さて、第六階層まで出来たんだが、ここら辺で一度試験的に攻略してみようと思う。
メンバーはオーンスタインを除いた3人。オーンスタインには別室から客観的に見てもらうことにした。
もともと警備の任についてた彼なら私達ではわからないこともわかるだろう。
さて、久しぶりの戦闘だから十分に気を付けなくてはな。愛用の装備を着込んで動きを確かめ、全員の準備が整ったことを確認して入る。
懐かしい。他の二人は違うだろうが、数年前私はこうして目覚めた。あのときは驚いたよ。不死となり、火を継ぎ、終わったと思っていたのだから。
3人とも試練を勝ち抜いてきた戦士だ。亡者ごときに遅れはとらずにサクサクと進んでいく。
そして不死廟についた。結晶トカゲが私の記憶よりも強かったのは驚いたな。
恐らくだが錬成をつかったやつらはもとよりはるかに強くなっているのだろうな。
不死廟も意外と簡単だった。といっても我々基準の簡単だが。ファーナムもルカティエルもここへきたことがあるらしく敵のことをよく知っていたため対した苦戦もしなかった。
さぁボスだが‥‥めちゃくちゃ強かった。
「アッシュ!魔法が切れた!」
「ダメだ!灰瓶がもうない!松脂使え!」
速い、硬い、一撃が致命傷と三拍子揃っている。最悪だ。
「アッシュ!ファーナム!私がこじ開けるから斬りかかれ!」
そう言って盾と剣を構えて突撃していくルカティエル。タフすぎるだろう。
後ろから黒火炎壷を投げたりしながら切りかかっていく。そうこうしているうちになんとか倒すことができた。
「ぜぇ、はぁ、こいつこんなに強くなかったんだがな‥。」
「‥まぁ、安心できると言うものだ。さぁ、指輪も拾ったし先へ進むか。」
ここで迷ったが、今回は生け贄の道へ進むルートを使うことにした。
実は階層の最後はダンジョンの核に繋がっていなくてはならないという制約が有るため【生け贄の道】と【アノール・ロンド】のどちらからでも行けるのだ。
「じゃあ二手に別れよう。それで行ける。」
「‥‥私一人で生け贄の道へいけばいいのか?」
「オーンスタインを呼ぼう。おーい。」
虚空に向かって呼び掛けると目の前にオーンスタインが完全武装で現れた。やる気満々だな。
私とオーンスタインが生け贄の道へいくことになり、ずんずん歩いていく。
まぁこの二人であれば苦戦するなどということもなくサクサクと進む。が、しかし。
現在、なぜか【強化竜狩りの鎧】とオーンスタインが一騎討ちを始めてしまった。
そう言えば見せたことがなかったとか思うや否や槍を構えて突撃していった。なぜだ。シンパシーでも感じたのか。
そして私はその回りを守るために、大蟹2体と死合(誤字にあらず。)を行っている。
オーンスタイン、頼むからこちらを見てくれ。蟹2体は辛いんだ。
しかもお前らの雷の音に気づいた竜の騎士まで走ってきてるんだ。助けやがれください。
「ほう、貴様神代の力が残っているな。‥‥面白い!」
黙れバカ野郎。あぁ!ほらまたよってきた!
金ぴか野郎が騒ぐせいで
大蟹2体
竜の騎士2体
赤目グール1体
VS私である。ふざけるなよ。何で生きてるのか自分でも不思議なくらいの激戦だ。
あぁ!早く終われ!
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【ファーナムルート:ハイデ大火塔→アノール・ロンド】
さて、懐かしきハイデに来た。‥‥と思ったのだが。
「‥なぜだ。」
「‥‥ファーナム、あれは護り竜ではないよな?あなたはあんなものをなん十体と倒したというのか?」
「‥‥あれは違うぞ、ルカティエル。あれはもっと別のなにかだ。」
空を舞う真紅の鱗の竜。護り竜のような紛い物の古竜ではなく、神代からいきた不死を絶望の底に落とした強力な竜。
【飛竜ヘルカイト】。その知性のない劣化版、しかし護り竜よりはるかに強いそれが数体空を飛んでいた。
実は前までは護り竜を設置していたのだ。しかしオーンスタインが青聖堂から景色を眺めているときに
「こっちの方が強い」
と、勝手に召喚したのである。オーンスタインの領域で、オーンスタインの力で召喚したため、他の誰にも気づかれていないまさに悪夢のアップデートがなされていたのである。
「さて、どうしようか。あいつらこっちをチラチラ見ているぞ。」
「‥それに口から火の粉が舞っているな。その内ブレスを吐きそうだ。」
さて、ぐちぐち言っても仕方がない。切り替えたファーナムは先ずは竜狩りの大弓を取りだし、矢をつがえる。
「さぁ、神代の再現と行こうか。」
こちらでも、戦いが始まった。
何話かにわけます。次に続きを出します。
【古びた頭骨】
何者かの頭蓋骨。すでに風化しかけているそれにはもう力は残っていない。
死者はその体に【頭骨】【ソウル】【人間性】を宿したとき、仮初めの生を得る。その全てを得た者は皆古き死者に仕え、彼の如く永遠に存在することを希う。