俺は、スーパーザンクティンゼル人だぜ?   作:Par

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ヒロインは、攫われる


アウギュステ大騒動開幕

 ■

 

 一 アウギュステの一番長い日

 

 ■

 

 この日、アウギュステには、多くの思惑が交差した。

 シェロカルテに新しく開いた店に招待されて来た【ジータと愉快な仲間たち団】。任務で偶然訪れたリュミエール聖騎士団の部隊。これもまた偶然にアウギュステへ自分の願いを叶えるための鍵を探しに来たリュミエール聖騎士団団長。自分達の任務を全うしようと暗躍する帝国軍。

 そして、ただ純粋に遊びに来ただけのはずだった【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】、その団長。

 始まる帝国軍の計画、迫る帝国本隊。正義が問われる時が近づく、リュミエール聖騎士団団長シャルロッテ・フェニヤ。表面上明るくふるまうも、兄と慕う男にまつわる不穏な噂についてどのタイミングで確認するか実際は、悩んでいたジータ。怒涛のトラブルの連続、不安と疲れと胃痛に悩む団長。

 そして、まだまだ彼を襲う異常事態は続く。それは、ジータとの再会から一夜明けての事、彼の下にシェロカルテが訪ねて来る事で始まる。

 

 ■

 

 二 帝国狩りの一日が始まる

 

 ■

 

「帝国が動き出した?」

「はい~、そうなんですよ~」

 

 今朝、シェロカルテさんによって俺の元に舞い込んできた報告に俺は眩暈を感じた。結局宿に戻らずそのままエンゼラで皆休んでいたが、朝になって行き成りエンゼラを訪ねて来たので何かと思ったら案の定面倒な報告であった。

 

「……それをなんで俺に?」

「うふふ~団長さんは、帝国の動向を気にされていたようだったので~」

「まあ、確かに気にしてましたけどね」

 

 あの謎空間での事、天司とか言う何時かまたトラブルの種になりそうな奴らの話から近々帝国が動くとは思っていたが昨日の今日でこれかい。コーデリアさん達の問題を解決するのが今日だって言うのに……せめてリュミエール案件解決してからにしてくれよ帝国の野郎。

 しかしそうなると、コーデリアさんとブリジールさんには、ちょっと話を通しておかないといけないな。リュミエール聖国って一応帝国との関係は、友好関係って事になってるらしいし。

 

 

「――と言う話が今朝あった」

「早速面倒ガ始マッタナ」

 

 うるさい(笑)。

 

「で、今日はどうするんだい団長?」

 

 さて、フィラソピラさんに言われて考える。しかし考えた所でどうすればいいのだ?帝国も動きを見せたとは言え大々的な行動に出たわけでもなく、奴らの部隊の居場所も分からない。その上この後エンゼラでは、シャルロッテさんと、バウタオーダさんとその部下達が来る事になってる。ジータは、ジータでまた会いに来ると昨日宣言して戻って行ったからその内顔を出しに来るだろう。俺も何かと忙しいのだ。

 

 

「……ゾーイ」

「何だい団長?」

「例の均衡センサー、だっけ?あれって反応してる?」

「……うむ、かなり来てる」

 

 そっかーかなり来てるかー……つまり何か起きる事は、間違いないと。

 

「ちなみに島崩壊レベルだ」

「ガチじゃねえか」

 

 知らぬ間にとんでもねえ事態になりかけてるじゃん。

 

「安心していい、あくまで予想であって当然回避可能だ。君やあの少女が動けばほぼ問題なく解決だろう」

「まるで安心できねえよ」

 

 どの道俺が苦労する未来しか見えねえのですがそれはどうなんですかね。

 

「……シャルロッテさんって、もう直ぐ来ますよね?」

「そのようになっているが」

「じゃあ、とにかくそれが終ってから考えましょう。そもそも俺が帝国について難しく考える必要も無いわけなんで。状況に合わせて行動します」

「つまり行き当たりばったりだにゃ~」

「結局いつも通りだなと言う事だな、主よ」

 

 うるさい二日酔いの酔っぱらいにドM(笑)め。俺に冴えた行動方針を求めるんじゃない。

 

「ただ宿には、もう戻れないだろうから引き払わんとなあ……残りの宿泊分もキャンセルしよう。各自宿に置いてきた荷物もあるだろうから、それだけ回収しに行こうか」

 

 島崩壊の可能性あるのに俺のやる事って結局こんないつも通りなんだな……くそ、シュバリエの言う事が否定できないじゃないか。

 

「……てか、妙に皆冷静だよね」

 

 ゾーイの島崩壊の可能性を聞いてもあんま皆焦った様子がない。

 

「いや、勿論驚いたにゃ」

「ただゾーイが安心していいとも言ってるしな!」

「それに、君がいるからね~」

 

 いやいや、暢気に言わないでよ。俺がいるからって何さ。

 

「いやいや、中々重要な事だよこれは」

「はい!団長さんが居ると、何となく大丈夫だと思うです!」

「んははっ!!た、たしかに、ひひっ!!君が居れば、問題も勝手に……あはははっ!解決してそ、うははっ!」

「団長ならよぉ?そんな問題ぶっ壊しちまうだろうしなぁ~!」

「ま、確かにそんな感じするわよね」

 

 ねえ、何このトラブルへ対する俺への妙な信頼の高さ?仲間になってあんま日にちも経って無いハレゼナとルナール先生まで……まるで誇れないんですが。俺に何を求めてるんですかね?

