次回予定が想定通りに進まないので予定載せるの止めようかな。
「お疲れ様球磨川君。久しぶりだね。どうだいなのはちゃん達は。めだかちゃんにも負けない主人公具合だっただろう。正に勝つことを宿命付けられた存在と呼ぶに相応しいよ。君じゃ彼女達をマイナスに墜とすことはできなかったが、君はまた一歩プラスに近づいたって訳さ。おめでとう。あれ?余り嬉しそうじゃないね。そんなに負けっぱなしは嫌かい?その思いやよし。それでこそ球磨川禊と言ったところだ。あぁ、君を褒めに来た訳じゃなぜ。勘違いするなよな。それで本題だ。君はいったい何時になったら再戦しに行く気なんだい?もう四年も経ってるんだぜ。知ってるんだぜ。君が明日になったら会いに行こうとか思ってもう何日も経ってることにさぁ。君このままだったら十年くらいなのはちゃん達に会わないだろ。確かにそんな年数僕にとっちゃカスみたいなもんだけど僕だって暇じゃあないんだ。さっさと会いに行ってくれよ。大丈夫。大丈夫。これは強制だから。十年後、二十三歳のなのはちゃん達によろしくね」
『ちょ、いきなり出てきてそれは――』
「ばいばい」
次元を超えるスキル
球磨川の意識は速やかに闇に溶けていった。
それから十年と数ヶ月。
「うん、球磨川君。どういうことか説明してくれるかな」
「そうだね。私もちょっとお話聞かせて欲しいなぁ」
リビングのソファーに腰かける球磨川の前でバリアジャケットを展開し、デバイスを持って仁王立ちする二十三歳の管理局員二人。
『聖小を出て三年くらい次元世界を見て回ってたら夢で人外に会って十年後に跳ばされた』
「真面目に話して欲しいかな」
『そうは言っても事実なんだよね』『後中学生にデバイスを向けるのはやめた方がいいよ』
「ちょっ、ちょっと待って!何でママ達が球磨川先輩と知り合いなの!?しかも球磨川禊って」
余りに衝撃的な展開に理解が追い付いていなかったヴィヴィオが漸く再起動して訊ねる。
『あぁ』『僕の名前は球磨川禊』『球磨川雪って言うのは嘘だよ』
「えぇ~」
「そんなことより何でいきなり失踪なんてしたの?」
『んー』『何となくかなー』
「じゃあどうしてここにいるの?それにSt.ヒルデ学院に通ってるってどういうこと!?」
「待って!今まで接してた先輩の名前が偽名だったのってそんなことじゃないよ!!」
『だから言ってるじゃん。安心院さんが全部用意して送り出したんだよ』
「待って、待ってどういうこと?全くわからない!お願いだからちゃんと先輩は説明して!!」
「待って!先にその安心院さんとやらについて教えて!!」
「そんなことより何で今まで会いに来なかったの!!」
『やれやれ』『僕はそんな三人の疑問に一斉に答えるような
口々に疑問をぶつける三人を見て球磨川は肩を竦める。
「つまり球磨川先輩はママ達と元同級生で、恩人だけど元敵で今は友達。それで十三歳の時に安心院さんと名乗るレアスキルを何個も持つ人に十年後に跳ばされたってことでいいの?」
『うん、まぁその理解でいいかな』『あえて言うなら安心院さんは人じゃなくって人外だってことくらいかな』
「じゃあ次の質問。何で跳ばされて直ぐに来なかったの?」
『だってフェイトちゃん達が何処に住んでるか知らないし』
「………じゃあ次の質問。何でヴィヴィオと友達なの?」
『図書館で調べものしてたら懐かしい雰囲気を感じたからね。しかも名字が高町だ』『簡単でしょ?』
「学校もその安心院さんが手配してくれたの?」
『うん。学籍と戸籍だけは用意してもらったよ』
「だけは」とそこを強調して答える。
「だけ?」
『文字通り学籍と戸籍だけ』
「えっ、何処に住んでるの?」
『なんかその辺の公園』
「えっ!?家は用意してくれなかったの?」
『まぁ安心院さんだし』
素で聞き返すなのはママとフェイトママ。
