幻想妖怪百物語   作:ぱる@鏡崎潤泉

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続いている(愕然!?)


ドレミースイートの怪

 ドレミースイートは夢の世界で微睡んでいた。

 今は昼、竹林の姫や妖怪の山のゆるふわ天狗や人里の寺子屋の子供位しか監視する夢はない。

 寺子屋の子供の夢はすぐ覚めるのでそんなに見てはいないが・・・

「昼間は暇ね~」

 ふわふわ夢の世界を漂いながらアクビを一つく。

 

「駄目ですよドレミーさま!監視する夢はない訳ではないのですよ」

 そう小言を言ってくるのは最近自分の側近になった殿方・・・名前は何だっけ?

「ゆるふわは、スイーツの暴食、竹林は・・・ストーリーファイト?・・・何にせよ大丈夫よ」

「確かにこの時間は無職が寝てる程度ですが<もしも>は急に来るんですよ!」

 

 小言が多いのが玉に傷だけどそれは、根が真面目の裏返しである。

 仕事態度も実直で問題行為もしない・・・まさに理想の部下である。

 

「じゃあ貴方が見といてよ」

「私には私の仕事があります」

「ケチー」

 

 

 私の甘えを許さない拒否の言葉。

 それでも本当は私に回ってくる仕事の一部を私に秘密にしてやってくれているのを知っている。

 彼は優しいのだ、しかし私がダメにならないように最低限の甘えしか許してくれない。

 

「ケチでも何でも好きなように言っててくださいその代わり仕事は貯まりますよ」

 

 彼は優しい・・・ハズである。

 

 

 その日私は暖かい夢を見つけた。

 とてもとても暖かい夢を。

 

(暖かいわ、まるで羽毛布団の様ね)

 

 例えが寝具になるのはもう自分が夢と切っても切れない程の密接な関係だからだろう。

 それが嬉しいかはさておいて、だが。

 

(誰の夢かしら?)

 

 その夢を眺めたってその人物がわかるとは限らない。

 ただ景色が写るだけの夢だってあるのだから。

 

 その夢は好きな人とハイキングする夢だった。

 その殿方は、少し緊張した面持ちで、隣を歩く少女は霞がかかって見えない。

 きっとどんな表情をしているかその殿方は分からないからだろう。

 服まで分からないとはちょっと信じられないが・・・

 

 暫くその夢を見ていたがそろそろ夢のハイキングが終わりが近づいてきた。

 少女が口を動かすがその声は伝わらない。

 読唇術を習いたいものである。

 

 二人が夕日を眺めながら談笑していると殿方は懐から指輪を取り出す。

 これが所謂[プロポーズ]と言うものだろう。

 

(これ見ていてもよかったのかしら///)

 

 そんなことを思いながらも何処からか取り出したクッションを胸と太股の間に挟み体育座りをする。

 見ていてもよかったのか考えはするようだがやめる気はないらしい。

 そしてその夢は少女が指輪を受けとる瞬間に終わった。

 

 

 その夢から三日後、ドレミースイートは側近になった殿方にハイキングに誘われた。

 

「ダメですかね?」

「暇だったし良いわよ」

「良かったです!」

 

 そしてドレミースイートは側近の殿方とハイキングに出かけ、側近の殿方と夕日を眺めながら談笑していたときふと思い出した。

 今の自分と側近の殿方の現状があの暖かい夢とそっくりなことを。

 

 その時側近の殿方が指輪を取り出し自分にプロポーズをする。

 

 ドレミースイートの心は決まっていた。

「ドレミーさま・・・私と結婚して頂けますか?」

 

「えぇ、喜んで」

 

 その時の笑顔はとても可愛らしい笑顔だった




やったね続きがかけたよ!

ハッピーエンドが書けなくなる病を定期的に発病する作者より

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