 

「諦メロ、オ前ノ積ミ重ネタ信頼ノヨウナモノダ」

 

 こんな信頼いらん……。

 

 ■

 

 三 っす!

 

 ■

 

 結局宿への荷物回収班は、俺とコロッサスとゾーイにB・ビィとフィラソピラさんになった。フィラソピラさんは、いざと言う時クリュプトンで飛んで船まで連絡に行けるので来てもった。後の面子は、お留守番じゃ。

 

「しかしお前ら、買い込んだな……」

「ほっとんどがティアマトやラムレッダの荷物だぜ?」

「お前もリンゴ買い込んだくせに」

「そりゃ必需品ってやつだぜ相棒」

「嘘つけ嗜好品だろ、星晶獣だから飯食わなくても死なねえくせに」

「楽しみってのは、生きるのに必要なんだぜ」

 

 人数が居るのもあるが女性陣の荷物が多い。前のティアマト散財惨劇事件があって特に気をつけさせたので値段は抑えられたようだが買った物の物量は、結局多くなったようだ。

 

「ラムレッダがお酒を多く買っていたね。お酒ってそんなに美味しいのかい?」

 

 聞くな聞くな、未成年の俺に。それと興味があるようだが、そうそう飲むもんじゃないぞゾーイ。

 

「おやおや、また困った顔をしているねえ、団長さん」

「……フィラソピラさん、最近俺の困り顔見るの日課になってませんか?」

「いやあ、君の困った顔がかわいいからなあ~仕方ない、仕方ない」

「仕方なくないです」

「あはっ。その顔も可愛いね……おっと?」

 

 ふよふよ浮いていたクリュプトンが急に止まった。フィラソピラさんの興味が離れた所にある露店へと向いたようだ。

 

「どうしました?」

「うんちょっとね……」

「ああ、あそこの店お菓子屋ですか?欲しいんですか?」

「あーうん、いや別にどうしても欲しいとかじゃないんだよ?ただやっぱり頭使うと甘いものを求めるからねえ……船にあるお菓子も少なくなってきたなあって思ったから」

 

 この人お菓子が好きなのを子供っぽいと思うのか妙に否定する時があるな。

 

「買って来ていいですよ。待ってますから」

「……いいのかい?」

「露店のお菓子ならそう高いもんでもないでしょ。どうぞ、ここに居ますんで」

「そ、そうかい?じゃあ、ちょっと選んでくるね……あはっ」

 

 そしてフィラソピラさんは、嬉しそうにクリュプトンを回しながら店に向かっていった。犬の尻尾だな、クリュプトン。

 

「しかしコロッサスは、来てもらって正解だったわ」

「ニモツハ(o・ω´・b)マカセテ」

 

 片手でかなりの荷物を持てるコロッサス、両手を使えば俺達の荷物の殆どを運んでしまえる。仮にお菓子の荷物が増えても苦ではない。

 だが山のような荷物を両手で抱えて歩く星晶獣、難点があるとすれば街中で目立つ事なのだが不本意ながら俺は、徐々にこう言った状況に慣れつつある。少なくともロリコンだとか変態とか言われるよりマシと思ってしまうようになってしまった。

 

「けど前見え辛いだろうから気をつけ」

「(´゚ω゚`)ワァッ!?」

「っす!?」

「てぇ……って言おうと思ったんだけど」

 

 言い切る前に前から走ってきた誰かとぶつかってしまったらしい。

 

「あらら、やっちまった……」

「ワワ(;ω;*)ゴ、ゴメンナサイ!!」

「あいたた……い、いえ自分の方こそ申し訳な……うわあ!?なんすかあんたっ!?」

 

 まあ驚くよね。ぶつかった相手が巨大な黒鉄鎧の巨人なら。省エネモードでも3mちょいあるからなコロッサス。

 

「気にせんでいいよ。見た目怖いがめっちゃいい奴だから」

「いや、そう言う意味で驚いたわけじゃないっすけど」

「怪我は?」

「あ、はい大丈夫っす」

 

 埃を払いながら立ち上がるのは、鎧を纏った少女だった。まだ小さい、ジータより年下だろうか。しかし鎧は、中々に立派な物だ。一般人が着るような鎧じゃない。アウギュステの傭兵?こんな少女が……いや、しかしジータの様な例外も……ああ、いやアレは例外過ぎるな。例えで出すもんじゃない。

 

「人通り多い所で走るもんじゃないぜ」

「す、すみませんっす。人を探してたので」

「連れでもいるのかい?」

「いえ、自分はある騎空団を探してるっす。アウギュステに来るって言う話聞いたんで急いで追いかけて来たっす」

 

