PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

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 閲覧ありがとうございます。
 PQ2発売に間に合わなかった……





6月7~8日──【七星モール】後輩たちと買い物

 

 

 自分は昨日に引き続き再度、七星モールを訪れた。

 今回案内してくれる人はいない。1人探索、冒険のようなものだ。

 

「確か……」

 

 昨日の小日向の説明を思い出す。

 1階にあるお店は、宝石等を売っている【ナルシマ】。輸入商品を扱う【ウェンディ】。中古の電化製品などを扱う【城嶋無線】。ミリタリーショップの【トガシ】の4つ。

 自分が使うとしたら輸入雑貨店の【ウェンディ】くらいだろうか。城嶋無線はどちらかといえばジャンク品を扱うお店のようで、素人には入りづらい。店主は端から見ると明るいお兄さんといった感じで良い人そうだが。

 

 そして2階にあるお店が、昨日行ったアニメショップ【アニメイト杜宮店】を始めに、色々な衣装が売っている【ピクシス】、模型などが売っている【コトブキヤ】。後は販売店ではないが、マッサージ屋と占い屋がある。計5店舗が2階には配置されていた。

 

 ……正直あまり馴染みのないエリアだ。アニメに対する情熱も、模型をやる習慣も、コスプレをする環境もない。

 だが、趣味にするとしたら丁度いいかも。アニメ……はまずはテレビを買ってからか。だとしたら模型かコスプレ……いやそもそもコスプレって趣味に出来るのか? 衣装を作ったり、写真を撮ったりといった所だろうが……ん。

 

「衣装作成……服作り……?」

 

 良いかもしれない。

 服を作る、なんて大変だろう。恐らく基本のものに何かしらのアレンジを加えるだけになってしまいそうだ。

 ……いま丁度お店に人がいないし、聞いてみようか。

 

 

────>コスプレショップ【ピクシス】。

 

 

「服作り? コスにしても何にしても、一から独学で勉強して作るんだったら結構大変ですね、パターンの勉強……まあ裁断で余らせる長さとか、縫い方の特徴とか、色々必要です」

「やっぱりそうですよね」

「結構興味がある感じですか?」

「何て言うか、趣味探しの一環です。ちょっと試してみたいなって」

「なるほど、でしたら……」

 

 レジの奥に座り込み、立ち上がった店員は、1冊の本を持っていた。

 

「どちらかといえば、手芸などでアクセサリーを作るほうがいいかもしれませんね。服を1からすべて1人で作るとなれば相当な時間が掛かりますが、例えばグローブなどは比較的早めに完成しますので」

「小物づくり、ですか」

「はい」

 

 確かに、現実的なのはそこらへんかもしれない。

 彼女が取り出したのは、その入門書。誰でもできる、と題された薄い本だった。

 

「せっかくですし、差し上げますよ」

「良いんですか?」

「私はもう使いませんし、お客様、サブローくんやジュンくんのお友達なんでしょう?」

 

 サブローやジュン……なるほど、昨日一緒にいる所を見られていたのか。

 名前を憶えられているということは、彼らはお得意様なのかもしれない。まあサブロー自身、ここを聖地と呼んで崇めていたし、そういうこともあるだろう。

 彼らにもお礼を言わなければ。

 

「ありがとうございます。大切に使います」

「いえいえ。今後はぜひ当店を使ってください。服を作るアドバイスこそできませんでしたが、うちはオリジナルTシャツの作成なんかも承ってるので、なにか作りたい服などができたら是非」

「オリジナルTシャツ……」

 

 

 聞けば、デザインと素材さえ決めてくれれば、それを元に作成してくれるらしい。値段は応相談だそうだ。

 ……取り敢えず今度、普段着用のを描いて持って来てみようか。

 

 

────>七星モール【2階通路】。

 

 

「そこの方、少しお待ちいただけますか?」

 

 2階をぐるっと一周していた時、声が掛けられる。

 周囲には自分しかいない。そこの方、というのは自分のことだろう。

 

「どうぞ、こちらにお入りください」

 

