ハイスクールD×D サイヤと奏でる悪魔の軌跡   作:厄丸

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第13話 サイヤとバカと眷属と

オルスvision start

 

 

「まずはライザーの【兵士】(ポーン)【撃破】(キャプチャー)しないといけないわね、相手の兵士が全員【昇格】(プロモーション)したら厄介だわ……」

 

え?きゃぷちゃあ?ぷろもおしょん?何それ、俺チェスとかしないから全くルールわかんねぇ・・・

 

「グレモリーさん随分と余裕ですね」

 

「当然よ、今回の私は湧水のように作戦が湧いてくるのよ」

 

あ~あ、慢心するなって言ったのに・・・これは従うだけ無駄か・・・?いや、今回は従おうかな・・・

 

「レーティングゲームは地形を知っていると有利に戦えるわ、祐斗、地図を」

 

木場君はグレモリーさんに言われて地図を広げる、まぁ俺達がいつも通っている学校だからね、地図ぐらい・・・ってだとしたら地図いらなくない?

 

「私たちの本陣周辺には森があるわね、これは私たちの領土だと思っていいわ、逆に新校舎はライザー達の領土、この辺ね、この辺はライザー達の領土だと考えていいでしょう」

 

「そこまで分かっているんだったら攻めてもいいんじゃないですか?相手はこっちが新校舎ルートに行くほど馬鹿だとは思っていないでしょう」

 

「そうね、だったら旧校舎寄りの体育館を【落としましょう】、ここを落としてしまえば新校舎までにルートを確保することが出来るわ」

 

グレモリーさん達の作戦は決まったようだ、まずは体育館を落とすらしい、んじゃまずは準備運動から始めようかな・・・

 

「んじゃ壊してくる!まぁ・・・1分ってところかな、すぐ戻ってくるよ」

 

「え?!お、オルス君?!」

 

俺は外に出て今日初めての気の解放【本気の気の鎧IN推進力】(オーラメイルverプラスブースター)を纏う、俺は鍛えることが出来なかった分、ずっと考えていた、つまるところはイメージトレーニングだ、俺のイメージの1つ、それは―――

 

「ふぅ・・・ド・・・ラ・・・ゴ・・・ン・・・ッ!」

 

この溢れる推進力、これを()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「波ァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

威力は当然絶大、ただでさえ速いドラゴン波を溢れる推進力で更に重く速く強化したのだ、放たれたドラゴン波は体育館に見事にぶち当たり、体育館は粉々になってしまった

 

「はい!準備運動終了!」

 

「ちょっと!何を勝手にしているの!私の計画が無駄になっちゃうじゃない!!!」

 

グレモリーさんがぷりぷりしながら怒ってきた、さすがに準備運動で体育館破壊はやりすぎたかな?

 

『ら、ライザー・フェニックス様の【兵士】3名、【戦車】1名、戦闘不能!』

 

審判役のグレイフィアさんの声が震えている、悪魔でもないやつが体育館を1撃で壊したのだ、警戒するものいいとこだろう

 

「あぁ・・・兄ちゃんならやると思った」

 

「イッセー君は分かっていたのに止めなかったんだね・・・」汗

 

一誠君と木場君が凄い困ったような顔でこちらを見てくる、俺そんなにおかしいことでもしたかな?

 

「ま、まぁいいわ・・・体育館がオルス君に破壊されたのは予想外だったけどそれ以外は作戦通りよ!さあ行きなさい!」

 

『『『はい!』』』

 

へぇ、俺が体育館を破壊したあの1分間でもう作戦を決めたんだ、やっぱり頭脳の人って考えることが凄いよね

 

「オルス君は・・・ここで待機をお願い」

 

「俺は待機ですか?俺も一緒になって戦いたいのに・・・」

 

「お願いだからここにいて、作戦が全て無駄になっちゃう」

 

グレモリーさんが真顔でこちらを見てくる、え?そんなに俺って酷いの?

 

 

オルスvision fade-out

 

 

一誠vision start

 

 

「兄ちゃんいきなりやらかしたなぁ!!!体育館をドラゴン波でぶち壊す人間なんて見たことないわ!!!」

 

「イッセー先輩声が大きいです!でも大丈夫ですよ、私も見たことありませんから!

 

俺達がそんなことを話しているといきなり上からいきなり爆発が襲ってきた、いや爆発が襲ってくるって何?!

