■
一 フェザー「噂の騎空団について教えてくれ!!」
■
【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】ですか~?ええ、勿論しってますよ~。
以前からお得意様だった方のご紹介でしたが~想像以上の方で驚きましたね~。同じ出身のジータさん。ああ、そうですよ~あの【ジータとゆかいな仲間たち】のジータさんです~。
彼女と同じ出身ではありますが、まさかあそこまで強いとは思いませんでしたよ~。今ではすっかりお得意様です~。
それに~あの方は、普通の騎空団では頼めない依頼を押しつ……任せられる頼もしい方で、嫌な顔一つせず依頼を受けてくれる優しい方なんですよ~?
あの方の特徴ですか~?うぅ~~……特徴は無いですねぇ~……。ええ、本当にないんですよ~。しいて言うなら身長がヒューマンの平均男性よりわずかに高いぐらいでしょうか~。けれどそれもほんの少しですからね~。街なんかの人が多い場所で、あの方一人だときっと気が付きませんね~。
ただその分やたらめったら強い集団にいる異常に強い地味な少年、と気にしていればわかるかも知れないですね~。あの方、いつも面倒事に巻き込まれますから~。
ええ、そうなんです~。基本あの方は、人畜無害な闘いを好まない人間ですが、状況がそれを許してくれないんですね~。この空域じゃあ、あの人に並ぶトラブルホイホイはいないと思いますよ~。
その分面倒な事に慣れているので~、先ほど言ったようにそんなややこしい依頼を押しつ……いえいえ頼むには、これ以上ない騎空団ですよ~。それ以外でもトラブルを起こす騎空士や人物が居る時なんかも……うふふ、喜んで仲間として迎えてくれますよ~。強いだけじゃなく本当に、懐の広い方ですから~。今度も古戦場へ行ってもらい、ちょっと珍しい武器を探してもらおうかと~……――――――
「てな感じで、教えてくれたぜ!」
「……あ、そう」
―――――――――
■
一 フェイトエピソード 回る回る、思考は回る
■
話すのが好きなのだろうか。
答えを得るのが目的なのだろうか。
それが何時からそうであったか、覚えてはいない。思考を廻らせ己で問い、己で思考する。答えがあろうはずはない
それは哲学である。底の見えぬ空を落ち続けるかのような、答えの無い問い。先の見えぬ道を歩き続けるような問い。答えを求め、それでいて求めてはいない。追及する、それが哲学だろうか。だが追及する事に囚われてしまえば、それが答えになってしまう。それは答えなのか。
彼女の思考の空間には、常に問いと一時の答え、そして新たな問いが生まれては、消えていく。完全な答えなどなく、それを思考し空を漂う。彼女は、黙々と考える。
戯れに人に問う時もある。
難解、奇天烈。はなから答えらしい答えなど無い問いを問われ、誰もが顔をしかめる。馬鹿にしてるのかと怒る者もいる。考え続けて疲れ果てる者もいる。知ったような口でつまらぬ答えを言う者もいる。だが誰もが総じて困り顔だ。彼女は、それがたまらなく面白かった。旅の中、困る顔が面白そうな人を見つけては、いつも声をかけて問いかけた。広い空の中、一人一人の出会いを大切にし、面白く問い続けた。
だから今回も問う。一際困り顔が面白そうな少年を見つけたから。
「おっと、操作が……あっ」
「ぐはあっ!?」
■
二 前が見えねえ
■
人との出会いって言うのは、大概唐突だけれどさ、俺の出会いがことごとく唐突過ぎて困る。星晶戦隊からのラムレッダしかりフェザー君しかり。しかし船で移動中に頭の上から降ってきて、そいつが乗ってるデケー独楽の先が顔に刺さる経験ってある?俺初めてだったわ。たぶん全空探しても俺しかいないだろう。
「いやあ……ごめんね少年。急な風でクリュプトンの操作が狂ってしまった……」
「そう思うならどいてくれ」
