未来からの手紙   作:スターゲイザー

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前回の後書きに追記として記した、『ゴッド、ブルーの強化倍率について』が活動報告に上げてありますので一度お読み下さい。

今話の後書きに戦闘力表もあります。

尚、両方とも本作設定ですのであしからず。







第二十六話 行くぞ、未来へ

 

 

『ゴクウブラックの正体、ですか?』

 

 カプセルコーポレーションの上空で神龍が物凄く困惑している様子が地上にいる悟空達にも伝わって来る。

 

「うん。まあ、頼むよ」

 

 ビルスは笑いもせずに軽く頷いた。

 彼にとっては駄目で元々で、当たったら運が良かったねと僅かに驚く程度にしか神龍に期待していない。

 

『やらせていただきます!!』

 

 仮にも破壊神に頼みごとをされて出来ないとなれば、万が一でも破壊されかねない。

 どんな願いも叶えると豪語しているのだから、これぐらいは出来るだろうとビルスの感情を他者に悟らせない瞳が言っているようで神龍はその能力全てを駆使することを決心する。

 

「こんな神龍は初めてだわ……」

 

 力を溜めるように大きく息を吸っているように見える今までにない神龍の態度に、呆れとこうまでさせるビルスの恐ろしさを遅すぎながらも自覚したブルマが心持ち後ずさった。

 

「馬鹿者」

 

 相手が破壊神とも知らずに啖呵を切ったブルマの態度に少しの尊敬を抱いたベジータだったが、当の本人が既に後悔し始めている姿を見たベジータは溜息を吐いた。

 後悔するならば始めから無謀なことをするなとは、ビルスの前で言えないベジータであった。

 

『ハァアアアアアアアアアアアアアアアッッ――――!!』

 

 神龍が赤い目をガンガンに光らせながらブルマ達には良く分からないが力を行使させているらしく物凄く気合の声を張っている。

 今までのように簡単に願いを叶えることは出来ないらしく、かなりの時間もかかっている。

 

「ねぇ、まだ?」

「頑張っておられるようですから、もう少し待ってあげてもよろしいのでは?」

「待たされるのって退屈。しかも眩しいし」

 

 ビルスが待ちくたびれていて、力を発揮する為にどうしても光ってしまう神龍の目が眩しい様子。

 

『ホワァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――ッッ!!』

 

 傍若無人の気があるベジータですらちょっと哀れに思える神龍は急ぎつつも光を発する目を閉じるという状況に追いやられ、かなりの負担を負っているのか気合の声が奇声にしか聞こえない。

 

「これが神龍……」

「いや、普段はもう少し普通なんだぞ」

 

 一度しか神龍を見たことが無い上に半分の間は死んでいたトランクスは今が通常状態だと思ってしまったようで、それはあまりにも哀れだと悟空が即座に訂正を入れる。

 

『グッ……ハァッ! ハァッ! ハァッ! ハァッ! ハァ……………………ゴクウブラックの正体が、分かりました』

 

 ゴクウブラックの正体を見事に突き止めたらしい神龍は大きく息を乱しながら、ようやく光が収まった目を開く。

 

「ん」

 

 分かったのならば早く言えと、待ちくたびれていたビルスは態度で先を促す。

 

『ゴクウブラックの正体は、第10宇宙のザマスです』

「ザマス、聞いたことがあるね。誰だったか……」

「卓越した戦闘能力を見込まれ、界王神見習いとして界王神ゴワス様の元で修行を積んでいる方ですよ」

「ああ、将来有望だとかで界王から抜擢された奴か」

 

 ビルスが覚えのある名前に記憶に首を捻っているとウイスの捕捉でようやく該当する人物に思い当たる。

 

「しかし、界王や界王神見習いに他者を体を入れ替える能力にあったかな?」

 

 そんな能力を持つ者は広い宇宙の中で多少なりともいるが、少なくともビルスの知る限りでは界王や界王神見習いにそのような能力はない。

 

