俺は、スーパーザンクティンゼル人だぜ?   作:Par

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コルワ・ララとロロ。その他組織等。またニードルスレイダーに関して、キャラ崩壊と二次創作独自の設定や解釈があるのでご注意ください。

「るっ!」寄りのコルワです。


ハピネスチャージの”瞬間” 後編

 

 ■

 

 一 追及タイム

 

 ■

 

 その宿は表通りにあるような高級ホテルとは違い、幾つかある主に素泊まり向きな小さな宿である。フロントの一階を含め3階建て。宿泊のための客室は二階から三階、部屋数は全部で十室しかない。

 そして、宿の規模に見合った少ない従業員の中にその男は居た。

 男は宿で主に洗濯仕事に従事している。毎日宿泊客が使い終わったベッドのシーツ等を回収しては洗濯し、そして部屋へと戻して整えるのが仕事。

 なにか大きな売りがあるわけでも無い、しいて言うならば素泊まり故の宿泊料金の安さが魅力のただ寝泊まりが出来るだけの宿では、常に部屋が満室になる事は珍しく洗濯だけなら男一人でも仕事は十分に回る。

 そんな男が今日も黙々と自分の仕事である洗濯作業を行っていると、突然見知らぬ男女が現れた。

 

「ああ、あんたか、洗濯係の人って。探したよ」

 

 平凡、地味と言って良い印象の青年。しかしよく顔を観察すれば若く見えるため、きっともう少し若い少年かもしれない。

 それともう二人、灰色にも似た髪をなびかせる不機嫌そうな少女、それと蒼い髪のエルーンの少女。

 

「君達、ここは従業員以外は」

「秩序の騎空団の人が呼んでるよ」

 

 男は氷水を頭から被ったかと錯覚するほどにゾッとした。

 

「え?」

「上の階、あの……泥棒の入った部屋で待ってるから。俺達あんた呼んで来いって頼まれたの」

「な、なんで……」

「さあ? まあ行った方が良いんじゃないですか?」

 

 きっと自分は今挙動不審だろう。そんな姿を見られたくはない。男は少年の脇を通り過ぎ、逃げる様に秩序の騎空団の団員が待つあの事件現場の部屋へと向かった。

 自分は動揺を隠せていただろうか? そう思いながら男は、オドオドと歩みを遅く進むが向かう先は遠くなるばかりか近づく一方だった。

 

「おいおい、どこ行くんだ?」

 

 そう声をかけられた時、男は空気を吸い込んで「ヒュウ──ッ」と声にならない悲鳴を上げた。いつの間にかあの部屋の前に来ていたが、動揺のあまり通り過ぎようとして部屋にいた秩序の騎空団の男に引き留められたのだ。

 

「大分顔色が悪いようだけれど、大丈夫かね?」

 

 大丈夫、と答えてはみせた。だが実際は全く大丈夫ではない。心臓が破裂するんじゃないかと言う程にバクバクと音を立てて動くのが分かった。

 顔には脂汗が流れ出し、視線もキョロキョロと落ち着きがない。

 

「そ、それより何の用でしょう? 自分は仕事が……」

「ああ、突然すまないね。ちょっと事件の事で聞きたい事が出来たんだ」

 

 そら来たぞ、と自分が予想した通りの質問が来て身構えながら男は平静を保とうと心掛けた。

 

「じ、事件の事ならもう話しましたよね?」

「うむ」

「わ、私が扉の壊れる音を聞いて、それで駆けつけたらもぬけの殻で盗みがあったと主人に知らせに行った……そ、それで終わりですよ? それ以上私が話せる事は何もありゃしませんよ」

「それは勿論聞いたよ」

「じゃ、じゃあ何を聞きたいって言うんですか?」

「それは──」

「それは私からお聞きしよう」

 

 不意に部屋から一人、ぬらりと眉目秀麗な女性が現れた。よく見ると他に何人か見知らぬ人間が部屋に揃っている。

 

「へ、へえ? この人達は?」

「彼らはとある騎空団の皆さんで、彼女はその団員のコーデリアさんと言う方だ」

「き、騎空団? そんな人が一体……」

「まあ色々と理由はあるが、君に尋ねたいのは部屋の扉の事でね?」

 

 部屋の扉。その言葉がコーデリアの口から出て来た時、男は一瞬視界が真っ白になるような気がした。

 

「と、扉ですか?」

「そう、この扉だが抉じ開けられたにしては不審な点があってね」

 

 落ち着け、まだバレていない。

 男は自分に強く言い聞かせた。

 

「不審ですか? わ、私にはどこも……ただ壊れた扉にしか」

「私もそう思ったのだがね。しかしどうもおかしいのだ」

「な、なにがおかしいのか……あはは、私にはさっぱり」

 

 コーデリアの視線を受けると心臓を掴まれたように感じる。呼吸が荒くならないように気を付ける。だが額から流れる脂汗は徐々に量を増やした。

 

「ちょっ!? (; ゚ ロ゚) ぉにーさん顔色ヤバくね?」

 

 その様子は露骨に表に現れたらしい。騎空団の一人と言う若い日に焼けたエルーンの少女は心配しながらギョッとしていた。

 

「だ、大丈夫……今日は少し具合が悪いだけだから……」

「いいえ、本当に顔色が悪いわ。大丈夫? このハンカチで汗を拭きなさいな」

 

 顔色の悪さと汗の量、それを見て心配になったのかもう一人騎空団の面々に交じるエルーンの女性の一人が男に一枚のハンカチを手渡した。

 

「こ、これはどうも……」

 

 確かに自分でも汗を拭きたくてしょうがなかった。男は断る事はせずに彼女から手渡されたハンカチを使い汗を拭く。

 肌を伝う不快な滑りがなくなり、幾分か気分がスッとした気がした。

 

「それで、聞きたい事って言うのは扉の事だけですか? な、なにも不審な事無いですよ。ただ乱暴な泥棒が壊したんでしょう。鍵がかかってればそうするんじゃないですか?」

「ふむ、確かにそうだね」

「でしょう? はは、何かと思えば。こんな……いえ、勿論力に成れる事なら幾らでも協力しますけどね」

 

 男はこれで話は終わったと思いここで話を切り上げ戻ろうとした。

 

「いや、まだ聞きたい事はあるんだ」

 

 しかし直ぐコーデリアに呼び止められてしまう。

 

「ま、まだ何か?」

「実は君は唯一扉が壊される音を聞いている人間と言う事らしい。その音をね、詳しく教えてほしんだ」

 

 ジワリ、と額に脂汗がまた出て来た気がした。手に握ったままだったハンカチを使いもう一度汗を拭く。

 だが今度は先ほどに比べてあまり気分が良くならない。汗が止まらない。一気に不安が溢れ心を支配し出した。

 

「音って……こう、バキィっていうのかな……わかるでしょう? 木製の扉だから、木が割れるような音ですよ」

「かなり大きな?」

「ええ、そりゃあ……上の階にいた私も聞こえたわけですし。驚いて仕事中断して走ってきましたから」

「そんなに慌てたのかね?」

「そうですよ? ベッドのシーツを回収してたんですけどね。籠置いて急いで下に降りましたよ」

「なるほど……それ程に大きな音で抉じ開けたのか。では当然扉もかなり壊れるわけだ」

「当然も何も……ほら、ドアノブの方までヒビが入って……」

 