 なんだそりゃ。熱心なファンかなんかか?騎空団の追っかけなんて聞いたこともねえや。

 

「そうだ、お兄さん知らないっすか?【ジータと愉快な仲間たち団】って言う結構有名な騎空団なんっすけど」

 

 Oh……。

 

「相棒のやつ白目向きやがった」

「えっ!?ど、どうしたっすか!?」

「ふむ、ジータの名前が出て少しまいったようだね」

「連日だからな。相当きてるぜ」

 

 おいおいおい、何だってんだ。あいつは、こんな少女にまで追われるような事したのかよ。いやあいつ自身が追われるのは、まあいいとしても何で俺のとこに来るかなあぁ……。

 

「じ、自分なんか不味い事言ったっすか?」

「……いい、気にしないで。それでジータね、はいはい知ってるよ」

「マジっすか!?」

「マジっすよ。何君、関係者?」

「では無いっす……まだ」

 

 まだってなんだまだって。関係者になる気なのか、態々ジータと。正気の沙汰じゃないぞ。

 

「あの騎空団に、自分憧れてる人がいるっす!だからどうしても会いたくて追っかけて来たっす!」

「ジータでは無いのか……まあいいや。あとで会う事になってるからついて来ていいよ」

「いいっすか!?と言うか、お兄さん知り合いだったんすか!?」

「まあね……」

 

 知り合いどころの話ではないのだが……それを今話す気にもならん。

 

「自分、ファラって言うっす!お兄さん案内よろしくお願いしますっす!」

 

 元気な子だねえ。こんな鎧着てるより野原走り回ってる方が性に合ってそうなのに。

 

「ファラちゃんね、それじゃあ俺の船まで――」

「お前、ファラか?」

「え?」

 

 ……壮絶に嫌な予感がする。

 

「ファラ、やっぱりファラじゃないか!?」

 

 突然、一人の帝国兵が現れた。声からしてまだ若そうに思えるが、確かに帝国兵だ。

 

「だ、誰っすかあんた?」

「俺だよ……ほらっ!」

「え、ああっ!?あんたユーリじゃないっすかっ!!」

 

 突如現れた帝国兵が兜を取って見せた姿は、年若き少年であった。

 

 ■

 

 四 噂のツケ

 

 ■

 

「……コロッサス、B・ビィ、嫌な予感がする。何時でも逃げれるように」

「ウン(`・ω・´)」

「あいよ、相棒」

 

 突然の帝国兵の登場。念には念を、いざと言う時のために小声で指示を出しておく。

 

「ユーリ、あんたこんな所で何してるっすか?」

「それは、こっちの台詞だっ!お前居なくなったと思ったら脱走兵扱いになってて驚いたんだぞ!?」

「えっ!?だ、脱走兵っ!?」

 

 おいおい、なんだよこの不穏な会話はよう。ムクムク俺の目の前で帝国関係の面倒な問題が出来上がってってる様なきがすっぞ。

 

「あっれ~可笑しいっすねえ?確かに自分、辞表出して来たはずなんすけど」

「お前、ちゃんと書いて出したんだろうな?」

「勿論!先輩に会いに行くって書いて置いておいたっす!」

「お前馬鹿なんじゃないかっ!?」

 

 うん、馬鹿なんじゃないかな?

 

「そんな辞表通るわけないだろっ!?なんだ先輩に会いに行くって!?そもそも置いてきたって直接提出してこなかったのか!?」

「け、けど先輩に会いたいって思ったらもう居ても立っても居られなくなって、辞表出しに行ったら誰も居なかったし」

「お、お前ってやつは……普段は、真面目なのになんでこういう時は、ほんと……」

 

 ……これ、俺達に気づいてない?気づいてないね。よし、逃げよう。ファラちゃんには悪いが逃げよう。ヤバイヤバイ、これ以上ここに居るとほんと不味い気がする。総員、静かに速やかに、結構急いで退散だっ!!

 

「第一誰だこの男は?」

 

 ああーーーーっ!!駄目だったっ!!気づかれた。

 

「あ、あっしは、通りすがりの名も無き通行人でやんすよ……?」

「なんだその露骨な誤魔化し方は……いや、待てその顔見た事がある気が?」

 

 なんだと……?しまった、こいつあの場に居た奴、珊瑚礁に居た部隊の一人か!?や、やばい、何とか逃げなくては。突破口をっ。

 

「ああっ!?貴様、シャルロッテ・フェニヤとラブホテルに入った男っ!?」

「そっちかよっ!?」

 

 と言うか、見てたのかよっ!?何でじゃ!!くっそ怖いな、ストーカーかこいつはっ!?

 

「き、貴様シャルロッテ・フェニヤと言う女性がありながら、白昼堂々ファラにまで手を……」

「えっ!?自分今ピンチっすか!?」

「なわけあるかっ!?」

 

 何だよシャルロッテさんと言う女性がありながらって、そう言う関係じゃ無いよっ!!よしんば友達だよ!!あと真に受けるなよファラちゃん!!

