日本に来て大体一週間が経った。
社長から支給されたホテルを利用して、支部を行き来している。
やっぱりというか、俺の知っている日本とは少し違うようだ。
まず並盛や黒曜という聞いたことのない地名があった。
あと並盛という町に至っては警察の権力はほぼなくて、あるのは並盛風紀財団という組織勢力だけ。
中々物騒だなと思い、街中を歩けば溢れる溢れるリーゼント集団。
一体どうなってんだこの街。
取り合えず日本にいてもやることはあまり変わらず、ただ部下から貰う資料に目を通して判子を押す作業をするだけ。
たまにイタリアからスカイプでモブ子やモブABCDが連絡してくる。
モブ子はあの後ビックライ〇の改良に取り組んだが挫折したらしい。
今の技術では到底無理だったと悟ったとかなんとか、まぁ俺が安心したことに変わりはない。
ただ、まさかあんな発想になるとは思わなかっただけで……
『スカルさん!これ身体能力増強スーツです!日本に送ったので是非とも使って下さい!』
これで実質元の身体に戻ったも同然です、と後付けしてくるモブ子を殴りたくなった。
身体がでかくなっても身体能力は赤ちゃんのままなら、赤ちゃんのままの身体能力をあげればいいんだという発想に、どうしてそうなったとツッコみたい。
要らぬ世話をぉぉぉおお!
どれほど巨大化が維持できるのかを実験する為に、何回かに分けてあの光を浴びさせられる俺氏。
まだスーツは改良中で出来るのは一週間後くらいらしい。
日本へ来て数日経つが、何やら同僚達が騒がしい。
近くにいた人の会話に聞き耳を立てていたら、ボンゴレがミルフィーユに乗り込んだっていう単語だけ聞き取れた。
あれ?ミルフィーユって確か社長の言ってた警戒してる企業で、ボンゴレは一時停戦中の企業だよな。
なるほどボンゴレと停戦するまで三つ巴だったのか。
同僚の話を聞くからしてボンゴレとミルフィーユが本格的に商売競争始めたってことだな。
これからどうなっていくのやら………
ああ、早くホテルに帰ってフグ男とポルポに会いたい。
あれから数日、今日は仕事もないので外に出て観光しようと思う。
俺の知っている日本ではないことは明らかになった今、並盛という町に興味がある。
一体どんな町なのか、そして俺の記憶にある日本とどう違うのか。
というわけで外出してみた。
ポルポ連れて歩くと目立つから一人で出てきたんだが、正直観光スポットなんてただの町にあるわけもなく、ふらふらとそこらへんを歩いていた。
図書館に行ってみて日本の歴史について調べてみたところ、概ね同じものだったけどやっぱり別の事柄も史実として記されていた。
やっぱり少し変わってるところがあるんだと思いながら再び外に出る。
商店街、住宅街、色々見回っても俺の記憶にある街並みと大差なくて、正直世界線が違う実感がなかった。
いやもしかしたら俺の前世という記憶自体が妄想だったのかもしれない。
でも訪れたことのない日本という国の言語も風習も知っているのはやっぱりおかしいから、前世は確かにあったんだろう。
ダメだ、これ以上考えたって頭が良いわけでもない俺に理解出来ることなんてないし、ここらで切り替えた方がいい。
にしても視界の端で度々ちらつくリーゼントが気になってしょうがないんですけど。
腕章に風紀って書かれてるけど、どう見ても風紀を気にしてる風貌ではない。
リーゼントを意図的に視界から排除しながら歩いていると、川岸で女性とぶつかってしまった。
全く前を見ていなかったから、ぶつかった俺は尻もちをついてしまい、ぶつかった女性も転んだ俺に慌てていた。
「ご、ごめんね!大丈夫!?痛いところはない!?」
まだまだ成長途中の高い声に視線を上げれば女性の顔が見え、まだ中学生くらいの少女であることに気付く。
「本当にごめんね、あれ?僕、お母さんかお父さんと一緒じゃないの?」
