[DEAR]~貴女と居た季節~   作:金宮 来人

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どうも、皆さま。
おはこんばんちわ、作者です。
本日から仮面ライダーの放送時間が変わっており、
早くから起きた為、少ししょんぼりした気分で見て居ました。
すると、新たに出て来た敵のライダー的な存在に興味津々。
やはり、敵や悪役ライダーが趣味にはまるようで、
主人公よりもそちらが好きになってしまう難儀な性格の様です。
そんな趣味話はこれくらいにしておきましょう。

では、本編へどうぞ。


04 進展と進行

アレから翌日。一日がかりで検査して急激な病気の進行は無いという事で、退院する事になった。治療費が多く掛るからもう病院に行くのはやめようかと思うほどの請求額だったが、そんな事は言うなと千冬姉に怒られた。

それから、調べると俺の病気は国から補助金が出るらしく、その申請を病院から手続きをしていた。すでにいくらかの振り込みは来ているのだが千冬姉はソレを認めないでいたらしい。藤岡さんが教えてくれた。ソレを認めると、一夏が死ぬと認めてしまうのが怖いと言っていたらしい。オレがそれに同意して受け取る口座を教えた。そして、翌月から今までの分も合わせて金額が振り込まれ、通院費もそれで賄えるようになり気が落ちついた。

『どうせ居なくなるなら俺に使う金は少なくて良いのに。』

そう思ってしまうのはしょうがないと思う。俺は千冬姉に幸せになってほしい。友人もそうだけど、一番がやっぱり千冬姉だから。そう思っていた。通院したとある日、ふと急に空を高い所から見たくて屋上で空を見上げていると、息を切らして走ってきた藤岡さんが俺の肩を押さえて来た。俺は驚いた。

「まだ君には時間が残っているんだから、諦めたら駄目だ!お姉さんも・・千冬さんも頑張っているんだから!!」

そう言って肩を力強く掴む。そこで気がつく。この人はおそらく、俺が悲観して死のうと思っているんだと勘違いしたのだと。

そう気がついたら笑ってしまった。しかも盛大に。というか、千冬さんって覚えて名前呼びとか結構気になっているんじゃないか。

笑われた相手は急に笑い出すから顔がポカーンとしていた。

「俺は死ぬ気でここに来たんじゃありませんよ。ただ、町を覚えておきたかっただけです。」

そう言うとやっと自分の勘違いに気がついたのか、顔を押さえてへたり込んだ。

「優しいですね。」「今、追い打ち勘弁して。」

そう会話した時は顔が真っ赤だった。やっぱりこの人なら任せられる。もし、この人にその気が有るなら・・。そう思った俺は、休みの日を聞いて千冬姉と一緒の日に食事に招待する気になった。先ずは正直に聞いておく。

「真面目な話です。・・俺の姉、織斑千冬についてどう思いますか?」

「・・憧れるよ。強くて、かっこいい。そして、弟の君を見ている時の優しい目にときめきを覚えた事は本当だ。でも、・・僕と彼女じゃ時間が・・それにつり合わないし・・。」

「俺からすれば、千冬姉にはただ優しいだけでも、強いだけでも釣り合う人はいません。強い心と優しさを持ち合わせている貴方は、俺から見ても結構いい線だと思います。もし、千冬姉と付き合えるなら・・嬉しいですか?」

「それは・・嬉しいさ。あんな美人はそうはいないし・・それに女尊男卑という訳でもない。この世の中、そんな相手なら、嬉しいに決まってるよ。」

「・・・わかりました。」

真剣に目を合わせて話した結果合格かな。先ずは自信をつけてもらいたいけど・・それは千冬姉と一緒なら引っ張ってもらって自然とつけれるだろう。あの姉なら・・。

「質問をいくつかします。まず、相手には料理などの家事スキルを求めますか?二つ目、貴方自身は家事が出来ますか?三つめ、研修医の期間が終わったら学園などの保険医などでもかまいませんか?」

「一つ目と二つ目は同時に言えるね。僕は家事が得意で今も自炊してるし掃除洗濯は得意さ。実家は旅館で兄が居るから継ぐ必要がなくて、僕は昔からなりたかった医者を目指してここまで来たからその一環で一人暮らしは予想して料理は旅館の厨房で覚えた。簡単な物から手の込んだ物も作れるぐらいさ。三つ目は・・もしかして本気で僕と千冬さんをくっつけようと考えての質問?医者になると云うのが夢な理由は、人を救いたいから。それがたとえ保険医でも、学校の危険から人を救えるなら問題は無いよ。大きな病院がいいとか、上に行きたいとかそういう欲は無いしね。ただ、人は救いたいからという理由で勉強する欲はあるさ。」

そう言って俺の横に座る。

「昔、大怪我をした事が合ってね。今も胸にその傷跡が有るんだけど・・すぐに手当てしなくちゃ死ぬような大けがだ。ソレを丁度通りがかった医者が診てくれてね。適切な応急手当がすぐにできたから今僕はここに居る様な物なんだ。その時から、医者に憧れた。僕も同じように人の命を救って、感謝されたいと思ってね。でも現実はそうじゃなかった。実際に救えない命はたくさんある。ソレを救えなかった時、その大切な人からは罵倒される。どうして救ってくれなかったのか、助けてくれなかったのかと・・。そう言う時は心が痛い。でも、君のお姉さんはどんなにつらくても戦いぬいて世界の頂点に輝いた。だから、僕は君のお姉さんに憧れてて・・うん、お近づきになれたらとてもうれしいよ。」