 

「おのれ……帝国に刃向うのでなければ手出しはしないつもりだったが、貴様の様な外道捨て置くわけには行かない!!」

「捨て置けよっ!?何にもしてないぞ俺はっ!?」

「ユ、ユーリちょっと落ちつくっす。多分、このお兄さん普通のお兄さんっすよ?」

 

 そうだよ、何処にでもいる普通の男だよ、一般人だよ!!

 一般人だよっ!!

 

「いいや、ファラはあれを見てないからそう言えるんだっ!!何よりこの男、既にアウギュステでは、よからぬ噂が溢れているっ!!」

「溢れてんのっ!?」

 

 何時の間にだよっ!?誰だよ、噂の発信源はっ!!

 駄目だ、埒が明かない……気は進まないがこのユーリ少年を気絶させてでも逃げるしか無いぞ。

 

「ユーリ、急に走り出して何をやっているっ!!」

「あ、隊長!!」

 

 増えよったっ!?嘘だろ、何でこのタイミングでゾロゾロ帝国兵が集まって来るんだよ!!

 

「おうおう、相棒。えらい威勢の良いのが集まってきやがったぜ?」

「ああそうだね。団長周辺の均衡率が崩れてきてるから、トラブルが集約され始めてるようだ」

 

 ねえゾーイ?何その均衡率って?しかも俺周りの均衡率が崩れてるって何?

 

「昨日のジータとの再会で一気に崩れたらしいね。まあ、元から崩壊気味だったけど……うーん、驚いた」

 

 俺もだよ……。

 

「むっ!この男は……いや、それよりもこの集団は」

「隊長、こいつあのシャルロッテ・フェニヤと共に居た男です!」

「なにっ!?た、確かによく見るとあの時の小僧だ……うむ、確かこんな顔だったな」

 

 何だよ、確かって。はっきり覚えとけよ、割と一触即発のシーンだったろ。

 

「むむ、まさか我々が帝国軍の本隊が来るまでにアウギュステ市内での活動が円滑になるように作戦を開始した直後にこの様な場面に出くわすとは……」

「話すな話すな、そんな重要な事……」

 

 この隊長大丈夫かよ。結構しっかりしてると思ってたんだが。そして来るのか、帝国軍本隊。

 

「どうする相棒?すっかり囲まれたぜ?」

「……急な展開で対応が遅れちまったよ」

 

 とりあえずもう追加は無いね?来ない?だったら対応するよ?いいね?誰に聞くというわけじゃないが、もう余計な事は無いと信じる。

 

「……帝国の隊長さん、なんかこのユーリ君って方は、誤解してるらしいけど別に俺何かやましい事しようってわけじゃなくてね?ただこのファラって子が困ってるから手助けをだね」

「そ、そうっす。ただ偶然会っただけっす」

「そうか……だが小僧その娘は、脱走兵として手配されている。そして貴様は、我々の作戦中に出会うのは、二度目だな。偶然かどうかしっかりと確認せねばならん。あの時は、見逃したが今回は、我々と共に来てもらおうか」

「や、やっぱり自分脱走兵扱いなんっすね……」

「捕らえますか隊長?」

「まあ待て。小僧、聞くがその後ろにいる者達は、何者だ?」

 

 聞くよね、そりゃ聞くよね……。

 

「……俺の知り合いですが」

「お前の知り合いには、3m以上ある自律した鎧と空飛ぶ黒いトカゲもどきがいるのか?」

 

 お望みとあれば似たのをあと5体用意できるぜ。このやろう。

 

「いや、そうか……貴様、あの【星晶戦隊マグナシックスとB・ビィくんマン&均衡少女ZOY】の団長だな?」

 

 げえええーーーーっ!?バレた!?

 

「本当ですか隊長!?」

「この小僧が、まさか!?」

「いんや、俺ぁ聞いた事があるべ……」

「知っているのか、ハーパーっ!?」

「んだぁ、あんの星晶戦隊(以下略)の団長ってのは、周りがおっそろしいほど強くって、星晶獣までいるってのに団長本人は、ビックリするほど地味な少年って話だぁ」

「そうだ。そこの鎧の巨人、ドラフと言うわけでもあるまい……そして、その妙な黒いナマモノ。女の方も怪しいものだ……最後に印象の薄い少年。最早間違いあるまい」

 

 間違いって言いたい……っ!!くそ、言いたいのに。

 

「お、お兄さん泣いてるっすか?」

「……泣いて、ないやい」

「気にするな少女よ、団長にとっては何時もどおりなんだ」

 

 ゾーイ、悲しい事実を告げなくていいです。ほら、ファラちゃんの顔が哀れみに満ちてきている。

 

「さて、尚更貴様達を逃がす事は、出来なくなったな」

「へえ?オイラ達相手にやる気かよ?」

 

 コロッサス、B・ビィ、ゾーイから殺気が出てくる。

 

「……俺、街中で暴れる気なんて無いんだけど」

「安心しろ、我々もそのつもりだ」

「じゃ、どうするんです?争い事は嫌いだけど、捕まる気も無いんですけど」

「いいや。お前は、自ら捕まってくれるだろう。そう、今我々の周りには、野次馬がそれなりの数集まっている。この意味がわかるか?」

「は?何言って……」

「大人しくしなければ貴様のよからぬ噂諸々と昨日のシャルロッテ・フェニヤとの事を大声で今広めさせてもらう!!」

「な、なにいいいっ!?」

 

 こ、この野郎!!とんでもねえ、とんでもねえ事を……っ!?

