(遅くなって申し訳ありませんでした!)
あとお気に入りが1000突破しました。
ありがとうございます!
通路から現れた時崎。
明らかにこちらに対して戦う覚悟のある雰囲気を纏っており、
こちらの事をじっと見つめてこちらの様子をうかがっていた。
そして尾白はどこから攻めようかと思考を凝らしていたとき何かを感じ取ったのか、背筋に寒気を感じとっさに避けると、何か堅いものが肩を擦った感じがした。
恐らく時崎の個性である超能力だろう。
見えない攻撃を避けれたのは武術で鍛えてきた勘により
時崎の放った攻撃をもらってはいなかった。
だが時崎の超能力の範囲がわからない以上、近距離での戦闘しかできない尾白は下手に距離を取ると危険と判断したのか尾白は体勢を低くして時崎に急接近し、時崎の懐に入り一撃を与えようとする。
尾白の攻撃に時崎が気がついたときはすでに拳が懐に向かって接近しており実質相手からしたら防御不可能な状態だった。
(勝った!)
これが実戦であれば、このまま入って懐に一撃を食らわせれば確実に大ダメージを与えられることとなる。
だがこれは訓練なので攻撃が当たりそうな所で止める
・・・はずだった。
「ほぅ、素早いな。」
目の前にいたはずの時崎はいつの間にか尾白の真横に立って笑っており、尾白が時崎に放った攻撃は当たることもなく虚空に向かって放っていた。
つまり自分はいま隙だらけの状態となってしまったのだ。
これでは先ほどの時崎とは立場が逆転してしまった。
時崎がいつの間に動いたのかわからない。
だが自分の体感した時間が正しければ数秒もたっていない。
いや、それよりも短いのかもしれない。
だが、確実に言えるのはいま自分が攻撃されたら反撃も防御もできない状態だということだ。
しかし、時崎はこちらを顔を向けて口をニヤリと笑っているだけでこちらに何もしてこなかった。
そしてそのまま尾白は勢いに乗りつつ時崎から離れて、再び構えをとる。
時崎はこちらに視線を向け、その視線に身震いした尾白は無意識にか後ろへと後ずさりした。
そして、尾白は動悸の激しい心臓を抑えながらいま可能な限りの時崎の情報を思い出して
(一度体勢を立て直すために退くか?
いや、恐らく時崎君は僕をここから逃がすつもりはないはずだろう。
・・・なら、相手の死角を突けば!)
尾白は再び時崎に向かって一気に距離を詰めて先程と全く同じように拳を懐に向かって攻撃する。
そして拳が後少しで届くところで再び目の前から時崎の姿は消えていた。
だが、これこそが尾白の考えた作戦。
ただし同じ攻撃をして相手も先程と同じように避けるかが条件だったが時崎は先程と同じように尾白真横に立っていた。
いま時崎の意識がこちらの拳に集中しているいま、背中に対してはがら空き、そこで自分の長い尻尾を使い時崎の背中に向かって一撃を放った。
今度こそ当たる!
そう確信した。
だが、尾白が尻尾を当てようとした瞬間にはまた時崎の姿はどこにもなかった。
「どっ、どこに!?」
慌てて回りを見るとに時崎は尾白の背後に回っており、余裕の表情を浮かべていた。
「そんな!?
いつのまに!?」
今度こそ当たると思った。
しかし、それでも時崎に当たることはなかった。
確かに隙を見つけて背後に攻撃を与えようとしたがそこにはいなかった。
催眠術や超スピードとかそんなものではなかった。
まるでそこには初めからいなかったかのように一瞬で居なくなりそして回り込まれているのだから。
それを2回も。
尾白は訳がわからなくなり混乱しそうになるが意識を保ち今はこの訓練に集中しょうと気張った。
「では、次はこちらの番だな。
無駄ぁ無駄ぁ無駄ぁ!!」
時崎は何もしていないが先程のように見えない攻撃が来ると思い咄嗟に尾白は自分の腕を交差させて防御の体勢をとり、その直後に見えない攻撃が尾白を襲う。
尾白は防御に徹しているが時崎の攻撃がどこかしら手加減をしていると尾白は感じたが時崎の攻撃の一発一発の拳が重く感じ確実に相手にダメージを与えるパンチにも感じた。
もしこれが本気で攻撃していたらと思うとゾッとする。
もし本気ならばこの防御している腕は耐えていられたのだろうか。
そんなことばかりが頭の中で考えてしまう。
「無駄だぁ!!」
そして時崎の個性で吹き飛ばされて体勢を立て直そうとして腕のクロスをといてしまうが、隙ありとばかりに時崎が追撃を仕掛けてきた。
「しまっ!?」
尾白は再び顔の前で腕をクロスさせて防御の体勢を取るが、防御しているとはいえ時崎の攻撃はザ・ワールドのスタンドの力を借りて瞬発力とパワーを使って勢いよく地面を蹴り上げ勢いをつけたパンチをモロに受けてしまう。
時崎も手加減はしているだろうが、いくら防御していても威力の軽減は出来るが完全に消すことはできない。
そのため時崎のパンチが尾白の腕に当たり、勢いと共に尾白は背中から壁へと向かって飛んで行きいくつも連なった壁を突き破りながら飛ばされる。
訓練用に作られた建物は通常の建物より頑丈にできているが時崎の個性の力はそれを物ともしないかのように尾白を弾き飛ばすのであった。
「はぁ、はぁ。」
尾白はフラフラと立ち上がり時崎を見据えると、時崎はこちらを待っており、追い討ちをかけない辺り手加減してくれたのだろうが攻撃によるダメージはそこまで大きくなかったが、少し意識が朦朧として呼吸がかなり荒れてきた。
誰かが喋っているような気がしたがとりあえず、気を落ち着かせて息を吸って吐くを繰り返して呼吸を整える。
(このままじゃ、こちらが負ける。)
正攻法もフェイントも防がれた。
なにか方法がないかと考えるが時崎の個性の攻めどころが見つからない。
