「【十二席】殿、お久しぶりですな。」
「議長様、今回はよろしくお願い致します。」
「うむ、それでは、どこへいこうかな?」
「ではここから先は私が説明いたします。」
最初は主人に任せる気だったのだが、制作者が案内した方がいいらしく私が案内することになった。
という事で、冒険者用の扉から入ってもらう。
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【議長視点】
生きている間に棺桶に入ると言う珍しい経験の後、外へ這い出す。なるほど、確かに変わったダンジョンですね。
辺りを確認して、全員揃っているか見渡す。どうやら良さそうですね。
早速視察にはいる。入り口は棺桶、冒険者達が使ったであろう棺桶が無造作に打ち捨てられ、回りは灰に包まれている。
なるほど、【灰の墓所】とはよくいったものですね。
「さぁ、それでは始めましょうか。」
「よっしゃ!先頭は俺と【七席】にまかせろ!」
そう行っておどりでる【第五席】。 赤く染まった軽鎧に、ロングソードとファルシオンを両手にもって、戦闘態勢に入っている。
「やっぱ俺もっすか。」
【第七席】は白銀の騎士の甲冑に身を包み、大盾と槍を構えている。こちらも声はめんどくさそうだが、しっかりと戦闘態勢になっている。
「ええ、よろしくお願いします。ではいきましょう。」
少し歩くと、ぼろ布をまとったグールのようなアンデット達が襲ってくる。そこそこ連携はとれているが、二人の敵ではない。
「‥‥む、分かれ道ですね。‥‥おや?」
あの従者からメッセージですね。‥‥【右へいくと今は攻略中のエリアで、左はボスエリアです。まずは右へどうぞ。】
なるほど、了解しました。お二人にそう伝え、他の方々を先導し左へ進む。
すると、大きな光るトカゲと地下への扉のようなものがある。なるほど、あれが順路ですか。
トカゲはかなり強かったですが、お二人は危なげなく倒し、地下へと降りていきます。
回りを見渡すと、綺麗な石で出来ていますが、昏く冷たい【死】の雰囲気が感じ取れます。一筋縄では行かなそうですね。
【お疲れ様です。今回は侵入者は居ないのでまっすぐお進みください。罠は起動していますのでお気をつけください。】
ほう、確かに敵に構っていては視察になりませんからね。第五席は不満そうですが。
この【不死廟】というのは巨大な墓地のようですね。暗くてよく見えませんが所々の大部屋に死者を埋葬してあります。
敵は騎士や魔術師のようですが、墓守といった感じではありませんね。どう言うことでしょうか。
奥へ進むと、鐘を鳴らすグールとその音と共に現れる魔術師が出るようになりました。
見たことのない魔術を使う強敵ですがお二人はさすがですね。
一瞬の隙をついて見事に止めを指しています。
どうも、最深部のようですね‥‥なるほど、そう来ますか。
鐘の音が鳴り響き、立っている石像から魔術師達が現れる。奥の騎士達も反応し、大群に囲まれた。
これは手を貸した方が良さそうですね。‥‥‥おや?
【今回は敵対しないようにしておきました。無視で構いませんが、いかがいたしますか?】
おや、なるほど、確かにこの人数を相手にしては負けるかもしれませんね。お二人は不満そうですがここは我慢していただきましょう。
【ここからはボスの部屋です。かなり強力ですが、どうなさいますか?】
お二人も元気そうですし、戦闘にしましょうか。お二人に任せて私たちは後ろで見てましょうかね。
【では、戦う方は霧の壁を通ってください。戦わない方は左のサインに触れてください。】
言われた通り左の白いサインに触れると、体が半透明になる。
【これで、戦っている二人からは見えませんし、攻撃も聞きません。お通りください。】
さて、では見学といきましょうか。
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【第五席視点】
霧を通ると巨大なグールが座り込んでいた。巨大な剣と荒々しい気配はかなりの強さであることをうかがわせる。それと来ている鎧だが、どうやらかなり固そうだ。
七席と近寄っていくと、立ち上がり剣を構える。戦闘態勢って訳か。
さらに一歩踏み込むと、目の前にサインで【ヴァンクラッド王】と現れ、近寄ってくる。
始まった。身長ほどはある大剣をブンブン振り回しながら切りかかってくる。避けると、避けたところに剣を振り下ろし、受け流すと渾身の力で剣をふってくる。
「七席!攻撃しろ!」
「無茶言わんでくださいよ!こっちにも剣が来てます!」
この野郎後ろのやつにも攻撃してやがるな。こっち集中しろや!
