さて、例の件を調査するために久しぶりに町に来た。今回は迷宮には主が残るのでみんなでいってこいと言うので三人で来た。‥‥私は非常に疲れたがな。
さて、では別行動とするか。
「ファーナムとルカティエルは二人で町の大通りをいろいろと探ってきてくれ。店に入るにはカップルの方が都合がいいだろう。私は路地裏やスラムを見てくる。」
「了解した。何かあったらサインを送る。」
「あぁ。‥‥と、そうだ、ほれ、金だ。」
「あぁ、助かる。」
という事で別れた。さぁ調査の開始だ。まずはその辺の通行人に訪ねてみた。が、
「尖った兜のボロボロの騎士?見たことないね。」
「あん?敗残兵かなにかか?知らねぇな。」
「うーん、わからないね。この町にはいないんじゃないか?」
と、当たりは無し。どうやらこの町に来たかどうかすら怪しいようだ。まぁ来ているかどうかすらあやふやだしな。
「そこのあんちゃん。ちょっと、」
ん?呼ばれて振り向いてみるとフードを被った男が私を呼んでいるのが見える。しかし誘っている先が明らかに怪しい路地裏だ。
まぁ、いいだろう。騙されてやろうか。
そちらへ移動すると、男は踵を返し奥の方へと歩いていく。着いていくと、どうやら地下のようなところへと案内された。
「‥‥何のようだ。下らないようならば帰るぞ。」
というと、男は振り返り、
「気付かないとはな。少したるんでるんじゃないのか?」
「なに?‥‥誰だ?」
と、訪ねるとクックッも笑いながらゆっくりとフードをとる。そこにいたのは、
「さて、城塞の決闘以来か。久しぶりだな?不死の灰。」
──竜体石を巡って決闘をし、死んだ筈の【ホークウッド】がいた。
「なんだ、驚いて声もでないか。まぁいい、昔話やら積もる話は後だ。。それで、さっきお前さんを見つけたから呼んだんだがここはいったいどこだ?」
はっと、気を取り直して、この世界の事を簡単に説明する。ホークウッドはそれで理解したらしく、
「なるほどな。ククッ、面倒なことになったな?」
「‥‥どう言うことだ?」
「お前さんは俺の所属を忘れた訳じゃあるまいな。」
「‥‥!なるほど、不死隊がこちらへ来ているのか。」
「なんでかは知らねぇがそう言うことだな。大方、深淵の闇が妙に作用したんじゃねぇか?過去には強大な深淵が時間を越えたこともあるらしいぜ?」
「‥‥ではこの世界に深淵が現れると?」
「いいや、そうだな、水溜まりみたいなもんだ。少しずつ貯まっていって限界を越えたら決壊する。そして、また水を溜める」
笑いながら身ぶり手振り説明をするホークウッド、なるほど、いっていることは理解できる。それに彼は深淵に関してはエキスパートだ。彼より詳しいのはそれこそ不死隊の同僚くらいのものだろうな。
ふむ、取り敢えず危険はなさそうだな。深淵が広がるということもなさそうだし、不死隊を見つけなければな。
「それで、ホークウッド。これからどうするんだ?」
「‥‥そうさな、人伝に聞いたんだが【龍の渓谷】とか言う迷宮があるらしいしな。そこに行こうかね。」
「‥‥そうか、達者でな。帰ってきたら顔を見せに来いよ。」
「あぁ、いいぜ。城塞の借りも返さないとな。」
「フッ、あぁ待っている。」
そしてホークウッドとは別れた。どうやらもう出発するらしい。ふむ、知り合いに会うのは久し振りだが良いものだな。
さて、それなりに時間もたったことだし帰るとするか。
夕方になり、二人と合流し帰っていくアッシュ。その足取りは軽かった。
はい、深淵のせいでした。敵対勢力とかにしようかなと思ったのですがそっちはまた別の感じで考えます。
【生け贄の道】
深みの聖堂へと続く道。その聖堂には深みの聖者が封じられ、その封印の維持のために生け贄が送られる。
道には巨大な蟹や不死人が徘徊し、いまではその生け贄すら送られなくなった。
森を進むと生け贄となり、水辺を進むと獲物となる。この呪われた道は不死人達がよみがえる以前から血にまみれていた。