(でもヒーローになるためには無茶でも戦わないと。)
尾白は再び構えをとって拳を時崎に向ける。
攻撃しても恐らく先程のように姿が消えて避けられるだろう。
しかし、ヒーローになるためにはこの程度で弱音を吐くわけにはいかない。
いずれは更なる強敵とも戦う事になるだろう。
だから試験で無理だと決めつけてしまってはダメだ。
ならば取るべき選択肢に逃げはなく、
あるのは攻めと受け。
この二つのどちらを取るかだ。
「すぅー、はぁー、」
目を閉じ一呼吸をおき、全神経を集中させる。
「・・・時崎。」
「なんだ?」
尾白の呼び掛けに時崎は返事をして応えてくれる。
「今回は試験だから互いに手を抜いていたかもしれないけど、時崎くんの個性に対抗できる気がしないから今から少しだけ本気を出すよ。」
「・・・いいだろう。」
「ありがとう。」
尾白の答えの選択は攻めだった。
しかし、攻めるにしても手加減することができないかもしれないので
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~モニタールーム~
「いいんですか、オールマイト先生?」
モニタールームで見ていた生徒の一人八百万は二人の会話に不安を抱き教師であるオールマイトに質問する。
「ムムム、もし熱くなって手加減が出来ないのなら止めた方がいいのかもしれないけど二人はいたって冷静のようだからね。」
「ですが・・・。」
「まあ注意はしとかねば一応私も教師だからね。」
そう言ってオールマイトはマイクを手に取り二人に呼び掛ける。
「尾白少年、時崎少年、二人ともあまり本気にならないようにもしもの時は試験を中断することなるからね。」
『はい』
『了解』
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「さあ、オールマイト先生からもOKだったから再開といこうじゃないか尾白。」
「ああ、もちろんだ。」
尾白は踏み込んで時崎に攻撃するがやはり突然避けられてしまいいつの間に現れたのか今度は後ろに現れた。
「いくぞぉ!」
後ろを取った時崎は尾白に向かってスタンドのパンチを食らわせようとする。
ザ・ワールドの姿は尾白には見えるはずもなく、ザ・ワールドの拳は尾白に向かって迫っているなか尾白のとった行動はカウンターだった。
見えないはずのスタンドの攻撃を尾白は紙一重のところで避けることができた。
尾白がザ・ワールドの攻撃を避けられたのは別に気配を感じるというわけでも見えるわけでもなくただ単純なことだった。
それは時崎の視線である。
人間は無意識の内に攻撃をする先を見ており尾白は時崎の視線の先を読んで、攻撃を運良く避けることができたのだ。
その為、時崎の攻撃を
当然ながら誰にでも簡単にできるわけではなく尾白が幼い頃から続けていた格闘術を学んでいたお陰で今回それが役に立ったのだ。
そしてその技術をいかして時崎のスタンドの攻撃を尾白は避けることができたのだ。
「なにぃ!?」
そして一方で、スタンドの攻撃が避けられるという想定外のことが起きたためか時崎は驚きを隠せない。
「だ、だがまだ、ぐぉ!?」
時崎が動揺しているとき尾白はここぞといわんばかりの隙を見つけて自分の尻尾を振り回して時崎に攻撃を当てることができ時崎は吹き飛ぶ。
しかし、その程度で終わるはずもなく時崎は直ぐ様体勢を立て直して尾白へ攻撃体勢をとる。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!」
時崎のザ・ワールドのラッシュを尾白に向かって放ち、尾白は直ぐ様時崎から距離を置いて離れることにした。
しかし、時崎は時止めを使い尾白の元へと一気に距離を詰める。
時崎が目の前に現れ、そして尾白は逃げられないと察したのかそこから離れることはせず最初と同じように時崎の懐へと入り込んだ。
そして一方の時崎は尾白へ追い討ちをかけるため時止めを使ったばかりなので少しばかりのクールタイムが必要の為、尾白が懐への攻撃を避けることができない状態だった。
「いいだろう。ならば、来い!」
時崎はスタンドを使わず己の身を使って尾白に向って飛びかかり、尾白は最後の力を振り絞って握った右手の拳を時崎に向かって放ち、そして時崎自身は個性を使わず己の拳を振りかざし尾白へと向けた。
そして二人の拳は互いに擦り、拳は互いの顔へと吸い込まれていった。
そして大きく鈍い音が響き渡る。
「・・・。」
「・・・はは、どうやら君の勝ちのよう・・・だね。」
そして力尽きて倒れ込んだのは・・・、
尾白であった。
時崎の拳は尾白の腕の内側に運良く入り込んでいたため僅かな差だが尾白の拳は時崎の顔には当たらず時崎の攻撃だけが尾白へ当たっていた。
いわゆるクロスカウンターである。
そして攻撃の当たった尾白は力尽きて目を閉じて気絶してしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、勝った・・・のか?」
「ふ、ふふふふふふふふふふ、
ははははははははははは!
WRYYYYYYYYYーーーッ!!」
時崎は勝利が嬉しいのか大きく笑ったあとまるで勝利を宣言するかのように腕を左右に広げ胸を突き出しつま先立ちをした状態で高らかに叫んだ。
『勝者、ヴィランチーム!!』
初の学校での戦いは時崎が勝利し終了した。
俺TUEEEE展開も良かったんですが、やっぱり学生ならこういう熱血展開がいいかなと思いました。
時止めを使う相手の熱血展開の描写は悩みまくりましたが・・・(;´д`)
次回は主人公視点です。