IS VS Build   作:シュイム

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今回は前話の別視点です
あと前話で少し書き直しました


第28話 モノトーンをぶっ飛ばせ

建兎サイド

「う...ん」

 

頭痛で目が覚める

しかし体がだるくて、力も入らない

今自分がどんな状況だったか思い出せない

 

「...ん、け...く...、けん...」

 

右上から何か女の人の声が聞こえる

自分の手を握り、何度も語りかけてきている

 

重いまぶたを開けると紫の髪をし、ワンダーランドみたいな服を着た女性が目を見開く

頭にこんな変な飾りを付けてる人は俺は1人しか知らない

 

「姉...さん...」

 

「けんくん〜!!」

 

「おぶっ」

 

掠れる声を上げると思いっきり抱きしめられる

彼女の腕が俺の背中に回り、首が完全にキマっている

 

「良かったよ〜! 本当に良かったよ〜!! 心配したんだから〜!!」

 

「む、ぐっ。 ふぐっ!」

 

彼女のふくよかな胸に顔が沈められ、幸せだがとんでもなく苦しい

だが顔が埋まってて声も出せず彼女の体を必死に叩き、ようやく離された

 

「あっ、ごめんごめん! つい興奮しちゃって」

 

「ごほっ、えほっ。 い、いや、大丈夫... むしろごちそうさまです」

 

「え? なんか言った?」

 

「いえ、何も...」

 

アホなこと言ってる内にだんだんと思い出してきた

俺はラウラにやられてそのまま意識を失ったっぽい

しかもそのまま数日間眠って.... !!

 

「ね、姉さん! 俺が倒れてからどれだけ経った!?」

 

「え? えっと...1週間くらいかな。 今日は学年別トーナメントの日らしいよ」

 

てことは...今もう既に一回戦が始まってるはず!!

 

俺は無理矢理体を起こし、ビルドドライバーを抱えてベッドから降りる

なぜ保健室の先生がおらず、姉さんがいるのかと思ったが今はどうでもいい

 

「ちょ、ちょっとけんくん! どこ行くの!? まだ病み上がりなんだから無理しちゃダメだよ!!」

 

「ダメ、だ...! ラウラのISに、VTシステム...が、!!」

 

「『シュヴァルツェア・レーゲン』に載ってるの!?」

 

起きた途端に部屋を出ようとする俺を姉さんが止める

当然だ、体はフラフラで息も整っていない

とても傍から見て戦闘など出来るように見えないだろう

それでもネビュラガスが搭載された兵器を持ってる以上、原作より被害が甚大になる恐れがある

ならばそれを知ってる俺が止めないと

 

「うん... だから、俺が...止め、ぐうっ!」

 

突然の激しい頭痛に立てなくなる

 

「ほら、まともに歩けてないじゃん! それに今回ラウラちゃんは出場してないみたいだよ!?」

 

...え?

思わず姉さんの顔を見るが彼女に嘘をついてる様子はない

原作ではラウラは箒と出場、負けそうになったところでシステムが発動していたはずだったが...

今回は良い方向で原作乖離したのだろうか

 

ドォォォン!

 

「「!?」」

 

突如廊下から何かが破壊された音が聞こえた

その先には逃げ出す多くの教員と壁を破壊し、刀を構える黒いISが居た

その目前にはラウラが尻餅をつきながら、顔を強ばらせて後ずさっていた

ISはラウラに手を伸ばす

 

「危ねぇ、ラウラっ!!」

 

「けんくん!?」

 

どうやら面倒な方に乖離してしまったようだ

ビルドドライバーを装着し、俺は思わず叫び出していた

 

シャカシャカシャカシャカ

シャカシャカシャカシャカ

 

『ラビット!!』

『タァンク!!』

 

『ベストマッチ!!』

 

姉さんの声を無視して走り出す

気づけば頭痛や体のだるさなどすっかり忘れていた

 

『アー ユー、レディィ!?』

 

「変身!!」

 

『ラビット、タァンク!! イェェェイ!』

 

スナップライドビルダーが重なり、変身する

ISに蹴りを叩き込み、吹き飛ばす

しかし、大して効いた様子もなくすぐに立て直している

 

近くで見ると単純な黒ではなくまだらにシミが見られ、所々濁った色をしている

とりあえずラウラを守ることには成功した

 

「桐生建兎! 貴様...なぜ!」

 

『いいから逃げろっ!!』

再びラウラに迫るISを遮る

刀とドリルクラッシャーがぶつかり合うが完全に向こうの方が力が上だ

タンクでなんとか踏ん張るものの、押され続ける

 

ならば押し返す!

シャカシャカシャカシャカ

 

『パンダ!!』

 

新しくボトルを装填しながらISを蹴り飛ばす

すかさずもう一方を差し込む

 

シャカシャカシャカシャカ

 

『ロケット!!』

 

『ベストマッチ!!』

 

少し離れた所で姉さんがラウラを保護し、こちらにサムズアップするのが見えた

これで遠慮なくやれる

 

『ビルドアップ』

 

『ぶっ飛びモノトーーン!! ロケット、パンダ!! イエアアァイ!』

 

白と水色のベストマッチ、ロケットパンダ

今の相手と真逆のカラーリングである

 

『はぁっ!!』

 

パンダのアームで叩きつけるように殴り、切り裂くように腕を振りまくる

相手は硬く、刀でも受けるが防戦一方な状況だ

これはチャンスとタックル、頭突きなどインファイトを続け、連撃を叩き込む

 

そしてボディががら空きになり、一気に詰めるとロケットのアームを打ち付け、ゼロ距離で発射

ISは勢いよく吹き飛び、壁に叩きつけられる

 

その際壁や部屋のあちこちが壊れてしまったが今は気にしない

ロケットが戻ってくるとISもまた立ち上がる

ラウラが搭乗していないので好き放題ボコっていたがそれにしてもおかしい

あくまで織斑先生と同じくらいの力はあるはずなのだがここまで簡単に相手が出来るとは

ま、いいか。 危険すぎるし倒しておこう ....!!

