近未来忍者的な世界で生き残るためには?   作:スラム街のオーク

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主人公、覚醒(なににとは言っていない


4話

 ユキカゼ達の救出から数ヶ月経ちまして。 私の環境は激変した。 色々諸々の報告の折に校長室を訪れたわけで。

 

「アサギさん、私は後方支援の研究者ですよねぇ?」

「お、おい。 月夜、皆が見てるぞ」

「話そらすな誰もいねぇだろうが、知能たいまにんが」

「それはやめてぇぇぇ!?」

 

 校長の机で耳を塞ぎ頭を抱えて、イヤイヤと頭をふる〈アヘ脳筋頭領〉アサギさんを私は嘆息ひとつ。 最近、私の仕事が増えました……増えすぎてます。

 

 まず、拉致られる危険性のある外出系の任務、対魔忍が受けるはずの任務が私に回ってくるようになりました。 それだけならまぁいい、なんとか切り抜かれるだけの訓練とかは組んでるから。

 

 ……それ以外にも、参謀の仕事みたいな、作戦立案の仕事まで任されるってどういう事だよ!? 私の身はひとつだ。 あっちこっちの仕事に引っ張り回されたら過労死するわ!? 

 

 若手対魔忍の生存率向上のための教導だって引き受けてんだよ!? 私は私で仕事があるんだよ!? ねぇ、なんなのかな《たいまにん》って、ブラック企業なの? ブラック企業なの、この国営生◯ナホ製造工場は!? 

 

「国営生オナ◯工場じゃないから! 私たちは対魔忍だから!?」

「うるさい生オ◯ホ筆頭が!」

「ひどい!?」

「酷くないわ! 無双できる、単体火力で殲滅すればいいが通用すんのは貴女とかムラサキさん、さくらさんのベテラン超えた対魔忍くらいでしょうがぁぁぁぁあぁぁ!?」

 

 ああ、もう。 高給出してもらってるから流石にこれ以上の文句も言えない。 絡め手にめっぽう弱いウチの頭領は置いといて教導だなぁ……名前も知らない新人の対魔忍達の教導は難航を喫していた。

 

 人員達の名前を覚えて、つかえる忍術の検証をして連携訓練から銃器の扱い、刀剣類の扱いの適材適所その他諸々……教導できるのが長くて2時間。

 

 ほかの仕事の合間を見て基本的な教導マニュアルの作成してる私の仕事環境って天国ナノカナ(白目

 

 そのあとは教導の計画と一通りの作戦立案報告とフュルストの抹殺許可を受けれたので、計画を実行に移しますか。

 

 ☆

 

「室井先生、お疲れ様です」

「おや、加持谷さんですか。 ええ、お疲れ様です」

 

 ブラック様の欲する女が私に単身で接触してきた。 いや、対魔忍側の勢力では比較的常識人だから挨拶をしてきただけか?

 

 この女は比較的冷静な視点から物事を考える合理的な人間だったなそう言えば。 身内には甘々なくらいにお人好し。 ブラック様の危惧がわからん。

 

 こんなちっぽけな、平凡な人間があんな大層な、魔界の予言にもあった魔術式〈聖杯〉を独占してるなど虫唾が走るわけだ。

 

 まぁいい、全てはブラック様の為に。 考えてみればチャンスだ、この女を手篭めにしてブラック様に献上するとしよう。

 

「そうそう手篭めにできると思うなよ、魔族如きが」

「……へ?」

 

 ドスッと私の腹に痛みが走る……!? 何故だ、何故だ!? 

 この体に仕込んだ触手の自動反撃が出来ない……っ!? 