 声は、占い屋の中から聴こえてきている。

 通路から中の人は見えないが、向こうからは見えているのだろうか……いいや、足音とかで人がいることを察したのかもしれない。

 何にしても、呼び止められたし、入店を促されたのだ。選択肢は行くか逃げるか問うかの3択。

 

 

──Select──

 >入る。

  逃げる。

  問う。

──────

 

 

 警戒していても仕方ない。入ろう。

 

 

────>七星モール【サディの占い屋】。

 

 

「不思議な縁の構成が見えます、このようなことは初めて。……数々の運命が入り乱れていて、上手に読めない……フフフ、本当に興味深い」

 

 女性、だろうか。

 顔を含めて全身が隠れる程の大きな黒い衣装を身に纏った相手は、水晶玉越しに自分を眺めている。怪しく笑っているが、害する気はないらしい。

 

「ああ、失礼しました。……フフ、なるほど。私に貴方の運命は見通せませんが、お手伝いをさせてもらうとしたら──」

 

 言葉が区切られるのと同時に、水晶玉が淡く光り出す。

 水晶玉全体が光に覆われる前に、一瞬そこに映ったものが見えた。

 あの特徴的な“2足で立つ馬”のようなフォルム、間違いない。

 ──ペルソナ、“オロバス”だ。

 

「フフフ、出来たわ」

 

 気付くと、水晶玉の前に1枚のカードが置かれていた。

 これは……

 

「私には分かりませんが、貴方になら分かるのでは?」

「……ああ」

 

 手に取った瞬間、どうやって使えば良いのかが分かった。思い出したかのように知識を手に入れたのは、このカードが自分の心から生まれたものだからだろうか。

 ペルソナの技が継承できるカード。1枚につき1回、どんなペルソナにでもカードに移された力を覚えさせることができる。例えばこの力を使えば、火と呪が得意な“タマモ”に、ブフやジオといった他属性の技も覚えさせることができる。

 とはいえそんなに便利すぎるものでもないらしい。1体のペルソナから技を複製できるのは1度のみ。もう2度とオロバスからカードは取り出せないということだ。

 手に入れた、【マハラギ】のカードを握る。

 ──それにしても、

 

「あの、今のどうやって」

「企業秘密です」

「そこをなんとか」

「企業秘密です」

「貴女は何者ですか」

「企業秘密です」

 

 断固として教えてくれるつもりはないらしかった。

 占い師の裏事情は固いらしい。

 

「何に使うかは分からないけれども、この技術が必要なら、いつでも尋ねてきてください。対価と、その時々の占いのついでに行っていきます」

「対価……お金ですか?」

「はい」

 

 ちょっと考えたものの、占いのお金自体は安い。必要以上に渋る理由もないだろう。

 

「分かりました。また来ます」

「ええ、お待ちしております。今回は私が呼んだので、初回ということもあり、無料で構いません」

 

 いや、呼び止めておいて無料じゃなかったら大問題なんだが。

 まあいいか。

 

 

 店を後にする。

 結局最後まで何が何だか分からなかったが、そもそもこの力自体がよく分からないものなので、気にしても仕方ないか、と割り切ることに。

 ……いやでも、あの占い師の正体はとても気になる。今度心当たりありそうな人たちに聞いてみようか。

 

 

──夜──

 

 

 “3年F組・金鯱先生”を読む。まだまだ序盤だ。

 しかし熱い。物語の展開もそうだが、何より金鯱先生の情熱と生徒への想いが熱すぎる。

 

 生徒たちと共に問題と向き合う中で、段々と仲が深まって来て、少しずつだが生徒たちの方にも先生に対する信頼が見え始めた。

 金鯱先生の生徒を想う優しさと、何があっても見捨てないという根気を感じる。

 

 

 半分を過ぎた。もう少しで読み終わるな。

 続きが気になる。また読もう。

 

 

 

 

──6月8日(金) 放課後──

 

 

────>レンガ小路【通路】。

 

 

『センパイお久しぶりですぅ。今日ちょっと時間ありますかぁ?』

 

 

 放課後、そんなメッセージを受け取った自分は、丁度時間もあったし、呼び出しに応じてみた。

 日は高くまだ落ちていない時間帯。自分とヒトミ、そして呼び出したマリエは、3人で会話をしながら通路を歩く。

 話のネタはもちろん、今日の佐伯先生。

 