『ザマスは、龍神ザラマによって造り出された超ドラゴンボールとも呼べる願い球によって孫悟空と体を入れ替えた』

「願い球を使って体を入れ替えたのなら理屈は通るが」

 

 理屈は通っても仮にも界王神見習いにまで抜擢された者が一人間と体を入れ替える理由が分からないビルスにとっては腑に落ちない。

 

「界王神見習いにまでなった者が、どうしてこの程度の男と体を入れ替える必要があったのかだけど」

 

 少なくともビルスの目から見て孫悟空という男の強さは鍛える余地はまだまだあっても、現在の力を見るにそこまでする必要性があるとは思えなかった。

 

『こことは違う世界において、ここの孫悟空よりも遥かに強くなった孫悟空に敗れたザマスはその力に興味を持ち、賢者ズノーの知恵を借りて行動に移しています』

「何らかの理由で分岐した平行世界の一つで馬鹿なことを仕出かした奴もいたもんだね」

 

 この世界ではともかく、ブラックの中身であるザマスの世界では悟空が強くなり過ぎたことが事の発端とでもいうのか。

 負けたからといって人間に興味を持って体を奪うなどという悪趣味な行為に手を染めたザマスに呆れるビルス。

 

「時の指輪やポタラを持っていたということは、師であるゴワスを殺したのかな?」

『はい。そしてその後、未来へと渡って全ての宇宙の界王神を殺しています』

「ああ、だからその坊主の世界では僕が現れなかったわけだ」

 

 ビルスの対である界王神は魔人ブウ復活を目論むバビディやダーブラに殺されているのでザマスが殺したわけではないのだが、口を挟む雰囲気ではなかったのでトランクスは何も言わなかった。

 

「ウイス、第10宇宙の界王神界に行くぞ。この世界でもブラックになるかどうかはともかく見極める必要がありそうだ」

「破壊してしまいますと、時の指輪が生まれて新しい世界が出来てしまう可能性がありますが?」

 

 世界が分岐していく毎に時の指輪が生み出される。

 既に悟空の体を奪ってゴクウブラックとなったザマスがいる以上、この世界線のザマスを破壊すれば新たな分岐が生まれてしまうので、破壊神とはいえ神が世界を分岐させるのは決して褒められた行為ではない。

 

「違う宇宙のことだが身内の恥だ。自分の尻ぐらい拭けなくてどうする」

 

 見習いとはいえザマスは界王『神』である。破壊『神』であるビルスには同じ区分にいる以上、始末をつける義務が生じると彼は考えた。

 

「本音は?」

「よくも僕を殺してくれやがったなあん畜生め目に物を見せてやる!!」

 

 ウイスの問いに思わず本音をぶちまけてしまったビルスは周りから向けられる白い目に気付いて口を押えてそっぽを向く。

 

「さっさと行くぞ。逃げられたら厄介だ」

「おや、彼のことは良いのですか?」

「後回しだ」

 

 そう言ってトランクスからブルマに視線を移したビルスはウイスの肩に手を置いて消え去った。

 

「助かったんでしょうか?」

 

 嵐のように場を掻きまわして去って行ったビルスに、後回しにされたトランクスは実感が湧いていないようだった。

 

「仮にも神様なんだから約束は守ってくれるってことじゃないの?」

「おい、ブルマ。お前はさっきから」

『あ、あの、もういいか?』

 

 ビルスに対するブルマの態度にハラハラしていたベジータが緊張から解き放たれて物申そうとしていたところに、疲労で弱った様子の神龍が力なく言った。

 

「え? まだ一つしか願いを叶えてないじゃない」

『ゴクウブラックの力は神を超えている。その正体を突き止めるのに疲れて疲れて』

 

 後二つは願いを叶えられるはずだというブルマに、神龍は己の力以上に頑張った所為でもう半ばから透け始めている。

 