 

「ひとつ課外授業だよ。 あなたたち魔族にとって愚者の石は力を今以上に覚醒させる素晴らしい物体よね」

「っそ、その石は……」

「しかし、愚者の石は決まった人間の体内からしか得られない。 魔族側に出回ってるのはあんたがここから持ち出してるから……違う?」

「な、偽造は完璧だったはずだ……!?」

「私の体にしか生成されないものなんだから、偽物かどうか私が見抜けるに決まってるでしょうが」

 

 至極当然の意見だった。

 

「ええい、ならばそれを創り出せる貴様を捕獲すれば……!?」

「あんたの体の仕組みはもう見抜いてるわよ。 自動反撃の触手に頼ろうとするのはわかってたから、再錬成でその機能をまるまる潰させてもらったから。 ま、せいぜい私の役に立って死になさいな。 魔科医フュルスト」

 

 あの一瞬で私の肉体を再錬成したと言うのか!? 私の驚愕をよそに忌々しいこの女は刃に加工した黒い結晶、愚者の石を私の心臓付近に突き立てた。

 馬鹿め……愚者の石は我ら魔族の……!? 

 

「工程……再錬成、再構築。 術式、展開」

「き、貴様何を……!?」

「さようなら、穢れし魂の魔族さん。 あなたの肉体と魂は〈賢者の石〉の原材料となるけど、そこにあなたの意思はないわ。 石だけに、ね」

 

 漆黒の光に呑まれ、この日を境に魔科医フェルストこと五車学園校医、室井光彦はこの世から消滅した。

 

 ☆

 

 さてー、目障りだった愚者の石泥棒を錬金術で再錬成して賢者の石の原材料として活用した。 あとは彼の犯した原罪を裁き、その魂を昇華して賢者へ至らせないといけない。

 

 賢者の石には魔族、人間問わず欲にまみれた者の魂が必要不可欠。 命を弄ぶ最低の極みではあるけれど、私に賢者の石は必要不可欠なのだから。

 

 聖杯術式の発展強化もしくは聖杯を利用した霊体降臨のブースト素材として。 あるいは、この石を使って人の治療並びに蘇生から賢者の石を砕き、錬金術で溶かした水を摂取すれば不老不死にもなれる。

 

 しかし、不老不死のデメリットもあるけどね? いずれは魂の劣化を防ぐために他人の魂を喰う必要が出てくるのだ。

 もし魂の劣化が加速すると、人の血肉求めて徘徊する食人鬼、グールに堕ちる羽目になるのである。

 

 グールに理性とか感性なんてものはなく、ただひたすらに空腹感を紛らわすことしか考えられなくるのだから。

 そもそもの話だが、愚者の石を賢者の石に変える方法が今のところこの方法だけなんだしね。

 

 穢れた魂と愚者の石が持つ「澱み」を合成で一纏めにしてから魂を冥界にかっ飛ばす儀礼儀式が必要なんだけどね。

 かっ飛ばした澱みが残滓の残った石を聖水に浸けることで浄化。 その工程を終えれば晴れて純粋な賢者の石が完成するわけで。

 

 澱みは強欲な人や魔族の魂と非常に親和性があるのでくっつけやすくなる。 私が魔族を有効活用(・・・・)する理由はそこである。

 

 野良オークとかの危険な奴らを捕縛して加工するけど、ノマドの幹部クラスのフュルストはさすがと言うか、加工したらテニスボール大の賢者の石が作成できた……ええ、これどうしようか。

 

 とりあえず、創りたいものあったっけ? ガンダムくらいなら余裕で創造できそうなんですけど……あ。 ガンダムじゃない、前から欲しかったアレを作ろう! 

 

 こうして私は爪先ほどの賢者の石を使って魔術式、聖杯を顕現させる。 そして聖杯内にテニスボール大の賢者の石、その半分を入れた。

 

 賢者の石を素材に指定してやれば魔道具でもなんでも創れる。 私が聖杯の力を利用して、創り出すものは……「私だけの空間」だ。

 

 そしてその一月後、私の夢が実現となった。 「私だけの箱庭」、その限定結界内で1時間経っても、現実では1分の時間しか経っていない世界となる。

 

 ここでなら修練、睡眠、開発、仕事……溜まりに溜まった仕事を済ませて遊ぶことだってできるぞ! 夢が広がるなぁ……とりあえず、仕事道具を複製してこっちに配置、空間の容量はかなりあるからいくらでも、物を設置できる! 

