【ダクソダンジョン】─快適な生活のために─   作:古い底の王

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【冒険者の都ルーク】 観光と怒り

さぁ、ルークへとついた。徒歩かと思っていたがダンジョンマスターにしか使えない転送装置があるようで、居住区から直通で来ることができた。

 

そして、会議は明日だということで、今日はこの街を観光しようと思う。マスターは危ないと言ってさっさと帰ってしまったため、明日会場で合流する予定だ。

 

 

早速だが、やはり戦士としては武具店はかなり気になるため、その辺りを歩いていた兵士や冒険者に話を聞いて一番人気の店へと来た。楽しみだ。

 

店内にはいると、埃と木材の臭いがする。良い感じだ。今まで言ったところと言えば祭祀場の奥のアンドレイの所かルドレスの玉座だったから新鮮だ。

 

 

 

色々と見て回ったが、ロスリックのものほどのはなかった。中々面白いつくりのものや高価な魔剣はあったが、はっきり言って【混沌のダークソード+10】とかには全くもって及ばない出来であった。

もっと技術をあげてほしいものだ。そんなことを思っていると、

 

「そこのあなた!ちょっと待って。」

 

なにやら鎧を来た少女に声をかけられた。‥‥ふむ、素人だな。鎧がガチャガチャと騒がしい。音を押さえられていないな。それに、ロングソードの位置が悪い。そこだと引き抜くときに力が入らないため初動が遅れるな。

 

「ちょっと!聞きなさいよ!」

 

おっと、考え事をしてしまった。

 

「私かね?何のようかな。」

 

「良い剣腰に下げてるじゃない!見せなさい!」

 

は?なんだこの少女は。戦士の誇りとも言える武器をそう簡単に渡すわけがないだろう。

 

「なぜだ。断る。」

 

「はぁ!?良いから見せなさいよ!」

 

あ?なんだこのクソガキ。‥‥ンンッ!ふぅ、礼儀がなっていないな。

 

「礼儀というものを見せたらどうかね。その態度は目上のものに対するものではないぞ。」

 

そう言いながら少し威圧すると、向こうも理解したらしいが、まだ生意気をいう余裕があるらしく

 

「ふん!いいからさっさとしなさい‥ひっ!」

 

あぁ、駄目だ、このガキは殺す。クソガキが私の剣に勝手に手を伸ばしたところで、【罪の大剣】を抜き相手の首もとへ突きつける。空いた手には【裁きの大剣】を取りだし相手の心臓へと重ねる。

 

そこまでされてようやく立場がわかったらしく、顔を真っ青にして震え出す。

 

「剣か。出してやったぞ。さぁこれでどうする。」

 

「あ、‥いや、」

 

「それで?出してやったのだから礼の一つでも言うべきではないかね?‥‥あぁ、礼儀知らずにそんな高尚な真似は出来ないか。」

 

そんなことをしていると、外から大柄な騎士が駆けつけてくる。

 

「姫様!いかがなさいま‥‥無礼者!」

 

そういい放ち剣を抜いた騎士、その剣に振り返らずに【裁きの光】を打ち込み剣を叩ききる。

 

柄だけになった剣を呆然と見つめる騎士を前に、クソガキがようやく謝る気になったらしく

 

「も、申し訳ございませんでした‥。」

 

などと言う。非常に腹が立っているが、仕方がないので剣を納める。

 

すると、外にいた他の騎士達が現れ私を取り囲み、剣を向ける。

 

「‥そうか、‥‥ならば皆殺しにしてくれる。」

 

そしてます目の前の騎士を殺そうとしたとき

 

 

「止めなさい!」

 

先ほどまで奥の方にいた女性が現れる。どうやらこの連中の主か何かのようだ。

 

「しかし!」

 

「黙りなさい!この恥れ者共が!帰ったらこの全てを父上に報告いたします!全員剣を納めて下がりなさい!」

 

「ですが!」

 

「黙れ!」

 

そして不承不承ながら下がる騎士達とクソガキを尻目に、女性が深々と頭を下げる。

 

「姉上、このような下民に頭を下げるなど!」

 

 

「ならばこんな無様を二度とさらすな愚か者!貴様が不甲斐ないから私が頭を下げているのだ!」

 

「そんな‥」

 

「このようなことをしでかし、誠に申し訳ございません。」

 

そう行って頭を下げる女性。ふむ、かなりの腕利きのようだな。剣も鎧も使い抜かれているし筋が真っ直ぐだ。

 

「あなたには何も思っていない。謝罪をするならそこのクソガキではないかね?」

 

そういうと、女性は振り返りクソガキの頭を握り無理矢理下げた。

すると、クソガキは震えながらか細い声で、

 

「‥‥申し訳ございませんでした‥‥、」

 

という。まだイライラしているが、謝罪されたので許す。まったく、人の武器に勝手に触れるなどパッチ以下だな。

やつもまたクズではあるが、たまに役に立つ。

 

「受け入れよう。それで、私はもうそろそろ帰りたいのだが。」

 

「感謝します。お詫びと行ってはなんですが、こちらをお持ちください。」

 

そう言われて、小さな短剣をてにいれる。ふむ、巧妙に隠蔽されているが、

 

「【致命】と【猛毒】、それと【麻痺】か?」

 

「‥!流石です、こちらで今回のことは手打ちとしていただきたく。」

 

「あぁ、分かった。これで何もなかったと言うことにしようか。」

 

「感謝します、それでは。」

 

そう言い女性は去っていった。ふむ、彼女はかなりの凄腕で権力者らしいな。ソウルの説明が中々だ。

 

さて、気を取り直して観光をしようか。

 

 

 

その後、特に問題なく、食事や細工屋、広場など色々と見て満足し、町の住人おすすめの宿をとって寝た。

 

中々悪くない一日であった。




【毒蛾の死刺剣】

法王国エストランテで少数生産されている強力な刺剣。
触れただけで死に至ると言われる毒蛾に特殊な加工をして刺剣にしている。
その毒は解毒方法が極僅かであり、他国へ流出することを防ぐため国王から直々に授けられることでしか手に入らない。

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