前回記載し忘れていました。
すみません。
「お話聞かせてくれるよね。球磨川くん?」
『はっはっはっ』『バインドをかける前に言って欲しかったね』『僕これでも脇腹に螺子の破片ぶち込まれてんだぜ?』
「大嘘憑きを使え。早く。演出で出し渋るな」
『あれっ?』『ひょっとしてなのはちゃん怒ってない?』
「早く」
『はいはい』『
一瞬で今までの負傷がなくなる。
まるでそんなことなかったみたいに。
「うん。この子にも」
『人使い荒くない?』
球磨川が手を翳すと痛みとマイナスで意識を朦朧とさせていたアインハルトの負傷がなくなる。
「大丈夫?」
「貴方は……」
「管理局航空戦技教導隊所属高町なのはです」
「か、管理局!?」
「バインド」
「なっ」
「貴方にも聞きたいことがあるんだ。ちょっと待っててね」
『おいおい』『それくらいにしてあげてくれないかい?』『僕とハイディさんには不幸な行き違いがあっただけなんだ』『ハイディさんも反省しているからさぁ』
球磨川の戯言を無視してなのははにこりと満面の笑みを浮かべる。
つられて球磨川も十四年前と何ら変わらないへらへら笑いを浮かべる。
「球磨川君、心配したんだよ。もう怪我は大丈夫なんだよね?」
『うん』『僕の
「うん、うん。それは良かった」
そう言いながら懐からマガジンを取りだし、レイジングハートに装填する。
「カートリッジロード」
圧縮魔力が込められたカートリッジがロードされ、爆発的に増量された魔力が吹き荒れる。
甲高い音を立てて二発の薬莢が地面に落ちる。
『あれ?』
「これで心置きなく球磨川君を攻撃できるよ」
『待て待て、この距離マジみたいじゃんやめろよ!』 『なのはちゃんとは戦いたくないんだ!』 『僕たちはわかりあえる!』『八つ当たりなんて虚しいことを二十三歳にもなった正義の味方がするつもりなのかい!?』
「残念ながら球磨川君のせいで随分前に正義の味方は辞めちゃったんだ」
『そうだっ』『じゃあ再会を祝してハグでもしよう!』『それで思い出話でもすれば僕らはわかりあえ――』
「ディバインバスター・エクステンション」
桜色のビームが線としてではなく、面として球磨川に迫る。
『ふっ…』『いいだろう』『だがなのはちゃん、これだけはいっておく』『また勝てなかっ――』
球磨川の言葉は言い終わる前に桜色の暴威に飲み込まれっていった。
管理局の支部のひとつに連行された球磨川は待合室で気絶から叩き起こされる。
「それで何で球磨川君がミッドにいるの?」
『最近の僕は旅行が趣味なんだよ』『だから』『魔法の世界にでも観光に行こうかと思ってね』
「嘘だね」
『嘘だなんて……』『なんて酷いことを言うんだ!』『僕が一生懸命考えた言い訳を疑うなんて!』『君には人を信じる心が足りないよ!!』
「うん、殴ってもいいかな?」
「あ、あの私はどうすれば……」
「あぁ、えっと……とりあえずそれ解いたら?」
『?』
「………わかりました」
一瞬光が辺りを照らすと十八歳くらいだったハイディさんが小、中学生くらいの年齢の少女に変身する。
いや、変身が解除される。
美しい碧銀の髪と煌めく蒼と紫の瞳はそのままに美女が美少女に変わる。
「St.ヒルデ魔法学院、中等科アインハルト・ストラトスです」
『へぇ』『魔法って凄いなぁ』『これは一粒で二度美味しいというあれだね』『ロリコンから熟女好きまでどんな需要にも対応できるじゃん』
「球磨川君は砲撃がそんなに気に入ったの?」
「あのぉ、なのはさん、そろそろ通り魔事件について聞きたいんですけど」
スバルとティアナが困惑した顔でおずおずとなのはに話し掛ける。
「うん。じゃあアインハルトちゃんの方をお願いね。私は球磨川君に事情聴取するから」
「えっ、ちょっと待ってください。なのはさんは教導官なんですから私に――」
「ティアナこそ球磨川君と二人きりなんて死ぬ気!?」
「ええっ!?でもあの方非魔導師ですよね!?」
「精神が死んじゃうよ!!壊されるよ!崩されるよ!螺子曲げられるよ!」
「ええっ」
いつもの姿とは余りにもかけ離れた上司の姿にティアナとスバルは困惑する。
しかもそんな元部下の驚愕に気付かないくらいテンションがおかしい。
「とにかくっ!ティアナを一人にはできないよ」
「ちょっとした事情聴取ですよっ!?事件性なんか皆無ですよっ!?」
「じゃあ尚更いいじゃん」
「だからといって教導官が事情聴取とかできないですって!!」
「そこまでだよっ!」
横合いからもの凄い速度でフェイトが飛び出してくる。
しかもバリアジャケットで。
明らかに面倒事が増えた事実にティアナは目眩さえ覚えた。
「フェイトちゃんっ!」
『よっ』『久しぶり』『フェイト・テスタロッサは続けられてるかい?』
「うん、久しぶりミソギ。お陰さまでね。あ、あと執務官権限でこの件は私が預かるからティアナは帰っていいよ」
「うわぁ」
