Fate/Imaginary Boundary【日本史fateホロウ】   作:たたこ

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4日目 隔離虚数境界都市・春日
昼① カワイイは作れる!


 うっすら眼を開くと、室内の電気はついていないものの、開いたカーテンから日光が差し込んでいて薄明るい。

 ベッドの上におとなしく寝転がる明の脇に、流石に見慣れてきたシニョンの金髪が座って添っていた。

 ――そうだ、昨日怪我を負って帰ってきたから、そのあとはさっさと寝て安静にしていろとセイバーズにベッドに押し込まれたのだった。

 

「……ごめんね、アルトリア」

 

 明自身、聞かせる気があったかどうかすら怪しい音量の声だったが、騎士王は耳敏く聞き取った。

 

「気にしないでください。男装はまた教える機会もあるでしょう。あとで一成に連絡をしてみます」

「……でも、アルトリアも行ってきてよかったのに」

「せっかくサーヴァントが二人いるのです。にもかかわらず二人とも負傷したマスターを放置しておくのはどうかと思います」

 

 放置されたからといって殺しにくる輩がいるわけでもあるまい、と明は思ったが、アルトリアは昨夜見知らぬマスターとサーヴァントに遭遇していたらしい。彼女曰く力量的に負ける気はしないそうだが、気を払っているのだろう。明はスローな動きで上半身をベッドから起こした。

 

「朝ごはんが食堂にありますが、持ってきましょうか」

「うん。あるなら食べるよ」

 

 アルトリアが機敏に部屋を出ていき、扉が閉まるのを見送ってから明はため息をついた。謝ったのは、きっと男装講義をすっぽかさせてしまったことに対してだけではない。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 なんでも、エアコンは高温の室内を冷やすのに最も電気代がかかり、冷えた室内温度をキープするのは電気代がそうかからないらしい。そのため、冷えたら消して暑くなったらまた点けを繰り返すよりずっと点けっぱなしの方が電気代は安く上がるらしい。

 

 一成はその話に従い、家では学校など長時間留守にするとき以外は冷房をつけたままにしている。夜もつけたままである。

 ゆえに外はいかに地獄猛暑であろうとも、彼は涼しい気温の中で起床した。時刻は八時を回っており、差し込む日差しは眩しい。

 

 

「……朝か」

 

 昨夜理子とともに春日の偵察をしていた一成だったが、結果として何もなかった。春日総合病院、美玖川を回り、最期には春日港まで見てみたがなにも異変は感じられなかったのだ。

 強いて言えば美玖川の向こう側――橋を渡った先はもう春日市ではないが――が、やたら暗く感じたくらいか。あちらの市も春日ほどではないが、春日に新幹線が止まるようになってから栄えているはずなのだ。時間が深更だったからそのせいか。

 とにかく、異変は感じられなかったため昨日は解散となった。もちろん今日も夜は見回りをするつもりである。

 

 一成は目をこすりつつ、ユニットバスの洗面所に向かい顔を洗った。冷凍しておいた白米をレンジで温め、ケトルでお湯をわかしてインスタントの味噌汁を作り、賞味期限が切れそうな卵を目玉焼きにして白米の上に乗せた。

 半熟にした目玉焼きを割り、塩コショウ醤油でかきこむ。実家にいたころには考えられないほどにジャンクな食べ物だが、非常においしい。ジャンクをなめてはいけない。

 

 適当に制服を身に着けると、財布だけ入れた鞄を持ち家を出た。前回遅刻した分早めに行っておいてもいいだろうと思ったが、食器を洗っていたために結果時間通りくらいの到着になりそうだった。

 

(そういや、あいつ、アルトリアさんもちゃんと来れんのか)

 

 三日前ヤマトタケルに「女装を教えてくれ」と頼んだはいいものの、迎えに行かなくても大丈夫だろうか。学校の場所は知っているだろうし、ついでにアルトリアも一緒のはずで地主の碓氷のつてで不審者扱いはされないとは思うが、不安は残る。

 