 コーデリアがまったく何を言っているのかわからないが、男は扉の損傷が激しいドアノブ部分を指さし動きを止めた。

 

「……どうかしたかね?」

「い、いや。改めて見ると、なんて言うか……」

「うん?」

「あ、いや……あ?」

 

 扉は確かに壊れている。幾つかの木片も飛び散っただろう。だが上の階に居る人間が聞こえる程の力で抉じ開けたにしては、実に軽微な損傷に見えた。

 そして、何よりも鍵の閂が──。

 

「しまっ──ッ!?」

 

 しまった。口からその言葉が出来る前に男は口を閉じた。

 下唇を噛んでしまい痛みが走るが、それにかまう暇はなかった。

 

「しま? ……なんだね?」

「……“閉まっ”てた扉をね? こう、開けたんですよきっと、犯人は」

 

 男は工具を持つ真似をして扉を開ける動作をしてみせた。

 

「それは?」

「へ?」

「扉を開けた道具、参考にだが……何だと思うね?」

「何ってそりゃあ……」

 

 男の何も握っていない両手を指さすコーデリア。男はキョトンとして答えた。

 

「バールですよ」

 

 その時の男の声は、妙にはっきりとしていた。それを聞いてコーデリアは目を細める。

 

「……まるで、断定するように言うね」

「は……? あ、いや! 工具で抉じ開けたとは聞いてたから……そう言う時は、バールとかそう言うのでしょう? ……え? いやいや、まさか……さっきから、なんですか貴女……ちょっと、まさか私を疑ってるんですか!?」

 

 コーデリアの視線は完全に自分を疑っている。そう気付いた男の額はドッと更に汗が流れ出した。ハンカチで拭いても止まらない。余計に不安が募る。

 いや焦るな、まだ気づかれてない……男は更に平静を装って見せようと努めた。しかし心臓の鼓動が早くなるばかり。

 早くこの場を去りたい気持ちで一杯だった。

 

「どんな騎空団の人か知らないけど……秩序の騎空団の人ならまだしも! ……じょ、冗談じゃない。洗濯も溜まってるんです。戻らせてもらいますよ!」

 

 無理やりかもしれないが部屋から遠ざかる。これ以上此処にいると自らボロを出してしまう気がした。

 

「おっと、もうお帰り?」

 

 だが仕事場へと戻ろうとすると前方から自分を呼びに現れた少年と少女がいた。しかも自分の仕事道具として幾つかある洗濯回収用の大きな籠を持って。

 

「き、君それは……駄目じゃないか! 仕事に使うんだよ!」

「宿の主人には許可貰いましたよ。それよりもこの籠、調べさせてもらいましたから」

「し、調べた……?」

 

 しっかりと両手に手袋までつけ、余計な汚れが付かないようにした少年は今は空の籠の中から何かを取り出して見せた。

 それは、十数センチ程の木片だった。

 

「この藁編みの籠ですけど、底の網目の隙間にね……食い込んでたんですよ、洗濯物で押し込まれたのかな? これ、何だと思います?」

「それは……それ、まさか」

「……確認しましょうか」

 

 息が荒くなった男を無視し、少年はその木片を持ったまま部屋の扉に近づく。

 この宿の客室の扉、それらは色で分けられていた。赤青黄の三色のみ共通にして、二階から「赤・青・黄・緑・茶」、三階が「赤・青・黄・白・黒」と並ぶ。数も少ない客室のためか「2(二階)の赤」や「3(三階)の白」の様に、番号ではなく色の方が分かりやすいと言う理由と主人の遊び心である。

 ララ達が泊まった二階の部屋、そこは宿の従業員の間では「2の緑」と呼ばれる。そしてその緑の扉は、宿に一つだけしかない。

 壊れた扉に少年が手に持った木片を近づけた。

 

「ああ、同じ色だ」

 

 木片の表面は緑だった。全くの差異の無い同色。木の材質も同質に見える。

 

「それも、形がほら……もしかして丁度ここピッタリじゃないです?」

「ゎ、マジだっ! ピッタンコじゃんっ☆」

「ちょ、ちょっと……! だ、だから何だと……私の仕事道具からそれが出たからって、そんな」

「……君は先ほど、扉の破壊音を聞いて仕事を中断して駆けつけたと話したね?」

「へ?」

 

 扉の破片を見つけて盛上るエルーンの少女に文句を言おうとしたが、コーデリアがスッと割り込んで話す。

 

「大きな破壊音、それを聞いて仕事を中断して駆けつけたと」

「い、言いましたよ? それより彼等を止めて欲しいな……失礼ですよ! 急に、こんな……犯人扱い」

「仕事を中断して……“籠を置いてから駆け付けた”とも話していたはずだが?」

 

 ピタリ、と男は石像の様に動きを止めた。

 

「上の階にある筈の籠、その籠に何でその破片が挟まってたんだろうか?」

「それは……それは……」

「後ですね」

 

 コーデリアと入れ替わるように少年がまた喋りだす。

 

「この宿、殆ど使ってない倉庫があるそうで……普段使いもしない工具やらなにやらを仕舞ってるそうですね。これも宿の主人に許可貰って見せてもらいましたけど……埃塗れで床まで真っ白でした」

「埃臭くって最悪だったわ……!」

「まあまあ、後で埃を掃ってあげるから」

 

 宿の倉庫を見て来たと言う少年。男は倉庫と聞いた更にゾワリと背筋が凍る気がした。

 

「あの倉庫、今確認して来たら一個バールが入ってるんですよ。宿の主人が言うには、数年使った記憶がないって言うようなバールでした。だからか凄く、分厚く埃かぶって……けふっ! まだ鼻に残ってら……」

「私達はバールには触らずにそのまま倉庫に置いてある。見ればわかるがそのバールにはハッキリと誰かが、それも極最近に……両手で握った後があった。宿の主人が使った記憶も無いと言う、乾いた布が軽くこすれる程度じゃ払えない程積もった埃の層にクッキリとね」

「それと、床の埃にも足跡があったわ。アタシ達とは違うのがね。サイズなんかも、この部屋で見つかったって言うのとアンタの靴とよく似てたわね」

 

 少年と少女達がスラスラと語る事を否定しようとした。しかし、言葉が出ない。貰ったハンカチを握る力が強まる。

 

「……別の場所で、詳しく話を聞いても?」

 

 秩序の騎空団の団員が男の肩に手を置いた。

 ドッと──溜め込んで、塞き止めようとしていた感情が溢れ出した。

 

「頼まれたんだ……ッ!!」

 

 男はその叫びをもっと早く言いたかったと、その時に気が付いた。

 

 ■

 

 二 推理終了、物理で解決へのカウントダウン

 

 ■

 

「あれで終わりじゃねえのかよ……!」

 

 なんか宿の従業員の男が自供しだしたのは良いのだが、どうも話がそれで終わるような事ではなくなってしまった。

 そのため俺達は大急ぎで宿から別の場所へと移動している。

 

「なんかさっきまで作風と言うか世界観も変わってたな。なんだよ、あのなんちゃってミステリーは? これはお気楽コメディーじゃなかったのかよう」

「団長、B・ビィは何の事言ってるんだ?」

「気にしないでフェリちゃん。あいつしょっちゅう謎の怪電波拾ってんだ」

「でんぱ……?」

 