 

『ぐうっ!!』

 

や、やばい!!

また頭痛が、こんな時に...!

 

やはり先程から無理していたのが(たた)ったのだろう

俺は頭を抱えて膝から落ちる

 

そんな隙をISは見逃すわけがない

 

ギィン!!

 

『ぐああっ!』

 

突如高速で飛び、俺を叩き切った

ガードも受け身も取れずに吹き飛ばされる

なおも攻撃は止まない

 

『ぐっ、あっ、うあっ! ぐわぁっ!!』

 

先程とは打って変わって一気に形勢逆転

本気を出したのかパワーもスピードも桁違いだ

一方的に切られ続ける

 

「けんくんっ!!」

 

姉さんの声が聞こえる

俺を助けに走り出してきたのだろうか

 

ザンッ!

 

「ふっ!」

 

ISはターゲットを変え、姉さんに切りかかるがするっと躱す

攻撃が効かないことは見ていて分かっていたようで俺を逃がすことに徹底した

 

守るとか言っておきながら結局助けられてることに悔しさを覚えながら、声に出さず感謝して撤退する

 

ギュン!!

 

「えっ!?」

 

『ぐぅ!?』

 

が、ISは姉さんを無視して俺に飛んできた

背中を向けていたので全く反応できずそのまま倒される

仰向けに倒れる俺にISの顔と目が合う

心なしか無表情であるはずの顔が歪んで笑ってるように見える

「お前では私には勝てない」と

 

もうダメだ、動けねえ...

仮面の奥で目を閉じ、最期を覚悟する

 

「桐生っ、無事か!!」

 

すると織斑先生がIS専用の刀を帯びながら現れる

目に映った光景から全てを察したらしく、苦い顔をしながら刀を構える

 

『せん、せぇ... そい、つは...』

 

「桐生、動けても動けなくとも走れ 必ず逃げ切れよ」

 

相変わらず真面目な顔で無茶苦茶言ってくる先生

だがそんなこと言ってる暇はない

ロケットで思い切り離脱した

 

前も見ず突っ込んだのであちこちをぶつけて痛いが、今はどうしようもない

這いながら部屋の隅に隠れるが

 

ドゴォォォ!

 

『何なんだよ全く....!』

 

執拗にISは俺を追いかけてくる

これだけ早く着いたんだ恐らく織斑先生も無視したのだろう

ただ、この状況はマジでやばい...

 

「けんくんっ!」

 

「もう逃がさんぞ!」

 

姉さん達も追いついた

だが一切彼女らに目もくれず俺ににじみ寄る

すると織斑先生に連絡が入る

 

『報告! アリーナのシャッターは閉じられ、織斑一夏君達も戦闘を中止! アリーナで待機しています!』

 

その報告が流れた時、ISがピクっと反応し動きが止まった

かと思えばいきなり部屋を飛び出し、高速でどこかへ飛んでいってしまった

 

「い、いきなり何!?」

 

「しまった...! あっちにはアリーナがある! 一夏ッ!! 」

 

先生は後を追い、姉さんは俺に寄り添ってくる

 

「けんくん、大丈夫? もう、本当に無茶ばっかりして〜」

 

少し泣きながら俺をポカポカ叩く姉さんはちょっと可愛かった

ごめんと軽く謝って、ゆっくり立ち上がる

 

しかし、何故いきなり飛び出していったのか

あそこまで俺に執着してて、急に見向きもしなくなったのか

姉さん達が邪魔しても一切危害を加えてこなかったのか

 

『織斑一夏君達も戦闘を....』

 

っ!!

 

『ま、さか...!』

 

「け、けんくん!?」

 

俺の中で1つの推測が生まれた

もしそれが正しければ...一夏が危ない!

 

痛む体にムチを打ってロケットで飛び出す

出せる最速のスピードを出しているので体のあちこちに圧力がかかる

途中で織斑先生と合流したが無視してそのままISを追う

 

追いついた!

ISに飛びかかり、抑え込もうとするが簡単に押し返される

前を見ておらずどこそこにぶつかりながらの無茶苦茶な飛行になる

 

ISは俺の妨害があっても目標にたどり着けたようで、ピット内に侵入

驚く職員達を通り過ぎてそのままアリーナ内へ侵入し、俺を投げ飛ばす

 

ドゴォォォン!!

 

「ぐあああっ!!」

 

煙を立てながら思い切り地面に体が叩きつけられる

先程からガムシャラに動きすぎて呼吸がおかしなことになっている

 

横目に一夏にシャルル、箒に簪が固まって俺達を警戒してるのが見えた

俺はフラフラしながら立ち上がる

 

こうして満身創痍(まんしんそうい)ながらVTシステムとの第2ラウンドが始まった




今更ですが、皆さんたくさん評価の評価ありがとうございます!
☆10 麦ちゃさん、八国多々音さん、十露盤さん、てぃがさん、極み吠えるジンオウガさん
☆9 剣城沙耶さん、FGO ノッブさん、夢咲豆柴さん、やまないしさん
☆8 サクライダーさん、ZENOSさん、カブトロンガーさん
☆7 螺旋パニックさん
☆6 信田さん
☆5 bramさん
☆3 Eisenさん、ちょろめんまさん
☆1 とんこつラーメンさん、気分は形而上さん、一二三之七氏さん、速読歴さん、ゴミさん
☆0 光沢Zさん
皆さんに頂いた評価を噛みしめながら、これからも頑張ります!

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