どうやら一人で歩いている俺を不思議に思ったのか首を傾げて質問してくる。
確かに赤ちゃんが一人で歩いてるのもおかしな話だよな。
だがしかし何て言えばいいのか分からず、無言を貫いていたら何かを察したような顔をした少女が俺を抱き上げた。
「きっと迷子なのね……大丈夫だよ、私がちゃんとお家まで送ってあげるからね」
あれ?デジャヴ………
何を勘違いしたのか少女は俺を抱えて落ち着いて話せる場所に連れて行こうとしたのか場所を移し出す。
「私は笹川京子、君の名前は?」
「…………………スカル」
ベンチまで移動して座る俺に名前を聞いて来たので取り合えず答える。
「スカル君か、カッコいい名前だね!近くに住んでるの?」
「迷子……違う…」
「え?」
どうにか振り絞って出した言葉に笹川さんは目を見開いている。
俺としては結構勇気を振り絞ったのでもうそのまま放っておいて欲しいところである。
「そっか、でも一人じゃ危ないからお姉さんが家まで一緒についていってあげるね」
現実は非情なり。
ちくせう、体がこんなんじゃなけりゃ……
いやだがこの身体はこの身体で色々と恩恵があるからそのままでいい。
笹川さんはどうやら赤ちゃんの俺を逃がすつもりはないらしく、これは手強いと思った。
どうやってこの少女から離れることが出来るだろうかと考えていれば、笹川さんが質問を続けてくる。
「スカル君、どうして一人でこんなところにいるの?お母さんやお父さんは?」
ぐいぐい聞いてくるなー。
こちとら早くこの場から抜け出したいのに。
「………いない」
少しぶっきらぼうに答えたら目の前の笹川さんは一瞬固まった後、頭を撫でてきた。
何でだ、やめろ恥ずかしい。
「じゃあお友達と一緒に?」
コイツ、分かってて質問してないよな?
俺に友達なんて高尚な関係を持つ人いるわけないだろう。
「いない」
多分俺今血涙流してるわ。
で、でも一応フレンドはいるもん!…………画面の向こうに。
あれ?何だか胸が痛くなってきた。
「じゃあ私がスカル君の友達一号だね!」
何気ない気遣いがくそ痛い。
心に突き刺さる。
あれだ、無垢な幼児に「おじさん何でいつも一人なの?お友達いないの?」って純粋な眼で質問されるのと同ダメージだ。
俺は今あくまでも赤ちゃんであって、この子は本気で純粋に俺を気遣ってくれてるんだろうけど、心に多大なダメージを負った。
周りに誰もいなかったら五体投地してた。
「友達………」
なんかもう虚しくて、脳裏を
「そうお友達、だからスカル君は一人じゃないよ」
ダメだ、こんな年下にそんなこと言われたらマジで立ち直れない。
不甲斐ない自分があまりにも情けなさ過ぎて川に身を投げ出したい。
………ポルポが直ぐに駆け付けてくれそうだけど。
そんなこと考えていたら笹川さんの付けていた腕時計の3時を指す針が目に入る。
もうそんな時間か、そろそろ帰ろうかな。
「帰る」
「じゃあ手を繋いで…」
「一人で、帰れる」
これじゃ意地になってる子供のようじゃないか。
いや見た目は子供だけど。
ああ、やめて、その微笑ましいものを見るかのような純粋な眼で俺を見るのはやめろぉぉおおお。
その視線から逃げようとベンチを降りようとしたら、遠くから京子ちゃん!と誰かがこの少女の名前を呼んでいるのが聞こえた。
視線をそこへ向ければ、いつぞや会ったことがある気がする少年がこちらへと走って来てた。
はて、どこで会ったのやら。
茶色のツンツン頭に、洒落たヘッドフォン、いかにも中学生ですという風貌に過去の記憶が蘇る。
あ、コイツ10年くらい前のマフィアランドで会ったリボーンの隣にいた少年だ。
そう思い至ったと同時に少年が俺を視界に捉えたのか目を見開いて顔を青くする。
待て、お前何でそんな老けてないん?
あれ10年前ぞ?