 B・ビィの発言は無視。だがあの男が自供したおかげで状況が一気に動き出したのは間違いない。

 男はあの場でヒンヒンと涙声になりながら自分のした事を話し出した。彼はある人物に頼まれ、自分が勤める宿に泊まったララさん達の持ってきたドレスを狙ったのだ。

 二人が宿に来て部屋を一度出た時、いつも通り部屋の洗濯物回収の仕事をしているように見せ、そっと一時返却された「2の緑」の部屋の鍵を持ち出した。彼は仕事の関係上、鍵を持っている事は不思議じゃ無いため誰も気が付かなかった。そして洗濯回収籠には幾つかの洗濯物とその中にバールを潜ませそのまま彼は部屋へと向かい、誰もいない事を確認し鍵を開けた。

 その後彼は部屋を物色。ドレスを見つけると衣類が入っていても不自然では無い洗濯回収籠へと詰め込んだ。窓を開けサッシに軽く足跡を付け部屋から退散しようとした。そして扉を壊し物取りに見せかけようとしたが、コーデリアさんの予想通り彼は鍵を閉めずに扉を破壊、慌てて閉めなおして逃げて行ったために無傷な閂が飛び出したままとなった。

 

「一々詰めが甘い、ただの小心者、今まで犯罪行為なんてした事がないのも予想通りでしたね」

「遅かれ早かれ捕まったろうね。バールの後処理もお粗末、仮に手の後を残さないように処理しても、埃の取れたキレイなバールが埃を被った倉庫に残るから誰かが気が付いたろう」

「しかし……借金の弱みとは」

「気の毒と言えばそうだが」

 

 コーデリアさんも複雑そうだった。

 男は借金の弱みがあり、それを理由に今回の盗みを働いたらしい。借金と聞いて俺の心もひっそりとダメージを受けた。

 そしてその男が借金をした相手、そして盗みを強要した相手と言うのが──。

 

「別の商家の資産家さんとはね」

「しかも理由が若様への妬みか」

「狙った女性が一緒と知ってか……阿保らし」

 

 この街でかなり強い影響力を持つ人物、それは今現在あの若様である。若く自らをまだまだ未熟と語る人だが、それでも今はリタイアした父の起こした数々の事業を引き継ぎ、大きな商会として続いている事を考えれば十分に敏腕だ。あの人はこの島に根付いたコミュニティーを重視した、市民に親しまれる商売を心得ている。

 そしてもう一人、街で強い影響力を持つ資産家がいる。元は小さな商家だったが、ここ数年で異様な成長を遂げ若様の商会に次ぐ程の商会となってかなり羽振りがいいとか。

 しかしその分こちらに関してはあまりいい噂は無いらしい。秩序の騎空団の人も、その商会の名が出た途端かなり嫌そうな顔をしていた。その男は若様と正反対に、比較的島の外との交易をメインとした商いを行う。ただその交易のルートが非常に怪しいらしく、不法に商品を取引しているのではないかと言われており、秩序の騎空団もそれを気にしてずっと調査していたと言うのだ。

 またその男は高利貸しも営んでいるようで、そのやり方が実にあくどいらしい。そのせいで何人もの人が島を出るはめになったとか言う噂もあった。

 そしてどうやらその男は、若様が告白しようと思いを寄せているさる商家のご令嬢に同じく夢中だそうで、嫌がらせか告白の阻止のためかドレスを盗ませる事を考えたらしい。

 男は丁度ララさん達の泊まる宿には、自分の所から金を借りた一人が働いている事を知った。それこそ犯人の男であり、ちょっとした事で金を借りたのだが、それが何時の間にか尋常ではない額になっていたらしい。そして借金をネタに脅され仕方なく犯行に及んだと言う。

 秩序の騎空団としても何とかしたい人物だそうだが、あくどい噂だけでは捕まえられず、被害の届けも出ていないため中々捕らえる理由が見つからなかったらしい。届けが無いのも被害者が金を借りて後ろめたい気持ちもあったからか、脅されたのか。

 なんであれどんな場所にでも悪党は居るが、つまり今回はその悪徳商人がそう言う立ち位置と言う事だ。

 

「厄介なのは、その野郎は若様がコルワさんとララさん達に依頼を出してドレスを作って貰った事を知り、しかも宿泊する宿まで知るほどの情報網を持ってる事だ。多分若様が今日告白しようと思ってたのも知ってる可能性があるな……」

「なんて野暮な恋の妨害工作……そうこうしてる内に横から掻っ攫おうって魂胆ね!? ゆるせん、ただじゃおかないわ悪徳男め!」

 

 打倒悪徳男、ドレス奪還へと向けて燃えているコルワさん。

 

「しかし助かりました。まさか相手の気分を変えれるとは思いませんでしたよ」

「ちょっとだけよ。ほんのちょっぴり気分を操れるだけ」

 

 犯人を追い詰める直前にコルワさんが話したのだが、彼女は自身の魔力を込めた糸を通した衣装、或いはハンカチの様なものを介して相手の気分を少し操れるとわかった。あの犯人の男の自供はこの人の“能力”が非常に重要だった。そこでさり気なく犯人の男にハンカチを与え、そこから彼の気分を“ちょっぴり”操ったのだ。良心の呵責、自己嫌悪──罪を犯した人間が持つ、負の感情を少しばかり強くした。そして男は耐え切れずに自白したのである。

 

「ただこれ自白強要になりません?」

「ハッピーエンドのため致し方なし」

「おいおい」

「冗談よ! 気分変えただけで嘘を言わせたわけじゃないし、秩序の騎空団の人にも許可貰ってから力使ったから平気。それよりも急ぐわよ!」

 

 そんなわけで俺達は人込みをかき分け走っていた。

 男の自供から盗みを強要した黒幕的存在を知った俺達は、今回を機にその悪徳男を捕えたいと考え応援を呼びに行った秩序の騎空団の人とは一旦別れた。ララさん達も安全を考えて秩序の騎空団の人に付いて行ってもらった。

 急ぐ理由としては、その問題の男が今いると言う高級ホテル、そこでは今島に住む商人達が集まる懇親会が開かれようとしている。

 そしてあの若様もその場へと向かっているのだ。彼が外せない約束と言っていたのは、その懇親会の事だった。おそらく噂の令嬢とやらもそこに居るのだろう。

 

「っか、ここまで急ぐひっよーぁんのぉ~っ!! (((゚д゚;ノ)ノ」

「相手がどれだけ件の女性に夢中か知らないけど、同じ場所に若様がいる事が心配だ! 情報に敏いようだから、あの犯人の男が捕まった事も連絡が行ってるかもしれない。欲深い馬鹿は焦ると何するかわからないのが厄介な所だからなあっ!」

 

 素泊まりの宿と違い懇親会場のホテルは街で一番の高級ホテルだ。遠くからでもその屋根が見える。目印には丁度良いそのホテルも、いざ目指すと遠く感じる。

 

「この島に……着いてから……! 移動してばっかじゃないのっ!」

「頑張ろうメデューサ……! もう少しだから!」

「んもぉ──ッ! メドゥシアナに乗ればこんな距離一瞬なのにーッ!」

「こんな街中で通常形態のメドゥシアナで移動できるか! 騒ぎになれば野郎を見失いかねないからな!」

 

 騒ぐメドゥ子にそれを宥めるフェリちゃん。街中を走り回るため、現在メドゥシアナはメドゥ子と一体化している。こいつの不満も今回ばかりはわかるが、しかしこうなってしまった以上仕事として続けなければならないのが騎空団の辛い所。

