[DEAR]~貴女と居た季節~   作:金宮 来人

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どうも。
最近、欲しいものが手に入らなくて困っている作者です。
仮面ライダーが好きで、前のエグゼイドのガシャットが欲しいのですが、
どうにもほしい分だけ売ってないという事で、頭を悩ませています。
初めは見た目がアレだと思いましたが、
シナリオや追加装備で変身した後はかなり好きです。
悪役ライダーが一番好きですが。【パラド・ゲンム・クロノスなど】
ビルドはまぁ・・始まったばかりなので何とも。
と、私の趣味の話はここら辺にして、本編にどうぞ。


03 勇気と無謀は違うと知った

アレから一年、千冬姉も帰って来た。今はたまに家に帰って来るが、仕事先の寮に泊まることが多く月に一・二回くらいの頻度だ。それでも、一日一回の電話は無くならない。時差を考える事がない分気楽だ。それから、前は無かった新しい行動が増えた。先ず毎月、病院に通って経過を見ている。良くなる事は無いが、目に見えて悪化はしていない。じわじわとゆっくり時間をかけて蝕まれている。もう死ぬのは怖くは無い。それでも、千冬姉がついてくる時はいつも悲壮な顔で、辛そうな顔で、ソレを見るのが一番つらい。

教官の期間を終えてドイツから帰って来た日に、豪華な夕食を作り、食べた後。真剣な話をしたいとリビングで正面に座りあい、今後について話し合った。

「俺はもう覚悟したよ。」と告げた時、泣き付かれて抱きしめられた。頭を撫でて背中を優しくポンポンと叩き、「いぢか、いぢがぁ・・」と上手く言葉にならない思いを受け止めた。怒られるより、泣かれる方が来るもんだ。諦めたくないけど、どうしようもない現実に壊れそうになっているのは、俺よりもこの人だと実感した。

 それからは近くに居るからか少しは落ち着いたがそれでも心配性な所は変わらず、家に居る時にどこかに出かけるようなら、必ず「大丈夫か?ついて行こうか?」と聞いてくる。近くのスーパーに行くだけと伝えても、一緒に来ようとするが、「せっかくの休みはゆっくりして」と伝えて買い物に出かける。

 たまに来ていた鈴も、千冬姉が帰って来てからはあまり来なくなった。どうやら、俺を一人にしていた千冬姉があまり好きじゃないらしい。仕方ない事だと伝えても、やっぱり何故か距離を取ろうとする。俺としては他にいない女の子の友人と姉なんだから女性同士で仲良くしてほしいものだ。

 最近は千冬姉に料理、洗濯、掃除なども教えるのが増えた。簡単な料理を一人でも作れるようになるまでは、失敗の連続だった。塩と砂糖を間違える。なんて事はよくあることで、ケチャップとタバスコを間違えた時は大変な事になった。材料がもったいないし、千冬姉が作ってくれた物だからとケチャップで味付けし直して辛いのを食べた。その時は、「自分が間違えたんだから、体に負担がかかる様な事はやめてくれ」と泣きながら止めようとした。食べた後で、

「今度はケチャップで美味しいのを頼むね。」

と言ったら、号泣された。まったく、もう・・。

 

まだ時間はあるよ。大丈夫。だから、・・泣かないでほしい。

俺は大丈夫だから。

千冬姉が大丈夫になってもらわなくちゃ、笑顔で逝けないよ。

だから、笑おう。思い出を作ろう?あんなことあったなって笑って思い出せる記憶を、思い出を作ろう?

大事な家族なんだからさ。

 

中学校で新しく友人が増えた。

男子で中学の上級生から嫌がらせを受けていた生徒と、そいつを守るために喧嘩を売った、血の気の多い熱血漢。昔、千冬姉が帰って来るまで虐められていた俺は自身の過去を思い出した。そして、上級生の一方的な状況に見かねて俺もそこに加わり喧嘩をした。実際、五人対二人、いや五人対一人の状態だったから。勇気というより無謀だと思った。入学したての自分達と上級生の体つきも違いすぎた。だから、自然と体が動いた。

その行動は勇気ある行動じゃない、無謀だって思ったから。

それは自分の様な『先が決まっている様な奴』がする行動だと思ったから

そして、虐められてた生徒の名前は御手洗数馬。熱血漢は五反田弾と名乗った。

いじめられた原因は、昔から近所で知っていて『なよなよ』とした性格と体から虐められていたと。それが続いていて、更に悪い生徒と付き合いだして、最近は行動がエスカレートして来たそうだ。弾の方はソレを許せないというか、弱い者いじめは嫌いという正義的な感情でいきなり喧嘩を売ったらしい。