頬を染めながらも、照れ笑いでこっちに笑顔を向けた。そうか‥それなら。

「貴方にチャンスをあげるよう、俺が機会を作ります。」

この人には頑張ってもらいたい物だ。

 

そして、俺が通院する時になるべく千冬姉を一緒にするようにした。理由は言わずもがなだけど。千冬姉には途中で倒れたらまずいから、なるべく居る時には一緒がいいかと思って。と言っている。まぁ、実際は藤岡さんと会わせる機会を増やす為だ。そして、前に送ってもらったお礼と称して千冬姉と藤岡さんの休みの日を合わせた日に食事をふるまう事にした。旅館で鍛えた舌を持つ藤岡さんには少し味が劣るだろうが、それでも自分なりの頑張った料理を出した。途中、心配だからと言いつつキッチンまで来て後ろで見ていたが、途中で軽く作らせてと言われて一品作られた。ソレは茶碗蒸しだったが、非常に美味しくて千冬姉もびっくりしていた。コレだけの味が作れる人なら料理は十分である。まぁ、洗濯等は千冬姉をみっちり鍛えよう。女性下着を洗わせるには早すぎるし、どちらかというとそこら辺は千冬姉に頑張ってもらいたいから。じゃないと女性としての威厳がボロボロになる。聞く所によると裁縫も得意で研修医のボタンが取れかけたりしていたら自身で直すらしい。もし、患者さんに何かあったら困るからと。どこまでできている人なんだこの人。

 

そして、いくらかの食事の機会を作った所で千冬姉にばれた。

「一夏、お前は、私と藤岡さんが付き合うように仕向けているのか?」

「あー、・・ばれたなら正直に言おう。その通りだ。千冬姉もだけどそれよりも同じ男として、藤岡さんを応援してるからというのもある。」

「・・?藤岡さんを応援?お前が無理やりくっつけようとしてるんじゃないのか?」

「あぁ、俺と千冬姉は似てるよ。前は人の意識ってあまり気にしなかったからね。最近は少しずつ分かってきたんだけど・・。ソレは置いとこう。ばらしてしまうと、藤岡さんは千冬姉を意識してるよ。目を見て真剣に、君のお姉さんに憧れているって言われたし。」

「・・は?」

そう言うと急に千冬姉が顔を真っ赤にしだした。あれ・・かなり脈あり?

「そ、そんな・・私みたいなガサツな女に憧れるとか・・」

「そこら辺、気にする事は無いよ。家事は向こうが十分できるから大丈夫だし、前に食べた料理もおいしかったから保障できる。かっこよくて、美人で、それでいて俺を心配してみている時の優しい目が綺麗だったって俺自身の目の前で言われたし。」

「あわわ・・た、確かに藤岡さんは頼りになるし、一夏の事でもお世話になりっぱなしだし・・」

「後さ、前に町を見下ろして覚えて居たくてさ、病院で屋上に行った時が有るんだけど、そんときに慌てて俺を抑えに来た事が有った。勘違いだったけど凄く親身になって優しい人だって分かった。もし、付き合えるなら?って聞いたら嬉しいって言ってたぜ。」

「あわわわ・・そ、そんな・・」

顔が真っ赤になってしまったので、ここらでとめよう。いや、千冬姉も意識しだしてたんだと思うとびっくりだ。あの、昔は剣術ばかりで、ドイツから帰って来てから仕事と酒ばっかりだった姉が色恋か・・。

 

慌てる千冬姉を見て思った事は、

姉が取られるとかの嫉妬とか心配じゃなくて安堵だった。

正直、安心した。

コレで上手く行くなら、思い残す事は何も無い。

大切な人が幸せに過ごすことほどうれしい事は無い。

これで安心して逝ける。

 

そう思ってしまった。そして・・発作が起きた。

数日の入院。今までは翌日には退院できていたのが、検査だけじゃなくて点滴と投薬が必要になった。ソレを機に通院の日も増えた。藤岡さんが自己申告から俺の送り迎えや病院内での生活の補佐をしてくれる担当になったと教えてくれた。この人を兄と呼ばなくてはならなくなる日がそう遠くないのかもしれないが、その時に俺が居ればいいな、と思ってしまった。

 

覚悟は決めたはずなのにある種の未練が出来た。

やはり、人を思うとつらい。

大事な人が増えるほど心がすり減って行くようだ。

鈴や弾、数馬を騙して、いい学校に行こうとしてるから勉強や塾に行っていると言って付き合わなくなった。

 

確実に『その日』は近付いている。

 




感想・評価、誤字脱字の訂正等お待ちしております。
というか、高評価しかついて無くて作者びっくり。
あわあわとしてしまいました。
思う通りに評価してくださってかまわないので、
ご自身がどう思うか評価していただけると嬉しいです。

ではまた次回。

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