私は絶句して動けない。
『服だってこの妙な制服しかない』『ご飯だってもう何ヵ月も食べてない』『住むところだって勿論ない』『衣食住なんて欠片もないぜ』
「……………………学校とか通えなくない?」
冷や汗をたらりと流しながらフェイトママが更に切り込む。
『あぁ』『そりゃ快適とは言えないけれど、空腹感も汚れも大嘘憑きで解決するし不幸には慣れてるからね』
「空腹感って……ご飯食べてないの?」
『うん』『これで三日目かな?』
大嘘憑きとやらが何かはわからないがママ達が揃って目頭を抑えて天を仰いだのを見てろくなものではないと察する。
ママ達が大きく深呼吸してフェイトママが切り出す。
「……………なのは」
「……わかってるよ、フェイトちゃん。……球磨川君は今日からここに住むといいよ」
「えっ!?」
『本当?』『ありがとっ』『まともな所に住めるなんて何ヵ月振りかなぁ』
「えっ!?えっ!?えぇえぇぇええ!?」
拝啓リオ、コロナへ。
本日実は時間旅行者で元ママ達の同級生で今は中学生、私より三歳年上の先輩が家に居候することになりました。
『それでなんだい話って』『僕今は中学生二年生だから夜更かしは辛いんだけど』
それなりに夜更け。
ヴィヴィオが眠り、球磨川は数ヶ月振りの食事や風呂を堪能していた時に二人に呼び出されていた。
「それでこのこと誰に話した?」
ミソギの軽口を無視して話を進める。
こんな対応も十四年振りでひどく懐かしく楽しい。
『んー』『まだフェイトちゃん達にしか喋ってないよ』『なにしろ一番先に教えたかったし』
少し嬉しくなったが初めから真面目に伝える気が全くなかったことを思い出して急激に冷めた。
でもミソギだしなぁ等と思ってしまう時点で相当ミソギに毒されている。
「そっか。じゃあヴィヴィオと私達、八神家のメンバーとクロノ君、ユーノ君、プレシアさん達以外にはその事は隠しておいてね」
ぼうっと思考に呑まれていたらなのはが言葉を継いでくれる。
『ん~』『まぁいいよ』
「……それでミソギはこれからどうするの?」
『そうだねぇ』『まぁ大人しく中学生でもして過ごすよ。僕の学校生活はちょっとスリリング過ぎたからね』
「球磨川君がヴィヴィオと同じ学校に通うことにそこはかとなく不安なんだけど」
「まぁこれしかないのかな」
『おいおい僕はこれでも中学時代に生徒会もやってたくらい優等生なんだぜ』
「絶対にその人達操られてたよ」
『惜しい』『それは少し後だ』
「まぁ球磨川君の戯言は流すとして、球磨川君は私達に言うことがあるよね?」
『何?』
「ミソギが私達を騙したでしょ?」
『騙したなんて人聞きの悪い』『忘れてるかもしれないけど僕まだ中二なんだぜ。大人としてあの悪戯は許してよ』
「謝って」
『全然悪いと思ってなくてごめんね』
「ぉはよぉー」
『おっはよー』『さぁヴィヴィオちゃん。今日は一緒に登校しよっか』
「………………………夢じゃなかった」
『それが開口一番言うこととは流石の僕でも傷付くんだけど』
「球磨川先輩、いえ球磨川さんの方が良いですか?一応なのはママ達と元同年代でしたし」
『何で一応を付けたのかは疑問だけどなんでもいいよ』
「いや、なんかまだ先輩がママ達と知り合いだって信じられなくて。あと呼び名はこれまで通り球磨川先輩にします」
『じゃ』『ご飯食べたら学校行こっか』
「少し恥ずかしいです」
『大丈夫、大丈夫』『君が幾ら恥ずかしい奴だったとしても僕はつきあい方を変えたりはしないからさ』
「そっちじゃありません!!」
『ひどい!!』『僕が恥ずかしい奴だって言うのか!!』
「いや、違くて………あぁ面倒臭い…」
お気に入りありがとうございます。
誤字報告も大変助かっております。
これからもよろしくお願いいたします。
『次回は本編でのアインハルトちゃん回の予定』