【妖怪の山:天狗の里】
射命丸 文は悩んでいた。
次の新聞はどんな記事にするかをとても悩んでいる。
「前回の新聞は恋愛ネタでしたのにあんまり売れませんでした・・・何故でしょう?」
そう言って目の前にいる同僚に相談(愚痴)をする。
「それは書く相手が悪かったのでしょう。最近では自分達のなれそめを夢として人に見させているようですし」
「やっぱりドレミースイートは人選ミスですかね?」
「当たり前です」
その答えを聞いてしょぼんとする文。
実際文自身もドレミーのなれそめを夢で見ている。
それを記事に仕立てたのだが幻想郷中にばらまかれているとは文は思いもよらなかった。
「仕方ない方ですね」
「面目次第もありません」
「わかればいいのです」
それでも自分に付き合ってもらえないほど怒ってはいないことが、救いといっては救いではある。
「まぁ、新しいネタはまだありますし問題ないでしょう」
なぜ自分の新聞ネタを知っているか問いただしたくなった。
「分からないのですか文?情報は速度ですよ」
「返答の内容がおかしいです」
そこからも新聞のことの相談を続けてその日は終了する。
「う~・・・二日酔いで頭がいたい」
朝起きると自分の目の前には少しおかしい光景が広がっていた。
独り暮らしの生活故の自堕落、その為部屋はそこそこ散らかっていた筈だが汚れなどなく清潔的な部屋が広がっていた。
良く耳を済ませば台所からは食事を作る音が聞こえてきている。
「何がどうなって・・・!?」
部屋ばかり見ていて気づかなかったが目覚まし時計のとなりに水が入ったコップとヤゴコロ印の二日酔い直しが置いてあった。
「良かった、目を覚ましたようですね」
「えっちょっと待って!?」
「どうしました?」
「どうもこうもなんであんたがうちにいるのよ!」
「目の前に酔いつぶれた女性いれば助けるのが当たり前です」
ダメだこいつは微妙に常識がない・・・
「それにしても文さんてあんな寝顔するんですね♪」
寝顔まで見られるなんて・・・もうお嫁に行けない。
責任はとってもらわないと行けないわね。
「そっそんなに色々見られたのなら責任とってよ」
「責任ですか?」
「えぇそうよ!」
「・・・分かりました、もっとあとに渡そうと思ったんですがね」
そう言いながら懐から指輪を取り出す彼。
「責任とってあなたと結婚します」
しかしこんなにあっさり責任をとるとは思っておらずあわてふためく文
そんなとき台所の方からピーっと言う甲高い音が聞こえた。
「おっとヤカンを火に掛けっぱなしでした!」
「ちょっ火事になったらどうすんのよ!」
あわてる二人の烏天狗の淡い恋のはなし