Fate/Imaginary Boundary【日本史fateホロウ】   作:たたこ

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夜① 人魚とはなれなかった、その末路

 作戦会議を終えたハルカとキャスターだが、ハルカが手持ちの宝石を整理している傍ら、キャスターは手持無沙汰にうとうとしていた。

 彼女に限って魔力不足はありえないはずだが、どことなく元気がないように見える。何か不調なのかと聞いても、彼女は勢いよく首を振った。

 ハルカは彼女を引きずって自分のベッドに投げた。

 

 そのまま黙ってキャスターが毛布を被るのを見てから、ハルカは机に向き直った。やはり、キャスターは変……落ち込んでいるように見える。彼女が落ち込むようなことなど、あっただろうか。

 ハルカを救うためにこの世界を作ったが、いたるところがポンコツだったことを気に病んでいるのだろうか。それとも……

 

「キャスター、何を落ち込んでいるのか知りませんが、それは暫くすれば治まるものですか。もし治まらないのであれば、私に話してみてはどうですか。力にはなります」

「……時間が経てば大丈夫なヤツです! ちょっと自己嫌悪というか、自分に呆れているだけなので」

 

 彼女がそういうのならば、ハルカは深く問い詰めるつもりはない。だが、またシグマと戦おうとしているこの時に、サーヴァントが不調であるのは困るのだ。

 

「ならばよいですが、あなたは私のサーヴァントです。肝心な時に使いものにならないのは困るので、いつでも話してください」

 

 ハルカはよりベッドににじり寄った。毛布を剥ぎ取りこそしないものの、真面目な、真剣な声音で語りかけた。

 

「あなたがいくら自己嫌悪しようと、呆れようと、あなたは私を助けるためのサーヴァントです。だから、最後まで付き合ってもらいますよ」

 

 キャスターから返事はなかったが、いやとは言わなかったため、承知したとの意味でハルカは解釈した。

 

 ベッドに隣接した壁の窓から空を見れば、やや日光がオレンジがかりはじめていた。

 この拠点を検分して満足した影景は、用事があるのかすでに立ち去っている。

 

 ――影景から聞いた話は、確かに収穫ではあった。

 だがシグマへの勝ち筋を見出すほどには至らなかった。

 

 春日聖杯戦争で、シグマ・アスガードは碓氷明によって虚数空間に放逐され、今ここに至っている。碓氷明はシグマを殺すことは不可能だと判断した。

 影景によれば碓氷明が勝利したのは相性によるところが多く、ハルカが真似るには適さない。

 

 しかしここが「現実」ではないことがハルカに利する。影景曰く、シグマの「偽・神霊憑依『終末の黄金華』」は現実世界ほど威力を発揮できない。

 

 シグマは北欧の「神の器」。降霊術セイドを極限まで高めた神を降ろすための巫女。神霊降霊の再現率向上のため、彼女は降ろす神霊を一柱のみに絞っている。

 グルウェイグ――フレイヤと同一視される、争いを呼んだ女神。

 

 だがしかし、ここは世界の狭間虚数空間、さらにその中の結界内。この世界においての法則の根底は、碓氷影景の設置した春日記録装置のビッグデータに加え、キャスターの記憶。それゆえに、日本の神霊ではない、遠い異郷の神は圧倒的に信仰が薄い。

 

 魔術基盤――魔術の各流派が世界に刻み付けた魔術理論。既に世界に定められたルールであり、人々の信仰がカタチとなったもの。人の意思、集合無意識、信仰心によって「世界に刻み付けられる」もの――が脆弱なのだ。

 有り体に言えば知名度が大幅に低下している状態のため、現実ほど強力に働かないのである。

 

 ――現実世界であれば、シグマは自分の魔力でこの世界の物理法則の敷物(テスクチャ)に一時的に穴を穿ち、星の内海へと接続(アクセス)して力の一端を借り受ける(現代は神代のエーテルはないため、あくまで一端の際現に留まる)。