 

「あら、私の爆発を避けるなんて……いい反応速度してるじゃない」

 

「あの人は確か・・・【爆発王妃】(ボム・クイーン)でしたかね?」

 

小猫ちゃんがそういうとその爆発王妃と呼ばれた女性が小猫ちゃんに向けて爆発を撃ち放つ、かろうじて朱乃先輩が障壁を張ったから大丈夫なようだ

 

「私はその二つ名はセンスがなくて好きではないのですよ、やめてもらえます?」

 

「それは悪かったですわね、でもあなたのお相手は小猫ちゃんではなくこの私ですわよ?【爆発王妃】(ボム・クイーン)さん」

 

朱乃先輩がそこにすかさず煽りを入れる、相手の【女王】(クイーン)は額に漫画でよく見るような怒りマークを付けて朱乃さんを睨み返す

 

「ここは私に任せてくださいね♪イッセー君達は木場君の所に行ってください」

 

ここは朱乃さんに任せて俺達は進んだ、後ろからドゴーン!やバリバリバリィ!と音が聞こえるが気のせいだろう、いや気のせいであって、怖いから

 

『ライザー・フェニックス様の【兵士】3名、戦闘不能!』

 

グレイフィアさんのアナウンスで自分たちが木場の元へと近づいているのが分かる、このもやもやしているオーラみたいなものが気ってやつかな?木場の気配を感じる

 

「木場先輩がいるのはここら辺だと思います」

 

「そうだね……小猫ちゃん、木場が何処にいるのか知りたくないかい?」

 

俺の言葉に小猫ちゃんは首をかしげる、それもそうだろうここは体育倉庫の近く、隠れられる場所は限られるだろう、()()()()()()()

 

「後ろにいるのがバレてんぞ、木場」

 

「見つかっちゃったかぁ・・・イッセー君もオルス先輩みたいなこと出来るようになって来たよね」

 

当然だろ、俺は兄ちゃんのトレーニングに毎日付き合ってんだぜ?逆にここまで出来なければ兄ちゃんに呆れられてしまう

 

「木場先輩、今のここの現状を聞かせてもらってもいいですか?」

 

「ここを仕切っているのは【騎士】、【戦車】、【僧侶】が1人ずつだよ」

 

「つまり3人ってことか」

 

体育館のルートを潰したってことは残されているのは運動場のルート、そこを警戒するのは当然だろう、ここら辺で俺と小猫ちゃんと木場で一緒に行動するかを決めようとしたその時―――

 

「もうこそこそと腹の探り合いをするのももう飽きた!私はライザー様に仕える【騎士】カーラマイン!リアス・グレモリーの【騎士】よ!いざ尋常に剣を交えよ!!!」

 

え、なにあの子、アホ?アフォ?アッホなのかな?場所は運動場・・・装備しているのは甲冑か・・・てかこれ木場が呼ばれているんだよな?木場だってそこまでバカではないだろうし―――

 

「名乗られてしまったら隠れているわけにもいかないよね、【騎士】としても【剣士】としてもね」

 

そう言って体育倉庫の影から出て行ってしまう木場、あいつも同類か・・・

 

「こっちにもアホな奴がいたな・・・」

 

「……仕方ありません、私達も行くしかないと思います」

 

諦めた表情で立ち上がる小猫ちゃん、うん、諦めているのは仕方ないよね、まぁ剣士としては仕方ないのかな?でもこっちにまで被害を持ってくるのはやめてほしいけどな!!!

 

「僕はリアス・グレモリーの眷属、【騎士】木場祐斗」

 

「同じく【戦車】搭城小猫です」

 

「俺は・・・兵藤一誠だ」

 

正直名乗るのは得策ではないと思っていた、あっちのアホやこっちのアホに付き合う必要はないからな、カーラマインと名乗っていたあの()は嬉しそうに口を開いた

 

「リアス・グレモリーの眷属にお前たちのような戦士がいたことを嬉しく思うぞ、敵に言われて正面から来るのなんて正気の沙汰ではないからな!」

 

勘違いしないで、そんなバカなことしたのはこいつ(木場)だから、頼むからその戦闘狂(仮)みたいなのに俺達を巻き込まないで、切実に

 

「だがな・・・私はお前たちのようなバカは大好きだ!!!さあ構えよ!」

 

やっぱあちらの娘さんの方がバカだった

 

「【騎士】同士の戦い待ち望んでいたよ、個人的には素早い斬り合いを望みたいところなんだけどね」

 