「ス、スカル!?何でこんなところに!?」
少年は身体をわなわなと震わせ、まさに絶望といったような表情をしていた。
怯え方が尋常じゃないんですが、リボーンはこの少年に一体何を吹き込んだのか。
小一時間程問い詰めたいが、豆腐メンタルの俺にリボーンを問い詰める度胸はない。
笹川さんがキョトンとして俺と少年を見比べて、疑問を口にする。
「ツナ君、スカル君と知り合い?」
「え!?えっと、あの、その……いや、ソイツ……」
しどろもどろになる少年は、少女の問いに応えられず怯えたように、だけど睨みつけるかのように俺を見ている。
俺が何をしたというんだ。
でも確かに俺とこの少年の関係は、ただの擦れ違い…とは言い難い、のか?
昔遊園地で俺のポルポにフルボッコにされたから怯えてるのかな。
あれは悪いことをしたと思っているが、怯えすぎだろ。
「えええ、でも、何で、どうしよう……助けてリボーン…」
何やらぶつぶつと独り言を喋っている少年だが、最後の一言は見逃せない。
あの外道を呼び出そうものなら、お前を痛車のボンネットに括りつけて町中を走ってやる。
勿論法定速度を守りながら、だ。
取り合えずリボーン呼ばれても困るので、この場は離れた方が良さそうだ。
無言で二人から離れようとすると、少女に名前を呼ばれる。
「スカル君、ちゃんと家まで帰るんだよ?大丈夫?」
「一人で帰れるもん!」と内心反論して、これはない、と自己嫌悪に陥った。
おっさんが子供のように振る舞うことがどれほど辛いことか…、いや俺はしてないけど。
これじゃ某探偵漫画の、真実はいつも一つと宣う少年はさぞかし辛かっただろうに。
俺じゃ絶対にあれれ~?なんて出来ない。
ってそんなこと思ってないで帰ろう。
「あ、スカル君…寄り道しないで直ぐに帰るって約束、ね?」
小指を差し出す少女に首を傾げる。
俺がその意図を理解していないと気付いたのか、クスリと笑う少女と、それをあわあわと顔を青ざめながら見ている少年。
「指きりげんまんっていってね、約束ごとをするときに使うんだよ」
笑顔でそう言った少女に、漸くその小指の意味を理解する。
そういえばそんなもんあったな。
確か、指きりげんまん嘘ついたら…何だっけ。
取り合えず自分の小指と相手の小指を見比べて、漸く小指を差し出す。
それに満足げに分らう少女が小指を絡め、言葉を口にする。
「指きりげんまん 嘘ついたら 針千本呑ーます」
指切った、という言葉と共に離れる小指を見ながら、俺が思ったことを一言。
針千本呑ますとか…なにそれ怖い…
「気を付けて帰ってね」
少女の笑顔がめっちゃ怖くなって俺は早足でその場を去った。
「ただいま」
「主、帰られたか」
ホテルに帰ればポルポとフグ男がまた喧嘩をしていた。
そんなポルポの空いている足を枕替わりにして寝転べば、その足だけ動かさずに他の足でフグ男の相手をし出すポルポが俺に話しかけてくる。
「主はこの国が安全だと言っていたな」
「…ああ、ここは戦争自体憲法で放棄している国だからイタリアよりも安全だと思う」
この世界が第二次世界大戦があったことは先ほど図書館で確認したから確かだ。
「比較的、というだけで安全圏ではないようだ…そなたはあまり外に出られるな」
「…そうだな、もう外出は控えるよ」
またあんな少女と出くわすのも嫌だし。
小指を見て先ほどの、針千本呑ます、という言葉が脳裏を駆け巡り身震いする。
「何かあったか?」
「いや……なんでも」
どうせこの日本支部への移動も数か月しかないのだ。
イタリアに戻ればあの少女と会うこともないな。
あ、フグ男がポルポに吹き飛ばされた衝撃で箱に戻った。
箱がガタガタと揺れるのは多分フグ男が外に出たいと思ってるからだろうか。