 

「き、きったねえ……」

「卑怯も承知の上、悪く思うな。我々の部隊だけでそこの星晶獣を相手に出来るとは思わん。まして貴様が噂どおりならば星晶獣を従える事が出来る男だ。正攻法で勝てるとは、到底思えん」

「うぐ……俺の自身の事ながら反論できん」

「一本取られたな相棒」

「馬鹿、感心してる場合かよ……」

 

 うぐぐ、街中じゃなくてしかも他の人が居なけりゃ大技で一網打尽なんだがなあ……。 これ以上変な噂流れさせるわけにいかないし……。

 

「……わかったよ。大人しくするよ」

 

 両手を挙げて降参のポーズ。

 

「(´・ω・`)イイノ?」

「いいわもう……それに今あの噂流されるとシャルロッテさんも困っちまうからな」

「な、なんかごめんなさいっす」

「いいよ、君の所為じゃないから」

「よし!では、こいつらを連れ一度砦へと戻るぞ!」

「サーッ!イエスッ!サーッ!」

 

 そして俺達は、暑苦しい帝国の部隊に拘束されてしまい連行されたのである。運んでいた荷物ごと。あんた達荷物も持ってくのはいいけど中身見るんじゃないよ?特にルナール先生の奴。後悔するから。

 

「あらら……これは……」

 

 ……後頼むよ、フィラソピラさん。

 

 ■

 

 五 主人公捕まる

 

 ■

 

「お兄ちゃん来たよーっ!!」

 

 エンゼラに乗り込みながら大声を上げジータ一行が現れた時、彼女を迎えるはずだった男の声は、無かった。

 

「む?来たなジータ団長」

「あれシュヴァリエ?お兄ちゃんいないの?」

「うむ実はな……だが丁度良い、少々面倒な事になっていてな」

「おいおい、お前らの少々って本当に少々レベルか?」

 

 ラカムの指摘にシュヴァリエから特に反論は無かった。

 

「それを判断するのは、お前達だ……昨日と同じ食堂に来てくれ。詳しく話す」

「おいおいこりゃ、ラカムの予想が当たりそうだぜ」

「みてえだな……」

 

 わけがわからぬままエンゼラの食堂に通されたジータ達。そこには、団長とコロッサス、B・ビィ、ゾーイを除いた星晶戦隊(以下略)のメンバー、そしてシャルロッテ・フェニヤとバウタオーダ達リュミエール聖騎士団メンバーが揃っていた。

 

「ジータ殿も来たでありますか?」

「シャルロッテさん、これどうかしたの?」

「それが、自分もバウタオーダ殿達も先ほど着いたばかりで……」

「どうも明るい話をしようと言う雰囲気ではないなこれは」

「は、はい……とってもピリピリしてます」

「みんな、集まったね」

 

 緊張した雰囲気の中カタリナとルリアだけでなく【ジータと愉快な仲間たち団】の面々は、冷や汗を垂らす。そんな中フヨフヨと現れたのは、クリュプトンに乗ったフィラソピラだった。

 

「あ、独楽の姉ちゃん……フィラソピラだっけ?どうしたんだよう、兄貴の姿もねえし」

「うーん……ちょっと困った事になってねえ。実は、団長なんだけどね……帝国に捕まっちゃって」

「……え?」

 

 ――この時、ほんの一瞬であったが全空で異常な浮力変動が起こった。異常に浮力が増えた島、減った島があり本来であれば島の危機であったものの1秒にも満たない時間での変化だったために「今ちょっと揺れた?」程度で収まり一部を除いて気がつかれる事は、殆ど無かった――

 

「落ち着いてジータ団長。彼普通に無事だから」

「あ……うん、落ち着いてるよ?」

(い、今なんかやばかったような)

(はわわ……ジータから、異常な気配がありましたぁ……)

 

 ビィやルリアがジータの不穏な気配に気がつきながらあえてその事は、追求しなかった。聞くのが怖かったからだ。

 

「私と団長が宿の荷物を回収しに行ってからなんだけど――」

 

 フィラソピラは、団長が連れて行かれた状況を話した。一人お菓子を買いに行っていたために難を逃れた彼女は、クリュプトンを大急ぎで飛ばしエンゼラへと戻りこの事を伝える事ができた。

 

「団長きゅん……とことん運が無いにゃあ……」

「既にロリコン、巨乳好きの変態の噂が流れてるわけよね。その上ハーヴィンを宿に連れ込んだなんて言われてちゃあねえ……」

「んふふ……め、名実共にロリコ、ははっ!!あはははははっ!?」

「主は、自分自身を人質にされたか……まあ主ならば捕まる方を選ぶだろうな」

 