お前ら戦闘狂(仮)じゃねぇな、戦闘狂だったわ

 

「強気の姿勢も嫌いじゃない!さぁ行くぞ!リアス・グレモリーの【騎士】よ!!!」

 

「こちらも行かせてもらうよ、ライザー・フェニックスの【騎士】!!!」

 

そう言った2人の剣技は見事なものだ、打ち合いを見るだけならカーラマインの方が有利だろう、しかし木場は様子見もかねてなのか余裕の表情をしている

 

「やっぱりあいつら戦闘狂だな」

 

「大丈夫ですイッセー先輩、オルス先輩の方が戦闘狂です」

 

 

 

「はっくしゅんッ!ん~・・・誰か俺の噂でもしてんのかな?」

 

 

 

兄ちゃんがクシャミをしていたような気がするが気のせいだろう、その気のせいを頭から忘れているうちにどこからか声が聞こえてくる

 

「まったく・・・頭の中まで剣、剣、剣、頭の頭の中は剣でしかないのかしら?カーラマインったら【兵士】を犠牲にするときも渋い顔をしていましたし・・・主である【王】(キング)の戦略が嫌いなのかしら?」

 

声のする方を見るとお姫様みたいなドレスを着こんだ女性がいた、確かあの子は・・・【僧侶】のレイヴェル・フェニックス、ライザーの妹だったはずだ

 

「どうやら(わたくし)の事を知っているご様子ですわね」

 

「あぁ知ってるぜ、焼き鳥の妹様だろ?」

 

「ふwwwwwwwや、焼き鳥wwwwwwww」

 

小猫ちゃんが横で吹き出した、俺にこれを言われたレイヴェルは顔を真っ赤にして怒り出す

 

「誰が焼き鳥ですか・・・誇り高きフェニックスを・・・ッ!」

 

「まぁまぁ落ち着けって、俺が焼き鳥って言ったのはお前のお兄様だよ、別に君に言ったわけじゃないさ、気を悪くしたらゴメンな」

 

そういってレイヴェルの頭をなでる、気持ちよさそうにしているが・・・この子本当にフェニックス?猫の間違いなんじゃないかな

 

そんなこんなで俺がレイヴェルと遊んでいると木場たちの戦いの空気が変わったのが感じ取れた

 

「残念だが・・・貴様の【神器】では私に勝つことは出来ない」

 

カーラマインの剣は炎を纏ってゆらゆらと燃えている、木場の方を見れば闇の剣が折れててしまっている、なるほど、これが原因か

 

「じゃあ僕も言わせてもらおうかな、様子見はここまでだよ」

 

「何を言っている、戯言は剣士として―――」

 

「凍えよ」

 

木場の低い声が辺りに響く、刀身を無くした木場の剣に何かが集まりだす、周りの気温が急激に下がっていき、その冷気は木場にも漂い始めた、集まった冷気は木場の剣を固めていき、ついにはパリィンと氷の割れるような音が響いた

 

【炎凍刀】(フレイム・デリート)、この刀の前ではどんな炎も消え失せるよ」

 

「ば、バカな?!貴様は【神器】を2つ所持すると言うのか!!!」

 

炎の剣を構え直し木場に問いただすカーラマイン、顔にあるのは焦りの表情だ

 

「言ったよね?この刀の前ではいかなる炎も消え失せるって」

 

木場の呟きの後、カーラマインの剣は徐々に凍り付いていき、次第には音を立てながら刀身が砕け散っていった、それを見たカーラマインは持ち手を捨てて腰に刺さっていた短剣を取り出し、それを天高く掲げて叫んだ

 

「我ら誇り高きフェニックス眷属は炎と風命を司る!受けよ!炎の旋風を!!!」

 

短剣を掲げたカーラマインを中心に炎の渦が巻き起こる、巨大な炎の渦は木場が作り出した【炎凍刀】(フレイム・デリート)を溶かしていくのには十分の熱量だった

 

「おいおい、木場の方は大丈夫か・・・?」

 

「心配ないと思いますよ、木場先輩は強いですから」

 

小猫ちゃんが木場の事を信用しているなら大丈夫なんだろう、だがそれを横目にレイヴェルが呆れたような顔をしている

 

「まったくカーラマインったら・・・周りの事も考えて欲しいものですわ・・・」

 

確かにこの熱量では周りの温度は急激に上がり危険だろう、悪魔である小猫ちゃんや木場はまだいい、俺人間なんだけどなぁ・・・

 