 その上、燃費のいい魔術ではない――最終決戦でも大聖杯膝下で使用していた――ため、遥かに弱まっている。

 少なくとも、今は一時的な不死は獲得することはできない。そのため、戦って倒すなら今を持って他にない、と影景は断言した。

 

 となれば、ハルカは魅了対策をキャスターに一任し、持てる力でシグマを叩くことになる。

 

 だが降霊術なしのシグマが易い相手かいうと、そうとも言い切れない。特異な体質により北欧魔術のみならず陰陽道、カバラ、噂によっては黒魔術まで操るとされる。

 

「……ふぅ」

 

 ハルカは手持ちの宝石の確認を済ませると、それらを服の内ポケットなどに全て収めた。窓から差し込む日の高さから今の時刻を理解する。

 

 まだ夜まで少々時間がある。自分もしばし休息を取ろうと、彼は椅子にもたれかかって目を閉じた。

 

 

 

 *

 

 

 

 ――お前の身は既に走水()の一端となる。

 

 だが、その返済をお前の人生の終わりにしてもいい――お前が生きれば――もしかしたら、葦原は滅ぶのかもしれぬ。

 

 ここ日本にまします神は、天津神や国津神のように、まとまりとして分類できるものたちだけではない。

 精霊、外宇宙から降ってきたもの。神秘の減退著しい大陸から辺境の島国に逃れてきたもの。それらは天津・国津のように多くの名を歴史に残すことはなかったが、神代を離れて間もない時期には、そこかしこに存在していた。

 神代近き日本は神秘の受け皿、否掃き溜め。居場所を失った獣、神、精霊、鬼種の楽園。走水の神もその類。だからその神は、天津神々が主導していた東征に興味がなかった――もしくは、鬱陶しいと思っていたのか。

 

 彼は死後、その魂を一体化させるという契約のもと、海に身を投げた弟橘媛を、一時的に人のまま生きて地上に返したのだ。

 

 ――お前が生きれば、もしかしたら葦原は滅ぶのかもしれぬ。

 告げられたその言葉の根拠が、どこから出ているのか、当時の彼女にはわからなかった。走水の神も、本当にそう思っていただけではないかもしれない。

 神の考えることは理解しきれない――ただの、気まぐれだった可能性もある。

 

 だが。

 

 神の鞘。神の剣を救うもの。神の剣の身代りとなるもの。

 その役目を果たし、ここで消えるべきと理解しながら。

 海に身を投げる直前まで、ここで死ぬことを最善と思っておきながら――彼女は、海神から提示された言葉を受け入れてしまった。

 

 ――今死ぬのが役目だと知っていた。

 

 でも、もう少しだけ一緒に痛かった。もうすこしだけ、彼の旅にいたかった。

 

 まだ、幸せな未来を信じてみたかった。まだ、死にたくなかった。

 永遠はいらないけど、もう少しだけ、生きていたかった。

 

 だから彼女は、海神の言葉を受け入れ――使いの亀に運ばれ、生きて人の世へと戻った。

 

 

 日本武尊らと再会したのは、常陸の地においてだった。再開した彼女らは喜び、常陸を漫遊してから東征の帰路に共につくことになった。

 

 その旅のある日のことだった。弟橘媛は眠れず、ついふらりと小屋の外に出た。夜風は少々肌寒いと思っていたら、小屋のすぐそばに明かりがあった。

 日本武尊が、たき火をしていた。近づいて、隣に座ってよいかと尋ねると彼は頷いた。

 

 彼もまた、寝付けず手持無沙汰で何とはなしに外に出ていたようだった。

 

 その時――彼女は、喋ってしまった。走水での出来事を、己が何のために生まれ何をすべきものであったかを。

 気が抜けていた、といえばそれまでだ。東征の往路を終え、あとは帰るだけとなった皇子にとって、これ以上の危機はないと思ってしまった。

 

