IS VS Build   作:シュイム

23 / 33
サブタイトルのネタがどんどん無くなる...
そして活動報告でこれからの更新に関する重要な話があります。
絶対目を通してください。



第18話 怒りのドラゴンアサルト

俺達はとりあえず泣いてる鈴に声を掛ける。

 

「えっと、大丈夫? 凰さん。」

 

「どうしたの〜? りんりん〜?」

 

「あだじはパンダじゃないわ!」

 

『りんりん』というワードを聞いた瞬間くわっ!とこちらを見てくる。良かった、多少元気になったようだ。

 

「一夏との事で何かあった?」

 

「....ええ、ちょっとね。今回はあいつが許せないわ。」

 

「そっか...。とりあえず俺の部屋来る?ここにいるのもなんだし」

 

「えぇ〜!? きりりん、女の子を部屋に連れ込むの〜!? ダメだよ〜!!」

 

「はっ! まさか桐生、あんたそのつもりで!!」

 

「いや邪推しすぎだから!話聞くだけだから!」

 

俺そんな事するように見えるのか...一夏じゃあるまいし。

ひとまず元気になった鈴を連れ、俺たちは元いた俺の部屋へ戻り、本音と鈴それぞれに飲み物を出す。つっても麦茶だけどね

すると俺が出した椅子には鈴が座っていたが本音は俺のベッドで寝てる。

 

「いや本音...。なんで俺のベッドに横たわってるんだ?」

 

「え〜? だめ〜?」

 

「いいから降りなさい!」

 

猫の如く首根っこを掴み降ろす。本音が「む〜」とか言って睨んでくるが可愛いだけである。

 

「あんたらね...あたしは今一夏との事ですごい傷ついてんのに目の前でイチャイチャしないでくれる!?当てつけ!? 当てつけなの!?」

 

「違うよ! で、何があったの?」

 

「ああ、実はね...」

 

そこから先は原作と同じだった。

鈴は一夏の同室の相手が女でしかもライバルの箒という事が分かると部屋替えを懇願。当然箒は拒否。

そんな中で一夏に昔した約束を覚えているか確認した。

それは「料理が上達したら毎日酢豚を食べさせてくれる」というまんま日本で言う味噌汁のやつだ。

しかし何を間違ったのか一夏は「酢豚を奢ってくれる」と勘違い。

あまりに酷いと鈴は激怒、一夏を殴って出ていってしまった、というわけだ。

 

「それはおりむーが悪いね〜。」

 

「でしょ!? あいつはなんでいつもああなの!? あたしはあいつの専属コックか何かだと思われてるのかしら!!」

 

「まあとりあえず落ち着きなよ。それで凰さんは一夏とどうしたいの?仲直りしたいのか約束を分かってもらいたいのか」

 

「あたしは...少なくとも今は仲直りしたいとは思わないわ。さすがに許せないし、約束の内容どういうことなのか教えてって言われたとしてもそんなマヌケな事出来るわけないし」

 

「だとしたらクラス対抗戦があるからその時に決着つけたら?それまでの間は一夏と話すか話さないか凰さんが決める。ってことで」

 

「正直大した作戦じゃないけどその通りね。今はそれしかないわ。」

 

少しグサっと来た。ちくしょうこちとら仲持たせるために尽力してるっつーのに。

 

「色々ありがとうね、2人とも。あ、あたしの事は鈴って呼んでよ。呼びにくいでしょうし。あんたの事は建兎って呼ぶから。」

 

「なんでそんな一方的に...「いいから!」...鈴。」

 

「んー、よろしいっ! じゃあまた明日ね。」

 

鈴は嬉しそうな顔で部屋を出ていった。

俺たちに愚痴をぶつけることでうっぷんを晴らせたのだろう。それならば良かった。

すると本音はジト目で俺を見てくる。

 

「...」

 

「...何?」

 

「別にー(フイッ)」

 

その後ぷくーっと頬を膨らませた本音を宥めるのに苦労した。

翌日、クラス対抗戦の張り紙には1組(一夏)VS2組()というセッティングで運命もいきなり2人の決着をつけさせようとしていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

それから数週間、鈴は一夏と全く接しなくなっていた。

1組に来る事も共に食事を取ることもなく、例え会っても目を逸らしていた。

一夏は俺に「鈴について何か知らないか?」と聞いてきたが答えなかった。

そんな事は自分で考えるべきだし何より普通なら考えなくても大抵の人は分かるだろうし。

 

そんなこんなで今は一夏の特訓中。

箒とセシリアがメニューについての話し合いをしていると鈴が入ってくる。

すると箒は途端に顔をしかめる。

 

「貴様、どうやってここに...。ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ」

 

「あたしは一夏関係者よ。だから問題なし。というか今はあたしが主役なんだからあんたは引っ込んでて。」

 

「な!何!?」

 

「...で、一夏。少しは反省した?」

 