「なるほど、熱風で蒸し焼きにするつもりだね・・・だけど甘いよ」

 

もう完全に溶けてしまった持ち手を前に突出し、強い言葉を口から吐き出す

 

「止まれ熱風よ」

 

その一言で熱風が完全に止まった、いや、止まったというよりはゆっくりと木場の方に集まりだした、少し経つと熱風は全て木場の方に集まり完全に消え失せてしまった

 

【風凪刀】(リフレックション・カーム)、一度の戦闘で2本以上の魔剣を出したのは久しぶりだよ」

 

確かに刀身を見ると奇妙な形をしている、あれはもはや剣と言えるのだろうか?だが能力の方は凄いと言えよう

 

「複数の剣・・・神器の所有者から剣を奪って自分の獲物にしているタイプの神器所有者か?」

 

カーラマインの質問に木場は顔を横に振る

 

「僕は複数の【神器】を所有していないしそんな野蛮なこともしてないよ、創ったのさ」

 

「創った・・・だと?」

 

「そうだよ、僕の持っている【神器】は【魔剣創造】(ソード・バース)、僕は自分の意志で魔剣を作ることが出来るんだよ」

 

そういえば木場の神器の名前初めて聞いたな、かっこいい神器持っているじゃないか

 

木場が指を鳴らす、木場を中心にグラウンドから剣や刀が飛び出した、形も刀身も大きさも全て違うようだ、あれが全て魔剣だと思うと恐ろしいな、それに魔剣を創る、つまりは自分の思い描いた魔剣を創ることが出来るということだろう、恐ろしいわ

 

「そうか・・・貴様は魔剣か・・・奇妙なものだな、私は特殊な剣を使う剣士と争い合う運命なのかもしれんな」

 

「へぇ、僕以外にも魔剣を使う戦士がいたのかな?」

 

木場はニヤリとしながら問う、しかしカーラマインから帰ってきた答えで木場の雰囲気がガラリと変わる

 

「いや、魔剣ではない・・・()()だ」

 

「ッ!!!」

 

聖剣、その言葉を聞いて木場の顔が強張る、見た感じだと相当な恨みがあるらしい・・・おかしいな、俺ってこんなに物事を考える性格だったかな・・・うん、兄ちゃんのせいだね

 

「君、その聖剣使いについて・・・聞かせてもらおうか・・・ッ!!!」

 

木場からの殺気がヤバい、もう殺気だけで人を殺せそうなぐらいの濃厚な殺気だ、その殺気を真正面から喰らってニヤリと笑うカーラマイン、あれ喰らって笑ってられるってやっぱりこいつ戦闘狂だわ・・・

 

「ほう?あの剣士と貴様は因縁があるらしいな、だが剣士同士だ、言葉で伝えあうのも無粋と言うものだろう、剣でお互い答えようではないか!!!」

 

「そうか……なら先に謝っておくよ―――」

 

 

 

―――()()()()()()()()()()()()()()()―――

 

 

 

その言葉で本気を出す木場、殺気は更に濃くなり相手は狂ったように笑いを上げる、もうこいつらは放っておこう、付き合っているとこっちが付かれる、それよりも―――

 

「これはこれは、()()()()()()ってことか・・・」

 

見たところ【兵士】が2人、【僧侶】は1人、【騎士】が1人か、この人数を相手に俺と小猫ちゃんで捌き切れるか・・・?

 

「ねぇねぇそこの人間君」

 

「ん?どうした?」

 

「ライザー様がね、あなたの所のお姫様と一騎打ちするんですって~、ほら、あそこを見て?」

 

女の子が指をさす方を見ると確かにあの焼き鳥が飛んでいる、うわぁ・・・

 

「お兄様は優しいですわね、リアス様が可哀そうだと思って情けを与えたのかしら?このままでは私たちが勝ってしまうのは確実ですものね♪」

 

レイヴェルがお姫様のように笑う、はぁ、ため息しか出ない、俺が心配しているのはリアス部長ではないのに・・・

 

「貴方達・・・1つ忘れていませんか?」

 

『『『???』』』

 

俺の言葉で焼き鳥の眷属達は顔をしかめるしかなかった―――

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

『『『ッ??!!!!』』』

 

刹那、焼き鳥のいる場所から叫び声が聞こえたのは言うまでもない

 

 

一誠vision fade-out


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