「なあ、神龍。後一つだけ願いを叶えてもらってもいいか?」

 

 ブルマも流石に神龍が哀れに思えてこのまま消えさせるのがいいかなと思っていたのだが、ビルスが現れてからずっと何かを考えていた様子の悟空が訊ねた。

 

『あまり力を使わないものなら叶えよう。消える前に手早く頼む』

 

 真剣な様子の悟空に透け始めた体をなんとか引き止めながら神龍は威厳を持ちつつ、実は情けないことを言いながら請け負った。

 

「分かった。えと、だな、超サイヤ人ゴッドってやつと、ブルーってやつの成り方を教えてくれ」

 

 少し迷いつつ、悟空は願いを口にする。

 

「おい、カカロット。それは」

「ブラックが言っていたやつですよね」

 

 ベジータが目を剥き、トランクスも悟空の願いに強い興味を示した。

 

『容易い事だ』

 

 悟空の願いに露骨にホッとした様子の神龍が安堵の息をつく。

 

『…………超サイヤ人ゴッドとは、その昔に悪逆の限りを尽くしたサイヤ人に疑問を感じて反乱を起こした一握りの正しいサイヤ人達が偶然作り出したサイヤ人の神だ』

 

 知っている知識だったようで神龍は悠然と話し始めた。

 

『超サイヤ人ゴッドは凄まじい力で悪のサイヤ人を蹴散らしたが後少しというところで戻ってしまい力尽きたようだ』

「時間制限付きか。超サイヤ人3みたいに燃費が悪いんかな」

「ブラックの言葉からして少なくともパワーに関しては隔絶しているのは間違いないだろう」

 

 神龍の話を聞いて超サイヤ人ゴッドについての推測を立てる悟空とベジータ。

 

『ゴッドの作り方は、正しい心を持ったサイヤ人が6人集まり、そのうち5人が自らのエネルギーを1人のサイヤ人に注ぎ込む事でその1人のサイヤ人が覚醒可能となる。ブルーとは、ゴッドの力を取り込んだサイヤ人が超サイヤ人になった際のオーラが水色に変化したことでそう名付けられた』

 

 ゴクウブラックの正体を突き止める過程で、悟空が超サイヤ人ゴッドになったことや超サイヤ人ゴッド超サイヤ人(超サイヤ人ブルー)に至ったことを知れたので神龍の負担は少ない。

 

『願いは叶えてやった。では、さらばだ…………ああ、疲れた』

 

 最後に大きく溜息を吐いて消えた神龍の姿には中間管理職の悲哀を物凄く感じさせ、その場にいる面々に複雑な心境を抱かせてドラゴンボールが散って行く。

 

「正しいサイヤ人か」

 

 ドラゴンボールが散って夕闇に戻った空を見上げながら悟空は考える。

 

「丁度、人数は揃ってるから良かったじゃない。孫君とベジータ、トランクスに私の息子のトランクス、悟飯君に悟天君。ほら、六人ピッタリ」

「俺が正しいサイヤ人だと言うつもりか、ブルマ」

「ナメック星のドラゴンボールで悪人認定されてないんだから大丈夫よ」

 

 ブルマが指折り数えた中に自分も入っていることにベジータが今までの悪行を思い起こしていたが、ブウによって破壊された地球を蘇らせる際に悪人認定を受けずに生き返ることを引き合いに出されて黙った。

 良い人扱いされると複雑な心境のベジータなのであった。

 

「お父さん!」

 

 そこへタイミング良く悟飯と悟天もやってきた。

 気のオーラを解いて地上に降りて来た悟飯と悟天は、特に悟空が戦闘モードになっているわけでもないので首を捻ったが、悟飯は見覚えのある人物に目を丸くした。

 

「お久しぶりです、悟飯さん」

「トランクスさんじゃないですか!? もしかしてまた未来で何かあったんですか?」

「ええ、まあ」

 

