ぼっちの俺と人気な彼女   作:鬱ケロ

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こんにちは鬱ケロです。

ギリギリ出すことに成功。危なかった。
今回ちょっと書き方変えてみたりしたところがあるんですがあんまり上手く書けてないよなぁ。
書き方でコツとかあったら教えてください。

最後ちょっと駆け足になっちゃいましたが、よろしくお願いします!


ぼっちな俺のクリスマス2

「今俺達はダンジョンに来ていた」

 

 

「来ていた。じゃねぇよ!!」

「Gyaaaaaa!!」

 

 コウタはそう言いながら手元にある双剣で獣人の攻撃を防ぐ。

 やっぱりあいつってチートだよなー。アーチャーなのに近接でセイバーとかとタメはるし。あいつなんでアーチャーなんてやってんだ?

 そんなことを思っていると先程の獣人を倒したのかコウタが俺に近づいてくる。

 

「ボケっとしてないで助けろよ!そして、てめぇはもっとやる気を出せよ!!ただでさえレイドクエストなのに俺達四人でやってんだぞ!」

 

 コウタの文句に俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。……それに関しては本当にすみません!

 あの後コウタとツクヨミの二人に散々文句を言われた俺はなんとか仲間を集めようとしたが、誘そうなフレンドのほとんどが今日予定がありインしていなかった。そこでコウタとツクヨミの二人にも誘えそうなフレンドをあたってもらおうと思ったら、二人共フレンドが一人もいないらしい。……俺のゲーム仲間が俺以上のボッチかもしれない件について。

 一応カンナにも聞いてみたが、ゲームを始めて少ししか経っていないためフレンドがろくにいなかった。

 そんなわけで俺達は本来二十人程でレイドをやるところを四人でやっているのだった。

 

「正直無謀としか言えないんですよね」

 

 偵察から帰って来たツクヨミは呆れているのかそのような事を言ってくる。

 

「でも人が多すぎるのも嫌だし、私はこんなゆる〜い感じの方が好きだな」

 

 ツクヨミの言葉にカンナがそう答える。

 あの後少し話した俺たちだが、タメ口で良いとコウタが言うとカンナはかなり親しげに話してくるようになった。

 その切り替えの早さを見て学校での数少ない知り合いを思い浮かべたが、……いやそんなことあるわけないよな。あいつってこんなゲームやるような奴じゃなかったし。それに人が多すぎるのが嫌って、あの人気者に限ってそれは無い。

 

「まぁ、私も人が多いのは好きじゃないから良いんですけど。と、それより、向こうにセーフティーゾーンがありましたよ。あそこで一休みしましょう。時間も時間ですし」

 

 そう言われて時計を見てみると八時を回っていた。夕飯を食べるにはちょうど良い頃合いだろう。

 

「そうだな。飯時だし一旦そこで休みにするか」

「お、飯か。腹減ってきてたんだ。ちょうど良いや」

「お腹減ってたんだ。休める場所あってよかった〜」

 

 そう言ってコウタの奴も近づいてくる。カンナも異論は無いようで喜んでいるようだ。

 と言うか皆お腹減ってたんだったら言ってくれれば良かったのに……俺ってそんなにリーダーとして頼りないのん?

 

 そんなこんなで、俺達はセーフティーゾーンで休憩することになった。

 

 

 

 

 

 

「それにしても皆強いよねぇ。敵に会ってもすぐ倒しちゃうし」

「そんなことないですよ。それにそれはカンナさんの支援があってこそですし」

「そうだぞー。その支援が無かったら俺はともかく紙装甲のショウはすぐにくたばってるからな」

 

 夕飯を食べ終え改めてインしたカンナ、ツクヨミ、コウタはショウが来るまでの間そんな事を話していた。

 

「コウタはまたそんなこと言って。さっきだってショウのおかげで助かった場面がいくつかありましたよね?」

「うぐっ。それは、その……」

 

 ツクヨミに痛いところを突かれ何も言えなくなっているコウタを見ながら、カンナは思っていた事をつぶやく。

 

「三人はすごい仲が良いよね。なんか普段は馬鹿にしたりすること多いけど、信頼し合ってる感じがする」

「……そうかねー?あんまり実感ねぇや」

 

