とある姉妹の艦隊日和   作:紫音提督

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『希望の光』
今回も紫音提督の過去編です。今回で過去編は終わりかなー?
それじゃあ見ていってくれると喜びます。


とある姉妹の艦隊日和3

 「それじゃあ次はどんな改造をされたのか話していこうか」

 

 私は怯えているのか少し肩が震えていた

 

 ああ、嫌な時間だったなあ…

 

 

       ー時は戻り3年前ー

 

「君にはこちらに来てもらおう」

 

 神原は私を引っ張りある装置の前で鎖に掛け自由を奪った。

 

「この装置は一世代前の艦魂融合装置でね、今ではただの骨董品だがこれは無理矢理に艦魂を植え付けることのできる優れものさ!」

 

「何をする気…ですか…」

 

 私は蹴られた腹を気にしながら何をする気なのかを神原に聞いた。

 

「君には艦装を扱う為の兵器になってもらう、駆逐艦、軽巡、戦艦や空母果ては深海棲艦の力を振るうことのできる私の作品にねぇ…」

 

「………」

 

 私には彼が何を言っているのかは理解できなかったけどこれだけはわかった、狂ってるって。

 

 神原は抵抗する私を機械に無理矢理繋ぐと、何かの機械を動かし始めていた。

 

「さて、最初は何の艦魂から融合させようか…精神は壊れても良いが肉体が壊れるのは困る、まずは駆逐艦からでいいか…」

 

 ブツブツと何か言いながら神原は機械の操作を進めていた。しばらくすると半透明に光る『ナニカ』が彼の手の上に現れた。

 

「さて、まずは小手調べだ、いきなり壊れたりはしないでくれよ?データが足りなくなる」

 

 彼は『ナニカ』を機械にセットしていく、もう私には何かをする体力は残っていなかった、そして神原が『ナニカ』をセットし終わると、何かが私の頭の中に急速に流れ込んできた、軍服の男達、沈む艦、死んでいく仲間達…その流れ込んできた艦の記憶は私の精神を削り、語りかけてきた。「悲しい」と。

 

「ぐぅ…あぐっ………がぁ…」

 

 私は理解したこれは記憶なんだと、これが神原の言っていた艦魂なんだと。

 

「凄い、凄いぞ!本当に適合した!『吹雪』の艦魂は彼女の適正ではないというのに!アハハハハハ!!!愉快だ!これで深海棲艦への兵器が完成する!そして私こそが深海棲艦を滅ぼすのだ!」

 

 

 神原は笑っていた、そして彼は先程の艦魂より強い光を放つ艦魂を複数用意してきた。

 

「さぁ!さぁ!全ての艦魂をその身体に持った全知全能の兵器へとなれ!」

 

「………」

 

そこから2週間ほどの記憶は私には無い、気絶していたのか、記憶が削られたのか、はたまたあまりの記憶に私の脳が記憶を消したのか、それはわからないけど、とにかくそこから目が醒めたのは2週間後だった。

 

 

        ー2週間後ー

 

「ん…あれ、なにが……?」

 

 その瞬間体中に激痛が走り自分に何があったのかを私は思い出した。

 

「うぷ…ぎゃああぁぁ!」

 

 全身の骨が溶けたかの様な痛みで、特に頭には大量の記憶の濁流が流れて頭がおかしくなりそうになってた。

 

「ぐぁ………あぁ…あ、れ…?」

 

 ひとしきり叫び頭の中がスッキリし始めると自分がベッドのような所で寝ている事に気が付いた。

 

「なん、で…?施設、は?」

 

 私が困惑していると外からドタドタという足音が聞こえてきた。私はその足音の昔ぬしが神原やその部下だと思っていたから「ヒッ…」と怯えていた、そしてドアを蹴破り入って来た人物は、軍服を肩に羽織った背の高い女性だった…

女性は私の方を見るなり「目が覚めたの!?大丈夫だった!?」と声をかけてきた、「取り敢えず艦魂の活性化を押さえ込む薬と痛み止めの投与をしたけどまだ痛いわよね?」

女性に言われて頭に記憶の濁流はあってもこの前のような声が聞こえることが無いことに気づく。

 

「えっと…あなたは…?そしてここは…?」

 

 私は何が起こっているのか理解出来ずに女性に状況の説明を求めた。

 

「ああ、ごめんなさいね、まず安心して?ここは正規の海軍の医療機関で私はここの鎮守府の提督の三笠です」

 

「三笠…さん?」

 

 提督と聞いて私は体をこわばらせた、それが相手もわかったのだろう、三笠さんは優しく微笑んで「ええ、貴女をあそこから連れてきた者です」と答えた。

 

「貴女が…?」

 

「はい、正確には私と神通が、ですけどね。貴女は神原に捕らえられていた紫音さんでいいわね?」

 

「はい…あ、あの…たすけてくれて、ありが、とう…ございましたぁ…」

 

 ポロポロと私の目から涙が溢れた、三笠さんは私をそっと抱いて慰めてくれた。

 

 

        ー数時間後ー

 

「あの、すみませんでした、いきなり泣いたりして」

 

 あのあと私は緊張の糸が切れたかのように泣きじゃくった後眠ってしまった。

 

「ううん、いいのよ。あの拷問に近い苦痛は私には耐えられない、頑張って耐えてくれてたお陰で私達は貴女を救う事が出来た、こっちこそすまなかった、もっと速く君を助けに行く事ができなくて…」

 

「い、いえ!助けてもらって私こそありがとうございました、だから顔を上げてください!」

 

 私は頭を下げる三笠さんに感謝を伝えて、気になっていた事を訪ねた。

 

「それで私の体は今どうなっているんですか……?」

 

 三笠さんは少し間を置き答えてくれた。

 

「……酷い状態だよ、君の身体の中は適正の無い艦魂で溢れてこうやって私と話せるのが不思議な位君の身体は全身ボロボロになってる。だから君にはこれから艦魂の不活性化をさせる薬と1年ほどのカウンセリングとリハビリを受けてもらおうと思ってる…辛いかもしれないけど…頑張ってほしい……」

 

 三笠さんはそう申し訳なさそうに顔を伏せ身体の状態を説明してくれた。そして私は三笠さんに一番聞きたかったことを聞いてみる…

 

「…あの、私って今は、その人間なんですか…?それとも……ばけm…」

 

「人間だよ」

 

 三笠さんは食い気味に答えた。

 

「君は人間だよ、君の変わった所なんて無い、だから、大丈夫…」

 

「…なんで、そう言い切れるんですか…?」

 

 断言する三笠さんはとても優しいかおをしていたからそれが嘘や誤魔化しなんかじゃないと私は思った。

 

「…君には私はどんな風に写ってる?」

 

「えっ……?」

 

「私も君と同じ艦娘ですよ、でも私がこの身体になってできるようになった事は海に浮かぶ事と深海棲艦を倒せるようになっただけ、それも艦装が無ければできないただの人間ですよ」

 

 三笠さんはそう言って私の頭を撫でてくれた…

 

「だから…大丈夫、君も私達と同じ『人間』ですよ」

 

 そういって彼女はニッコリと笑ったー


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