 セル戦後に一度来たきりで二度と会うことはないと思っていて驚いた悟飯に理由を言い当てられた未来トランクスの顔は渋い。

 

「悟飯、悟天も協力してくれ」

「メインは俺だぞ、カカロット。でなければ協力せん」

 

 手短にゴクウブラックのことを説明し、先程の神龍の言ったように試してみようと提案した悟空に、まずゴッドに成るのは自分だと譲らないベジータ。

 

「分かったって。みんな超サイヤ人になってベジータに気を送るんだ」

「手を繋いだ方がいいんですかね」

「僕、まだ良く分かってないんですけど」

「俺も」

「僕も何がなんだか」

 

 始めてする試みなので悟空達にもやり方が良く分からない。

 一人に気を送り込むとなれば手を繋いだ方がやりやすいだろうと提案した未来トランクスと違って、事情を把握しきれていない悟飯達は困惑している。

 

「早くしろ!」

 

 今まで新しい境地には悟空や悟飯ばかりが先に至っている中で、遂に自分がという思いが先に立ったベジータが苛立たし気に叫ぶとパッと動き出す。

 

「――――――」

 

 変身途中で周りに被害が及ぶ可能性もあるので上空でゴッド化する為に浮かんだ悟空達。

 ブルマが見上げる中で、超サイヤ人になった6人が手を繋いで円になっているという実に奇妙な光景に変化が訪れた。

 

「……なんだ?」

 

 最初に悟空から沸き起こった超サイヤ人の黄金のオーラとは違う紅いオーラが両隣にいた悟飯と悟天に伝播して両トランクスにも波及して、最後はメインであるベジータに集まって行く。

 

「パパ」

「しっ、待つんだ」

 

 ベジータと手を繋いでいた両トランクスの手が外れ、心配した現代トランクスを未来トランクスが制止している中で変化は如実に表れた。

 赤い光に包まれたベジータは地上に降りて、やがて光は雪が解けるように消えて行った。

 

「あれが超サイヤ人ゴッド……」

「こんなに近くにいるのにベジータさんの気が感じられない。戦闘力が分からないなんて」

 

 赤髪になり、少し細身になったベジータの姿に、地上に降りて来た全員が驚きながらも悟空だけは得心が言ったような表情を浮かべている。

 

「流石はサイヤ人の神ということだけはある。体の奥底から無限に力が湧いてくるようだ」

 

 ゴッドになった力を最も感じているベジータは明らかに次元違いの変身に酔いながら笑みを浮かべていた。

 

「俺は貴様を超えたぞ、カカ」

 

 ロット、と悟空のサイヤ人の名前を言いかけたベジータが顔がある方向を見てピシリと固まった。

 途中からベジータを見ていた悟飯達も悟空に目を移しており、同じように目を見開いたり口を開けたり、程度の差はあれど驚ていることには変わりない。

 

「どうしてお父さんが超サイヤ人ゴッドになってるんですか?」

 

 悟飯が見つめる先、ベジータが顔を向けた所にいる悟空が赤い気を纏って立っており、ゴッドになっているのだから驚かない方がおかしい。

 

「――――ふぅ、短時間だけどな」

 

 十数秒の間、ゴッドの状態を維持した悟空から赤いオーラが消えて通常の状態に戻る。

 

「わぁっ、お父さんは自分でゴッドになれるんだ」

 

 五人の協力でゴッドになったベジータと比べれば、独力で辿り着いた悟空の方が凄いのだと悟天が尊敬の眼差しを向ける。

 

「オラだって自分だけで成れたわけじゃねぇさ。ブウとの戦いの時に元気玉を作っただろ。その時に今と似た条件で短時間だけ不完全なゴッドに成れたんだ」

 

 見上げて来る悟天の頭の撫でながら悟空は最初にゴッドの境地に辿り着いたブウとの戦いを思い出す。

 