 

 そんなこんなで、さらなる秘匿研究施設を手に入れた私だった。 今日から。バリバリ対策立てて休んで仕事するぞ! 

 

 ☆

 

 創造空間「私だけの箱庭」を生み出してから数ヶ月の時が流れた。 消灯時間以降の夜中から朝方までは自室を起点に固有空間内に潜り込んでとある兵装の開発、研究に没頭していた。

 

 ドローンを宙に飛ばして、私はデータを集めていた。

 フュイィィィィィィンと脚部裏のモーターが駆動音を響かせる。

 私は真正面のモニター越しに流れる空間内の景色を満喫していた。

 

 まぁ、満喫って言っても脚部のサスペンションや空圧シリンダによる悪路でのクッション性等々の試験なんだけどね。

 

 あとは脚部シールドとかの性能試験もあとでするけど。 空間内は私の意思に従って地形を変えることができる。 まぁ、ヘマしたら断層みたいな浮き沈みになるけど(慣れてない頃はよく起こしていたが)機材壊さないように気をつけないと。

 

 ん? なんの研究しているのかって? 

 

 ふふふん、私が開発しているのはズバリ、アーマードコア擬きだ! 何故擬きなのかというと、ダウンサイジングしたからです。

 

 そのくせ性能はオリジナルに匹敵するからタチが悪いけど。 形状はUCR-10/Aを参考にしてみたぜ! 

 

 ちなみになぜUCR-10/Aなのか……私の趣味だ(キリッ

 

 深緑をベースとしたグリーン系の装甲。 なんというか、別のアーマートルーパー(動く棺桶)を連想して……むせる。 まぁ基本的に地上での作戦で使えるかもってお話である。

 中身は私だから異能生存体の力は無いけどね! 

 

 まぁ、二足走行はできないから、足の裏のクローラーで地上を滑るような走るんだけどね……一応ヌルヌル動く関節には仕上げてるけど。

 

 ジャンプして背中のブースターで飛び上がり、10メートルの段差から落ちても脚は破損しない。 加えて電圧の強弱で装甲の硬度が変化するヴァリアブルフェイズシフト装甲……通称VPS装甲を再現してみた。

 

 VPS装甲の技術はガンダム系のモノを魔術と科学の融合で再現してみました。

 

 持てる武装はライフルやバズーカ、ミニガン(ガトリング砲)などの作っている実弾兵装のみだけどね……ビームライフルはまだ開発できていない。

 

 UCR-10/A自体が「全てを焼き尽くす暴力」な超火力の機体だったからねー……ロマンだよね! 

 

 ここ2ヶ月、結界内時間的に28,800時間(約3年と2ヶ月)は結界内に篭ってることになるかな? 

 

 もちろん仕事しながら並行して研究開発は進めているけども。 対魔障壁、対忍術障壁、対物理フィールドの複合バリアに加えて虚数フィールドも搭載させているって、なにこの動く要塞。

 

 動力はコジマ粒子を……使うわけねぇだろオォが!? アサルトアーマー使ったら汚染がやばいから(アサルトアーマーみたいな大量破壊兵装を搭載していないとは言ってない

 

 コホン、取り乱した。

 

 動力は電力バッテリーと私の魔力、もしくは対魔粒子にしておいた。 他の対魔忍隊員とかに貸し出すつもりはないけど、有事の際はあーだこーだ言ってられないからね! 

 

 とにかく、ロールアウトはまだまだ先のお話である。

 

 やっぱり、超火力、武器の過剰積載はいいよねぇ……対魔忍の施設に誰を狙っているのか知らないけど(すっとぼけ)、殴り込んできて魔術、物理的な罠にかかって自滅してる米連製パワードスーツの残骸もまだまだあるし、米連の兵s……じゃなくて、賢者の石の材料が向こうから転がり込んでくるんだし、本当にいい環境だよ、ここは……あれ? 私ってこんなに最低外道女だったっけ? 

 

 まぁいいか




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