【未完】フェバル 〜剣聖プロトタイプ〜   作:暴虐の納豆菌

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お久しぶりでぇーーーーす!!

最近、二次創作者の中で私が一番フェバルの事知らないんじゃないかな?と、不安になってる今日この頃。設定集は読み込んでるけど、どうしても、ありえない所が出てくるかもしれません。そんな時はやさしく指摘してください。できる限り修正します。

それはそうと、レストさん、設定集に星ごとの魔法の名前とか書いてくれませんかね?アレ、いちいち読み返して確認するの何気にめんどくさいでござる。


第11話 冒険者の真似事

 

 

「ーーアミ!そっち行った!」

「わかってる!」

 

 

今、私たちは路地裏を疾走している。なぜかと言うと、それはーーーネズミを追っているからだ。

 

 

「しねぇえええ!!」

「ちぃ……!」

 

 

屋根から飛び降りながら大上段からの振り下ろし。アミカの気剣による攻撃は地面にクレーターを残す程の威力を見せたが、難なくネズミに避けられる。

 

 

「へっ、そんな大振りじゃ、当たらねぇよ!」

 

「ーーエネ!」

「ーー了解……!」

 

 

ネズミが挑発しながら逃げる。だが、そんな挑発痛くも痒くも無い。ーーそして、人通りの多い大通りに出ようとしたタイミングで、【封縛】を発動する。

 

 

「……へっ?」

 

 

虚空から鎖が伸びてくる光景にネズミが素っ頓狂な声を上げる。その隙を逃す理由は無い。【封縛】の鎖はネズミが大通りに出る一歩手前で、その体を縛り上げた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

次元連結世界(クルシュマナ)

 

ここは、四つの星が隣接して存在し、四つの大気層が融合している極めて特殊な星だ。加えて、『門』と呼ばれる、別々の星の空間に繋がった穴が偶発的に顕われる現象により、稀に人を攫う『神隠し』として星間同士を移動する出来事が起きるらしい。

 

そんな四つの星は、星ごとに違う生態系を築いており、其々が神を名乗っている。そのうち、私、獣人の姿は『神獣種』と呼ばれる連結世界の神たる種族の一人とかなり似ているらしく、初めてアミカに会った時、私が神獣種に間違えられたのはこれが原因だ。

 

そんな、四つの星の知的生命体各々が神を名乗る世界で、争いが無いはずもなく。

その昔400年に渡る星間戦争があったそうだが、落とし所を見失い泥沼化した辺りで、今まで不干渉を貫き、傍観に徹してきた四つの星全ての『長』がその星の『英雄』を人柱に強引な形で戦争を終結させた。

 

以来、四つの星での交流は無い。というか、交流を禁止されている。

だが、この星間戦争で一番被害が出た星『人族の星』は違う。彼らは別に神を名乗っていた訳でも無かったし、他の星の知的生命体の様に強大な力も持たなかった。

 

加えて、他の三つの星の戦争に地の利を持たせず公平性を持たせるためなのか、他の星が戦争の場として真っ先に選んだのが『人族の星』だった為、どちらかと言うと被害者側だ。

彼ら『人族』が戦争に参加したのも、『神』を名乗る『外敵』三勢力に抗う為でしか無い。

 

だが、素で強力な力を持つ他の勢力と違い、貧弱な人族は当然、被害が大きかった。中でも、『神』にあやかろうとしたのか裏切り者も多く、その損害の補填(というか、少しでも反撃したかったのかもしれない)のために各星の『門』を管理する役目を請け負い、他の星の星間流通を支配する地位についた。まぁ、交流が禁止されてる中で流通も何もないのだが、これはせめてもの抵抗の一つだろう。他の星の長も長い間、自分達の都合で戦場に巻き込んでしまった人族には頭が上がらなかったのか、快くその地位を授けてくれた。ーーーという歴史があるらしい。

 

 

尚、その戦争で一番人族から出たのが、所謂、裏切り者である。『神』の名は、些か人の身には眩しすぎたのだ。結果、今でも「神の御許に帰還する」という名目を掲げて『人族の星』ではしばしば裏切り者の子孫が問題を起こす。

そんな感じで星間戦争から200年経った今、その問題に対応するのも、冒険者の仕事の一つだ。

 

 

「うーん……やっぱ報酬安いなぁ……」

「小物だったし、当たり前」

 

 

そんな中、私たちは冒険者の真似事をアミカと一緒にしていた。

 

より実戦形式で修行したかったのと、私がこの世界の事を知らなすぎたからだ。依頼を通じてこの世界の事を戦闘経験のついでに教えてくれるらしいので、アミカに付いて冒険者ギルドに加入した。

 

さっきも、一人、ネズミーーー裏切り者の子孫の事。神獣種の中でも狡猾で裏切りの多い存在であるネズミの神獣にあやかって名付けられた通称。『神』に関係ある事とその種族特性がマッチして今では大体この通り名で呼ぶーーーを狩って来たところだ。

アミカと二人で追い立てると、ネズミは大体、撒く為に人通りの多い大通りに出て人混みに紛れようとする為、そこを不意をついて【封縛】の鎖で捕まえるのが、お約束となっている。勿論、経験を積んだネズミには効果はないが、今のところ失敗はしていない。

 

 

「まぁ、報酬は置いといても、最近食材がなんか高いのよね。そろそろ大規模な収入がないと店の在庫が足りなくなる……」

「その節は……」

「ああ、謝らなくていいから。貴女の注文間違えにも慣れたし」

 

 

そうだ。こうして、冒険者の真似事をしているのは、私が注文を間違えまくったお陰で店の食料が少なくなったから、という理由もある。

ーーー早い話が、今月ピンチだから働いてこい、という事だ。あの時のクルシュさんの笑顔は怖かった……。

 

 

「そろそろ冒険者業にも慣れたし、大きな討伐依頼でも行く?ヒュドラ討伐とか、流石に普通じゃできない依頼も、エネの【封縛】があれば、デカイ的でしかないしね」

「賛成。そろそろ手柄を立てなきゃ、クルシュさんに申し訳ない」

「決まりね。じゃあ、後で依頼申請に行きましょう」

 

 

そんな約束をして、帰る。その日は、イメトレを欠かさなかった。

でも、私たちならどんな敵も勝てる。そう、完全に信じきっていたから、不安は微塵もなかった。

アミカとも、いいパートナーになって来た。ライバルとしても、これほどの巡り合わせは早々ないだろう。

 

ーーーそうして、幸せの中で家に帰り、私は眠りについた。

 

 

 

ーーーそんな淡い幸せは、近いうちに砕かれる事になるとも知らずに。




そういえば、気剣があるって事はクルシュマナってジルフさんの影響がある星ってコトなんだよなぁ……。

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