「私が生まれたのは、小碓様の東征を助ける為だったんです。小碓様が神の剣なら、それを護る神の鞘。いざとなったら自分が身代りになってでもあなたを守るのが、私が生まれた意味だったんですよ」

 

 言わなければよかったのだ。もし言わなければ、日本武尊は美夜受媛とも結婚し、弟橘媛は嫉妬もしながらも、それなりに平和に一生を終えられたかもしれなかった。

 

「――お前は、神命の為に死ぬつもりだったのか」

「え? そうですね。たまたま、走水の神の気まぐれで今あたかも生きているようになってますけど……小碓様も、神命にて大和を平和たらしめるために戦ってるんじゃないですか」

 

 今更、自明のことだった。ここまでずっと、大碓命の代わりに、大和を護ると決めていた。

 この恋の為に死ぬ、と言っていたのも今思えばこっぱずかしいのだが、本当にそれでいいと思っていたのだ。

 

「俺はどうだっていい。この国が平和かどうかなど」

「えっ?」

「そこまでして達成するほどの価値が、神命にあるのか?」

「……お前は、それでいいのか」

「それって、何がですか」

 

 何かがおかしい。長い付き合いだからわかるが、この空気では間違いなく、日本武尊が怒っている。

 しかし彼女には、何故彼が怒るのか、全く分からなかった。

 

「――お前が死ぬほどの価値が、神命にあるのか?」

「……えっと、私が死ぬほどの価値、というか……そもそも私はそのために存在しているので、その質問は何か違うといいますか」

 

 このままではまずい、と直感的に理解してはいたが、どう答えればいいのかわからない。彼女がもごもごとしているうちに、日本武尊はぽつりと言った。

 

「――ああ、そうか――まずは、俺が始めなければならないのか」

 

 その意味を彼女が理解するのは、少し後のことになる。

 

 

 

 日本武尊は、草薙剣を棄てた。

 

 それには彼女も、旅の部下たちも驚愕した。倭姫命を通じて高天原から与えられた加護を喪うことを、彼以外の全員が恐れていた。

 今まで肌身離さず持っていたのに、何故と誰もが問うた。問われた日本武尊は、失くしたと適当に応えていた。

 勿論弟橘媛、部下たちは懸命に剣を捜したが、結局見つからなかった。

 

 しかし剣を喪っても、日本武尊は最強であり続けた。剣を喪ったことによる防御力の低下は明らかだったが、彼は神剣がない時の戦い方もすぐ身に着けた。

 以前よりも身を守り、自分を意識的に護って戦うようになった。その姿を見て、部下のほとんどは安堵して主の強さをさらに信じるようになったが――弟橘媛は不安だった。

 美受夜媛のいる尾張に立ち寄っても、彼は結婚をさらに後に伸ばし、大して滞在もせずに大和へと向かった。

 

 苦戦はしたが伊吹の山の神も殺し、そのまま大和へと真っ直ぐに。

 

 そうして辿り着いた、桜吹雪く大和国。

 実質追い払われていたとはいえ、名目上は凱旋である。彼は一直線に父帝への面会を申し入れ――その場で、父帝を弑逆した。

 

 父帝だけでなく、警護の者たちも全て、宮中にいたもの全てを殺した。東征をやり遂げてしまった彼にとって、この殺戮劇は赤子の手を捻るようなものだったろう。

 

 神を殺し、獣を殺し、人を殺し、鬼を殺してきた彼にとって、大和の征服は一瞬だった。

 

 その後、倭武天皇と名乗った彼は、出雲を扼しにかかった。

 深謀遠慮があったのではない――ただ、天叢雲剣を失った彼は武器に不自由していた。彼の膂力では、生半可な武器では一瞬にして力負けしてひしゃげてしまう。

 故に彼は己の力に耐えうる武器を求め――出雲の製鉄を手に納めるべく向かった。武器は己で生み出すしかない。

 