尊敬する元上司の姿に哀愁と呆れが去来する。
「ズルいよフェイトちゃん!そんなことさせないから!あ、ティアナだって執務官だし大丈夫だよね」
「勘弁してください」
「スバルあんたも――」
『あ』『さっきアインハルトちゃん連れて行っちゃったよ』
「えっ!?嘘!?」
『残念ながら本当』
管理局の支部のある部屋。
そこには妙に疲れたティアナと、変なテンションに突入したなのはとフェイト。
そしてそれを見て楽しそうに嗤う球磨川禊がいた。
管理局でもエリートの執務官二人にエースオブエース。
そしてその全員が四年前の事件で英雄になった彼女達である。
そんな豪華メンバーが関わる事件とあって局内はちょっとした噂になっていて、ティアナは死にたくなった。
「執務官が二人も関わる事件じゃないのに……」
『ティアナさんティアナさん』『さっきも言ってたけど執務官って何?』
「ええっと、簡単に言うと凶悪事件を多く担当し捜査・指揮を行う役職ね」
『へぇ』『随分なエリートコースに進んだね』『フェイトちゃん?』
「あっ」
「もう始めてもいいですか?」
『いいよいいよ』『僕のトレンドからスリーサイズまでどんなことだって答えてみせよう』
「はぁ、とりあえず名前を教えていただけますか?」
『僕の名前は――』
「「球磨川禊」」
「聖小が廃校になるまではよろしくなんて言ってたのにその前に失踪した嘘吐き。だよね?」
「週刊少年ジャンプが大好きな、魔法も使えない
『………あれ?今の僕への質問だよね?』『てか、よく覚えてるね』『もう十四年前だぜ』
「あんなことしといて忘れられる筈がないよね?」
「うん。正直ミソギより異常な人は今でも見たことないし」
「……………もう話を戻していいですか?」
「球磨川君っ!!」「ミソギっ!」
『これは僕悪くないよね?』『何で怒られてるの?』
「……はぁ、じゃあ何で住宅街に?」
『ミッドチルダの観光名所でもなのはちゃん達に訊きに行こうと思ってね』『どこか知ってる?』
「「う~ん」」
「難しいね。何かあったっけ?」
「思い付かないなぁ。ティアナはどこか知ってる?」
「………知りません」
「ミッドチルダに住んでたティアナと住んでるなのはが知らないんなら私も駄目かなぁ」
「う~んベルカ自治領なら教会とかあるんだけどねぇ」
「ミソギは聖王教会には連れて行きたくないし……」
「………………フェイトさん、なのはさん。まだ取り調べ中なんですけど……」
「球磨川君っ!!」「ミソギっ!」
ティアナは元上司のポンコツ具合に戦慄して、目の前が真っ暗になった。
所変わって高町家。
「高町ヴィヴィオです。小学四年生です」
赤と翠のオッドアイ、金髪、ツインテール魔法少女が挨拶をする。
『こんばんわ』『僕は球磨川禊』『まっ』『球磨川でも』『禊でも』『裸エプロン先輩でも』『風でも』『マイナス野郎でも』『人類の最底辺でも』『好きな名前で呼んでくれ』
「うぅん、キャラが濃いなぁ」
『何ならダーリンやお兄さんでもいいんだぜ』
「球磨川君、私の娘に何言ってるのかな?そもそも球磨川君を一人にしたら管理局崩壊とか引き起こしかねないから家に連れてきたんだから勘違いしたら駄目だよ」
「私は犯罪者だったらミソギでも容赦なく捕まえるよ」
レイジングハートとバルディッシュをグリグリと背中に突きつけられる。
『さっきから思ってたんだけど君らキャラ変わり過ぎじゃない?』
「だってねぇフェイトちゃん」
「びっくりしたよね。よくもそんなことが言えるもんだと感心すら覚えるよ」
「これはあれだよね」
「うん、うん。一人称を私、ミソギのことはお前で統一ね」
「「お前が私達の生き方を螺子曲げたんだろうが!!」」
『うわぁい』『もしかして怒ってる?』
「『また明日とか』とか言った翌日に失踪したのは誰かな?」
「それで再会初日に中学生と殺し合い紛いの決闘をしたのは誰かな?それで面倒を被ったのは誰かな?」
『まぁまぁ』『そんなに怒らないでよ』『過ぎたことを今さらどうこう言ってもどうしようもないじゃないか』『もっと建設的なことをやろうぜ』
「それはそうかもね」
『うん?』
「アクセルシューター」
「プラズマランサー」
『ちょ――』
「「だからこれも――」」
黄金の魔力光と桜色の魔力光が夜空に尾を引いて球磨川を捉える。
「「――私達は悪くない」」
「ママ達がおかしい」
今回は球磨川に曲げられたなのはとフェイトが主題なのでちょっと性格が悪くなってます。(球磨川相手だけだけど)
アンケートで重要追記がありました。
一度投票した方も確認してください。
あと最後まで読んでくださると助かります。
④は全然人気ありませんが何ででしょうか。
スキルはありませんがめだ箱キャラも出せるのに……
③は面白そうですがネタが足りないのでネタ提供もあると書きやすいですね。
因みに作者のおすすめは②ですよ。