【ダクソダンジョン】─快適な生活のために─   作:古い底の王

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ちょっと長めです。


白竜招来 それは古き時代の名残

色々とあったがテストも無事に終えてまた挑戦者達を返り討ちにする日々が始まった。

最近ではコツコツと探索も進んでロスリックの高壁に入り込む者も多い。そろそろ次の階層を考えねばな。

 

さて、召喚話なんだが。オーンスタインに召喚陣を見せてみると、オーンスタインの神気を注ぎ込んで、さらに私とアッシュが持っている道具を使えば残りの四騎士はまとめて呼べるようだ。

 

流石に強大な力を持つ神々の直系はまだ厳しいが、まとめて呼べるのなら全員呼んだ方がいいかもしれない。

 

が、住むところがないという事で、どうしようか悩んだところ、

 

「アルトリウスは森林が好きだな。キアランはアルトリウスがいれば問題ないし、ゴーは確か高くて景色が綺麗なところが好きだぞ。」

 

と、オーンスタインが言ったのでまずは場所を整える。

キアランはよしとしてゴーとアルトリウスが少し面倒だ。森といっても【生け贄の森】はいまいちパッとしないから新しい階層を整える必要がある。

 

幸いなことに最近は挑戦者が増加している上、一人一人から得られる力も多い。階層を二つぐらいならば同時に作ることができるだろう。

 

早速階層をつくる。

 

今回のテーマは森だが、ロスリックにはちょうどいい場所はない。アッシュに聞いてみても森はあまり無かった。

 

なので今回は森というかは少し微妙だが、オーンスタイン考案で【シースの領地】を再現する。

 

「なんというか‥‥巨大な図書館、裏庭、そこから続く結晶洞窟がある。全部シース様の管理下にあったからあまり詳しくはないが」

 

と言うことなので、困っている。どう作ったものか。

図書館は【大書庫】を参考にしてみようかと思う。裏庭はアルトリウスは入ったことがあるようだからそちらもなんとかなりそうだ。

 

ただ、【結晶洞窟】というのは秘中の秘だったらしくオーンスタインすら入ったことはないらしい。

 

そこで悩んでいたときにふと気づく。

 

「先にシース公を召喚するというのは駄目なのか?」

 

尋ねるとオーンスタインが少し悩んで、

 

「駄目ということはないがあの方は少々気難しい。学者気質だから突然呼び出されると機嫌を損ねるかもしれん。」

 

むぅ、ままならないものだな。

 

「‥‥あの、これを渡すというのはどうでしょう。」

 

そう言って主が1つの小さな石を取り出す。その石は不思議な力を発しており、一目見ただけで特殊なものだとわかる。

 

「それは?見たところ尋常のものではないようだが。」

 

オーンスタインが聞くと

 

「これは、今は亡くなってしまった先代議長に頂いたものなんですが、この石は【時空間を越えて繋がる地へと移動できる】という力を秘めています。

‥‥最も今では対の石がないので反応はしないようですが。それでも貴重なものです。学者様というならば少しは興味を持たれるのでは?」

 

ふむ、一理あるな。確かにこれをみたらオーベックなどは絶対に研究するだろう。

 

オーンスタインをみると、ひとつうなずく。どうやら大丈夫なようだ。じゃあ早速呼び出そうか。

 

 

いつものように召喚陣を描き、オーンスタインが雷の力を流し込む。そして、王に貰った小さな結晶を安置し、楔石とサイン石で、装飾する。これで効果が高まるらしい。

 

描き終えた陣に力を注ぐと、今回は陣が青白く光、霧が滲み出す。さらに込めると部屋の温度が下がり、結晶が部屋を覆い始める。

 

そして、偉大な白竜が現れた。

 

白竜は辺りを見渡し、不機嫌そうな顔でオーンスタインを睨み付ける。

 

『貴様これはどう言うことだ。我は忙しいと常々言っているはずだが。』

 

オーンスタインは騎士式の礼をし喋り出す。

 

すべて話すと白竜は疲れたように目頭をもみ、

 

『あの馬鹿め。我らはよくともイザリスと長子は納得するはずがあるまいに。

奴は責任の取り方をわかっておらんな。まぁいい。話はわかった、それで、その石はどこだ。』

 

どうやら言い伝えと違って話が通じるようだ。白竜シースといえば狂気に染まった鱗のない竜と聞いていたが。

 

しかし主が石を取り出すとその態度は急変する。

 

『‥‥ッ!貴様!何処でそれを手に入れた!』

 

「これは私の死んだ知り合いから譲り受けた物です。‥‥なにか不都合が?」

 

そう言われた白竜は少しだけ冷静さを取り戻し、

 

『その石の名は【要石】。かつて世界を滅ぼしかけた獣を封じる石だ。いまでは僅かに5つしかのこっていない。』

 

聞き流せない単語が出た、【世界を滅ぼしかけた獣】だと?そんな話は聞いたことがないが。

 

「シース公、どういうことです?そのような話は王より聞いてはおりませんが。」

 

どうやらオーンスタインも知らないらしく焦った様子で訪ねている。

 

 

『‥‥この話はあとでする。いまはまずやるべきことを終わらせるぞ。暫し待て‥‥‥【生体偽装】』

 

知らない魔法を唱える。その巨体がみるみるうちに小さくなり、

 

「ふむ、久しくこの体を使うが問題ないようだな。」

 

少年がたっていた。

 

白髪に青い眼、すこし鋭く、冷たい印象を受ける。体にはローブを纏い、杖をつくその姿は少年でありながら老人にもみえる。

 

「‥‥その魔法は?」

 

「なんだ、オーンスタインに聞いていないのか。イザリスはともかく我とニト、巨人族はその体では不便でな、開発したのだ。最も人間が使うと妙なものに変化するようだが。」

 

‥‥どうやら【偽装】の本質は人間、神以外の存在が体を圧縮するために使うようだな、オーベックが知ったら眠れないほど興奮して研究を始めそうだ。

 

「さて、では我が書庫を作るのだろう。案内しろ。」

 

やはり魔術師とは皆高圧的になるのだろうか。そんなことを考えながら彼を案内していくのであった。

 




分かる人は分かると思いますがここからあのゲームが登場です。なお、登場人物は一人も出しません。というか設定上出せません。御了承ください。


【白竜シース】

岩の古竜達を裏切り、グウィンのもとにて竜の鱗の研究をしていた古竜の生き残り。
しかし研究は進まず、ついに狂気に落ち、【原始結晶】を発見した。

【独自設定】

四人の巨大なソウルの持ち主のなかでは最も冷静で思慮深い。偉大な発明家であるり、開発した数々の技術は神族を繁栄させたが、そのすべての功績は歴史の海に沈んでいる。
今伝わっているのは【魔法の祖】の名のみである。

*この小説内で彼の発明物として扱うもの

・エレベーター技術
・魔法生物達(結晶ゴーレム)(月光蝶)等
・二つの鐘とゴーレム機構
・魔法
・【アノール・ロンド】【公爵の書庫】の設計
・ 楔石の加工技術
・特殊な道具(頭蓋ランタン)(底抜けの木箱)等

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