 今彼が握る武器は神剣ではなく、かつてイズモタケルを倒した時に使用した、葛に覆われた剣。そ

 して出雲の鉄そのもの。あらゆる形状と性質を持ちうる可能性の(くろがね)

 

 唯一無二の神剣を喪った彼は、今度はいかなるモノになる金属を主武装として戦っていた。

 

 日本武尊――否、倭建天皇(やまとたけるのすめらみこと)による支配は、恐怖と血をもってなされた。逆らう者は皆殺した。

 しかし殺し続ければ、誰もいなくなる。その通り、大和にも、彼が従えていった国々にも――人の数そのものが、見る見るうちに減っていった。

 

 弟橘媛、否、大橘媛がやめてくれ、と言っても、彼は聞く耳を持たなかった。

 彼女は逃げる場所もなく、ただ無力なまま、天皇の妻、皇后として彼に付き従うしかなかった。

 彼の変貌の理由も、何もわからぬまま。

 

 しかし、流石に彼女も気づいた。日本武尊――倭武天皇は、支配をしたくて、天皇になりたくて弑逆したのではないと。

 支配をして富を得たいのであれば、人を殺し過ぎてはいけない。土地があっても耕す人間がいなければ、海があっても漁をする人間がいなければ、動物がいても家畜として育てる人間がいなければ、価値を失くす。

 

 それに、誰一人いなくなってしまえば――「天皇」という存在さえ、意味を失くす。

 

 

 

 涼やかな風に、小高い丘――星空が満点に輝く夜で、その美しさに目を奪われる、ことはもうない。眼下から燃え上がる炎によって、空も煙り霞んでいるのだ。

 

「天皇、あなたは――この国を滅ぼそうとしているのですか」

 

 もう倭武天皇は「神の剣」ではない。神の剣が成すべき使命とはかけ離れ、真逆の行いに身を染めている。

 震える声の皇后の問いに、天皇は遠く闇を見つめながら言った。

 

「結果としては滅ぶかもしれんな。神の剣、に天皇として統治をおこなう力など必要ない。神々はそんなもの与えなかったろう。俺は天皇(統治者)としては不適格だ」

「……ならば何故、そのようなことを」

「神の剣をやめるためだ」

 

 流浪の皇子。東征の皇子。

 仮にこうならなかったとしても、彼が、彼の望むような人生を送れたかどうかは怪しい。

 神の剣として生まれた呪い。前天皇もそれを承知で、彼を大和から放逐したのだから。

 

「……神々が憎いのですか」

「……憎くはある。だがもっと憎んでいるのは神命、運命を何の疑いもなく受け入れていることそのものだ」

「え――」

「……全ての人が、俺やお前のように「神命」を受けているのではないだろう。しかしそれでも、誰でも少なからず生まれた境遇に縛られるものだ。それをただただ受け入れるだけの生命は、生きるに価しない。己の運命に唾吐かぬ者は生きるには弱すぎる。天に唾吐かぬ者など生きる価値はない」

 

 ……彼の言っていることは、きっと間違ってはいないのだ。自分の思うままに生きたいという願いが、根底にある。

 誰もが思いえがく、憧れるような生き方。

 

 しかし誰もが思うがままにしたら、人の秩序は崩壊するだろう。

 

 彼にとって最大の罪は、人を殺すことでも人の者を盗むことでもない。ただ諦めて唯々諾々と生きる事だった。

 しかし、そのように生きられる者が一体どれほどいるか。

 

 

「俺は神の剣を辞めた。神命などという運命は、この程度のものだ。やればできるものだ」

 

 彼は震える彼女に向かって振り返った。

 

「だからこんな運命のために、お前が死ぬことはないのだ」

 

 そして、とうに遅きに失していたが――大橘媛はやっと気づいた。

 かつて旅の途上で放たれた日本武尊の言葉を。

 

 自分が、能天気に役目のことを話してしまったこと、走水の神の言葉を。

 

 全てはその時から始まっていた。日本武尊が怒っていたのは、のうのうと運命(神命)を受け入れていた大橘媛そのもの。

 そして自らが神命に叛くことによって、運命を捻じ曲げてみせた。

 

