[DEAR]~貴女と居た季節~   作:金宮 来人

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こんばんちわ、作者です。
今回はまた少し非道なシーンが有りますが、
落ち付いてごらんください。
作者は書いている途中からイラつきで貧乏ゆすりがおきました。

では本編へどうぞ。


06 起きてしまった異変

中学も卒業前に進路だ。俺は千冬姉と話し合い進学はやめた。ゆっくりとして、発作が起きたとしても大丈夫な状況を整えておく事にしたのだ。そして、研修医の期間が終わった藤岡さんがとうとう千冬姉と同じ職場に行く事になった。それが聞いてみるとIS学園の教師をしているそうだ。俺にはISにあまり関わってもらいたくなかった為に黙っていたんだって。別に関係ないだろうと言うと、過去にいじめられていた事を鈴に教えられていたらしい。だからこそ鈴は千冬姉の事があまり好きになれなかったとか。本人もソレを聞いて俺をもっと見ておこうと思ったらしい。まぁ、・・もはや手遅れな状態だったが。

千冬姉は泣きながらそう告げた。俺としても千冬姉がIS学園の教師をするとはびっくりだった。前から教師というのは知っていたがまさかIS学園とは・・それじゃ保険医は無理かと聞いたら、整備課には男性の教師もいるらしい。そもそも学園長も男性で用務員の男性も居るらしい。ゲートの警備も男性らしく、そもそもISには多く男性が関わっていると言われた。それから、ちょうど今の保険医は外科系統で藤岡さんは内科系統。風邪などの症状を見るのは藤岡さんの方がいいらしい。二種類の保険医が居ても良いくらいに学園は広く、生徒数も多いとか。学園長に紹介したらぜひにと言われて、近々赴任するらしい。そう言う事で新しい俺の担当が紹介された。もし何かあれば頼ってほしいと言ってくれたその人は女性。しかも、あまり力は強そうにはないので運ぶことは難しいだろう。

そう思いながらも中学卒業間近になっても進路を書かない俺に担任は嫌がらせをしてきた。どうやら千冬姉の信者らしく、でき損ないの弟なんか居なければいいのにと面と向かって言われた。まぁ、言われなくてもそう遠くないうちに居なくなるよ。そう思いながらも、言い返す事もなく唯只ぐちぐちと文句を言われる。

寒い部屋の中暖房もなくただの制服だけの俺と温かいコートも来ている教師。段々と奪われる熱の感じが死を連想させる。

流石に六時を過ぎたあたりで、暗くなってきたと思ったら、電話が鳴り始める。今日は千冬姉が帰って来る日なのを忘れていた。まだ文句を言う教師に、恐る恐る電話に出て良いか聞くと、取りあげられて勝手に通話された。相手が誰か知らずにいきなり怒鳴るように言葉を放つ担任。

「今、この馬鹿生徒は説教中よ!電話なんかさせられるものですか!分かったら・・」

『誰だ貴様!!?一夏をどうしたと言うのだ!?あぁ!?』

電話からとてつもないボリュームで恐ろしい剣幕の声が聞こえた。相手が分かったのか、青ざめる担任。

「あ、その・・彼はいつになっても進路報告を出さないから・・」

『前に、進学はなし。進路は親戚関係から探して、就職にする。と書いていたのは提出したと聞いたが?』

「その就職先を書かないのですよ。ほら、ウチの学校もこの学校やこの企業に就職したというデータを出さないといけないので・・このままではごくつぶしというか・・」

『・・今何と言った?』

「へ・・?」

『私の弟をごくつぶしと言ったのか?』

「あ・・その・・」

『良いだろう。今からそこへ行く。私の弟をそこまでこけにするんだ、貴様は大層な経歴を持っているんだろうな?会って話をしようじゃないか。』

「い、いえいえ・・そろそろ帰そうと思っていましたので・・。」

『どうせ迎えに行くからいい。一夏に代われ。今すぐに。』

「は、はい・・。」

話はまるぎこえだった。その会話の後で携帯を受け取る。

「千冬姉?来るの?」

『あぁ、迎えに行くから。さっき学園に赴任する報告に行って来た藤岡さんと車で乗って帰って来た所だったからお願いして車を出してもらった。すでにそっちに向かっている。落ちついて待っていてくれ。』

「分かったよ。」

卒業前の冬で寒さも極まってきた今ごろに、自身は温かい恰好で俺には何も上着を着せずにストーブの無い指導室にそのまま俺達は待っていた。校舎裏で車の音がした後、廊下を走る音がしてドアが開く。そこにいたのは息を切らせた千冬姉だった。

「い、一夏‥その格好は・・。」

「う、うん・・ま、まぁ、説教でって事で・・急に連れて来られたからね・・。」

口を開くと唇が震えた。どうにか耐えていたがやっぱり寒い物は寒い。

「き・・貴様あぁぁぁああああ!!」

「ち、千冬姉!?」

担任を思いっきり殴り飛ばそうとした。世界最強がその拳を振ったのだ。ただじゃすまない事になる。すぐさまに飛びかかって押さえようとするが、代わりに俺がその拳を受ける事になった。