 カンナの発言にコウタはそう答えるがツクヨミは何も答えない。その事にカンナは首をかしげるが、暫くしてようやくツクヨミが話し始めた。

 

「私は、結構信頼してますよ。ほら。私ってキャスターなのに前線出るっていうちょっと特殊な戦い方するじゃないですか」

「うん。私も初めて見たとき驚いちゃった」

「はい。本来サポートに回るべきである私がそんな戦い方するせいで誰も私とパーティを組んでくれなくなっちゃったんです」

「そういやそうだったな。そんで、そん時の一人で戦う様子から『孤高の魔女』なんて名前付けられてたしな」

「ちょっと!やめてくださいよ、恥ずかしいんだから!」

 

 必死にコウタにやめさせようとするその様子から、画面越しでわからないが、きっとツクヨミを操作している本人は顔を赤くしているんだろうな。とカンナは思い少し笑ってしまう。

 少ししてコウタが言うのをやめるとツクヨミは話の続きを言い始める。

 

「そんな時に私の前に現れたのがショウでした」

 

 その時の事を思い出しているのだろう。少しばかりツクヨミの言葉が止まる。

 

「いきなり現れたと思ったらなんて言ってきたと思います?「キャスターなのに敵に突っ込んでいくバカってあんた?」ですよ!本人前にして聞く事じゃないですよね!?」

「あ、あははは」

 

 その時の事を想像しカンナは苦笑するしかなかった。なぜだかショウなら言いかねないと思ってしまったのだ。

 そんな事を思っている間もツクヨミの話は続いていく。

 

「それからです。何かというと彼は私を連れ回していろんなクエストを一緒にクリアしていって。正直なんなんだこいつと思いました」

 

 でも……。そこで言葉を区切り少しの沈黙が生まれる。

 しかしその沈黙もすぐに消える。

 

「そのおかげで私はまた、このゲームが面白いと思えるようになったんです」

 

 ツクヨミのその言葉はどこか嬉しそうで、カンナも、黙って聞いていたコウタも自然と笑みを浮かべてしまうのだった。

 

「そんなわけで私は私は彼に感謝してるんです。そしてそんな彼なら信頼しても良いかなとも思ってるんですよ」

 

 ツクヨミがそう言い終わると同時にショウが入ってくる。

 

「悪い、待たせた」

「いえいえ。そんなに待ってませんよ」

「すげえ待ったわ。俺の時間返せ」

「悪いって言ってんだろうが!てめぇもツクヨミみたいに気を使えるようになれや!」

「おいおい逆ギレか?あ?」

 

 ショウが来てから早速始まる口喧嘩にカンナは苦笑いを浮かべる。しかし、先ほどの会話を聞き改めて、これも彼等なりの信頼の証なんじゃないかと思うカンナであった。

 

 

 

 

 

 

 セーフティーゾーンで一休みした俺たちは途中途中で休みを入れながらもかなりのハイペースでダンジョンを攻略していった。

 そして、

 

「……これ、そうだよな」

「そうだろうよ。にしてもすげぇな」

「大きいですね」

「なんか不気味」

 

 俺達はボス部屋に繋がる扉にたどり着いた。でもその大きさがやばい。巨人でも通るんじゃないかというくらい大きい。それになんか至る所に骨やら怪しげな模様があり正直不気味だ。

 

「こんな不気味な扉見たこと無いんだが」

「大体の扉が大した模様の無いつまらない扉だよな」

「それにこんなに大きく無いですよ。大きいやつでもこれの半分くらいです」

「……それでもこれの半分はあるんだ。これの半分でもすごいと思うんだけど。私の感覚がおかしいのかな?」

 

 カンナよ。初めの頃はそれが正しい。でも、レイド繰り返せば気にしなくなるから。

 

「時間が十一時半。思ったより時間かかっちまったな」

「本当は二十人くらいで来るべきなんですよ?むしろ早すぎるくらいです」

「まぁ、それもそうか」

 

 確かに本当ならその人数で来るものなんだよなぁ。今回もだいぶ馬鹿したなぁ。

 そんなことを思って自分で自分に呆れてしまう。

 