また炎灯すのもだるいと思い、俺はそのままポルポの足を枕にして昼寝しようと目を閉じた。
沢田綱吉side
「ハル達は家事もしませんし」
「共同生活もボイコットします!」
ミルフィオーレ基地へ乗り込み、敵だと思っていた入江正一が味方だったことが分かった俺達は次の戦いへと準備を進めようとしていた時だった。
いつまで経っても最低限の現状だけ教えていたハルと京子ちゃんがボイコット宣言をしてきた。
京子ちゃんのお兄さんが説得しようとしたが敢え無く失敗して、彼女達は女性陣をボイコット派に付けて共同生活を拒否し始める。
俺は何でこんなタイミングで…って最初は頭を抱えたけど、彼女達の言い分も分かるから余計悩んだ。
いきなり未来に飛ばされて、事情も最低限しか教えてもらえず、ただ協力してくれって家事頼まれて……そりゃ我慢の限界ってものがあるかなって。
何よりも彼女たちにここまで行動に出すほど不安にさせてたのは俺達だ。
何も教えないよりも、理解を得る方がいいかもしれないって案も出たけれど、獄寺君達は教えない方がいいって言うし、正直俺も出来るなら教えたくない。
彼女達を巻き込みたくないし、怖い思いをさせたくない。
女性陣の考えを把握できるクロームやビアンキ、リボーンまでもがあちら側についてしまっている今、俺達に一体何ができるんだろう。
取り合えず俺達も彼女達には教えない方向へと決まり、彼女達が折れるのを待とうという話に落ち着いた。
まあそれからが苦難の相次ぎだったんだけど。
まず家事そのものが出来ない男たちで何ができるかって言われると何も出来ないわけで…料理も掃除も洗濯も、何も出来ずに疲労だけが溜まっていくばかりだった。
皆修行が上手くいかずストレスも溜まってるのに…こんなんじゃ白蘭に勝つどころか空腹で戦うことすら出来ない。
修行が滞ってる現状を打破したい気持ちと、大切な人を巻き込みたくない気持ちと、そんな今も彼女達を不安にさせている気持ちが
一体いつまでこんな状況が続くんだろう…って漠然とした不安に襲われるけど、ただ時間は過ぎてくばかりで虚しさだけが心に
そんなことばかり思い詰めてた時だった。
ビアンキが焦った様子で俺を呼び止め、京子ちゃんがアジトを抜け出したことを伝えられる。
俺は驚きながらもアジトを出て、京子ちゃんを探しに外へと出る。
何も教えてくれない、こんなところにいられない…か。
走りながら、ビアンキが教えてくれた京子ちゃんの思いに気持ちが沈む。
どうしよう、京子ちゃんに何かあったら俺のせいだ。
きちんと今の状況を話していれば、こんな状況にはならなかったんだ…
焦る気持ちと、彼女の安否と、それから…それから………
ぐちゃぐちゃになった気持ちに、何を伝えたいのかも、今俺が何を感じているのかも分からなくなる。
取り合えず京子ちゃんを見つけ出さなきゃって、俺は川岸を走っていた。
すると、見知った髪形が視界に入る。
ベンチに座っているその後ろ姿に、俺は思わず大声を張り上げた。
「京子ちゃん‼」
後ろ姿しか見えなかった女の子が後ろを振り向き、その顔が自分の思い描いていた人と同じであることに心の底から安堵した。
そしてその横にいる小さな体を見ては思考が停止した。
黒いヘルメット、黒いレーシングスーツ、小さな身体…それは確かにあの男の姿だった。
「ス、スカル!?何でこんなところに!?」
走っていた足が急に動かなくなり、まるで金縛りにあったかのように苦しくなる。
狂人……スカル……
あのリボーンがおちゃらけた雰囲気をかなぐり捨ててまで警戒した、カルカッサファミリーの超危険人物。
何でそんな男が日本に…いや、それよりも何で京子ちゃんの隣にいるんだ!?