 身内の何とも言えない評価を聞きながらジータ以外の【ジータと愉快な仲間たち団】達は、団長の安否を心配し同時に彼の運の悪さを哀れんだ。

 一方で彼が捕らえられる原因の一端となってしまったシャルロッテはと言うとショックで顔を青くしていた。

 

「ジミー殿が……自分の所為で……」

「シャ、シャルロッテ団長、お気を確かに」

「これは……また正義審問どころでは無くなってしまったな。フィラソピラ殿、それで団長は?」

「後をつけたかったけど……私じゃクリュプトンが目立つからね、どこかの基地か何かに連れてかれたようだけれど」

「状況から、直ぐに彼らに対して危害を加えると言うわけでもないでしょう……とは言えあまり時間をかける事もできませんね」

 

 バウタオーダの言う通り帝国兵達は、団長達が自分達の作戦を邪魔をしないために連れて行った面が強い。また偶然にもその場で出会った元帝国兵ファラの存在もあって精々形式通りの尋問を行う程度だろう。だが時間が経ってしまえばその保証もない。

 

「うぅ……誰か都合よくお兄さん達の行方知ってる人とかいないでしょうか……」

 

 都合のいい人物が現れる事を考えるルリアだがビィは、そんな人間が居るわけがないとため息を吐いた。

 

「そんな都合のいい奴いるわけ」

「いるでっ、ここに一人な!!」

「うわあっ!?だ、誰だあっ!?」

 

 扉を開けて入り込んできたのは、背中に太鼓を背負ったエルーン、商人カルテイラであった。

 

 ■

 

 六 うちが来るのがちょいと早すぎたかいな?自慢やないけど、うちは100mを5秒フラットで走れるんや

 

 ■

 

「あれ、カルテイラさんです?」

「まいど、風読みの相場師カルテイラちゃんの登場やで~」

 

 エンゼラに現れたエルーンの商人カルテイラ。彼女の登場にジータ達は、驚いた様子だが彼女を知る面々は、特に彼女が現れた事自体に驚く事は無かった。

 

「カルテイラ殿?そうか、ジミー殿の知り合いと言う事は、貴女もこの団の事をご存知だったのですね」

「せやせや。あん時は、どうも」

「しかしカルテイラ殿、ジミー殿の居場所をご存知なのでありますか?」

「勿論知っとるで。せやから来たわけやし……よっと!」

 

 不意に彼女は、下げた大袋から大きな地図を取り出した。図面は、アウギュステのものであった。

 

「仕入れであっちこっち行っとる時、なぁ~んか知った顔の奴らが帝国兵に連れてかれてるんの見かけて、こらどうせまた面倒事に巻き込まれたんやろなぁーって思ってちょっちょぉ~っと後つけといたわ。そっしたら案の定帝国の奴らの基地に連れてかれとるから、ああこりゃあんさん達にお知らせせんとなぁ~って事で現れた次第や!」

「す、すごいわね貴女、普通しないでしょ帝国兵見かけて後つけるって」

「あの団長には、助けてもろたさかい、当然のこっちゃ」

「へえ、そうだったのね」

「それになぁお嬢ちゃん……商人はな、度胸が必要やねん」

「いや商人関係ないでしょ今は」

 

 イオの指摘を無視してカルテイラは、取り出した地図のある部分を丸で囲った。

 

「おいおい……こりゃカルナ砦じゃねえか?」

「オイゲン知ってんのか?」

「ああ、ここは帝国軍の拠点なんだよ。嬢ちゃん達が前の戦争収めてくれたから使われなくなったと思ったが……今回また使い始めやがったみてえだな」

「アウギュステでの帝国の軍事拠点か……間違いなく彼らは、ここにいるな」

「行こうっ!!今すぐ!!」

「待った待ったっ!?ジータ、ステイッ!!」

「まだ話し終わってねえって!!」

 

 声を上げて今にも飛び出しそうなジータをイオとビィが抑える。

 

「けど早くしないとお兄ちゃんが危ないかもしれないよっ!?」

「落ち着けジータッ!お前の攻撃受けて1時間気絶しただけで済む奴がそうそう危険な事になるか!」

「それは……うーっ!うーっ!!」

「あ、言い返せなくて膨れてる」

 

 どうしようもない感情に振り回され頬を膨らませてしまうジータ。一人の人間が連れ去られたと言うのに最初の緊張感が四散して行っている。

 

「実際ソウ心配スル事ハ無イ。アイツハ、星晶獣ノ攻撃ヲ生身デ受ケテモ死ナン」

「何を根拠にそんな」

「いや主は、実際我々マグナシックスの合体攻撃【ファイナルダイナミックマグナスペシャル】を受けてもピンピンしてたからな」

「す、凄い嫌がってたから……さ、最後麻痺掛けられてたよね……」

「――――」

「……ユグドラシルが同意してるなら、本当のようね」

「兄貴……ザンクティンゼルで何やらされてたんだ……」

 