かわして胴に入り込みファルシオンを一閃するも、鎧が固くて中々通らん、皮膚も馬鹿みたいに固くて剣が効かんな。くそ、メイスでも持ってくりゃよかったか。
一撃いれてはかわし、次の隙まで攻撃をしのぐ。そんな戦いを続けて一時間、ついに膠着が崩れる。
「がっ!」
七席がかわしきれずに大剣の攻撃を正面から盾で受ける。しかし、体は吹き飛び、壁に激突する。
そしてその隙を見逃すヴァンクラッドではない。一気に肉薄し壁に串刺しにする。
「ガハッ!‥‥カッ、‥すいません、死にます」
剣をねじりあげ、振り上げる、すると7席の体は真っ二つになり、そのまま消える。
「くそがっ!」
残された五席は懸命に戦うも、一対一な猛攻をしのぎきれずに、十分後、その体を切り裂かれた。
残されたヴァンクラッドはまた最初の位置に座り込み、次の侵入者を待ち始めた。
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「一撃ですか‥。」
あのお二人が防戦一方、その上一撃食らっただけで死ぬとは。かなり強いですね。
「あー!くそっ!負けたっ!」
元気に五席が復活しました。今回はここで復活できるように十二席にお願いしていたのでその場で復活しました。
それにしても、お二人で倒せないとは、かなり強いですね。
【お疲れさまでした。では本来であれば倒してからですが、今回は先に案内します。この先が【第三階層】となっています。】
そういわれ先に進むと、地上へと続く階段があった。
上っていくと、突然光が差し込み、出口を出ると、
「‥‥おお、凄いですね。」
辺りには大海が広がり、その上を崩れた塔のようなものが通っています。見上げると巨大な灯台が辺りを照らし、左の方には巨大な神殿が見えます。
‥‥なるほど、【感動】や【歓喜】の感情はこう言うことですか。美しいですね。あの王を討伐後にこれを見ることが出来れば、確かに感動します。
【今回の視察はここまでになります。では転送します。】
そして、居住区に、戻ってきます。いやー、いいものが見れました。
戻ってきた私たちの前に二人の騎士と十二席が現れます。
「どうでしたでしょうか。こんな感じのダンジョンを作っています。」
「‥素晴らしいですね。あのマップや、敵はかなり心に響きます。あなた方のもと居た場所でしょうか?」
そうきくと首を降る騎士の方々。これは凄いですね。
感心していると五席がおずおずと聞いてきます。
「すまない、あのヴァンクラッドとか言うやつはどちらの案か?」
「‥‥俺だ。あの地の最奥部で待っていたやつを再現した。もっとも、本物の方が弱いとは思うがね。」
「‥‥戦ってる姿を見せてもらえないだろうか。後学のために奴との戦いかたを見てみたい。」
「‥‥分かった。では主人、モニターを出しておいてくれ。いってくる。」
おや、面白そうですね。あれをどう倒すのでしょう。
「‥アッシュさん、僕は二人の戦いを見たことがないんですが、大丈夫だと思います?」
「‥‥あの人なら勝てるさ。あの人は我々の世界の伝説になった方だ。」
皆が注目するなか、二人の戦いは静かに始まった。
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‥‥また戦うはめになるとはな。
眼前にはかつて倒したヴァンクラッド王が以前より強力な力を持って立っている。
座り込んだやつのもとへ一歩ずつちかよっていく。
「‥‥たしか二十回ぐらいか?懐かしいな。貴様には何度も殺された。」
足を止め、剣をだし、両手に構える。
【ヴァンクラッド王】とサインが現れ、奴が近寄ってくる。
「来い、また貴様を墓に送ってやる。」
縦横無尽に剣を振り回すヴァンクラッド。しかししゃがみ、体を捩り、時に転がってかわすファーナムには一太刀も当たらない。それどころか全身を切られていくヴァンクラッド。
「‥‥ふむ、以前より固いがそれだけだな。対して変わってもいない。」
涼しげにすべてかわして、ヴァンクラッド切り刻んでいくファーナム。
その戦いは、約二十分そこらで、ヴァンクラッドが体整を崩したところを、首をはねられ幕を閉じた。
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無傷で帰ってきたファーナムを見て第五席が
「弟子にしてくれ!」
と頼み込むが、
「死んで覚えろ」
と言われる。その通りだがいいかたってものがあるだろう。と苦笑していると
「第五席、その辺にしてください。十二席、ありがとうございました。非常に為になりました。ではまた次の機会に。」
と議長がまとめて、全員帰っていった。
あぁ疲れたな。さて、少し休もうか。
こんな感じで、視察は終わった。さぁ、次はなにをしようか。
こんな感じで導入は終わりですね。次からは少し閑話とか挟んでまた他の人を呼ぼうかなと。
呼んで欲しいNPCとかボスいたら感想にお願いします。
第三階層は【ハイデ大火塔】でした。
第二部テーマ【太陽の友】
ある程度予測できると思いますが、あの方ではないです。別の【太陽】です。
【ハイデ大火塔】
マデューラから地下を通るとたどり着く朽ちた灯台。かつて栄華を誇った灯台は崩れ落ち、今ではその存在すら忘れ去られた古騎士達しかいない。
そこはかつて重罪人を流刑に処す為の隠れた港へと繋がっていたと言う。そしてその鎮魂のために巨大な聖堂がたてられた。しかしもうそれを知る者は一人もいない