 街の人も騒がしい変わった集団が走っていると思った事だろう。

 

「見えたぜ相棒、ホテルだ!」

 

 B・ビィの指さす先には目的のホテル入り口があった。遠目からでもわかったが、入り口に高級そうな服を着た男女が集まり中に入って行くのが見える。

 

「懇親会はまだ始まってないか……!」

 

 若様と令嬢は無事であると願いつつ、俺達はホテルの中へと飛び込んだ。ホテルのロビーは一般宿泊客と懇親会のメンバーでごった返している。

 

「懇親会の会場は……!」

「ぁ、だんちょ! ぁれぁれ、多分ぁれそーじゃない!」

 

 クロエちゃんが指さす方には、身なりの良い人間達だけが入って行く大広間への入り口があった。入口脇には【──商会主催 懇親会 会場】と書かれている。その商会の名前は、秩序の騎空団の人から聞いた悪徳男が責任者の商会の名だ。そこで間違いないとわかり入口へと向かい中へと入ろうとした。

 

「あ、お待ちをお客様!」

「へ!?」

 

 だが直前でホテルの従業員に呼び止められてしまった。

 

「こちら本日特別なメンバーのみが参加する懇親会となっております。入場の際は招待状をお見せください」

「しょ、招待状!?」

 

 意外な所で足止めを食らう事になった。そんなもの当然持ってない。

 

「お、俺達秩序の騎空団に頼まれて来てるんだけど……この会場にいる人に用事があるんだ。今日の主催者の人に!」

「それは……でしたら何か確認のとれる物はお持ちですか?」

「ああー……っと、コルワさん! あの、若様、あの人のえっと……商会の!」

「【────商会】よっ!」

「そうそれ! あの【────商会】の若様もここにいる筈だ! 俺達あの人の依頼受けた騎空団でその用事でもあるんだよ! そこの人呼んでくれれば確認できるから!」

「あの商会の……? でしたら……あ、いえ申し訳ございません。【────商会】の方はまだいらっしゃっていないので、もう少しお待ちいただいてからでよろしいでしょうか?」

「マジか……」

 

 なんてこった。ここに若様が居ないと言う事は、まだあちらは問題は起きてない筈だ。だが令嬢の方は……。

 

「おや、団長さんかい?」

 

 なんとか中に入れないか、ここは交渉の上手いコーデリアさんに託そうかと思った時、後ろから爽やかな声が聞こえた。

 

「……流石イケメンさん。登場のタイミングもわかってる!」

「え?」

 

 そこには状況を知らぬ若様の姿があった。

 

 ■

 

 三 懇親どころじゃない

 

 ■

 

 偶然若様と合流できた俺達は会場内へと無事に入場。そしてすぐに【──商会】の会長である悪徳男が居ると言う控室に向かった。

 

「本当に、【──商会】の……あの人が?」

 

 俺の横を早足で歩く若様は、不安と怒りと疑いの混じる複雑な表情を浮かべていた。

 

「ドレスを盗んだ男の言葉を信じるならですけどね」

「けどぉ~ぁれってほぼ確定じゃね? とくにパチこぃてる感じ無かったし」

「俺もそう思うけどね」

 

 クロエちゃんの言うように、ほぼその男が“黒”と思う。しかし確認もせず問答無用で“御用”にはできない。懇親会が始まってからでは無用な混乱も招く事になる。とにかく急ぎ確かめる必要がある。

 若様は俺達の報告を聞いて、俄には信じられないと言った表情を浮かべたが、すぐに思い当たる節があるのか、一先ずその男に会う事になった。やはり悪い噂の話は若様達にも届いているのだろう。

 ララさん達と現れ、若様の屋敷まで案内してくれたあのエルーンの御付の人も居たのだが、そちらは念のためにと例の令嬢の方へと向かってもらった。

 

「あの人の噂は色々とあるが、ただの噂でしかないと思って……いや、思うようにしていた。どんな人であれ、小さな商家から大きく成長させた人だ。私も見習うべき所があると付き合ってきたが……」

「それが間違いとは思いませんが……まあそれこそ若造の俺が言うのも可笑しいですけど、世の中“噂通りの人”もいますよ。悲しいかな」

 

 そして俺は噂通りではない。何時か払拭してやるからな、あんな噂。

 

「その男の屋敷には秩序の騎空団の人達が向かってます。おそらく盗まれたドレスはそっちでしょうね。こっちにも直ぐ来るとは思うけれど、一応俺達で身柄を押さえておきたい」

 

 まだドレス盗難の犯人逮捕の知らせが行って無い事を祈りながら進む。まだ廊下だが、そこから見ても分かるほどに控室が豪勢だ。流石高級ホテルである。

 

「っかここ控室なんだ……もぅこの時点でぅちの村の家軽く超ぇてんじゃん……」

「各国要人も利用するホテルだったはずだからね。一泊の素泊まりでも軽く数万はかかるよ」

「そマッ!? ク、クロエのぉ小遣ぃじゃ全然たりなぃ……(゚д゚lll)」

 

 コーデリアさん情報を聞いて仰天するクロエちゃん。俺もびっくりだよ。一生縁なんて無いなこれは。

 

「入れただけ運が良いと思うかね。そら、着いたぞ」

「ここがあの男の控室ね!」

「うん、落ち着いて下さいねコルワさん?」

 

 幾つも並ぶ控室の扉、その内の一つの前で立ち止まる。扉の表札、そこに挟まれた紙には中に居る人物の名前が書かれている。その名前は間違いなく、あの悪徳男の名前だった。

 

「私が呼ぼう。何度も話した事があるし、警戒されないはずだ」

「頼みます」

「うん、では……」

 

 若様が扉の前に立ち、扉をノックした。そして凛とした表情で中の人物の名を呼ぶ。だが奇妙な事に返事がない。不思議に思った若様は、もう一度扉をノックして名を呼んだ。

 

「……おかしいな、席を外しているのかな?」

「どうするのよ? まさか戻って来るのを待つなんて言わないわよね?」

「当たり前だ」

 

 メドゥ子の言うように、ここで大人しく待つなんてやってられん。

 試しにドアノブを回すが鍵が掛かっていた。控室に貴重品を置く事もあるため、防犯上外からでも施錠可能のようだ。まあ当然か、高級ホテルだし。

 

「ぶち破ってやろうか?」

「馬鹿言うなB・ビィ。高級ホテルの扉だぞ、弁償にでもなったら幾らするかわからん。フェリちゃん」

「なんだ?」

「ジジに頼み事、小柄で素早いからね」

 

 俺がそう言うと、フェリちゃんはニヤリと笑った。

 

「そういう事か、任せろ。おいで、ジジ」

 

 フェリちゃんがジジを呼ぶと、何もない所から青白い炎があがり、それが徐々にウサギのような姿に変わる。

 

「おお!? そ、それは」

「彼女の家族ですよ。ジジ、頼み事あるんだけど頼めるか?」

「────!」

 

 突然現れたその存在に若様が驚く。

 ウサギのような幽霊ジジ、フェリちゃんのペットであり家族である幽霊の内の一匹。相変わらずモフモフ可愛い奴である。ああ、可愛い。

 

「この扉の中にこっそり入って中確認してくれ、幽霊で小柄なお前なら気付かれにくい。もし人が居なきゃ教えに戻って、ついでに鍵も開けてくれ。多分中からなら鍵は要らないはずだ」

