【ダクソダンジョン】─快適な生活のために─   作:古い底の王

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新たなる不死 それは【伝説の不死人】

Dランクパーティー【狼の牙】が新たなダンジョンを発見した影響で、もよりの町はかなりの賑わいを見せていた。

というのも、普通のダンジョンとは大きく異なる様子を見せているためである。

 

曰く、この世のものとは思えない絶景がある。

曰く、あれはこの世界の末である。

 

などなど、入り口からして普通ではないここを攻略するために多くの冒険者がこのダンジョンに挑戦していった。

 

 

そして、半年後。第一階層とは思えぬほど強力なボスを初めて討伐したパーティが現れた。

彼らは討伐した後、先へ進み、巨大な昇降機を発見し、登り終えた先での光景を記録し帰ってきた。

 

さらに、彼らが持ち帰った一塊の光る玉のようなものがいま、この世界でかなりの話題になっている。

 

この光をそのパーティのリーダーが落としたさい、絶対に変わることのない人間の強さや才能の限界、【魂魄強度】が上昇したのだ。

 

これにより、世界各地の著名人や、権力者たちがこのダンジョンから光の玉を持ち帰る依頼を出したため、今強力な冒険者達が集まってきている。

 

冒険者ギルドは、この玉を【魂球】と名付け、最初に討伐したパーティにもっと持ち帰るように要請。

 

しかし、ボスは現れず、他の冒険者達が来たさいには出現するため、一パーティに一度のみだと考え、現在彼らは昇降機の先、広大な町の探索をしている。

 

だが、町の騎士達は強力で、まれに現れる竜の影響もあり、捜索は難航している。

 

 

─────────────────────────

 

あれから二ヶ月ほどたち、町へと調査へいかせた小型の魔物達が持ち帰ってきた情報がこれである。

 

恐らくソウルが増えた影響でソウルレベルが上昇したのは良いが、それどころではない。

 

最近、ロスリック市街に到達する連中が増えてきている上に、グンダのところにもわんさか冒険者が来ている。これは非常によろしくない。

 

あ、グンダだが、一度死んだはずだが、迷宮のボスに登録すると復活できるらしい。

ただ。一度殺せたのなら次も殺せるだろうから一度討伐したパーティーの前には現れないことになっている。

ソウルレベルあげてやるのもしゃくだしな。

 

 

 

「さて、主人よ。一つ聞きたいのだが。」

 

「どうしました?」

 

「私がいた世界から未だ人は呼べるのか?」

 

「えっと、今なら一月に一人くらいなら何とか。」

 

「ならば‥‥」

 

そう言って彼が取り出したのは、一振りの煤けた剣。何てことはないただのロングソード。しかし、それは強力な力を帯びている。

 

 

「これを使って召喚してくれ。」

 

「‥‥これは、誰のものですか?」

 

そう聞くと、少し黙った後、彼は低い声でこう漏らした。

 

「別の人にしようと思っていたが‥‥こうなれば仕方がない。」

 

そして、顔をあげ吟うように話し出す。

 

「それは遥か昔の話、自らの呪いを解くために火継ぎを成した人がいた。私や、前任者達のように誰かに案内されるのではなく、全ての道を自分自身で切り開いた偉大なる王」

 

 

「偉大な伝説の不死【絶望を焚べる者】を呼ぶ。」




補足説明ですが、ソウル錬成で作り出したボスたちには知能がありません。なぜなら既に狂ったときの変質したソウルを使うからです。

呼び出す場合は彼らの全盛期に近いので、知能が高く、強さも抜群です。しかし、錬成みたいな魔改造はできません。



【絶望を焚べる者】


遥か昔、滅びた王国にて、火継ぎを成した不死人。彼は呪いを解く術を探していたが、ついに見つからず、全てを終わらせるために玉座へとついた人物。

他の王と違い、彼自身の逸話はあまり知られていないが、彼自身が伝えたとされるある女騎士の伝説と、巨人と王国の戦争譚は有名な伝説となっている。

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