(いや二人とも古代人とはいえ子供じゃねーんだし)

 

 一成はどうにでもなるだろ、と投げやりに考えながら、今日も三十五度越えを予感させる日差しに抵抗しつつ学校へ向かった。

 

 部活に励むサッカー部員や陸上部員を見ながら、早く文化祭準備をやりたい気持ちよりも涼しいところに行きたい一心で一成は急いで下駄箱に駆け込み、せっせと階段を上った。

 にも拘わらず二階の3-B教室へ急ぎ、扉に手を掛けたその時、彼はその手を止めてしまった。

 

「カワイイは作れるッ!!!」

「「カワイイは作れるッ!!!」」

「キレイは生めるッ!!」

「「キレイは生めるッ!!!」」

「生きろ、そなたは美しい!!」

「「生きろ、そなたは美しいッ!!」」

「よし、意気込みは様になってきたな」

 

 いや、かわいいは作れるじゃねーよ。そしてお前ら、こんな不審者によく従うな!?

 などとツッコミは尽きないのだが、この光景を見た瞬間に一成は帰りたくなった。

 しかし当然帰るわけにもいかず、そのうえ入ることをためらっているうちに向こうがこちらに気づいてしまった。

 教壇に立ち、一成の同級生を二列に並べていた男がつかつかと近づいてきて、勢いよく扉を開いたのだ。

 

「何をしている土御門。もっと時間に余裕を持って到着すべきだろう」

「……お、おう」

 

 全くの正論に、一成はグウの音も出ず頷いた。そう言った当人――ヤマトタケルは最強TシャツにGパンというラフな格好だった。一成は逃れようもなく教室の中に入り、小声で彼にに尋ねた。

 

「……何やってんだお前」

「何を言う。お前がクラスメイトたちに女装の真髄を教えてくれと言ったのではないか」

 

 ヤマトタケルの眼が余りにもマジだったためツッコミそこねてしまったのだが、そこへ遅まきながら、最後のクラスメイトが姿を見せた。

 

「ワリー遅刻……って、どちら様?」

 

 我らが文化祭実行委員長、桜田ジャスティスこと桜田正義が汗をかきながら現れた。しかし呑み込みと適応力の高い彼は、その不審者もといヤマトタケルの隣にいる一成の姿を見て三日前の出来事を思い出していた。

 

「……あ! 大和さん?」

「いかにも」

「ど、どうも。言いわすれましたけど、俺、文化祭リーダーやってます」

 

 二人は握手を交わすと、ヤマトタケルは再び教壇へ、桜田と一成は鞄を教室の後ろ隅へおいて並んでいるクラスメイトの隣にそろそろと立った。桜田は小声で一成に尋ねた。

 

「……で、今なにやってんの?」

「俺が聞きてえ」

 

 ツッコミたい気持ちは山々だが、教えを乞うたのは一成自身であり、ヤマトタケルもやる気に満ち溢れている。ここはじっと様子をみておこう。

 

 教壇のヤマトタケルは腰に両手をあて、女装メンバー十人の顔を順繰りに眺めた。そして教壇の脇には置いてある長期海外旅行用とおぼしき巨大なスーツケース二個を叩き、不敵な笑顔を浮かべた。

 

「じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったり出来なくしてやる! さっさと立て!」

 

 いや、もうみんな立ってるっつーの。

 

 

 

 巨大スーツケースの中身は、一つ目にメイク道具とウィッグが詰め込まれており、二つ目には女物の服が詰め込まれていた。一成はてっきりヤマトタケルの私物かと思ったが、どうやらこの三日間でレンタルして用意してきたらしい。一成から見れば、仮装が好きなら多少は自分で買った方が安上がりではと思うのだが、モノを増やすのが好きではないのか、ヤマトタケルが持っている仮装道具は案外少ないようだ。

 