! 鈴...。

このタイミングで自分から譲歩したか。すごいな、少し前はあんなだったのに。やっぱり鈴は一夏が好きでこのままじゃ嫌だからなんとかしたいと思ってるのだろう。

さて、一夏はと言うと

 

「は? 何をだ?」

 

「はあ!?」

 

うん、やっぱりな。知ってたけどさ。

 

「だから、あたしに対して謝ろうって気はしないのかってことよ!いいから謝りなさいよ!」

 

「いや、何を謝るんだよ! 約束のことなら覚えてたろうが!」

 

「意味が違うってのに! ああもう!」

 

目の前の男に対するイライラに地団駄を踏む。

 

「じゃあどういう意味なのか教えろよ!」

 

「な、そ、それは...その...」

 

「じゃあもういい、クラス対抗戦で俺が勝ったら説明してくれよ。その代わり鈴が勝ったら何でも言う事聞いてやる。」

 

「「!!」」

 

その発言に箒と鈴が反応する。

大方「付き合って」って言おうとか思ってんだろうな。

まあ言葉の理解出来ずに終わるのがオチだが。

 

「な、なんでも? だったら..一夏と...ごにょごにょ...

 

「なんだ?自信ないならやめてもいいぞ?」

 

「なっ、冗談! 何があってもあんたみたいな初心者の下手くそには負けないわ!」

 

「っ! 俺だって色々と努力してんだよバカ!」

 

「バカとは何よバカとは! それはあんたでしょうがこのアホ! ボケ!」

 

 

 

 

「うるさい、貧乳」

 

 

 

 

ドガァァァン!!

刹那部屋の中で轟音が響く。鈴は片腕に装甲をつけ、怒りの表情を露わにする。

これはもうどうしようもない。一夏の有罪だな。

 

「言ったわね...。言ってはならないことを、言ったわね!」

 

「い、いや、悪い。今のは俺が悪かった。」

 

「今の『は』!? 今の『も』よ! あの時からずっとあんたが悪いわよ! もういいわ、手加減なんてしない。死なない程度にはボッコボコにしてあげる。」

 

 

そう言って鈴は殺気を放ちながら出ていく。

 

「ちょ、ちょっと待てって鈴!」

 

「一夏、今は無駄だ。話なんか聞いてくれないよ」

 

「で、でも...」

 

「まあ、俺が鈴のサポートに回るから一夏はとりあえず訓練に専念してくれ。」

 

「...」

 

はあ、やれやれ。やっぱりこうなったか。でも俺は今回は鈴の味方だからな。そう言って鈴について行こうとすると

 

「おい建兎! なぜお前は奴の味方をする!? お前は1組だろう!」

 

「そうですわ!今のは織斑さんが悪いですがなぜなんですの!?」

 

2人から問い詰められる。

俺としては誰が優勝しようとどうでもいいんだが原作を知ってる知らないに関係なくあの状態の鈴は放ってはおけないし、味方にならないといけないだろう。

事情を知ってる俺くらいは、な。

 

「箒さんは一夏と鈴さんとの事知ってるでしょ? それだけだよ。俺くらいは彼女の味方でないと」

 

「!!」

 

箒はハッとした顔で目を見開く。

箒も鈴に対してライバルとは言え多少は同情してるのだろう。俺の一言に何も言えなくなった。

セシリアは知らないので「?」を浮かべているが

そうして俺も大きく凹んだ穴のある部屋を出ていき、鈴を追った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

部屋から少し離れた所に鈴はうずくまっていた。

泣いてはおらず、人目のつかない所でただただ座っている。

 

「えーっと、鈴さん...?」

 

「...建兎」

 

ゆっくり顔を上げてこちらを向く。

とてもじゃないが表情は良いとは言えず、怒りや悲しみ、そして悔しさを混ぜ込んだような感じだった。

 

「あたし間違ってたのかな...。一夏にまた会いたくて、異性として見て欲しくて、ケンカしたままじゃ嫌で、頑張ったつもりだったのに...。」

 

「...」

 

重い口を開く鈴。

先程の出来事に後悔の念があるのだろう。もしかしたら自己嫌悪に陥ってるのかもしれない。すぐ手が出てしまう、自分に。

こんな俺が口を挟むのは如何なものかとは思うが仕方ない。

俺は原作ファンとして、ビルドとして二人の仲を守りたいからな。

 

「...間違ってなんかないよ。絶対。」

 

「え...?」

 

「ああやってケンカ出来るってことは心の底からぶつかり合えたって事でしょ?結果はまた仲違いになっちゃったけど、それでいいんじゃないかって俺は思う。」

 

「ぷっ、何それ。ケンカする事がいい事なの?」

 

「んー、ケンカそのものというか。お互いが心置き無く話せるその仲間の証が良いって言うか...。」

 

「あははっ、結局何言ってんのか訳わかんないわ。あーでも笑ってたらなんか色々吹っ飛んだし、なんかこんな事してる場合じゃないって感じ!うだうだしてるのはあたしらしくないし!」