「よし!じゃあ行くか!」

「おう!」

「はい!」

「うん!」

 

 みんなの返事を聞いてから俺は扉に手をかけた。

 

「……は?」

 

 ボスのいる部屋に入っての俺の第一声がそれだった。

 部屋の中はあの扉と違い殺風景で、唯一あるとしたら中を照らす蒼い火だけ。

 そして部屋の中央にいる恐らくこのレイドのボスであろう片方の手に槍を持って立つ少女。もしくは少年。その姿は全身を黒い影に覆われており男か女かの判断が出来ない。

 扉の大きさからもっとでかいモンスターがいると思っていたから少し驚いてしまう。

 

「どうする?恐らくあの影がボスだ。人型ならお前の管轄だが?」

 

 俺に判断を仰ぐコウタ。確かに人型なら俺が適任だ。でもあの相手はなんの情報もない。だったらまずは様子見か?

 

「……とりあえず相手の行動パターンが知りたい。まずは様子見ついでに……」

「俺の狙撃か」

「あぁ。頼めるか?」

「任せな」

 

 そう言ってコウタは弓矢を取り出し敵に向ける。

 もしかしたらカウンターがあるかもしれないので俺達もいつでも動けるように準備する。

 そして俺達が準備できたことを確認してからコウタが矢を放つ。狙いは正確。そして威力もあるあの矢を無傷で防ぐことは難しいだろう。俺だけじゃない。ツクヨミやカンナも、もしかしたらコウタだってそう思っていたかもしれない。

 ……しかし、その考えは最悪の結果を持って覆された。

 

「ーーー」

「なっ!?」

「……え?」

 

 矢は影が何かを言った瞬間消えた。

 しかしそんなことよりも、気づいた時には影が隣にいてコウタが槍に貫かれていたことに、俺達は驚かざるを得なかった。

 その一撃で体力を全て削られたのだろう。コウタは霧のように消えていく。

 

「ざっけんな、くそが!」

 

 残った俺とツクヨミ、カンナは急いで影に攻撃しようとする。

 しかし遅かった。

 

「そんな……」

「うそ、でしょ……」

 

 影は槍を横に一度振るだけでツクヨミとカンナの体力をゼロにする。

 

「……おいおい、あり得ないだろ。こんなの、無理ゲーじゃねぇかよ」

 

 その光景を見て俺はそんなことしか口に出来ない。

 影は俺の目の前に立ち、こちらに槍の先を向ける。その距離でようやく影の姿を目にすることが出来た。

 金色の髪を腰のあたりまで伸ばし、所々が汚れた黒いドレスを着ていた。でも、そんなことよりも目に焼き付いたのはその目だった。

 悲しみに沈み、何かに絶望したような目。

 

 

 そこで俺は死に絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっはっは!死んだ死んだ。まさかの一分以内とか」

「あんなもん二十人で行っても無理だわ!なんだ一振りで体力全損て。本当に無理ゲーだわ!」

 

 そう言って俺とコウタは一緒に笑う。

 今いるのは町にある居酒屋(もちろんゲーム内の)。そこで俺達は反省会という名の愚痴大会をしていた。

 

「え、えっとこれは?」

「私達はボコボコにされた日はいつも此処でこうやって愚痴を言い合ってるんですよ。これが結構楽しいんです」

「いや、そういうことじゃなくて!もっとこうしんみりするところじゃないですか!?ここは!?」

 

 なぜかそんなツッコミを入れるカンナ。

 

「はぁ?何言ってんだ。本来二十人で行くもんを四人で行ったんだぞ?負けるに決まってんだろ?だからなんでしんみりしなくちゃならん」

 

 カンナのツッコミに心底不思議だと言わんばかりにコウタはそう言う。

 ……まぁ、カンナの言いたいこともわかるんだがなぁ。

 

「カンナさんの言いたいことはわかります。でも私達はボコボコにされることには慣れてるんですよ」

「今回みたいなことだって初めてじゃねぇしなぁ」

「ポセイドンが出てくるクエストの時なんて、紙装甲のお前やばかったもんな」

「あぁ!?それ言ったらお前だってヘラクレス討伐の時、矢を全部避けられて役に立たなかっただろ!?」

「あんなぶっ壊れに当てるのなんて難しすぎるわ!」

「まぁまぁ。二人ともその辺で。そんなわけで私達はほぼ無理ゲーなんて数えきれないほどやってるんですよ」

「で、でも!」

 