「お前たちが綺麗にすね毛や腕の気を剃っていることは評価しよう。それにネットでかなり調べていることも認めよう。しかし足りていないものは圧倒的に技術――女装の為のメイクと服装の選定センスだ。正直、これらは一朝一夕で身に着くものではない。練習を重ねていく必要があるが、俺はそこを補うために呼ばれているのだと解釈している。その点は俺に任せてもらうが――恐れるな。お前たちは既に女装にあたり、強い武器を持っている。それは男であることだ。男であるが故に、お前たちは女の魅力的な仕草や姿を知っている――ゆえに、女装は女以上に理想の女足り得るのだ!! このことを心に刻んでおけ……リーダー桜田ァ! 手始めに貴様を女にしてやる!」

「……」

 

 教室は謎の熱気に包まれていた。というか一成は、これほどにノリノリのヤマトタケルを聖杯戦争中にも見たことがない。これが仕事(戦闘)趣味(仮装)の熱意の差なのだろうか。

 桜田はなぜか右手と右足を同時に出すほどの緊張を伴いながら、ヤマトタケルの隣へと至った。彼を教室の椅子に座らせ、モデルケースとして美少女に替えてみせる目論見らしい。

 

「大前提として知っておいてほしいのは、男と女では体が違うと言うことだ。まとめてしまうと男は四角く、女は丸い。極論すれば男の角ばった部分を隠していけば、それだけで女に近付いてくる。お前たちは女子から化粧のやり方を聞いたらしいが、女装のための化粧と女のための化粧は違う。男は女に比べ顔の掘りが深い傾向になるから、洗顔後にファンデーションとコンシーラーで顔の凹凸を無くす。顔の赤みもこの時点で消していく。ちなみにカラーコンタクトレンズがあれば瞳孔を大きく見せるために入れておくといいが、無理には勧めない」

 

 ヤマトタケルは異様に良い手際で、ピンで桜田の前髪を上げて眉毛を切ってから、ファンデーションを塗っていった上で眉毛を書き、アイラインを引きつけまつげとアイシャドウまで施し、軽くチークをつけて薄いピンクのグロス口紅を引いた。

 

「濃い色の口紅はなぜか男らしく見えるから、淡い色の方がいい。さて次はウィッグだが、できるだけ長髪で顔のラインを隠せるものを勧める。男の輪郭を隠してしまうのだ」

 

 スーツケースから取り出した長髪のウィッグを桜田に被せて毛先を整える。

 

「ちなみに服装だが、初心者の場合長袖の方が望ましい。これも顔の輪郭と同様、ラインを隠すためだ。だが今の季節に長袖が酷だというなら、おしゃれなアームカバーもいいだろう。または頭で髪を結ぶなど女性らしい形にして、そちらに視線を集めてしまうことも有効だ。ちなみに運動をしていると男の脚もすらりとしていることが多いから、進んでミニスカートやショートパンツを履くのも一案だ」

 

 ちなみに桜田は引退したが、二年まではサッカー部に所属していた身である。勿論筋肉がついた足をしているが、同時に細い。元々用意していた服はミニスカだったので、それにニーハイソックスを合わせて着る。

 

「とりあえずこのくらいだ。あとは爪の手入れや仕草にも気を使えば敵はない。お前は幸いにも背も百七十少しと高過ぎないし、比較的細身だからなお良い……鏡を見てみろ」

 

 正直、これまでなんだこのテンションと思っていた一成も感嘆の声を上げてしまった。すらりと伸びた手足に細い腰、ウィッグで丸みを帯びた輪郭にぱっちりした目元――これは美少女である。

 

「……桜田正子ちゃん!?」

「……やべえ、これなら余裕で付き合える」

 

 美少女の爆誕にざわめく一同。桜田がもともとムキムキの身体つきではないこともあるが、劇的ビフォーアフターといって差し付かえない。みながじろじろと彼を眺める中、ヤマトタケルは教師のように言う。

 

「さて、見本はこんなところか。これから各々女装をしてもらうが、その前に一つ。お前たち、女装の際に下着はどうしているか」

 

 一応健全な高校生の文化祭だ。男のパンチラなど需要もなく風紀的にも全くよろしくない。踊りはするが、楽しく愉快な女装男装ダンスである。桜田が苦笑いで首を振った。

 