二人を助けて喧嘩して帰った俺は千冬姉に心配されまくった。実際、胸を殴られた時にかなり痛みが走ったが、耐えて殴り返したりしていたのでボロボロだった。

理由を言ったら怒るか、泣くか、良い事をしたと褒めるか、分からなくなったと言って泣き始めた。結局、泣くんじゃん。

そして、翌日に顔を合わせた時には友人になってくれって言われた。俺は一度断った。

元々、過去に嫌がらせを受けた事が有るから自分の過去を思い出して、なんとなく助けただけだと言って友人になる事を断った。

大事な人が増えると辛くなるのは分かってるから。悲しませる人は少ない方がいいから。

しかし、それでもあまりにもしつこいので、あきらめて適当な付き合いにしようと思った。

そしたら、鈴と弾が気が合ってしまい、この四人が居るのが普通になった。

上級生がやり返しに来た時は、鈴が一番ノリノリでボコボコにしていたのには驚いた。

 

こうして俺達は仲良く成って行った。悪友とも言っていい。

中学の学園祭にはサプライズでいきなりバンド演奏を中庭でしたり、四人で帰りにゲーセン寄ったりと普通の学生らしい生活をした。友人が居る事で劇的に生活が変わったし、何より笑う様になった気がした。

そして、ソレを見た千冬姉も少しずつではあるけど、安心して笑う様になった。いつも心配そうな顔をしていたのがいつしか、安心している顔になっていた。

 

それから、・・・俺は最初の困難にして、願いがかなう運命の時を迎えた。

 

軽い発作が起きる様に成り始めた。

初めての発作は料理中、千冬姉が帰ってきている日だったのが幸いだった。

野菜を切っている途中で胸が痛み、苦しくなり始めた。

包丁を置いてまな板を落とさないように、キッチンでうずくまった。急に音が止まり俺が見えなくなったのに気がついた千冬姉が慌てて駆けこんで来た。

すぐさま近くのかかりつけ病院で診察。丁度いつもの担当医師が当直ですぐさま処置をされる。点滴を受けてベットで横になる俺の手をぎゅっと握って、何かを願う様におでこにくっつける千冬姉。俺よりももっと辛そうな顔をしていた。そして、そのまま千冬姉は帰ろうとせず、そこで夜を明かそうとするので、

「料理の支度がもったいないから。多分千冬姉でも作れる野菜炒めに使える材料しか切って無いから、ソレを使ってご飯を食べて明日元気になってから迎えに来て。」

というとふらふらしながら帰る事に。その途中、ドアを出た所で研修医の男性とぶつかったらしい。ドアの向こうで急にこける音がしてこっちが驚いた。慌ててつらい体を起してドアを開けるとその研修医の男性と千冬姉が謝りあっていた。そして、俺を見て二人が慌てる事になる。すぐに研修医の男性が俺をベットに戻してくれて、二人でお礼を言う事に。それから、ふらふらしている千冬姉を心配してくれて家まで送ってくれるという事になった。一応何度も来ているのでその研修医の事は知っていた。名前は《藤岡 宏樹》。二十代で人にやさしくて困った人をほおっておけない割とイケメンな優男。良く老人にも声をかけて世間話したり、子供の事を気にかけていたりしたのを見た。個人的には、もてるんじゃないかと思うが、本人はあまりそう言うのに興味がないというか、恋人などに裂く時間がないらしい。研修医だから覚える事が多くて大変だと言っていたのを覚えている。小学時代の俺を見て悲壮な顔をしたのを見たのが第一印象だ。この男はもしかすると情に押しつぶされるんじゃないかと達観した考えでいるが・・大事な人が出来たらそれも変わるんじゃないかという期待もある。

そして、千冬姉を家に送ってくれてすぐに返ってきて俺に報告してくれた点でも、少し見所がある。心配していると思ったからと言っていたが・・、もしかするとこの人なら千冬姉を支えれるんじゃないかという期待もあった。

 

出来る事なら、幸せになってほしい。

誰がとは言わない。

俺に関わってきた大切な人が。

これから大切に成る人が。

幸せに成ってほしいと心から願う。

 




【藤岡宏樹さん】がオリキャラでレギュラーキャラです。
この後もシナリオにしっかりと食いこんでいくので、
よろしくお願いします。
ちなみに、私が仮面ライダーが好きという事で、
名字を【藤岡】にしました。

もしも、読んでいる方の近くに同姓同名の方が居ても、
その方とは何の関係もありませんのであしからず。

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