 そこまで話してもカンナはまだ何か言おうとしている。意外にめんどくさいやつだなぁ。

 そんなことを思っていると珍しくコウタの方から話し始める。

 

「別に俺達は勝ち負けを気にしているわけでも、勝った後の報酬のレアアイテムを求めてるわけでもないんだよ」

「そうですね。そんなものよりも欲しいものが出来ちゃいましたし」

「……そ、それって?」

 

 カンナの質問に二人は答えない。でもなぜだか画面越しに俺が言えと言われている気がした。

 

「それはな。不可能に近いことを可能に変えてやった時だよ」

「……不可能を可能に」

「あぁ!ほとんどの奴が無理だって匙を投げたクエストをクリアしてやった時の高揚感!そして達成感は何物にも勝る最高の報酬だろ!」

「……」

 

 あ、あれ?なんか間違えたかな、俺。黙っちゃったんですけど?

 突然黙ってしまったことに俺は少し不安な気持ちになってしまう。

 

「なんだか」

「ん?」

「なんだか良いね。そういうの」

「何が?」

「三人共同じものを求めて一緒に戦ってる。そういうのって仲間っぽいなって。少し……羨ましいな」

 

 何言ってんだ、こいつは?

 

「「「お前だってもう仲間だろ?」」」

 

 俺達三人は同時にそう言っていた。

 

「え?」

「だって一緒に戦ったじゃん」

「一緒に無理ゲーやった仲だしな」

「私は最初から仲間だと思ってましたよ」

「……」

 

 俺達三人からの言葉にカンナはまたも黙り込んでしまう。

 

「カンナさん?どうしました?」

「あ!ご、ごめんなさい。嬉しくって、その……」

「おいおい。もしかして泣いてんのかぁ?」

「コウタ。デリカシーがないですよ」

「……三人共」

 

 カンナがそう言うと俺達はふざけるのをやめて続きを待つ。

 

「ありがとう!!」

 

 ……きっとキャラクターを動かしている本人は笑ってるんだろうな。なんとなくだがそう思った。

 

「あ、私もう寝る時間なのでやめるね」

 

 カンナがそう言い時計を見るとあと数分で日付が変わろうとしていた。

 

「もうこんな時間か。俺らも今日は解散するか」

「そうだな」

「私ももう寝る時間ですね」

 

 一応念のために聞くが二人からは反対の言葉は上がらなかった。

 

「それじゃあ解散な。おやすみー」

「お疲れさん」

「お疲れ様でした。おやすみなさい」

「あ、まって!」

 

 このまま解散になりそうなところでカンナがストップをかける。

 

「どうした?」

「ふっふっふ」

 

 何この子。突然どうしたんだ?

 

「今日はなんの日だ?」

「なんの日?」

「なんかあったか?」

「さぁ?」

「えぇー」

 

 なんだろう。えぇー。という言葉だけなのに、呆れられてることがよくわかる。

 

「クリスマスだよ、クリスマス!」

「あー。そうだったな。今年はデモ起きたのかね?」

「さぁ?」

「ずっとゲームやってたから知らん」

「え?デモって何?じゃなくて!」

 

 おー!一人ツッコミ!初めて見た。

 

「クリスマスなんだからこう言わないとじゃない?」

「?あー。そういうこと」

「あぁ。なるほど」

「あ、そういうことですか」

 

 そんな反応を見せることから、皆分かったのだろう。

 

「というわけでご一緒に!せーの!」

 

「「「「メリークリスマス!!」」」」

 

 

 たまには、こんなクリスマスも悪くないと思う俺だった。

 

 

 

 

 




今回出したゲームは架空のものです。繰り返します。架空のものです。某英霊が出てくるゲームとは一切関係がありません!

それと、今日出した二つはちょっと並び替えるかもしれません。と言うか並び替えます。

お気に入り登録、評価くださった方々感謝です!
それではみなさん今更ですけどメリークリスマス!

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