今までの不安が嘘のように、恐怖に塗りつぶされる。
すぐさま周りを確認すれば、マフィアランドで連れてきていたタコの姿は見当たらなかった。
それでも安心出来る状況じゃない。
「ツナ君、スカル君と知り合い?」
「え!?えっと、あの、その……いや、ソイツ……」
京子ちゃんの言葉や態度からしてスカルに何されたとかそういうのはないって気付いた。
多分本当に偶然出会っただけなんだと、何故か確信めいたようにそう思った。
それでも一度は死ぬ気の俺をボッコボコにした相手に恐怖しないわけがなくて、今にも逃げ出しそうな足を京子ちゃんを想いながらその場に縛り付ける。
えええ、でも、何で、どうしよう……助けてリボーン…
リボーンに助けを求めるも、俺の心の声が届くわけもなく、絶体絶命にも等しい今の状況に絶望する。
直ぐに応援を呼ぶ?
ダメだ、絶対にバれる。
頭を抱える状況に、京子ちゃんの声が降ってくる。
「スカル君、ちゃんと家まで帰るんだよ?大丈夫?」
何も知らない京子ちゃんはスカルを本当の赤ちゃんだと思ってるのか、心配している素振りを見せる。
「あ、スカル君…寄り道しないで直ぐに帰るって約束、ね?」
京子ちゃん、そいつ極悪人…めっちゃ極悪人だからぁ!
裏世界で名を馳せるほどのことを平気でやってのける怖い奴だよ‼
どうか何事もなく帰ってくれますようにと思いながら眺めていれば、京子ちゃんは小指をスカルに差し出した。
日本の風習を知らないのか、スカルはそれに首を傾げる。
それに対して、京子ちゃんはクスリと笑う。
「指きりげんまんっていってね、約束ごとをするときに使うんだよ」
スカルは自分の小指を見て、京子ちゃんを見れば、小指を差し出した。
それはまるで友情の証であるかのように――――――
…………あれ?
「指きりげんまん 嘘ついたら 針千本呑ーます」
京子ちゃんの声が少し遠く聞こえた。
目の前の光景に胸の中で
「指きった」
上下に揺れた二つの小指が離れる、現実味を帯びない光景を、ただ俺は眺めていた。
何だろう……この、違和感……
「気を付けて帰ってね」
その声でハッと我に返り、京子ちゃんとスカルを見れば、スカルは既に早歩きで去っていった。
スカルの後ろ姿を眺めていると、京子ちゃんが俺の方に視線を向けずに口を開く。
「さっきお友達になったの」
おと…お友達!?
京子ちゃんとスカルが!?
一体何でそうなったの!?
「…さっき?」
「うん、一人で歩いてたらぶつかってね…なんだかその姿がとっても…悲し気だったから迷子かと思ったらただの散歩だったみたい」
そう呟いた京子ちゃんの横顔は寂しそうで、本当にスカルを心配しているのが分かる。
でも、あいつは、沢山人を殺した…極悪人で…………あれ?
俺はふと気付く。
先ほど俺の不安を塗り潰す様な莫大な恐怖が、跡形もなく消えていた。
不思議と恐怖はなく、でもそれがおかしいと思えない違和感に首を傾げる。
この10年でカルカッサファミリーってどうなったんだろう、あとでジャンニーニに聞いてみよう。
「そういえばツナ君もどこかに出かけるところなの?」
あ、そうだ、俺は京子ちゃんを探しに来たんだった。
それから京子ちゃんと少し喋っていると、俺がビアンキに騙されたことが分かり、脱力する。
京子ちゃんはもうボイコットせずに俺達を信じるって言ったけど、やっぱり事情を話した方がいいって思って、京子ちゃんに全てを話そうと思った。
全てを話すのには時間がかかり、既に夕陽が姿を現している。
今の状況、ミルフィオーレのこと、白蘭のこと、奴らがマフィアで、俺もボンゴレマフィアの十代目候補であること、今までの戦い……
夕陽の光の具合なのか、京子ちゃんの瞳が潤んでいたように見えたけど、京子ちゃんは黙って頷いていた。
その後、京子ちゃんの言葉で修行に関してヒントを貰った気がして、俺の中にあったどうしようもない虚しさが薄らいでいくのが分かった。