「──!」

「ま、また消えた!」

「ふむ、流石“幽霊”と言う事か」

 

 器用に耳を曲げ、まるで「了解!」と言うようにアピールすると、ジジは姿を一旦消していった。若様は再度驚き、その幽霊ならではの方法にコーデリアさんは感心していた。

 そして数秒の後、ドアノブからカチャリと解錠音が聞こえた。すると扉が開くより先に、俺達の目の前にジジが再び姿を現した。

 

「──!」

「お、ありがとな。それで中は」

「────!!」

 

 ジジは慌てた様子で中の様子を簡潔に報告した。それを聞いて俺とフェリちゃんは急いで扉を開けた。 

 

「くそっ!?」

「なによ、どうかしたの!?」

「中はもぬけの殻だってよ! それよりも……!」

 

 控え室へと入るとそこには既に誰も居なかった。そして部屋に置かれていた備品等が床に転がり荒らされている。

 

「こ、これは……! 一体なにが!?」

「これは物取りじゃないな……争った形跡がある」

 

 ただその部屋の様子に驚く若様。だがコーデリアさんの行動は早く、床に落ちている何かを拾い上げた。それはチェーンが千切れ、壊れた女性物のネックレスであった。

 

「千切れて首から落ちたのだろう。誰かと争って、その時に」

「女性が誰か居たって事か」

「それは!」

 

 悪徳男の控え室に落ちているそのネックレスを見て若様は悲鳴の様な声を上げた。

 

「知っているのですか?」

「彼女のだ……間違いない、よく似合っていたから覚えている。パーティーではよく身に着けていたんだ」

「彼女って……まさか……!」

「若様ッ!」

 

 次に声を上げてエルーンの御付の人が駆け込んでいた。酷く慌てて息も荒いので走ってきたのだろう。彼も部屋の様子を見てギョッとしていた。

 

「こ、これは……」

「わからない……それより、どうしたんだ? 彼女の方は」

「そ、そうでした! 実は姿が見えず【──家】の方にお嬢様の居場所を聞いた所、【──商会】の会長に少し前に呼ばれたと……!」

「そんな……!? では、彼女は!」

 

 御付の人の話にショックを受ける若様。だがその直後、ホテルのロビーから人々の悲鳴が聞こえて来た。

 

「今の悲鳴は……」

「……令嬢も心配だが、一度ロビーに戻ろう」

 

 令嬢の身も案じながら、コーデリアさんの提案を聞き俺達は急ぎ引き返していった。

 

 ■

 

 四 モンスター in the ホテル

 

 ■

 

「た、助けてくれ! 魔物が……!」

「GOAAaa!!」

「うわああっ!?」

 

 団長達がロビーへと戻った時、その場にいる人間達はパニックに陥っていた。

 行方をくらました男と令嬢、その二人を追うよりも先にロビーから聞こえた悲鳴。皆で戻ると、広いロビーには無数の魔物が溢れて人々を襲っていたのである。

 

「なんと言う事だ……こんな数の魔物がどうしてここに!?」

 

 その光景に若様は困惑していた。街の中心地、しかもこのホテルのロビーでこれ程の魔物が現れるのは普通ではない。その事は団長達もわかっていた。

 

「次から次へと……くそ! 皆とにかくお客さんを助けるぞ! クロエちゃん、君は戦闘まだ早いからフェリちゃんと一緒に居て! コルワさんも後ろに!」

「ですよねぇ! っかマジ急に魔物相手は無理ぃ! ってなわけでぁとょろ~!」

「ごめん、お願いね!」

「フェリちゃん、ベッポ達呼び出してコルワさん達護って!」

「承知した!」

 

 団長達は逃げ惑う人をかき分け、暴れる魔物へと向かう。魔物達は明確な敵意を持つ団長達に気がついたのか、殆どが標的を団長達へと定め襲い掛かった。

 

「GUGAAaaaa!!」

「やかましいっ!」

「GYA!?」

 

 ラウンドウルフに似た魔物が団長に飛びかかって来たが、団長は剣を引き抜く事もせずに拳で殴り飛ばす。その魔物は簡単に吹き飛び、壁に叩きつけられると霞のように消えていった。

 

「消えた……?」

「ダオラァ──ッ!!」

 

 団長は魔物を殴った時の感覚に違和感を覚えた。

 近くでもB・ビィがマチョビィへと姿を変え魔物達を殴り飛ばし、蹴り払い次々に倒していく。メデューサも爪で引っ掻いたり尻尾で魔物を振り払った。するとそれだけで魔物は、悲鳴と共に掻き消えた。

 

「何よこいつ等、なんか変な魔物ね」

「確かに……これは奇妙だね」

 

 コーデリアが涼しい顔で剣を振るう、やはりそれだけで数体の魔物が倒され姿を消した。

 

「ただの魔物とは違う、倒れたとかじゃなくて消滅したって言うこの感じ……急に現れた事と言い、まさか誰かに召喚されたか?」

「団長さんっ!!」

 

 魔物の正体と何処から現れたのかを考える団長であったが、突如若様が叫び自分達がいる所より上の階、そこにいる二人の男女を指さした。

 

「あそこに【──商会】の会長が! 彼女も一緒に居る!」

 

 その男は吹き抜け構造のロビーの三階にいた。無駄に豪華で似合わない趣味の悪いスーツを着る肥えた男、そしてその男が一人の女性を引っ張りながら走っていた。

 魔物から逃げるような動きではなかった。何より女性は男から逃げようと抵抗しているように見える。抵抗する女性を無理やりに引っ張り連れて行く、魔物が人々を襲うこの状況であまりに不自然な動きだ。

 

「あの男、彼女に何をっ!」

「あ、ちょっと待つんだっ!?」

「GUGAAaaaa!」

「ぃっひゃぁっ!? なんかちょーこっち魔物来たんですけどぉーっΣΣ(゚д゚lll)」

 

 抵抗する令嬢の姿を見てジッとしている事が出来なかったのだろう。フェリの制止を聞かず一人若様は令嬢の元へと駆けだした。

 フェリ達も追おうとしたが、それを遮るように多量の魔物がフェリ達の前に現れた。

 

「くそ、フェリちゃんはクロエちゃん達護るのを優先しつつ若様を追って! 俺は先に男の方に向かう!」

「す、すまない頼んだ!」

「B・ビィ!」

「シャ、来いやぁ!!」

 

 団長はB・ビィに向かい駆け出した。団長の意図を即座に理解したB・ビィは、腰を低くして両手を組みレシーブの体勢に入った。

 

「頼むっ!」

「シャオラァ! ズエァアッ!」

 

 団長は片足をB・ビィの両手に乗せる。そして直ぐにB・ビィは団長を押し上げ、男のいる三階にまで放り上げた。

 大きく跳躍した団長は、そのまま跳んでいくと三階フロアの吹き抜け部分にあるガラスフェンスの手すりを掴むと体を引き寄せ男と令嬢の前に降り立った。

 突然目の前に現れた団長に、男は驚きその足を止めた。

 

「ぅおおっ!? な、なんだ貴様!?」

「あんた【──商会】の会長で間違いないね? こんな状況だけど、まずそのお嬢さんを離してくれると嬉しいね」

 

 団長が令嬢を指差すと、男は焦りながらも団長を睨み悪態をつきだした。

 

「そうか……貴様が報告にあった騎空団だな!? ええい! あの役立たずの貧乏人め……ワシの事は黙っていろと言ったのに……! 捕まったとてワシが牢から出してやったものを……!」