「さすがゴロウ先生……あーん、アタシも毎日授業受けたぁい」

「無理でしょ。来年まで待たないと」

「そんなの分かってるし。けど受けたいものは仕方ないじゃん」

 

 今日の、と言っても私生活を把握している訳ではないので、話せる内容は佐伯先生がどのような授業をしたか。どんな話をしていたかに限る。自分の話す1つ1つを真剣に聞き、細かく反応していくマリエは、やはり真面目なのだろう。

 一方でヒトミも違った意味で真面目だ。興味無いように見えるが話はしっかり聞いていて、マリエの反応について細かく現実的な返答をしていく。

 理想を重視する女の子と、現実を直視する女性、といった違いだろうか。どちらの想いも真剣で、間違っていない。このある種対照的な2人が友人関係でいられるのは少し不思議な気もするが。

 

「あ、此処、ココ」

 

 暫く雑談しながら歩を進めていると、不意にマリエが動きを止めた。

 目線の先には、ブティックがある。

 ここに入りたい、ということだろうか。

 

「うふふ、今日はセンパイっていうすっごい味方がいるんでぇ。期待してますよぉ?」

 

──Select──

  任せろ。

 >何を?

  気が乗らないな。

──────

 

「ココに来た以上やることは1つじゃないですかぁ」

 

 買い物ですよ、オカイモノ。と屈託なく笑って、マリエは言う。

 隣から、少し呆れたような溜息が聴こえた。

 

「はぁ、マリエってば……ま、いいか。センパイも、面倒だろうけどちょっと付き合ってよ」

 

 ……中に入ろう。

 

 

────>ブティック【ノマド】。

 

 

 初めて入るお店だ。

 なんか色々な洋服が置かれていた。普段着から少し派手なものまで。全体的に高価そうなこともあり、高校生が入りそうなお店じゃないようにも見えるが。

 適当な商品の値札を見てみる。

 ……お手頃な価格だった。

 

「ヒトミ、ちょっと手伝って」

「はいはい……ああうん、良いんじゃない? すごい良いと思う」

「でっしょー」

 

 2人は服を選びだしてしまった。

 自分は……目立たないように端に立っているか。

 

 

 

 

 

「センパイ、お待たせ。準備できたから、こっち来てくれる?」

「ああ」

 

 数分待ち、ヒトミからお声が掛かった。

 連れて来られたのは、試着室の前。

 カーテンが閉まっていて、周りにマリエの姿はない。察する限り、この中に居そうだが、どうなのだろう。

 自分は、このカーテンを──

 

 

──Select──

  開ける。

 >開けない。

──────

 

 

「……何してんの?」

「…………いや、別に」

 

 冷静に考えろ。開けたら駄目だろう、開けたら。

 いくらヒトミが準備できていると言っていた所で、それが本当かどうかの確証もない。

 ヒトミと顔を合わせる。自分が何を言いたいか察してくれたのか、彼女は試着室を控えめに覗き込んた。

 

「ちょっとマリエ、センパイ待たせてるんだけど」

「オッケー今出る。開けて良いよ」

 

 シャッとカーテンが開いた。

 そこにあったのは、少し大人っぽい服装に身を包んだマリエの姿。大人っぽいというか、露出が多いというか、攻め気質な感想を抱く夏の装いだ。

 少し前まで制服姿を見ていたからだろうか、それとも単純に服に着られている感が殺しきれないのか、彼女自身とは少し不釣り合いにも見えるその服装だが、そこがまたギャップのように思えて魅力的に映る。

 

「……うん、反応を見る限り、大丈夫そう。じゃあ次いこっか」

「オッケー、じゃあセンパイ、もう少し待っててもらえますかぁ?」

「あ、ああ……」

 

 

 

 

 

 続いて、青と白を使った清楚な服装、緑などを取り入れたカジュアルな服装と披露されていく。どれもよく似合っていて、センスの良さが見て取れた。

 

「それで」

「うん?」

「なんで自分に見せたんだ?」

「ああ……」

 

 マリエの着替えを待ちながら、ヒトミに一連の流れの真意を確認する。

 ヒトミは一瞬、何らかの感情を込めて試着室に視線を向けたが、すぐさま普段の表情に戻って、自分の疑問に答えた。

 