「……流石にそこまでは「甘ァい!! これを見ろ!」

 

 怒声にも近い大声と共に、ヤマトタケルのポケットから飛び出したものは――なんと、薄桃色にかわいらしいレースのあしらわれた、女性用のパンティだった。流石に皆度肝を抜かれたのだが、一成は同時に既視感を覚えていた。

 

 あのパンツは、どこかで見たことがあるような。そう碓氷邸で洗濯され、干される前に山積みになっていた……。

 

「これは俺がうす「おい待て――!!」

 

 一成は慌てて前に飛び出し、ヤマトタケルの身体に跳びついて無理にクラスメイトたちに背中を向けさせた。二人してクラスメイトに背中を向け、ひそひそと話す形になる。

 

「おまっ、それは何だ!?」

「? 明のパンツだ。今は俺の物だが」

 

 まさかの予想が当たってしまい、一成は眩暈を感じた。「……ッ、勝手に持ってきたのか!?」

「見くびるな。これは正式な手順で手に入れた明のぱんつだ」

 

 パンツを手に入れる正式な手順とは……ぜひご教示いただきたい。というかパンツを上げる間柄とは一体、まさかとの想像が一成の脳裏をよぎる。

 

「おまえ、まさか、碓氷と恋人だったりするのか……? ぱんつをもらえるって、そういう……」

「は? 何故ぱんつをもらうこと即ち恋人関係ということになるのだ。……まさか、俺の知らない現代新ルールか?」

 

 その答えからどうやら二人がデキていることはなさそうだが、結局ぱんつ入手の経緯は藪の中である。一成は気になって仕方がないのだが、クラスメイトの手前あまり長々と内緒話するわけにもいかない。

 

「……わかった、お前が碓氷の同意を得てそれを手に入れたことは認める。だけど、それを他の人の前にチラつかせるのは絶対によくない! あとで碓氷に怒られるぞ! 絶対!」

 

 正直、パンツの穿き主がわかっていて美少女であれば自分もこっそり持ち帰りかねないと思いつつ、一成は良識に従いヤマトタケルを止めた。一成的にはヤマタケがいくら明から怒られようとどうでもいいのだが、この事態をノンキに明に話して同じ場所に一成もいたことがバレたら、確実に白い眼で見られる。

 

「……何故怒られるのかがいまひとつわからないが、お前がそういう時は大体本当に怒られるからな……」

 

 一応、共に聖杯戦争を駆け抜けてきただけあって、一成はぞんざいに扱われはしても一定の信頼を得ている。渋々だがヤマトタケルは頷いて、クラスメイトたちに振り返った。

 

「これは俺が買った自前のぱんつだ! 女装の際には、例え見えない部分でも女になれ。……参考までに、下着も女ものをおすすめしておく!」

 やはり渋々ぱんつをポケットにしまって、何事もなかったかのように辺りを見回した。おそらくもっと話したいことはあったのだろうが、ぱんつにうかつに触れるのは良くないと思ったのだろう、何も話さずに終わった。クラスメイトからすれば謎のぱんつの回覧である。

 

「お前たちも道具は持っているだろう。俺が見ているから、それぞれ女装を開始しろ。気になるところがあったら個別に指導する。桜田は他のメンバーを手伝ってやれ」

「「……ハイッ!!」」

 

 謎のテンションで、女装メンバーは各々自分の鞄から女装道具を取り出し、まずは洗顔と廊下へ飛び出していった。ちなみにヤマトタケルはやたらと道具を持ってきているので、持ってきていない者に貸してやるつもりらしい。なんて(こういう時は)準備の良い奴だろうか。

 

 ばたばたと洗顔を終えて戻ってきた野郎どもは、それぞれファンデーションを塗り始めようとしたが、その前にヤマトタケルが一言付け加えた。

 

「本来はファンデーションの前に化粧水や乳液で肌を整えておくべきことを憶えておけ。きっと眉とアイシャドウのあたりで一番困るだろうから、すぐに声を掛けろ……ところで土御門、お前は何故女装しない」