空が晴れていい天気だから、甲板で風にでもあたろうかと思って空を見上げてみればこれよ。急になんか不審物が落ちてくると思ったら一気に俺の顔面に刺さりやがった。もう体験したくない痛みランク堂々のNo1である、【格闘戦の特訓でばあさんに関節全部外され、ぶっかけられたエリクシールによって【ベキベキ】と一瞬で治るのと同時に訪れる関節痛】に次ぐ痛みかも知れない。死ぬほど痛いぞ。
「団長!何か降りて来て団長の顔に刺さるのが見えたが……うん?誰だ!!」
「また変な奴引き寄せたなあ相棒」
「サッキ、クシャミシタラ、ウッカリ風吹カセテ何カ落トシテシマッタガ特ニ被害ハナイナ」
俺の珍事を目撃したフェザー君が駆けつける。その騒ぎを聞きつけゾロゾロ他の奴らが来るが、お前らちゃんと俺の心配しろ。と言うかお前が原因かティアマト。バッチリ被害でとるわ、俺の顔がちょっと沈んだぞ。
「やあやあ、皆様。お騒がせして申し訳ない。申し訳ないついでで、突然ながらお一つ問うね?」
「問うな問うな、何なんだあんた」
「君は、君達は空を飛んでいるのかな?それとも飛んでいないのかな?」
無視かよ。
〈なんだなんだ、何かと思えば頓智か?〉
「わ、魔物?」
〈魔物ではない〉
あ、そいつ一応星晶獣(笑)なんですよ。省エネのせいでデカい蛇かウナギにしか見えないけど。
「おやおや……星晶獣に地味な少年……もしや、これが噂の騎空団かな?」
「うむ、主殿を地味と感じたか。その通りだ」
「じゃあ噂の騎空団だ……あは!」
シュヴァリエ、その言い方ないんじゃない?
「これは面白い答えが聞けそうだね……あは。さあ、答えを聞かせておくれ」
「ヤレヤレ……飛ンデイルカナド……私ハ、風ノ星晶獣ティアマト。常ニ飛行シ飛ブノハ当然ダ」
「ほうほう?それは確かに……けれど風の星晶獣様?風の星晶獣ならば、風そのものでもありますね」
「ウン?」
「そうであれば、あなたは飛ぶのではない、空に存在するだけ、あるいは浮かんでるだけなのではないですか?」
「イヤ、ソレモ飛ンデイルダロウ」
「しかし浮かぶのであれば、水でもできますね。空中水中、どちらも上へは上がる、下へ下がる。どれも同じです」
「ウン……ウン?ソレジャア、泳イデル事ニナッテシマウゾ」
「ならあなたは、実は空を泳いでいるのであって、飛んではいないのではないのかな?」
「エ、エ……?イヤ、私ハ飛ンデ……アレ、ケド前空デクロールシタラ進メタシ……アレェ?」
ティアマト?君人間に言いくるめられているよ、大丈夫?と言うかクロールしたの?何してんの、暇なの?ポート・ブリーズのティアマト(真)が泣いてるぞ。
「じゃあそこの君、君は飛んでるのかな?それとも飛んでないのかな?」
「私か?」
次はゾーイが指名されてしまった。え?これ続けるの?誰も文句言わないから言いにくいじゃん。
「ふむ……深い問いだ。我々は今、騎空艇に乗り飛んでいる。そういう意味であれば飛んではいるだろう。だが我々自身は、騎空艇に立っている。であれば、飛んでいると言い難い……ううむ」
「あは……君の困り顔、かわいいね」
「そうか、ありがとう……飛ぶ、飛行とは……」
根が真面目なゾーイは、適当な返事をしてそのまま思考の海に沈んでしまった。
「あは……いいねえ、人の困り顔って可愛いと思わないかい?」
ゾーイの困り顔がカワイイのは、全面的に同意したい。
「それはともかく、結局あんた何者なの?」
「ああ、すまない自己紹介が遅れたね……私はフィラソピラ、人は私を賢者と呼び、人は私を哲学者とも呼ぶ」
ああ、なるほど。つまり面倒な方なんですね、お帰り下さい。
「あは……君のさっきから次々変わる困り顔、すごくいいね」
まるでうれしくねえ。顔について地味だとかしか言われないうえ、困り顔褒められたってどうせいと言うのか。
「君の答えは面白そうだ……だから、君の問いの答えは最後に聞くよ。さあ、他の皆の答えもきかせておくれ」
そう言ってフィラソピラが皆に答えを促した。というか、勝手にハードルあげるな、おいコラ。
