近未来忍者的な世界で生き残るためには?   作:スラム街のオーク

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今日は急展開です。


7話

 強化装甲《新月》の量産機の開発に乗り出してから約1カ月。 ダウングレード版量産機、強化装甲《三日月》を数台ロールアウトした。 その開発に関しては、私の培ってきたノウハウを全て投入しているため、機密事項としている。

 

 機体作成の裏側で私は田中先生(ふうま頭領)とレベッカたちにある事を頼んでおいた。 そして今日。 自室にて、そこで私は田中先生並びにレベッカや彼女の配下たちが集めてきた対魔忍側の裏情報に目を通して眉間を揉んだ。

 

 魔族や米連との繋がり、汚職、賄賂はまだ目を瞑ろう。 守るべき一般市民に冤罪擦りつけて暗殺させるって何してんだよ上層部のクズども……。 とりあえず、今すぐ消したいところではあるが……まだ生かして泳がせておくべきか? 

 

 臭いものにはとっとと蓋をしたいが、それをしたら私の仕事が天元突破しかねない。 それくらいに人材がマイナスになるのは想像に易い。

 

 まぁどこかのタイミングで消しにかかるつもりだけどさ……アサギさんたちにこの情報を見せるわけにはいかないなぁ……はぁ。

 

「やっほー、ツッキー。 久しぶりに遊びに来たよー!」

「うわひゃぁぁぁあぁぁぁ!? さ、さくらさんんん!?」

 

 私は思わず、どんがらガッシャーン! と椅子ごとひっくり返った。

 

 そりゃそうだろう? ファイルの中身を見られたらまずい人の妹君が、私の影の中からヌゥッと短く切りそろえられた橙色の髪な美女が頭を出したんだぜ? そのホラーな絵面にそれは、それは仰天して私は派手にひっくり返って頭を強打……そして、意識を手放した。

 

 ☆

 

「え、ちょっと!? ツッキー大丈夫!?」

 

 ひさびさにツッキーの顔が見たくなったあたしは影遁の術でツッキーの部屋、この子の影に忍び込んで顔を出した。 でも、足元の影から出ちゃったせいか、ツッキーは悲鳴をあげてひっくり返った!? 床で頭を打っちゃったみたいな気が……やばいかも!? 

 

「よいしょ……ん? なんだろこれ?」

 

 ツッキーをベットに運んで寝かせてあげる。 そして手に持っていたものも派手に投げて散らかしたのかあたりにファイルの中身が散らばっていたのを片付けていると、あたしの目に興味のあるものが映った。

 

 可愛くデフォルメされた見出しの中に隠された暗号を解くと、真のタイトルがわかる。 貼付はポピュラーな対魔忍の情報伝達方法なのだ! で、その真タイトルは《対魔忍暗部情報ファイル 取扱注意》……ってなにコレ? 

 

 気になってパラパラと中身を覗くと、すぐにその内容に引き込まれた。 伊賀甲賀関係なく……フフフフフフフ……あの老害ども、好き勝手してくれてるみたいねぇ……。

 

 ツッキー、ありがとう。 この情報をアサギお姉ちゃんのために集めてくれたのね……アサギお姉ちゃんがいつも体を改造される原因はあの老害どもにあるのは薄々感づいていたけれど、証拠がなかった。

 

 けど、これで……これでもう、一網打尽にできる……フフフフフフフ……そうだ、早く私たち姉妹を陥れて来た奴らの名前をアサギお姉ちゃんに見せてあげよう。

 

 あのクソジジイの時もそうだったけど、年寄りは自分の保全しか頭にないのかなぁ……? その保全が身を滅ぼすことになるってわからないのかなぁ……? 

 

 まぁいいや、どうせ消える奴のことなんてどうでもいいや……うん、ツッキーには頑張ってもらいすぎかな? 今度長期療養できるようにうんとうーんと休ませてあげるね! 