「その言い方、やっぱり若様のドレスを盗ませたのはアンタで間違いないってわけだ。随分とセコイ真似するねえ」

「うるさい、この娘は先にワシが目を付けていたのだ! それなのに、あの若造が生意気にもドレスなどを……」

 

 その男の自分勝手な言いように、団長は顔をしかめる。悪徳男と聞いていたが、それよりも下種と呼んだ方がしっくりくると感じていた。

 

「求愛するのは人の自由だけど、受ける側にも選ぶ自由があると思うね俺は」

「黙れ! この【──商会】会長であるワシが可愛がってやろうと言うのだ! だのに、この娘それを断りよって!」

「やっぱりフラれてんじゃねえか!? 諦めときなさいよ、そこはさあ!」

「諦めるだと? このワシは欲しいと思った物は全て手に入れた! ワシに手に入らない物など、あってはならんのだ!」

「ふざけないで!」

 

 男の言葉に耐えかねたのか、怒りの声を上げた令嬢。

 

「父も私も貴方の噂は聞いていましたが、それでも大きな商会である事から一定の信頼を置いていました……! しかし、ここまで腐りきっていたなんて!」

「黙れ小娘が、よくもこのワシに生意気な事を言えたものだな!? 貴様の家の事業に幾ら出資してやったと思っておる!」

「初めから私目当てだったのでしょう!?」

「愚かな、大人しくワシの寵愛を受ければ貴様の家もより繁栄したものを!」

「寵愛など言わないで、汚らわしい!」

「う……ッ!?」

 

 令嬢は躊躇う事無く平手で脂ぎった男の頬を強く叩いた。

 

「こんな愚かな男と思いませんでした! 誰が貴方の様な男に……!」

「この……!」

 

 頬を叩かれ汚いプライドに傷がついたのか、男は手を振り上げた。団長が咄嗟に駆け寄り男を止めようとしたが、それよりも先に男の後ろから一人の男性が現れ飛びかかった。

 

「止めろおぉっ!」

「ぬおおっ!?」

 

 それは若様だった。普段出さないような猛スピードで階段を駆け上がった彼は、男の暴力から令嬢を護るために後ろから飛びかかり男の振り上げた手を掴みあげる。

 

「あ、貴方は!?」

「彼女への狼藉はこれ以上許さない!」

「ぐ、ぐう……! 貴様!?」

 

 突然の乱入者に男も令嬢も驚いている。無謀とも取れるその行為、しかし果敢であると感じた団長は、これはチャンスと思いこの隙にご令嬢を助けようとした。

 

「な、なめるなぁ!」

「むっ!?」

 

 だが男が叫ぶとその手に着けられた悪趣味な指輪が強烈な光を放ちだした。団長はその怪しい紫の光の正体を知っていた。

 

「あんた、なんでソレを!?」

「来い、魔物共!」

 

 そして男が指輪の力に任せ叫び続けると、地面から湧き上がるようにして彼等の周りに複数の魔物が現れる。

 

「ま、魔物!? 呼び出したというのか、何だこの力は……!」

「GUOOoo!!」

「うわぁっ!?」

 

 一体の魔物が若様に飛びかかる。そしてそのまま突き飛ばされると、ガラスフェンスへと叩きつけられた。叩きつけられた衝撃でガラスが割れ、若様を突き飛ばした魔物はそのままロビー一階へと落ちて行ったが、若様はギリギリの所で無事だったフェンスの骨組みを両手で掴み三階からぶら下がった状態になった。

 

「やばっ!?」 

「GYAUGYAU!!」

「だぁーもう、邪魔臭い!」

 

 手すりへと追い込まれた若様を助けようとした団長だが、召喚された全ての魔物が唸りを上げて団長を取り囲んだ。

 

「わ、私の事はいい! それより彼女を!」

「そうしたいのは山々だけど……こいつら、数ばっかり多い!」

 

 若様は必死に落ちまいとしながらも、団長に自分より先に令嬢を助けるように言う。団長もそうしたかったが、押し寄せる魔物を相手に中々前へと進めずにいた。この数の魔物をまとめて吹き飛ばすような技を使ってしまえば、その衝撃で若様も落ちてしまうだろう。

 

「いけない、このままじゃ落ちてしまうわっ!」

「あんな小僧放っておけっ!」

「な……っ! こ、この人でなし! 離しなさい……このっ!」

「うっぐっ!?」

 

 今にも落ちてしまいそうな若様の姿を見て、令嬢は自分をつかむ男の手に勢いよく噛みついた。まさか噛みつかれるとは思わなかったのだろう、男は「ぎゃあ!?」と悲鳴を上げて思わず令嬢を掴む手を離した。

 手が離れると令嬢は一目散に若様の下へと向かい、その手を握り引っ張り上げようとした。

 

「頑張って、今助けますから!」

「だ、駄目だ……! 貴女まで落ちてしまう……!」

「だからって、放ってなんておけない!」

 

 細身のエルーンとは言え成人した男子、令嬢もまた華奢なエルーンである。彼女も必死に若様を引っ張るが、どうしても力が足りない。

 

「あの小娘、もう許さん……!」

 

 腕を噛みつかれた男は激高した。団長を襲わせていた魔物を操り、今度は令嬢達への方へと向かわせる。

 

「おいおいおい、馬鹿止めろってば!?」

 

 自分から離れていく魔物を慌てて追いかける団長。

 何体かの魔物を倒しながら集団を追い抜き、若様を引っ張る令嬢を護るように立つ。

 

「今手伝いますから……!」

「GUAAAA!!」

「あーもう、ちった遠慮しろ!? 取り込み中だよ、わかんねえのか!?」

「GYAO!」

「わかんねえよな、知ってたよちくしょう!」

 

 団長も若様の腕を掴もうと腕を伸ばしたが、飛びかかって来た魔物を切り払うために腕を引いてしまう。その後も腕を伸ばそうとはするが、次から次へと飛びかかってくる魔物を切り払うので精一杯だった。

 若様が掴んでいるガラスフェンスの骨組みは、それだけでは男性一人の体重を支えられるほど強度の強いものではない。令嬢に支えられている状態でもギリギリと鉄の曲がる音を上げ、そしてついに根元からポッキリと折れてしまった。

 

「ああっ!?」

「きゃあっ!!」

 

 落下する若様。その手を握ったままの令嬢もまた引き摺られフェンスから落ちて行った。

 

「やっば……っ!?」

 

 魔物を切り払った団長が悲痛な声を上げてフェンスから外を覗き込んだ。落下する二人の悲鳴が徐々に小さくなっていった。

 この高さから落ちれば、最早無事では済まない。男は哀れな男女の末路を考えると自然と笑みが浮かんだ。

 

「ふふ……馬鹿な二人め、ワシに逆らうからだ」

「……あんたぁ、本当に下種野郎だな」

「好きに言うがいい。勝つ事が正義よ!」

「勝つ事が? 勝てば正義だと? ……ハハハッ! おっさん、本気で言ってるのかよそりゃ?」

 

 団長は立ち上がると突然笑い出した。まだ魔物も残る中、急に笑う団長に男は「気でも狂ったか?」と思った。

 

「負けると知って狂ったか小僧?」

「まだ言ってる……負けるって? 俺が、いんや俺の仲間が? 嫌がらせにドレスを盗ませ、その上魔晶頼りで自分じゃ何もできない、女性を無理やり攫おうとする小悪党に? ……馬鹿言うなよ」