 たとえその結果が、国と己の破滅でも。

 

「……」

 

 あの時、走水で消えていれば。あの時、海の神と話をしなければ。

 しかし覆水盆に返らず、滅びは目前に迫っている。

 もう少しだけ共に過ごしたいと思った果てが、この結末か。

 

「……ごめんなさい……」

「何故、謝る」

「…………」

 

 自分は、大和を発つ時に何を誓ったのか。大碓命が愛した、豊かな大和を護る事。

 その使命に殉じること。大和の平和のために、日本武尊の使命の為に死ぬ。

 

 ――そうだ、すべては、自分が走水から生還してからおかしくなった。

 日本武尊が剣をなくしたと言ったのも、その直後だったではないか。走水の神は言った。「葦原は滅ぶのかもしれぬ」

 

 あと少しだけ、生きたいと願ってしまった。日本武尊のことが、好きだったから。

 何故こうなったのか、わからないけれど――走水で死ななかったことから、すべてがおかしくなってしまった。

 

 

 倭武天皇は、大和とその周辺の国々を配下に治める過程で、走水の神を殺していた。彼は単独で再びあの海に向かい――今度は神を切って捨てた。

 

 彼女はその理由を、あの大嵐の復讐だと思っている。ただ事実として、その神の死を以て、大橘媛の魂は死後の拘束から解き放たれた。

 彼女は死後神霊の末端となるのではなく、ただ人として死ぬことになった。

 

 

 

 

 ――空は赤く燃えていた。

 

 地平線の彼方へ半分以上その身を落とした太陽は、名残惜しむように、嘆くように、世界を一色に染め上げていた。ここにはもう人の気配どころか、生命の気配もない。

 巣へ戻ろうと列なす雀も、暮れの烏も、鳴く虫も、大気を動かす風もない。

 紅の世界に、黒い剣を佩いた男が立っていた。

 

「……大和はもうなくなった。あとは、お前の好きにしろ」

 

 倭武天皇一体何を言っているのか、彼女にはわからなかった。大和が焼け野原になって、誰一人いなくて、いったい自分にどこに行って何をしろというのか。

 

 彼女はそのまま坐りこみ、動かない。「したいことなんか、ないです」

 

 大和を護るという役目の真逆のことを果たされ、大橘媛のすべきこともまた、なくなった。

 幼き頃から誓っていた役目も、馴染みの大和も消失してしまった今、彼女を動かすものは何もなかった。

 

 時が、すべてが停滞していた。

 そして、二度と動き出すことのないことを、彼女は理解した。

 

「――」

 

 自分はなんと言ったか、もう弟橘媛は覚えていない。気づいたときには、彼女の白く細い首に、倭武天皇の太い指がかかっていた。

 彼にすれば、両手の必要すらなく――左手だけで彼女を絞め殺すことは容易い。

 

 彼女は抗わなかった。力では絶対に敵わない事は、彼女が一番よく知っている。

 誰も何もいなくなってしまったこの世界で、自分一人だけが残されても生きていけないことも明白だった。

 

 反射的に喘ぐように空気を求めたが、存外苦しみもなく先に意識が途絶えて、それきり。

 

 ――一体私は、この人の何なんだろう。何でこの人は、この道を選んだんだろう。

 神の剣を辞めてから、父帝を弑逆してから、彼は少しも笑いはしない。

 

 元々表情に乏しい方ではあったが、それがなお酷くなった。

 

 ……まだ、東征が始まったばかりのころ、倭武天皇――いや、日本武尊は父帝を尊敬し、人に憧れ、大和に帰りたがっていた。

 

 彼がまだ神命なんてまだ深くも考えていなかったころ。その彼の純粋で尊き思いは、いつどこで変わってしまったのか、わからない。

 

 ――もし、二度目の生があるのなら。今度は、誰かを救って死にたい。

 


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