 私はファイルを手に影遁の術を使ってアサギお姉ちゃんの元へと移動した。

 

 ☆

 

「今回の情報は有意義なものだった。 上層部のものに関しては謹慎(・・)の命令を出しておいた……なに、私も書類仕事はするから、安心しろ」

「粛清したわけですか……。 うぐおぉ……胃が痛い! なにしてくれてんですかアサギさん!?」

「え、な、なにがだ?」

「簡単に粛清に近いことしたら、対魔忍の事務関係の人材が全滅するでしょぉぉぉ!? ドヤ顔で謹慎の命令出したってなにしてくれてるんですか!?」

「な、え、ちょまって!? 上層部の老害どもは、殺しはしてないから!」

「半分虫の息は死んでるも同義だよ! あーもぅ!」

 

 ベットで目を覚まして日付を確認しようとデジタル時計を見たら朝になっていた。 そして、その短い時間の間で手元のファイルをさくらさんが持ち去ったのに気がついた結果……アサギさんは私の情報を元に裏切り者たちに人事的鉄槌をくだしていた。

 

 私が気がついた頃にはもう遅かった、対策を取ろうにも全てが遅すぎたのだ。 汚職、収賄を受け取った者たちは懲戒免職。 ノマドとの繋がりがあったものはアサギさんの私刑で半死半生にした後謹慎処分。

 

 まだ殺されないだけマシだと思ってほしいものだがね? 

 

 とりあえず、事務関係の職員が減ってまずい状況にある……ええいままよ! 当分の間はなんとかしてやんよ! 

 

 ☆

 

 つ、疲れた……。 あの対魔忍人事大変革が起こり事務員が多く減った対魔忍。 書類仕事を片付けるべくアサギさんたちトップ関係なく書類仕事に従事することで保たせている。

 

 騙し騙しでしかないのが現状……と思っていたのだが、レベッカが気を利かせてくれて事務適正のある元自衛官の女性たちのスカウトと面接を勧めてくれている。

 

 身辺調査の諸々を丸投げするしかできないけど……本当にレベッカには頑張ってもらいすぎかなぁ……とにかく、人事をまとめないとね! 

 

 コンコンッと自室のドアがノックされて、入室どうぞーと声をかける。 ドアが開いて入って来たのは、金髪の美少女だった。 噂をすればなんとやら、レベッカが書類の山を片手に入って来たのである。

 

「ツクヨ、これに署名お願いね」

「あいよー……、レベッカありがとね」

「ふふふ、いいのよ。 私達はあなたの影なのだから、もっと頼ってちょうだい」

「……私ってヒモになってない?」

 

 レベッカは幸せそうな笑顔で、「私の勝手にさせてね? 私のご主人様」と私に応えてくれた。 その笑顔は咲き誇るレベッカのような、綺麗な笑顔だった。

 

「キリン、リティーナたちも頑張ってくれているから労いはわすれないであげてね」

「当たり前よ。 今月末はボーナス出すからきちんと受け取ってもらうからね?」

「わかったわ。 それじゃあ書類はよろしくね」

 

 レベッカはそう言い残して、わたしの部屋を出て行った。 あぁ、また仕事が増えた……でも、なんとしても終わらせてみせるよ! 

 

 なんたって、対魔忍の未曾有の危機だからね! 

 

 ☆

 

「人事改革、ご苦労だったな……はぁ、ぶっちゃけ私も疲れたぞ」

「粛清したあーたが言うな……」

「半ごろ……じゃない。 謹慎の者たちはどうした?」

「公安警察に証拠叩きつけて、捜査を進めさせてます。 まぁ、対魔忍の存在は法案的にヤバいもんですから適当にでっち上げて公安の方で秘密裏に逮捕するとのことですよ」

「そうか。 まぁ、奴らの末路は豚箱がお似合いだ」

「違いないですね、では。 私もまだひと仕事があるんで」

「わかった。 休養は忘れるなよ」

 

 アサギさんもまた机の仕事に向き直る。 失礼しますと彼女に声をかけて校長室を後にする。 この数日は本当に戦争だった。 まじめに寝る間を惜しんで仕事したよ……くそったれが。