 

 若様と令嬢が落ちた事で収まっていた男の怒りであったが、それに再び火が付こうとしていた。団長の態度、特にその目が男は気に入らなかった。

 軽蔑、侮蔑、明らかに自分を下等な存在として見ているその目。それは酷く男のプライドを傷つけた。

 そして同時に団長の口から“魔晶”と言う言葉が出た事も気になっていた。

 

「小僧、魔晶を知っているのか?」

 

 男は指にはめた指、それにはまる宝石を団長に見せつける。

 

「何かとトラブルあるとそれが原因でね。今回もそれが関わってるとわかってうんざりだよ。直ぐにぶっ壊してやる」

「負け惜しみを……あの男も女も死んだ。今すぐ貴様も同じ場所へ送って──」

「三つ、教えてやる」

 

 団長へ一斉に魔物を向かわせようとした時、団長が指を三本立て腕を付き出した。

 

「はぁん? 小僧が、ワシに何を教えるってぇ?」

「まず最初に、あんたは俺と俺達の事をわかってない。俺達が何者で、どんな騎空団かをな。そこも調べて報告受けるべきだったな」

「……何を言ってる?」

「俺には頼れる仲間がいるって事だ。そして次に……だからこそ若様もお嬢さんも、しっかり“無事”だ」

「……は?」

 

 何を馬鹿な、と男は言おうとした。だがそれよりも先に自分を覆うように大きな影が伸びて来た。男の位置からは、その影の正体は直ぐにわかった。わかったからこそ、動きを止め唖然とした。

 

「見つけたわよ、この……愚かな人間……!」

 

 そして髪をうねらせ、少女は吼えた。

 

 ■

 

 五 ハッピーコマンドー外伝 すごいよ!! コルワさん

 

 ■

 

「あんただったのねぇ……! この……誇り高き星晶獣であるこのアタシに! 全てを石へと変える魔眼を持つこのアタシに! さんっっっっざんっ! あっちこっち走る原因作ったのはっ!?」

 

 果たして身の丈幾つの怪物であろうか。少なくともロビーの一階から体を伸ばしてもまだ天井が低く思えるその身の丈。金色にも似た爛々と輝く異形の瞳が男を見下ろした。

 巨大な魔蛇メドゥシアナ。その頭部には、髪を蛇へと変え蠢かせ、プンプンと怒り心頭のメデューサの姿。そしてその脇には、ポカンとした若様と令嬢の姿があった。

 

「グッジョブだメドゥ子、メドゥシアナ! よく咄嗟にメドゥシアナ呼び出して二人を助けてくれた!」

「べ、別に……ただ急に上から落ちて来たし、ぶつかると嫌だからついでにメドゥシアナに乗せただけだからね!」

「それでもよくやった!」

 

 やたらと和気藹々な団長とメドゥ子。男からすれば突然現れた怪物と親しげなわけのわからない少年の図だった。

 二人はどう言う関係であるのか──いや、そんな事よりも今あの少女は自らを星晶獣と言ったか? 男は「まさか……」と否定しつつも、その体はジワリと畏怖を確実に抱いていた。

 視線を動かし周囲を確認した。まだ魔物はかなり残っていた。

 

「……か、かかれ魔物共!」

 

 半ばやけくその叫びを上げて、男は魔物をメデューサへとけしかけた。

 それに気が付いたメデューサは、不愉快そうな表情を浮かべると「ふんっ!」と鼻先であしらった。

 

「その程度の魔物操るぐらいで良い気になるんじゃないわよ、アンタ達全員石になりなさいっ!」

 

 見開かれたのは石化の魔眼。魔晶の輝きよりも強く、その瞳より発せられる光に男はたじろぎ目を閉じた。

 強い光を受けて目に痛みを感じながら、光が収まったのを感じ少し目を開く。

 

「げえぇっ!?」

 

 目を開けて飛び込んで来た光景を見て悲鳴を上げる。自分の周りに風変わりな石像が置かれていた。愚かであるが多少なり賢しい面を持つ男は、直ぐにそれが自分の呼び出した魔物が石に変えられた姿だと理解した。一瞬でこの三階フロアに召喚した魔物全てが石へと変えられたのだ。その力を間近でみた男は、あの異様の娘は正しく星晶獣なのだとわかった。

 

「おっさん、三つ目教えてやる」

 

 一度に全ての手駒を失い狼狽える男に向かい団長は告げる。

 

「“勝てば正義”? 違うね、それは自分を正当化したい悪党の言い方だ。だから俺はこう言うとするよ……“正義は勝つ”だ!」

「こ、の小僧……っ!?」

 

 咄嗟に男は指輪を団長へ向けた。魔物は石になったが、男は無事であった。「自分を石に変えなかった事を後悔しろ!」男は魔晶の力で魔物を呼ぶのではなく、その魔力を直接団長へと向けて放出し攻撃してやろうとした。

 

「ニコラ!」

「────!」

「ぐわっ!?」

 

 だが魔晶より魔力が放たれるよりも先に、男の腕に向かい青色の光弾が直撃した。男の腕は弾かれ痛みでしびれた。一体何が飛んできたのかと思えば、空中を青い光弾がクルクルと円を描いて飛んでいる。それは男から離れると、シュッと団長の傍へと近づいた。

 

「サンキュ、ニコラ。お手柄だぞ」

「──!」

 

 素早い動きが収まると、それは球体のナニかへと変わる。生き物ではない、青白いそれはフェリのペットの内の一体、一本角のニコラだった。

 そして団長達がいるフロアへと上がる階段から、フェリ達と一階フロアに残っていたB・ビィ達が駆け上がった来た。

 

「すまない団長。魔物に手間取った! だがもう宿泊客の安全は確保できたぞ!」

「他の階の魔物も全部ぶっ飛ばしたぜ!」

「ぁとぁとぉ~もぅ秩序の騎空団の人等も来たからっ! 悪ぃ人の手下みぃ~んな捕まってるってさぁ☆」

「……みたいね」

 

 魔物の全滅、そしてクロエからの秩序の騎空団到着の報告。団長がフェンスから改めて下を覗くと、ホテル玄関から秩序の騎空団と思われる騎空士達が突入して宿泊客達の避難誘導と、何名かの男達を捕えている姿が見えた。

 

「この分だと屋敷の方も押さえられたみたいだ。てなわけだし、終りみたいだからもう抵抗しない方が良いと思うなあ俺」

「だ、黙れ!? 逃げるだけなら、勝つ必要は……あ、ああっ!?」

 

 限界まで魔晶の力を使い、魔物を呼び出せば逃げれるかもしれない。そう思った男だったが、魔晶を使おうと思った時自分の指にあるはずの感触がない事に気が付いた。そして慌てて確認すると自分の指にはまっているハズの魔晶の指輪が消えていた。

 

「探し物はこれ?」

「あ!?」

 

 団長が横に浮かぶニコラの角を指さす。そこには自分の指にあるばずの指輪がスッポリとはまっていた。

 

「さっきあんたにぶつかったのは、これ奪うためだよ。さて、これでいよいよ抵抗する手段を失ったな。魔晶の無いあんたはただのおっさんだし」

 

 団長の言う通り男にはもう抵抗する力は無い。男自身には魔法の才も、武術の心得も無い。全ては魔晶があって出来た事だった。

 

