奴の姿を見ることは珍しく、根城を突き止めた者はいない。

それは一重にスカルの逃走技術、いわば身体能力と判断能力、そして狂った行動力が理由だ。

誰がビルの屋上から飛び降りようなどと考えるだろうか、誰が目の前に向かってくる車にバイクで突っ込もうと思うだろうか、誰が氷湖に飛び込もうと思うだろうか。

狂った野郎だと鼻で笑うには、スカルは成果を上げ過ぎていたのだ。

死を恐れるどころか自らが死に急いでいるような彼の行動に誰もがこう呼んだのだ。

 

狂人の運び屋、スカルと――――――

 

 

現在カルカッサファミリーに雇われて専属の運び屋をしているようだ。

そのせいでカルカッサファミリーが段々と勢力を伸ばしつつあり、ボンゴレも彼らの動向には注意を向けている現状だ。

つい先日に、ボンゴレ傘下のファミリーがスカルによって滅ぼされたのだ。

スカルの持っていた情報があまりにも極秘で、最大警戒の下スカルを捕縛、又は殺害しようとした為に起こった大惨事だった。

死者は百人近くにも上り、重軽傷者は数百人を出した。

ボンゴレ九代目と懇意であるリボーンにとっては、忌避すべき存在でもあった。

腕組みをしたまま微動だにしないスカルを睨みつけ警戒を露わにするリボーンとその周りに一人の声が響き渡る。

 

 

「やぁ、諸君」

「「「「「「!」」」」」」

 

スカル以外の全員が声のする方へと視線を向ける。

そこには仮面をつけスーツを着た男が現れた。

 

「チェッカーフェイス…」

「そろそろ仕事の時間だ、君たちにはこの仕事を遂行してもらいたい」

「待て、それは必ずしもチームでなのか」

「何か不満でも…?」

 

チェッカーフェイスと呼ばれる男の言葉に口を挟んだのはリボーンだ。

 

「百歩譲ってチームはいい、だが狂人スカルがいるとは聞いてねぇ…この件下りさせてもらうぜ」

「私情を挟むとは…最強の殺し屋が聞いて呆れる」

「……てめぇ」

「私はこのメンバーで構わない、チェッカーフェイス」

「!」

 

椅子から立ち上がるリボーンとチェッカーフェイスの睨み合いの中、ヴェルデがそう言い放った。

他は目を見開く。

 

「運び屋と相見えるなど早々ない機会だ…是非とも彼のデータを取りたいものだ」

「このマッドサイエンティストが」

「おや褒められているのかな」

 

自身の安全よりも好奇心を選んだヴェルデに毒を吐くリボーン。

 

「私もこの者達に不満はありません」

「私もです」

 

ルーチェと風がヴェルデに次ぎ、その後にバイパーとラルが渋々と頷く。

私情とプライドの葛藤の末、舌打ちをしながらリボーンまで椅子から上げた腰を下ろす。

 

「全会一致のようで嬉しいよ、では今回の仕事だ」

 

チェッカーフェイスは涼しい顔でそう言い放ち、彼らに資料を渡したのだ。

不穏な雰囲気の中、スカルはただその場で腕組みをしながら話し合いの行方をじっと、黙ったまま眺めているだけだった。

狂人の運び屋スカル、彼がこの場で口にしたのは自身の名前のみだったが、それで良かったと安堵するものは一体幾人いたことだろうか。

話を進める中、リボーンの射殺す様な視線を浴びながらもスカルは沈黙を貫いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカルside

 

 

 

 

「やはり君が適任だな、運び屋スカル」

 

 

ドライブから帰ってきたら仮面付けてスーツ着た不審者が不法侵入していたなう。

え、え、何この人、警察案件?警察案件?

あれ、警察って何番だっけ。

 

「私は今、世界最高の❝選ばれし7人❞を集めている」

 

うぼあ、何か喋った。

ビックリし過ぎて聞き取れなかった。

え、何?何を集めてるの?

何か話勝手に進んでいってるけど、警察呼んで早くお帰り頂きたい。

ひょえ、たたたた立ちやがった。

警察に通報しようと思ってすみません!

あれ?もう帰るの?良かった。

不審者が勝手に喋って勝手に帰っていった。

変な奴だな、にしてもいつ俺の居場所が割れたんだろうか。

ふむ、この家とはおさらばだぜベイベー。

三日後、必要最低限の荷物を纏めて愛車に跨り今まで住んでいた家をおさらばする。

行先は未定。

てきとーに不動産屋見っけたらそこで物件見て決めるか。

バイクに跨って道路とは言えない様な道を走っているが、道路だと直ぐに速度制限引っ掛かるからだ。

その後直ぐに不動産屋見つけて物件を見回って、中々見つかりにくい場所があったのでそちらに住むことに。

隣家との距離がおよそ2㎞という遠さのド田舎だけど、自然の中での生活もいいかもしれない。

そんな俺は庭で生ごみと格闘していた。

結構前に作ったべったら漬けを腐らせてしまい、既に腐りかけのイカ焼きと一緒に捨てようとしてるんだが、これまた強烈な匂いでヤバい。

めっちゃ離れてる隣家のおばあさんが死臭!?って駆け付けてきたくらいだ。

おばあさんも捨てるの手伝ってくれた、凄く助かった。

ああ、めっちゃ体に匂いが付いてる。

風呂入ろうとしたら、再びあの不審者が家の中に現れた。

ストーカー並みに気味悪いんだけど。

 

「君がいつまで経っても動きそうになかったのでね、もう一度交渉しようじゃないか」

「…」

「既に他の6名は指定場所に向かっている…後は君だけだ」

 

ん?何だか集まりに来いとのことだけど…何のこと。

因みにどこ行けばいいのかと聞こうとしたら向こうからペラペラと喋ってくれた。

今から…だと?