 自分の知らぬ所で地獄すら生ぬるい特訓で星晶獣6体の攻撃に嫌がりながらも曝された事をビィは知らないが、今はただこの場にいぬ彼のために涙を流した。

 

「……ところで、質問なんだけど」

 

 ここで今まで黙っていたルナールが手を上げた。

 

「フィラソピラ、貴方達が回収してたはずの私達の荷物だけど、どうしたの?」

「ああ、あれは帝国兵が団長達と一緒に運んでいったよ」

「ぜ、全部?」

「うん、全部」

 

 この事を聞いた時、ルナールを筆頭に、ラムレッダ、ティアマトに激震が走る。

 

「全部っ!?わ、私のお宝本もっ!?」

「わ、私のおしゃけもっ!?」

「私ノ服トアクセサリーモカッ!?」

 

 比較的危機感がなく温かった星晶戦隊(以下略)の面々であったがここに来てこの三名の熱い闘志が灯った。

 

「は、初めて他の島で買った耽美本を……おのれ、帝国っ!!」

「アウギュステ産の青い海を彷彿とさせる爽やかな飲み心地を表現したあの銘酒とあの銘酒、それにあの銘酒も……お、おにょれぇ~帝国ぅっ!!」

「小遣イ少ナクサレタカラ、何トカ考エテ買ッタ私ノ服ヲ……オノオォレエエッ!!帝国ウゥッ!!」

「あんた達……そう言う反応は、団長さん攫われた時に見せなさいよ」

 

 団長<自分の荷物、と言う現実。イオも他の面々も帝国に連れ去られた上にこんな扱いの団長に同情した。本人が知ったら泣きはしないが非常に複雑な表情を見せただろう。

 

「攻め込むわよ、貴方達っ!!私達の荷物を助けるわ!!」

「団長殿をだろう……」

「ぬおおおっ!!私のおしゃけ、待っててにゃあっ!!」

「待ってるのは、団長ね、団長」

「帝国ノ奴等……私ノ服ニ手出シシタラ許サンカラナッ!!」

「だからそう言うのは、あの坊主に対してだな……」

「そうかっ!!つまり帝国の奴等と語り合えばいいわけだなっ!!」

「お前は、今まで静かだったのに方針が戦う方向になったとたん元気になりやがったな……」

「ひゃっはーーっ!!盛り上がってきたなぁ~?壊天刃ぉもぉ~血に飢えてるぜぇ~~っ!!」

「うひゃあっ!?じょ、嬢ちゃんその物騒なもんしまってくれよぅ!」

「あははっ!!か、彼がいないと……うひひひ、ひひぃいっ!?いつも以上に収しゅ、うが、つか、つかつかないひひいーーっ!!ぶはあっ!!だははーあはははっ!!」

「ほんと、そうみたいね……」

 

 一気に興奮気味になった星晶戦隊(以下略)とジータ達。普段からジータ一人でもお手上げ状態のカタリナ達にとってこの事態は、最早ツッコミを入れる事が唯一とれる手段であった。

 

「各自武器を持ちなさいっ!!敵の場所はわかっているわっ!!準備出来次第出発よっ!!」

「ル、ルナール先生が……も、燃えている……」

「ええ……今の私は、“攻め”のルナールよっ!!」

「おお……っ!」

 

 さながらカチコミである。手には、いつの間にやら握りしめる愛用のペンを持ちルナールの封印されし魔眼がいつも以上に疼いた。

 

「ジータ団長、貴女も力を貸してちょうだいっ!!私の本、と団長を助けるために!!」

「最初に本って言ったぞこの姉ちゃんっ!?」

「やらいでかーっ!!私頑張って帝国ぶっ潰すっ!!」

「ジ、ジータ?あんまお前は頑張ん無くていいと思うぜオイラ」

「頑張るっ!!」

「はわわ、まったく聞いてません……」

 

 今ここに、一方の代表者不在のままに星晶戦隊(以下略)と【ジータと愉快な仲間たち団】の共同戦線が組まれた。最早アウギュステでの帝国の命運は、決まったようなものだがそんな事を帝国兵達は勿論知る事は無かった。そして捕まってしまった団長もフィラソピラがいるので「その内助けに来るだろうし大人しくしてっか」程度に考えていたのだが、流石にこんな集団がこんなテンションで押し寄せる事態までは、想定していなかっただろう。

 

 ■

 

 七 正義の選択

 

 ■

 

「はっ!?」

 

 そしてここで置いてけぼり状態であったシャルロッテが我に返る。

 

「じ、自分もジミー殿救出に向かうであります!!」

 

 団長が捕らえられた原因である【アウギュステラブホ事件】。当事者である本人として団長を放っておく事は、到底できなかった。

 

「いや、リュミエール聖騎士団の団長が来るんは、まずいんとちゃうか?」

 

 しかしここでカルテイラからシャルロッテ、およびリュミエール聖騎士団の団長救出作戦参加に疑問がでる。

 

「リュミエール聖国って帝国と友好関係やったろ。前の時は、小競り合い一歩手前で済んだみたいやけど今回本格的にシャルロッテ団長はんが出てくると帝国も無視でけへんで?」