しかし、こんな答えの無い問いなど、みんな大体困り果てるだけで終わる。たとえ(笑)であっても理性派のリヴァイアサンと、変態状態で無ければ真面目のシュヴァリエなどは、色々と答えを出しては彼女と問答をするが、結局頭を捻るばかり。癒し組は、そもそもよくわかってない。
「おぶぇ……と、トぶぅえ……うぶっ」
お前はなんで来たラムレッダ。ある意味ぶっ飛んでるわ。一人だと寂しい?いいから部屋で寝てなさい。コロッサス、介護してあげな。
「よくわからないから、拳で語り合おうぜ!!」
これは論外である。物理学としての哲学でなく、哲学(物理)とは、たぶんフェザー君と同じ人種じゃないと通用しないだろう。見なさい、フィラソピラが少し引いている。
「オイラってオリジナルビィをモデルにしてるから羽と言うより魔力飛行に近いんだよな……けど、キラービィ形態なら、露骨な羽の飛行になれるぜ!」
やめろ、露骨とか言うな。あとそれ以上不定形生物ぶりを見せないでくれ。
「みんな面白い答えばかりだね……あは」
一人拳で語り合おうとして、一人吐きそうだったがな。
さて、面倒な事に俺がトリである。団員とフィラソピラの期待が無駄に大きい。勘弁してくれ、俺は哲学なんて柄ではないのに。大体なんだってんだい、飛んでるかどうかなんて、それ聞いてどうすんの?言い方で答えが変わってしまう事もあるじゃないか。
「さあ、それじゃあ君の答え……聞かせておくれ?」
満足いく答えじゃなくても文句言うなよ、ちくしょうめこの野郎。
■
三 困り顔しかしない男
■
「ガッカリダナ、実ニガッカリナ男ダ」
「うるさい」
「オマエノ程度ガ知レル、ガッカリナ答エダッタ」
「うるさい」
ティアマトが食堂で不貞腐れている俺の後ろから、うだうだとうるさい。
「アンダケ引ッ張ッテ置イテ、アレハナイ」
「うるさい」
「ガッカリ団長ダ、オマエハ」
「うるさい」
まったくもってうるさい星晶獣だ。誰がガッカリ団長だ。俺がガッカリ団長ならお前は、ガッカリ星晶獣だよ。バーカバーカ。
「オオトリデ、一番最後ノ答エガ『宿題にしちゃダメ?』ハナイ」
「うるさいっての」
いくら頭捻ってもそれらしい答えが出ず、とっさに逃げの答えを出してしまった。
だってわかんねーもん、そんなパッとでないよ答え。
「まあまあ……私は実におもしろかったから、いいじゃないか……あは」
俺の前でくつろぐフィラソピラ。
ちゃっかりいる、フィラソピラ。
「結局ついて来るの?」
「勿論、君の困り顔は実に面白いからね……」
やかましい。
俺の『宿題にして』発言を受け、面食らったフィラソピラは、すぐにケラケラと鈴の様な声で笑った。どうも彼女のツボにはまる発言だったようで、興味を惹かれてしまったらしい。
「その後の君が言った”いいわけ”を言う時の顔は、実に可愛かったよ……今思い出しても、あは」
あの時、空気が死んだのを察した俺は、直ぐに弁解しだしてしまい、余計に彼女を楽しませてしまった。あーでもない、こーでもない、つまり今は思いつかないけど、きっとあとでいい答えが云々……その時の俺の顔の百面相がよほど愉快であったらしい。俺としては複雑だ。
「それに、宿題なんだろう?楽しみだな……空の果て、星の島を目指す先に出る君の答え」
更に俺達が星の島イスタルシアを目指している事を話すと尚更興味を持ったようで、雑用でも構わないから連れて行っておくれ、と頼まれてしまった。聞けば回復魔法の心得もあると言うので、依頼などでも頼れるだろうと思い仲間に迎えた。
「(*´ω`)カンゲイスルヨ」
「お菓子、あるから……食べてね」
常に通常運転なのは、癒し組も変わらずで早速仲間になったフィラソピラに色とりどりの菓子を出して……出して……。
「まて、何だこの高そうな菓子は」
「ああ、前買い出しに行った時、団長が買うよう言ってたと聞いたから買ったんだが」
フェザー君、それ初耳なんだけど。誰に聞いたの?