ていうか何の集まりなのか分かんないけど…。

あー、もしかしてネットで知り合ったぬこぬこ同好会のオフ会かな?

受付した覚えないんだけど、誰かが俺の名前入れちゃったかもしれない。

俺結構古参だし、前回のオフ会も参加したし…

まぁ別に用事もないし、行くだけ行ってぬこ見て癒されよう。

い、今の俺はまだニートじゃねぇし!

まだ辞職届出してねーからニートじゃねし、世間の目なんて怖くねーし!

ってなわけでシャワーをサッと浴びてライダースーツに着替えて集合場所に向かった。

あ!スタンガン充電中で今持ってなかったんだった。

慌ててバイクのシート下のトランク確認すると結構昔に買った催涙スプレーがあった。

少し心もとないけどこれでいいかと懐に仕舞って再びアクセル全開にする。

走行中に若干焼きイカとべったら漬けの腐った匂いが落ちていないことに気付いた

おげえ、何だろう鼻がツーンてする。

ぬこ逃げるかもしれない…。

帰ろうか迷ったけどここまで来ちゃったし一応行ってみるか。

着いたんだけど、何ここ……ぬこがどこにもいないでおまんがな。

取り合えず案内にあった部屋に行くと暗い部屋に俺以外の3人がテーブルに座ってた。

何だろう、皆すごく怖い顔してらっしゃるんだけど。

絶対人殺してそうな奴いるし、マッドサイエンティストみたいな感じの奴いるし、フード被ってる魔導士みたいなやつもいるぅぅぅ。

何ここ、こわ、絶対ぬこぬこ同好会のオフ会場じゃねえわ。

そんなこと思ってたら次々と人が入って来た。

チャイナ服とさばさば系女子と巨乳の妊婦さん。

これ一体何の集まりなんだろうかと考えていたらいきなり妊婦さんが喋り始めた。

 

「私はルーチェよ、ジッリョネロファミリーのボスを務めています、どうかあなた方の素性を軽く教えて下さい」

「そうだな、これからチームとして依頼を任される身…最低限の自己紹介はしておこう」

 

んんん?チーム?依頼?

あるえ?

 

「私の名前はヴェルデ、科学者だ」

「ほう、あのダ・ヴィンチの再来と謳われた天才科学者か…興味深いな」

「私を知っているか、まぁその道の者ならば一度は耳にする名だろうがな」

 

すみません、初耳です。

 

「俺の名前はリボーン、ただの殺し屋だ」

「お前の名は聞いたことがあるぞ、最強の殺し屋」

 

……ごめん今何て?

ころ、殺し……殺し屋?

 

「俺はラル・ミルチ、イタリア海軍兵士だ」

「君のことは知っているよ、同じイタリアで活動している者ならば皆知っているんじゃないかい?」

「そういうお前は何者だ」

 

海軍!?これ一体何の集まりなの?

何の共通点があるの?

あと俺イタリアに住んでるけど聞いたことないんですけど!?

 

「僕はバイパー、情報屋さ」

「あなたの名前は私の耳にも届いていますよ、情報屋バイパー」

「ふぅん、そういう君は僕の情報リストに載っているよ」

 

ひぇぇ…何だか怖い集会に紛れ込んでしまった。

しかも皆の役職がヤバイ、裏の世界を感じる。

 

「私の名前は風、中国の武道家です」

「お前は俺も知っているぞ、中国武道大会で優勝していた奴だな」

「ええ」

 

やべぇ、これ俺めっちゃ無関係じゃね?

あ、すいませーん、人違いでーす、って言ったが最後殺されそうだ。

何だろう、皆が俺の方を見ている。

あ、自己紹介?

俺ニートっていうか……いや今はちゃんと仕事してるけど……

基本ニート志望っていうか。

 

「あなたで最後です」

 

っていうか……っていうか…………………

 

 

「…スカルだ」

 

 

帰ってもいいですか?

 

 

 

 

 

 

 

 




スカル:人違いされてる泣きたい、だが人違いではない。
チェッカーフェイス:不法侵入してきた不審者と思われていることを知らない。
その他:スカル警戒中、生ごみの匂いを死臭と間違って認識しちゃった、死の匂い()。

死臭で検索してみると、イカ焼きとべったら漬けの腐った匂いとあったので出してみました。


少しづつ全体の話の流れが出来つつあるこの頃…

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