「……くそぉ!!」

「ぁ、逃げたっ( ゚ ω ゚ ) ! !」

 

 男はこのホテルの事をよく知っていた。今日の様に懇親会で使用する事も多く、普段からもパーティーなどで利用していた。ホテルの支配人ともよく話もしている。だからどこに避難用の非常階段があり、どの階段からなら素早く逃げれるかを知っていた。

 一縷の望みをかけて逃げ出した男。だがその動きは酷く遅かった。男も不思議に思う程体が酷くだるく感じた。それでも逃げるため男は走る。

 その諦めの悪さに関しては、団長は一種の尊敬を抱いたが、捕える事には変わりない。ため息を吐いて男の後を追おうとした。

 

「待ちなさい」

「ってえ、コルワさん!?」

 

 だが一人、団長よりも先に男の前に現れたのはコルワだった。

 何時の間にかフェリから離れ、男の前に立ち塞がった。

 

「な、なんだこの女……! そこをどけいっ!」

「あぶっ!? コルワさん逃げて!?」

 

 男はコルワの正体などどうでも良かった。ただ自分が逃げるのを邪魔しに現れた一人の女、その程度の存在と思い拳を振り上げて殴り掛かった。

 特に体を鍛えていない肥えた中年男性であるが、それでも大人の男の力で顔でも殴られれば酷い怪我を負うかもしれない。団長がコルワに逃げる様に叫ぶが、何故かコルワは逃げようとしなかった。

 その瞳はジッと自分へと拳を振り上げ迫る男を睨み、そして腕一本程の距離にまで男が近づくとスッと彼女も腕を上げ──。

 

「ハッピーエンドパンチッ!!」

「だぼらあぁっ!?」

 

 一切の迷いなく男の顔面にその拳を叩き込んだ。

 

「ハッピーエンドパンチッ!?」

「ほう? 正確に人中狙ったな。中々いいパンチだぜ」

 

 名前のわりに極めて暴力的な突然のパンチに驚く団長。その鋭い攻撃にむしろ感心するB・ビィ。

 一同コルワのパンチに呆気にとられた。

 

「ほ、ほが……!? ほがが……!?」

「人の恋を邪魔するために、私とララさん達が若様の思いを込めて作ったドレスを盗ませて、それに飽き足らず嫌がる女性を無理やり攫う……そんな事が許されるとでも!? いいえ、許されないわ! だってそんなのバッドエンドじゃないの!? それは私がこの世で一番大嫌いなものなのよ!!」

「なんだ、この女……! む、無茶苦茶だ!」

「逃がさないって言ったでしょ!」

 

 男を逃がさまいとコルワはなんと、石になった魔物を踏み台にして飛び上ると、男の正面から肩車の様に肩へと乗ると両足で男の頭を挟み込んだ。

 

「アレは、まさか────ッ!?」

「知ってるのかB・ビィ!?」

「所謂“幸せ投げ”! だが、あの体勢から繰り出される技の威力はっ!!」

 

 そして顔の雰囲気が変わったB・ビィと、それについ合わせてしまった団長。

 B・ビィはコルワの今の体勢、その形がある技を繰り出すための最終段階だと知っていたのだ。

 

「や、やめ……!?」

「これで、とどめよぉ────っ!」

 

 コルワは気合の叫びと共に自分の頭を振り子の錘に見立て、勢いよく後方へと倒れ込んだ。

 それは一瞬であった。

 コルワはそのまま地面へぶつかる事は無く、鋭く、美しく、正確に男の股をくぐり抜けた。それでも男の頭は挟んだまま、故に男もまたコルワの身体の回転に巻き込まれた。そして勢いのままコルワは男の両足をとった。

 

「ニードルスレイダァ────ッ!!」

「ほぎゃああああぁぁっ!?」

 

 ニードルスレイダー、別名“コルワ式ウラカン・ラナ”。それは、ハッピーエンドの思いを込め相手の肩から股をくぐる回転の勢いで決めるエビ固めであり、込められた思いのわりに殺意の高いコルワの必殺技である。

 

「出たああっ! 相手を縫い針、自身を白糸に見立て針の穴を通るかのように相手の股を正確に潜り技を決めるその姿! 正しく“ニードルスレイダー(針の糸通し)”! ただのドレスデザイナーと思えない攻撃だぁー!」

「……なんだこれ」

 

 やたら熱中するB・ビィ。技をかけるコルワ、関節を決められて悲鳴を上げる男。一気に場の雰囲気が変わり困惑する団長。

 

「ぎえええっ!? や、やめてくれぇ────!?」

「人の恋路を邪魔するヤツは、星晶獣に踏まれて死んでしまえ!」

「ん、なに潰していいの?」

「駄目に決まってんだろ!? あれだよ、ことわざだよ、例えだからな!?」

 

 コルワの叫びに反応したメデューサを止める団長。彼が止めなければ彼女は男をメドゥシアナの下敷きにしただろう。

 

「お終いよ、これで無事に……ハッピィィエ────ンドッ!」

「げぼらああぁっ!?」

 

 団長達が色々言っている間にコルワは最後渾身のハッピーエンド(ぢから)を発揮。そこでついに男の意識が飛んだ。

 コルワは自分の掴む男の両足から一切の力が抜けたのを感じると、彼女もまた力を抜いて立ち上がると、腕を掲げて高らかに叫んだ。

 

「イエスッ!! ハッピィィ……エ──ンドッ!!」

「決まったあぁ────っ!」

「……なんだこれ?」

 

 最後全部コルワに持っていかれ、まとめられた事に団長は呆然とし続ける。どこから持ってきたのか、ゴングを鳴らしながら勝利者インタビューに向かうB・ビィを見ながら更に呟く。

 

「なんだこれ……?」

 

 困惑する団長、しかし事件は解決したのであった。

 




○完幸コルワVS悪徳マン●
(ニードルスレイダー)

ニードルスレイダーは言うまでも無く、原作に登場しない技です。
コルワに普通に戦ってもらうか、『ぐらぶるっ!』835話のネタで思い付いたニードルスレイダーをしてもらうか悩みましたが、元より自分のやりたいネタを書いてる二次創作ですので、今回も自分のやりたい事を選びました。
特に原作でははっきりと描写されていませんが、案外コルワは悪漢に対して自ら戦いに向かう印象があるので、それなりに近接戦闘出来るんじゃないかと言う妄想の産物です。
るっ! に関してなら853話でも、背に「幸」を浮かべ拳を鳴らしてグリザルギムをボコろうとしてたし。

次回からやっとガロンゾに戻れる。

『星の獣のレゾナンス』楽しかったですね。物語も続くし、ゴルゴーン三姉妹も次のイベントかでもしかして完全復活で姉妹揃うとかありえるのだろうかとワクワクします。レヴィオン姉妹の様な仕様でプレイアブルとか。

「星トモ」が意外に人間社会に馴染んでるって言うのが大好き。微笑ましくて、もっとエピソード見たくなる。
あとバアル君、バンドマン時の格好がハンニバルとお揃いの首飾りで好き。

『ヴァーサス』のフェリが、鞭を使う遠距離タイプ。つまりダルシム枠である事にちょっと笑う。ジャンプ後のキック? もダルシムのドリルキックっぽいし。
こいつぁ楽しみだぜ!

『ノーレイン・ノーレインボー』は、ストーリーは勿論グランサイファー内にある「副料理室」の存在を取り上げてくれた事に注目してる。

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