「練習して最近になってようやく一瞬だけまた成れるようになってたけど、時間が伸びたのは本物のゴッドを見れたお蔭だな」

 

 不完全な状態しか知らない中で超サイヤ人ゴッドの完成形を見れば、自らのゴッドの完成度を高めることが出来る。意識の変化だけで持続時間を伸ばせたのならば、しっかりと修行すれば遠くない内に完成させることもできるだろう。

 便宜上、超サイヤ人3の先である超サイヤ人4と内心で命名していたのは悟空だけの秘密である。

 

「二人がゴッドになれたのは喜ばしい事ですけど、タイムマシンが無ければ未来には」

 

 ゴクウブラックによってトランクスが乗って来たタイムマシンは完全に破壊されてしまっている。

 例え悟空とベジータがゴッドに成れたとしても、未来にいるゴクウブラックの下へ向かう術がない。

 

「ふふん、何時かはこのセリフを言ってみたかったのよね。そう、こんなこともあろうかと!!」

 

 消沈する未来トランクスに、どこかの博士のように笑ったブルマが胸を張る。

 

「タイムマシンは、もう一台あるんだもんね、ブイ」

「え? どうして……」

「あ、あぁっ!? セルが乗ってきたタイムマシン!!」

 

 人造人間の事件の時、別の世界線の未来から来たセルが乗って来たタイムマシンが発見されている。

 トランクスは直ぐに思い至らなかったが、あの時に同じ場にいた悟飯が答えに辿り着いた。

 

「トランクスが未来に帰る日に預かってたのよ。解析作業に入っても全然仕組みも分からなくてお手上げだったけど、最近になってまた再開してたところなわけ」

 

 これで未来に行く方法は見つかったわけだが問題がないわけではない。

 

「でも、タイムマシンは作らないってビルス様に約束したんじゃ」

「作らないわよ。修理するだけだもの」

 

 言葉遊びにも聞こえるがブルマは何も嘘は言っていないので、本当に大丈夫かなと思うトランクスだった。

 

「修理するだけと言うが、ビルス様がブラックの元であるザマスを破壊して戻ってくる前に終わるのか?」

「うっ!? それはちょっと無理があるかな、なんて」

「おい」

「だってしょうがないじゃない! 未来の私って天才過ぎるのよ。まだ時間の仕組みだって分からないのに直ぐには出来ないわ」

 

 もう一つの問題に気づいたベジータにブルマが逆ギレする。

 正体が分かっているのだからビルスがザマスを破壊するまでにそう時間はかからないだろう。

 これからタイムマシンの解析を行って修理するとなれば年単位の時間がかかる。どう考えたって間に合うはずがない。

 

「あ、それなら未来の母さんから預かったノートがあります」

「え、そんなのがあるの?」

「元々、この時代に来る分しかエネルギーを集められなかったので、俺が帰る為にはこの時代でエネルギーを集める必要がありましたから、この時代の母さんの協力が必要になるだろうと用意してくれていたんです」

 

 そう言ってトランクスはジャケットの胸ポケットから小さなノートを取り出してブルマに差し出す。

 

「私の字だわ。流石は未来の私、抜け目ないわね」

 

 時間を超える為の理論や数式が書かれているノートを受け取ったブルマはパラパラとページを捲ると、自画自賛になりそうなことを言いながらも感心している。

 

「うん、エネルギーはうちで開発中のものね。パパと協力しながら修理してとなると、丸一日はかかるわ」

「ということは、一日の間にどれだけゴッドを自分の力に出来るかが大事になる」

 

 今のゴッドも時間制限があるわけだが、消えるまでの間に如何に自分の力として取り込めるかが重要になってくるとベジータは反芻する。

 

「じゃあ、みんなでゴッドになってブラックって奴を倒しに行こうよ」

「そう上手くは行かないわ。一日だとエネルギーは行って帰って来る分が精一杯。タイムマシンに乗れるのも大人三人が限度よ」

「トランクスさんは外せないとして、残るは二人になりますね」

 