アジトへ戻れば、ハルにも同じ説明をして、それを皆に報告して、京子ちゃんのお兄さんに殴られて、山本がスクアーロに拉致紛いに連れていかれて、沢山のことがあった。
なによりも白蘭からコンタクトがあったことが今一番に考えなきゃいけないことだろう。
六日後のお昼の12時に並盛神社へ集合
チョイスの日が分かった俺達は皆緊張した面持ちで修行に励み始めた。
そんな中俺はふとスカルのことを思い出し、ジャンニーニにカルカッサファミリーについて聞いてみることにした。
「ジャンニーニ、いる?」
「ああ、ボンゴレ…どうかしましたか?」
作戦室にはジャンニーニだけがいて、リボーンもフゥ太もその場にはいなかった。
「チョイスとは関係ないんだけど、カルカッサファミリーについて少し聞きたいんだ」
「カルカッサ…ですか」
「うん、未来で彼らとボンゴレがどんな関係か気になって」
「確かにそうですね……ボンゴレはミルフィオーレとの対立に手一杯で、カルカッサとは一か月ほど前に不可侵を締結したハズです」
「不可侵…同盟ではないんだよね」
「ええ、あちらも、私達も…関わらぬよう不可侵を締結しました」
ジャンニーニの言葉で、何故スカルがこちらへ危害を加えなかったのかが漸く納得出来た。
ん?待てよ…
「ねぇ、アルコバレーノってラル以外皆死んだんじゃなかったの?」
「いえ、一人…死亡が確認されていない人物がいます」
「それって…もしかして」
「ボンゴレが思い浮かべた人物で間違いありません、スカルです」
やっぱり…っていうか思いっきり生きてたし。
でも何でノントリニテッセが充満している外に出れるんだろうか。
あ、もしかしてあのレーシングスーツって耐ノントリニテッセだったとか!?
「にしても何故カルカッサに関して?」
「いやぁ、こんな忙しい時期に第三勢力の参入とか嫌なこと考えちゃって…あはは……」
「カルカッサは非情ではありますが、今ここでボンゴレを攻撃することに何のメリットもありませんので大丈夫でしょう」
むしろ今この状況に乗じてミルフィオーレに仕掛けてくる気配すらありますよ、というジャンニーニの言葉に口元が引き攣る。
これ以上ややこしくならないでー!
でも何でスカルが日本にいるんだろう。
ジャンニーニの言葉の信憑性が高まり、俺は本格的に笑えなくなる。
このことリボーンに言った方がいいかな……
だけどあいつ、スカルのこと目の敵にしてる感じだったし、会った瞬間ドンパチしそうだ。
リボーンに教えるのはもう少し先でいいかもしれない。
でも何でだろう……
結ばれた小指と小指が上下に揺れるあの光景が 未だに頭から離れないんだ
スカル:着々と女性陣を網羅していく、色々フラグを立てているがそれを回収するのはまだまだ先だ
ポルポ:日本が安全だと聞いたけどめっちゃ武装してるやつが町中にいるのでスカルの周囲に目を配らせている、フグ男強化中
笹川京子:スカルの友達一号、スカルのことを両親がいなくて友達もいない孤児だと思っている
超直感:出番だと思ったけどそんなことなかった
あ、そういえばアニメ版の未来編だとアルコバレーノの試練ありましたね。
あれ必要ですか?
本当は書こうとしてたんですけど、時間軸勘違いしててボイコットの後だと思ってたんですよ。
ボイコットの前に試練があるの分かったの、今話書いた後だったのでアチャーってなったんですが、あれなくてもシナリオ上そのまま進めますよね。
あったらあったで伏線?入れることもできるので、書こうか悩みどころです。
時間軸的に少し戻りますが書けないこともないので、取り合えず要望があれば書こうかと思います。
活動報告にアンケート出しておきますね。
アンケートの回答は、感想欄には書かないで下さい。
活動報告の返信に回答お願いします。
※忙しすぎて本分内容を変更するのが遅くなりました。
設定の変更内容:(22話)フグ男はハリセンボンとフグの雑種
ただ名前にフグ男って付けちゃってるんで今後も表記はフグにします。