「うん?買い物に行く時にティアマトが」
「(´・ω・`)アッ」
「に、逃げた」
後ろを向いたが、そこには僅かにそよ風が残るのみであった。
「……フィラソピラ、このお菓子は入団記念だから全部食べていいよ」
「わあ……全部いいのかい?」
「ああ、勿論……」
「じゃあ、全部は流石に無理だし、みんなで食べようか」
俺はいいや、食べても虚しさしかなさそうだ。
しかしあれである。シェロさんと会った時が初ハーヴィンとの出会いであったが、本当に小柄だ。歳聞いても「秘密」との事なので、想像がつかない。まあ、これはハーヴィン共通の特徴であり、彼等そして彼女等にとっての種族的悩みともいえる。ザンクティンゼルを出て色々な島に行くとやはりハーヴィン族をちょいちょい見かけるが男女問わず、なんと言うかカワイイので癒される俺がいる。だがそう思われるのを嫌うハーヴィンも少なくない。そりゃそうだ、もし大人なら「カワイイ」とかより「大人」として見てほしいだろう。多種族との交流をする際、ハーヴィン本人達からすれば悩みの種かもしれない。
「はむはむ」
そう、だから迂闊にハーヴィン女性にカワイイだなんて言うのは、失礼と言うものだ。シェロさんにもそうそう言わない。思ってはいるけど。あのモフッとした髪とかワシャーっとしたいけど。
「甘い……あむっ」
うん、だからね、けっしてハーヴィン達は、かわいいと思われたくてああいう姿ではないし、けどその姿でこう小動物みたいに菓子を食われると、どう足掻いても。
「はむっ……あむっ……」
だめ……ああ、だめですねこれ、カワイイは真理、カワイイは哲学。
「……フィラソピラ、改めて歓迎するよ」
「うん?ああ、ありがとう、団長……これからよろしくね。あは」
「うん、うん……あと、これも美味しそうだぞ」
「わあ……ありがとう、あむっ」
そう、俺には癒しのある日常が必要だ。ラムレッダは、そりゃ美人だが酒癖が悪い。フェザー君は、戦闘では頼もしいが隙あらば拳で語り合おうとする。フィラソピラは、まあ難解な問いかけがあるが、しかしいいや、もういいです。カワイイからいいや。
なお、後日俺はティアマトの菓子類を全て没収した。愚か者め。
エンゼラで旅させたいからエンゼラにしたけど、ちょっとだけセレストの船形態での旅も考えてた。ちなみに、ジータはメインストーリーを進んでる。なんでオリ主は、そろそろサイドストーリー方面に絡ませていきたいけど、とりあえず、ガチャキャラ出し切りたい。
また別の展開として、戦隊ものには、追加戦士がつきものだと思いました。どうしよう。