 

 クラスメイトが一心不乱に持参の鏡とファンデーションで顔面を塗りたくっている中、一成一人がそれに参加していない。実は一成はこのメンバーの中にいながら、女装はしない。ただし仮装はする。

 

「……俺は陰陽師だからな。陰陽師の仮装をする」

「……? 明は魔術とは秘匿するものと言っていた。いかにお前がヘボ陰陽師であっても、そのルールくらいは知っているものと思っていたが」

「誰がヘボ陰陽師だ!」

 

 未熟であることは重々承知だが、ヤマトタケルに言われると腹が立つ。「あとそのルールだけど、陰陽道は碓氷のヤツよりはそこんとこが緩いんだよ」

 

 魔術師は「根源」へ至る手段として「神秘」を学ぶが、その「魔術師の学ぶ神秘」を言い換えると、「魔術」と呼ばれるものになる。

 魔術とは神秘であり、神秘とはそもそも(根源から発する)事象の太い流れのことを意味する。それは一般にしられれば知られるほど細い流れになっていき、根源から遠ざかっていく。それを、魔術師は最も忌避する――ゆえに、魔術(神秘)は秘匿されなければならないのだ。

 

 しかし上記の話と矛盾するようだが、魔術とは「世界に刻み付けられた」大魔術式を用いたシステムであり、魔術として機能するためには知名度が必要になる。

 なぜなら「世界に刻み付ける」ための力とは、人の意思、集合無意識、信仰心・知名度のことだからだ。人々に魔術(神秘)がある、と思われることによって世界が魔術式の存在を許容するのである。

 ここでいう「ある」と思われることは、確信でなくて構わない。幽霊など大体の人間は信じていないだろうが、完全に否定されることもないために「もしかしたら」いるかもしれないと思う人間は多いだろう。その程度の疑念も知名度に含まれるのだ。

 魔術師と一般人の大きな違いは双方とも「魔術」の存在を知っているが、それはどういう仕組みで機能するか、どういう目的で存在するものかを魔術師の方が知っているということにつきる。

 

 長々と語ってしまったが、有り体に言えば「浅い部分なら知られても問題ない」わけであり、かつ陰陽道(神道)は日本の習俗と習慣に深く根を下ろしているがために、明がもっぱらにする西洋魔術よりも秘匿には寛容なのである。

 

 事実、クラスメイトは一成が陰陽師家系の一人息子で安倍晴明の末裔だと知っている。しかし彼らは一成が本当に一般で言う魔法のようなものが使えるとは知らない。入学当初、好奇の反応は飽きるほどにされて符を見せてほしいとか、印を結んでみてほしいと頼まれたこともある(魔術回路をオフにしたまま行えば魔術が発動することはないため、やったことは何度もある)。

 

「俺は女装しない代わりに陰陽師の恰好をして客引きすんだよ。女装男装喫茶のコンセプトからははずれるけど目立っていいだろってことで」

 

 用意してある衣装は聖杯戦争時の神主装束ではなく、実家から送ってもらった烏帽子付の狩衣である。埋火高校において生粋の陰陽師の家系など、一成くらいなものだろう。本当に最近、榊原理子が神道魔術の家系であることを知ったけれど。

 同様に理子も男装ではなく巫女衣装で文化祭に出ないかとクラスメイトに持ちかけられていたが、彼女は神事を扱う本当の神職志望であることもあり、拒否していた。

 

 ヤマトタケルはそうか、と頷いて何か思いついたように言った。

 

「アーチャーと「ぺあるっく」か」

「あいつもう普段着は衣冠束帯じゃあねえからな!?」

 

 想像しても全く面白くないので、一成は全力で否定した。

 

 するとその時、化粧のことでヤマトタケルを呼ぶ声がかかった。一成も一成で、後に控えるダンスパフォーマンスは行わなければならない。

 狩衣は一人で着れるものではないため着替えを手伝わせるべく、美少女化した桜田に声をかけた。

 


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