「がっふぅ・・あ、がはっ・・」

体制が崩れたままで半端な威力だったけど、腹に食らったのは不味かったようで、内臓に響くと俺は吐血した。

「は?・・お、織斑一夏・・君?っ血?!」

「す、すまない一夏!?大丈夫か、おい!?」

「けっふけふっ・・だ、大じょう・・こふっ・・」

床に咳をするごとに吐き出される赤に、教師は青ざめる。

「発作じゃないから・・衝撃による、はぁ・・、一時的な物だから・・千冬姉落ち着いて・・」

「あ・・あぁ、あぁああ、すまない・・守るべき私が・・うわあぁぁ!?」

「落ちつけ千冬さん!!」

藤岡さんがそこに来た。すぐに俺を抱えてその場で処置をする。吐血も一時的な物で、衝撃を受けた時に出る事が有る。大体はハンカチで誤魔化すが、今回は腹に衝撃が来た分でうずくまったので思いっきり床に吹いてしまった。そして、ソレを片付けて藤岡さんが千冬姉を叩く。

「君は冷静じゃなくなるのは分かる。今の一夏君は冷え切っていた。僕の上着で体温は戻って来たけど、君が冷静でいられなくて手を出したらその原因となった一夏君は自分のせいだと背負う事になる。ソレを先ずは分かってあげなくちゃ。そして・・この事は校長へお話します。今回のコレはあまりにもひどい・・。」

担任に向かって切れている藤岡さんはそこにあった椅子を蹴っ飛ばした。

「子供を守るべき教師が、なんなんだこの行動は!?それでもアンタは教師か!?教えてやろう。その秘密を抱えて一生懺悔して後悔するように・・」

「やめて!!やめてくれ!!」

俺は藤岡さんの服を立ちあがって掴む。千冬姉と同じように・・俺が楯になる様に。寒さで震えるけどソレは藤岡さんがあったかくてだんだんと収まる。

「・・・分かったよ一夏君。もう言わない。だが、そこの担任教師。今日見た事は忘れることです。いや、逆に言っておこう、同じような事が有れば今度は誰も止めません。壁に穴が開く様な威力の拳をその顔に受ける事になる事を覚えておいてください。そして、誰にもこの事は言ってはいけない。相談する事も、どうしてかも調べてはいけない。それが貴女の罪だから。」

俺は藤岡さんに抱えられて車に運ばれる。車の中で温かくして千冬姉に抱えられて、ゆっくりと抱きしめられた。暗くて分からないけど顔に掛る水は涙かな?泣かなくて良いよ。そう思って腕を伸ばして頭をなでた。その後、シートに横にされて毛布みたいな物をかけられた。藤岡さんは医者としてもしもの為に車にいつも載せているらしい。それで暖を取りつつ俺は横になる。千冬姉と藤岡さんは校長に話をしに行ったらしい。そして帰ってきた二人と共に帰宅。すぐに体を温める為に着替えさせられて温かい服に代えて居間でヒーターの前に横にされる。床じゃなくてクッションみたいな物を敷いているので固くもなくあったかいままゆっくりした。藤岡さんが温かくて飲みやすいスープを用意してくれて、ソレを飲んだら楽になって眠気が出て来た。全部飲みきれずにそこに少しぐらい残して俺は睡魔に負けた。

 

翌日に学校には行けず、藤岡さんもまた赴任までは少しあると言う事で泊りがけで看病してくれる事に。千冬姉を学園に送って戻ってきてくれた。昼も夜も料理を作ってくれていかに自分が病人なのかを知る事になる。今までは少しくらいつらくても自分一人でいたからか、その温かさに少しだけ落ち着きを感じた。コレが家族なのかなって・・そう思ったら少しだけ欲が出た。

 

覚悟したのにな・・欲をするだけつらいはずだと分かっているのに・・。

もう少しでも良いから、千冬姉や藤岡さんと一緒に幸せな家族みたいな環境で過ごして居たいと思ってしまった。

 

願わくばこの幸せを感じるままにゆっくりとした終わりをください。

そう願ったがそれは叶わない。

 

「織斑一夏君・・君はIS学園に行く事となった。」

街で見かけたイベントで展示している本物のISを触って動かしてしまったから。

 




テレビでH県の養殖のカキが水揚げ開始したと見て、ついつい涎が出ました。
身が大きくてうま味たっぷりのカキを、殻ごと炭火で焼いて醤油をたらして食べると絶品です。
あぁ、これだから寒い時期は楽しみなのです。
作者夏生まれですがあまり夏は好きじゃないので。
冬は寒いですが、それなりの楽しみってありますよね?

では、また次回。

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