 

 深夜近くまで仕事してたから、お肌が……お肌が……! まぁ、箱庭の中で8時間爆睡してからまた仕事して、爆睡して、仕事して……の繰り返しな毎日だった。

 

 普通個人の仕事量以上をこなせるのはこの箱庭があるおかげなわけで……。 時間的余裕が生まれるから、そりゃ仕事が捗りますとも。 ま、私だけの特権ですけどねコレについてはですが。

 

「とりあえずアサギさんは今日にでも任務に赴くだろうかなぁ……ストレス溜まってるだろうし……好きにさせとくか」

 

 そしてその夜。 出撃したアサギさんは敵勢力に捕まった……よりによって、ノマドの首魁がエドウィン・ブラックの勢力下でな! 

 

 ☆

 

「えっと、コレとこれと……」

 

 私は現在、出撃のために準備を進めていた。 アサギさんが改造される前に救出に向かうのだ。 今回の作戦は私のテレポートジェムで脱出するプランだ。

 

 まぁ、ミッションそのものは難しいよ? メンバーは前衛にレベッカとキリン。 リティーナが中間距離で後衛、殿を私がつとめる。

 

 作戦内容は現役対魔忍のユキカゼ、凛子、達郎くん、静流さん筆頭に対魔忍10名を陽動として、その裏で私たちが動く。 間者は全て排除したから、新生対魔忍の初仕事だ。

 

「未曾有のミッションだよまったく……」

「ツクヨ、準備はいい?」

「ウチらはもう、準備できてまっせ。 なぁ、リディ?」

「キリンの言う通りですわ、ご主人様(マスター)

「オーケーオーケー。 そんじゃ、出撃しますか」

 

 私はスクロールに対物ライフルをしまい、普段着に光学迷彩白衣を着る。 スニーカーのつま先をトントンと蹴って靴をならして歩き出した……目標は、アサギさんの囚われている、東京キングダムの廃ビル群だ……気を引き締めていこう。

 

 パリパリと、電磁波を出して周囲の景色に私達4人は溶け消えて、ビルの屋上伝いに闇に沈む東京を私達は走った。

 

 ☆

 

 あの忌々しい東京キングダムに侵入した私。 アサギさんの囚われているであろうビル近くを探索していた。 周辺のトラップなどを解体して進む。 私の技術なら大概のトラップは無意味、さらに無臭の毒素を含むガスも錬金術で察知できるから中和も楽である。

 

「この付近かな? わかんないけど」

「確実な情報ですの、マスター?」

「ふふふ、まぁ。 リディさんもツクヨさんを信頼したまえ」

 

 私は錬金術で探索用(バグ)を創り出すと、ビルに飛ばす。 アサギさんのDNA情報を追える蟲なので自動で探索してくれるので、私達は忍だけでいい……私達の方がたいまにんより忍者してる? あ、言っちゃいけないことだね! 

 

 と、蟲から反応が来た。 どうやらアサギさんを発見したようだ。 蟲の視界を見てみると……アサギさんが触手に襲われて異種姦されていた。 もちろんアヘ顔も忘れてはいなかった。

 

 私に若干の精神ダメージが入る。 その近くではオークたちが下卑た笑みを浮かべ撮影タイムだろうか……アサギさんにカメラを向けていた。

 

「アサギさんを発見。 このビルで間違いないよ」

「ほな、とっととアサギさん確保してずらかりまひょかー?」

「迅速に事を終わらせてこの鬱陶しい街を出たいですわ……」

「もう少し、ゆっくりしていってはどうかな?」

 

 若本ボイスが響き渡る。 精悍な白髪の老人が宙に浮いて、そこにいた。

 

「げっ、あなたは……」

『エドウィン・ブラック……ッ!』

 

 一番会いたくない奴がそこにいた。




リディとキリンについては今度掘り込みます。
次はお待ちかね、ブラック様との戦闘(ブラック様は戯れ程度の気分)です。

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