とある提督の追憶   作:Red October

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…ここまでのあらすじ…

タウイタウイに「提督」として送られた、新人自衛官ならぬ護衛官、堺修一は、大本営から「ハ号作戦」(南西諸島平定作戦)への参加を命じられる。カムラン方面をブルネイ提督に任せ、彼はバシー方面の深海棲艦の掃討に成功した。


015 提督と、はじめての大型艦建造

トゥルルルルル…トゥルルルルル…

 

カチャッ

 

「はい、こちらパラオ泊地司令部です…ああ、総参謀長閣下。ハ号作戦は今のところ順調に進んでおります。先ほど、ブルネイの提督から、カムラン半島周辺の制海・制空権を確保したとの連絡を受けました」

 

 ここは、青き海のただなかに浮かぶ、パラオ共和国。そこに設けられた、対深海棲艦の拠点・パラオ泊地の艦隊司令部にて、パラオの提督が、本土大本営と電話で連絡を取り合っていた。

 

「タウイタウイの提督も、バシー方面の敵の掃討に成功したそうです。あの若造、なかなかやりますね…お前も若造だろって?よしてください、私はもう40代に片足突っ込んでるんですから。ええ、というわけで、ハ号作戦第一段階は成功です。第二段階に移ります。…はい。では、頑張ります。はい。失礼します」

 

ガチャリ(電話を切る音)

 

「…さて、ジジイとガキはやることやってのけたんだ、俺もやるぞ」

 

 電話を切った後、そうつぶやいて、パラオの提督は、オリョール海平定の任にあたる艦隊の編成を、秘書艦と共に考えはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …その頃、タウイタウイ艦隊司令部。

 

「…大型艦建造?」

 

 堺が尋ねた。

 暑い日の続く赤道地帯、相も変わらず堺の服装はタンクトップ1枚に、膝までめくった軍服の長ズボンという格好である。

 

「はい、工厰の妖精がそう伝えてきました」

 

 堺に報告しているのは大淀。少し汗をかいているが、まだまだ平気そうだ。

 

「ふむ…普通の建造と、何が違うんだ?」

「はい、まず建造できる艦が、普通の建造とは異なります。まず、大型艦建造では、名前の通り大型艦の建造が目的ですので、駆逐艦の建造はできません。また、軽巡洋艦も、普通の建造では手に入らない、新しい艦型のものが建造できます。重巡・戦艦・空母については、大きな変化はあまりありません」

「なるほど、建造できる艦が違うんだね」

「はい。それと、大型艦建造でしか建造できない艦も存在します。そうした艦は、建造に成功し着任した暁には、艦隊に大きな貢献をもたらすでしょう」

「ほう、強力ってわけか。そりゃ是非とも欲しいねぇ」

 

 そんなものが手に入れば、艦隊は一段と強化されることは間違いない。

 

「ただ…」

「ただ?」

「かなりの量の資源を持っていかれるので、良識の範囲内でお願いします」

「かなりの量、というのは?」

 

「1,000以上です」

 

「ッ!?」

 

 堺は一瞬、気が遠くなった。

 なんだこの量は。一体何度遠征を回せば、これだけの資源を集められるのか。

 

「わかった、1度だけ試してみよう」

「やりすぎにはくれぐれも注意して下さいね」

「ああ。艦隊が運用できなくなりました、なんて事態は、御免こうむりたいしな」

 

 堺は、戦艦改め、航空戦艦・伊勢を伴って、工厰へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 

「えーと…どこだ?」

 

 工厰まで来たはいいものの、大型艦建造エリアがわからない。

 

「これじゃない?」

 

 そう言って伊勢が指さしたのは、2つ並んだ観音開きの鉄扉(通常建造・解体エリア)と、白いカーテンで区切られた場所(開発・廃棄エリア)の間にできた、細い通路だった。

 

「ほんとだ、前はこんなところに通路はなかったぞ…」

 

 伊勢を連れ、細い通路を歩いて行くと。

 

 

 

 出たところは、通常建造ドックの裏側だった。そこにも、建造ドックが設けられている…が、通常建造ドックと違い、赤いカーテンや緞帳がかかっており、まるで舞台のような感じになっていた。

 資源投入パネルが設置され、壁には資源管理タブレットがかかっている。内開きの鉄扉の上には、タイマーがあった。だいたい通常建造ドックと同じ構造である。

 

 堺は、パネルに近づき、数字を見た…途端に卒倒しそうになった。

 

『最低投入量 燃料1500 弾薬1500 鉄鋼2000 ボーキ1000』

 

「な…なんだ、これは…」

「提督、しっかりしてよ」

 

 伊勢に背中を叩かれ、我に返る。

 

「そ、そうだな。い、1回だけ…」

 

 光る「建造開始!」の部分をタップした途端、ドサドサドサ!と大きな音がして、ドック内に資源が投入される。

 そして、かさっ という軽い音が最後に響いた。開発資材が落ちた音だ。

 内開きの鉄扉が、バタン!と大きな音をたてて、閉まる。ここまでは、通常建造と同じ流れだ。

 そして、ガチャリと鍵がかかる。と同時に、タイマーがカウントダウンを始めた。

 

『04:19:58』

 

「…なんだか、通常建造をスケールアップしただけみたいだな」

 

 堺が口にした感想は、それだった。

 

 

 

カウントが終わった後、着任してきたのは…

 

「扶桑型戦艦姉妹、妹のほう、山城です。あの…扶桑姉さま、見ませんでした?」

 

 重度のシスコンと有名な、不幸型…ならぬ、扶桑型戦艦「山城」だった。




投稿遅くなりましたぁっ!


皆様、イベントの進行具合は如何でしょうか?
まだまだ…という方も、掘ってるぜ!という方も、残り1週間、頑張ってくださいませ!

…ちなみにうp主は、E4のギミック外そうと躍起になってます…。ソ級潜水艦とPT小鬼群なんて大っ嫌いだ!バーカ!畜生めぇぇぇぇ!


それでは、次回もまた、よろしくお願いいたします!

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