「うん?ってことは、リュミエール聖騎士団のコーデリアにブリジールも不参加になるぜ?」

 

 フェザーの何気ない言葉にコーデリアとブリジールが怪訝な顏を見せた。

 

「待ちたまえ。確かにリュミエール聖国は、帝国と友好関係にあるが今回は、状況が状況だ」

「そ、そうです!団長さんのピンチにじっとなんてしてられないです!」

 

 団長(コロッサス、ゾーイ、B・ビィの星晶獣3体付属)が本当にピンチであるかは、実際の所団員達も疑問である。

 

「……一応、話シテオクガナ。アイツ、今回ノ事ガ終ッタラオ前等二人退団スルヨウニ言ウツモリダッタカラナ」

 

 先ほどの激しい怒りをいつの間にか消してティアマトが意外な事を告げた。その言葉にコーデリアとブリジールの二人は、思わず狼狽えた。

 

「それは、どう言う……」

「シャルロッテト出会ッタ次ノ日ダッタカ、アイツ一人デオ前達ニ退団ヲドウ告ゲルカッテ悩ンデタカラ相談ニノッタ」

「ティアマトに相談だと……主、悪い物でも食ったか……?」

「ウルサイ」

「ぐえ」

 

 驚愕した様子のシュヴァリエに不服そうなティアマトは、一発張り手を繰り出した。

 

「こう言うのは、主にやってほしいんだが……」

「ウルサイ……トモカク考エテミロ、ソモソモオ前達ハ、騎士団長ヲ探スタメニ入団シタダロウ。今回ノ件デ殆ド目的ハ達成サレテイルンダ。アイツガオ前達ノ今後ノ事ヲ考エルノモ当然ダロウ」

「それは、そうだが……」

「ソレニ今ココニハ、リュミエール聖騎士団団長ガイルンダ。オ前達ガ来ルカドウカハ、ソノ騎士団長ト話シ合エ。騎士団長本人ガ来ルカモ含メテナ」

 

 カルテイラ、そしてティアマトの言う事は、尤もであった。コーデリア達が本格的に帝国と争う事になると間違いなくリュミエール聖国へその事が帝国から知らされる。同時に帝国側からは、その事に関しての抗議が行われるのは間違いなく、まして騎士団長シャルロッテ・フェニヤがいたとなると一度の抗議だけでは、済まないかもしれない。

 コーデリア達の周りでは、重苦しい雰囲気が出てきた。今彼女達は、自分の気持ちと騎士団としての立場の板挟みになっているのだ。ただ一人、バウタオーダは、じっと彼女達を見つめ成り行きを見守っていた。

 

「私達ハ、準備ヲ終エタラ直グニ出ル。モウ一ツ言ッテオクト、オ前達二人トソコノ騎士団長ガ来ナクトモアイツ等ヲ助ケル分ニ問題ハ無イ。ジータノ団モイルカラナ。ソレヲ踏マエテ良ク考エテオクンダナ。行クゾ、オ前等」

「う、うん……ティ、ティアマトが、結構まともだぁ……」

「ウルサイ」

「あう」

 

 セレストに言われた言葉も不服だったのかティアマトは、張り手を一発はなった。

 

「ドウセ、遅カレ早カレアイツガ言ウ事ニナッタ事ダ。リュミエール聖国ハ、気ママナ騎空団ト違ウ一ツノ国、簡単ニ参加サセラレン」

「た、確かに……そうだね……」

「ソレニアイツデモコノ状況ナラ話シタハズダ。ドウセ、コーデリア達ノ立場ノ方ヲ優先スルダロウカラナ」

「ティ、ティアマトって……地味に、団長の事……理解してるよね……」

「コレデモ、最初ノ仲間ナンデナ」

 

 その時のティアマトは、少し誇らしげな表情であった。

 

「よーし!それじゃあ私達も一旦グランサイファーに戻って準備しよう!」

「砦攻めか……へへ、こりゃ腕が鳴るぜ」

「人数は、多いが……楽なのかどうかわからねえなぁ、今回ばかりは」

「なんせ兄貴が関わるからなあ……いつも以上に予想付かねえよ……」

 

 ジータ達も慌ただしく出てゆきラカムやビィは、平和的とは言わないまでも問題がこれ以上大きくならない事を祈った。

 こうして、それぞれが各々必要な準備に取りかかる。

 

「自分は……」

 

 シャルロッテ達、リュミエール聖騎士団を残して。だが、シャルロッテ・フェニヤの瞳には、既に確かな決意が灯っていた。

 




団員達は、勿論団長の事を蔑ろにしてるわけじゃないのです。絶対無事であると言う信頼なのです。

光ゾーイ、出ねえ。もう巫女ゾイで満足するしかないゾイ
あと、うっかり巫女みこナースを巫女みこゾーイって脳内変換してしまって困ってる

これ以上キャラ増やすと、動かしずらい事になるが本家同様に1キャラの話に3~4人までの登場にすれば案外回せる気がする。

ロジーヌ「黄金長方形の回転」(【るっ!】977話)



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