 

高笑いをしながらも俺に感謝し、自らに活を入れ、立ち上がる。

そうだ、こうでなくてはならない。これこそが鈴のあるべき姿なんだ。

 

「よーし!そうと決まれば訓練よ!建兎!あんた相手になんなさい!」

 

「え!? なんでそうなるn」

 

「早く!アリーナの時間決められてんだから!」

 

「いやっ、ちょっ、助けてえええー!」

 

強引に鈴に引っ張られ連れ去られる俺。

なんでこうなる...いつも一夏のフォローしては被害受けてるよ全く...。

その後無理やり戦わされて凄い疲れた挙句に前よりも仲良くなった光景を楯無さんと本音に見られたため、楯無さんからは散々弄られ、本音はまたしても頬を膨らまして拗ねてしまい俺を困らせた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

試合当日。

アリーナ内は満員で溢れる程の人だかり。

そんな中、俺は箒やセシリアと共にモニターで観戦している。

2人とも準備完了でピット内で試合開始を待ちわびており、気合十分と言った感じだ。

箒は一夏の心配をし、セシリアは黙って様子を見守る。

かく言う俺は万が一起こるかもしれない『謎のIS襲撃事件』に気を配っていた。

 

『それでは両者、規定の位置まで移動してください。』

 

「一夏、今謝っても遅いからね。何がなんでも勝ってやるわ。」

 

「どうせ謝ったって痛めつけるレベル大して下げてくんないんだろ?全力で来いよ。」

 

「ふーん、自信たっぷりね。あたしだってその気になればシールドエネルギー以上のダメージをあんた自身に与えられるんだからね」

 

これは本当だ。

IS自体『絶対防御』なるものが存在するがあくまで最終手段。

高い力を持つ機体や技術を持つ操縦者の手にかかれば殺さないレベルでやることは出来る。

一夏がどれだけこれまでの期間やってきたとしても鈴とはあらゆる所で差がある。しかもとても大きな差が。

 

『それでは、試合開始!』

 

ブザーの音と共に両者は動き出す。

鍔迫り合いになり、一夏は『雪方弐型』を構え応戦するが鈴の持つ巨大な双刃刀には歯が立たず、押され気味だ。しかもそれを鈴は軽々と振り回し連撃を加える。

このままではパワー負けすると踏んだ一夏は距離を置こうとするが

 

「甘いっ!!」

 

刹那一夏の身体は爆音と共に大きく吹き飛ばされる。

よく見れば鈴の機体『甲龍(シェンロン)』の肩アーマーが開き、光を帯びていた。

ちなみに七つの玉を集めても甲龍は2体にならない。

 

「なんだあれは?」

 

「『衝撃砲』ですわね。空間自体に圧力をかけて砲身を生成し、残った衝撃をそのまま砲弾化して撃ち出すブルー・ティアーズと同じ第三世代兵器ですわ。」

 

目の前の不可解な出来事に思わず呟く箒。

そう、セシリアの言うあれこそが甲龍の特性。「目に見えない砲台」である。

しかもあれは角度に関係なく撃つことが可能で、それを鈴は使いこなしている。かなりの強敵だ。

現に先程から鈴の猛攻に一夏はへとへとになっていた。

無理もない。砲弾どころか砲身すら見えない武器に初見で躱しきれという方が無茶だ。しかし若干当たりながらも直撃を避け続けているのでこれでも凄い方なのだ。

かと言ってこのままではジリ貧である。

 

しかし一夏には一発逆転の一手(零落白夜)がある。

というか文字通りそれしかない。

武器も技術も知識も経験もない一夏が勝つにはチートと言われても仕方ない武装でやりきるしかない。

だが問題はタイミングだ。

俺が一夏の練習を見てた間、零落白夜の使うタイミングを口を酸っぱくして言っていた。

もちろんそんなすぐに身につく訳もないがやるしかない。

どうにか瞬時加速は身につけたため、それで上手くいくか...。

 

隙をつこうと鈴の周りを持ちうるスピードで飛び続ける一夏。

鈴が両刃青龍刀を構え直し、衝撃砲が撃たれる直前のこの瞬間、勝負に出るっ...!!

思ってもみなかった奇襲に鈴は驚くが間に合わない、これでーー行けるかーーー!?

 

 

ズドオオオオオン!!

 

 

その時アリーナ内で大きな衝撃が走った。

俺は忘れてたこの出来事を思い出しゴーレムだと警戒する。

砂埃が散る中を見るとアリーナの中央には

 

「はあ... めんどくさいしねむいし。なんでわざわざあたしが...。」

 

そこには『ビルド』のヒロインこと、石動美空が複数のISを率いて立っていた。




作者自身こんなで良いのか?とか思いながら書いてるので矛盾などあったら言ってください。
それではまた次回!

Next→第19話 放たれる輝きとデストロイヤー


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。