 悟天の提案にブルマは首を横に振った。

 未来に行くのにトランクスは当然として、定員が残り二人となれば後は簡単な帰結である。

 

「オラとベジータ、トランクスの三人で決まりってことだな」

 

 未来に留まるトランクス、そして残り二人となればゴッドに成っているベジータと不完全ゴッドの悟空に決まっている。

 

「俺もゴッドにして下さい。あの時代は俺の世界なんです。自分の手で平和を取り戻したい」

「ふん、足を引っ張るんじゃないぞ。ゴッドになったら重力室で性根を叩き直してやる」

「はいっ!」

 

 現代トランクスがベジータに訓練を付けてもらえる未来トランクスに少し嫉妬眼差しを向けている。

 大人に成ったようでまだまだ子供な現代トランクスに微笑ましさを悟空が覚えていると、悟飯が「お父さんはどうするんですか」と聞いてきた。

 

「オラか?」

「ええ、修行するなら微力ながら僕もお手伝いしますけど」

「僕も!」

 

 悟空がすべきことはゴッドの完成とその先のブルーへと至ることである。

 ベジータではないが虚仮にされた借りを返さなければ悟空も腹の虫が収まらない。

 

「有難ぇがオラは一人で大丈夫だ」

 

 修行するならば誰かがいた方がいいと練習相手を申し出てくれる悟飯と悟天の申し出が有難いと思いながら断り、空の彼方を見上げた。

 

「もう一度、入らなきゃなんねぇみてぇだな――――精神と時の部屋に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴクウブラック、破壊神ビルスと付き人ウイスの襲来から丸一日後、カプセルコーポレーションから一台のタイムマシンが消え去った。

 

 

 




 神龍、必死の努力の既にゴクウブラックの正体を細かいところまで突き止めるの回。
 ビルス様はブルマとの約束を守り、トランクスよりもゴクウブラックの正体の方を先に破壊しに行きました。

 そして悟空が疲れている神龍にゴッド化とブルー化の成り方を聞く。
 このゴッド化の為に未来よりやって来たと言っても過言ではない未来トランクス。その煽りをくらって見切られる悟空。どっちがシナリオの犠牲になっているのか。

 今度こそは自分がというベジータがメインになってゴッドになるが、完成形を見た悟空も完全ゴッド一歩手前になってて唖然。

 やはり使われたセルのタイムマシン。説明書は事前にトランクスが持っていた(理由はタイムマシンが修復不可能になってもトランクスさえ無事なら、もう一つのタイムマシンがあると聞いていたから。予備をブラックに壊されたタイムマシンにも置いていた)

 タイムマシンの修理とエネルギーの補充に一日。ビルスが帰って来ないことに希望を持ちつつ、トランクスもゴッド化してベジータは重力室でシゴく模様。
 そして悟空は精神と時の部屋に入る。
 ブウ戦で精神と時の部屋の空間から超パワーがあれば脱出できることを知らないので、まだ一日使える悟空が占有。

 尚、未来へ行く直前の戦闘力は以下の通り。
ゴクウブラック編開始時点
悟空(18)
ベジータ(12)
トランクス(20)

 悟空 18*50=900*2=1800*4=7200 不完全ゴッド 7200*1.5=10800 一年間の修行+ブルー 50*3800=190000(19万)
 ベジータ 12*50=600 600*2=1200 ゴッド 25*3600=90000
 トランクス 20*50=1000*2=2000 超2フルパワー4倍 2000*4=8000 ゴッド 25*3200=90000
 ブラック 100*50=10000 5000*2=10000 復活パワー行使後のロゼ  125*4000=500000(50万)

ちなみに

 ビルス 200万
 ウイス 300万

フュージョンする際は、低い方に合わせますのでベジータ、もしくはトランクスの25が基準になります。



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