「何て言うか、色仕掛け?」

「……服装で気に入ってもらおう、ということか」

「何事もまずは形から、なんだって」

 

 真面目だよね。とヒトミは苦笑する。

 

「それで、どうだった?」

「どうって」

「服。どれが良かったかなって」

 

 甲乙付け難いが、どれが良かったかと言うと……

 

 

──Select──

  大胆系。

  清楚系。

 >カジュアル系。

──────

 

 

「カジュアル系、だな」

「ふーん。……一応聞いておくけど、センパイが好きなだけじゃないよね? 少し食い入るように見てたし」

 

 まあ、あの服装自体が自分の好み、ということも少なからずあるんだろうけれど。

 何より自分の意見より、佐伯先生の視点として考えるならば。

 

「先生の場合、服装より、その服を着て何をするかが重要になりそうだからな。例えば山に登ることを視野に入れた感じで行ければ、話も膨らむはずだし」

「……よく考えてくれてんだ、アリガト」

 

 ヒトミがお礼を言うことではないような気もするが、素直に受け取っておくことにする。

 自分も、しっかりと力になれていると良いんだが。

 

 前向きに努力をしようと励むマリエと、それを支えつつ窘めるヒトミを見て、自分ももっと強力したいと思えた。

 ──2人との縁が深まるのを感じる。

 

 

 

 

 ──遅くなったので、逆方向に帰っていく2人を見送り、自分も帰路に着いた。

 

 

 

──夜──

 

 

 昨日は読書をして過ごしたし、今晩は勉強をしようか。

 

 ……集中して取り組めた気がする。

 テストが近くなってきた。また頑張らなければ。

 

 

 




 

 知識  +2。
 優しさ +1。
 根気  +2。


──── 
 

 コミュ・悪魔“今時の後輩たち”のレベルが2に上がった。


────



選択肢回収
────
61-1-2
──Select──
  入る。
 >逃げる。
  問う。
─────


 逃げるが勝ち、だ。
 怪しいセールスに引っかかってはいけない。
 占いの館と書かれた店の前を走り去る。
 追っ手は来なかった。

→ベルベットルームコミュの進展難易度がヤバいことになります。


────
61-1-3
──Select──
  入る。
  逃げる。
 >問う。
─────

「何者だ」
「しがない占い師でございます。お客様は何やら途方もない運命に巻き込まれているご様子。少しばかり、未来を視ていきませんか」

 途方もない運命……?
 異界関係のことだろうか。
 しかしこの人の言い方、イゴールに近いものを感じるな。
 ……信用していいのだろうか。

→再選択肢。

────
61-2-1

──Select──
 >任せろ。
  何を?
  気が乗らないな。
──────

 何のことかは分からないが、頼られて悪い気はしない。

「わぁ、すっごーい。頼りになるぅ!」
「……」

 マリエはキラキラとした瞳を、ヒトミは真っ暗な瞳を向けてくる。こうも対照的な反応が返ってくるとは。

「さすがセンパイ。相談内容までお見通しですか」
「え、いや」
「へー、すごーい。ねー、マリエー、すごいねー」

 わいわいと騒ぐ女子高生2人。片方は言わずもがな棒読みである。
 どうしてこうなった。

→度胸+1。好感度メーター変化なし。マリエが上がってヒトミが下がるので、実質変化なしってことで。

────
61-2-3

──Select──
  任せろ。
  何を?
 >気が乗らないな。
──────

「ちょっとセンパイ……!」
「はぁ? じゃあもう帰っていいよ、おつかれーっす。行こっ、ヒトミ」
「え、ちょっ……待ってマリエ!」

 ちょっとした冗談のつもりだったが、まだそういうのが伝わる間柄になれていなかったらしい。
 …………どうしよう。


→ブロークンの悪夢。


────
61-3-1

──Select──
 >開ける。
  開けない。
──────

 開けるしかない……!

「待て」
「!」

 手首を掴まれた。
 ……すごい力だ!

「それはいくら何でも駄目だと思うんだけど?」
「お、おっしゃるとおりです」
「……次はないからね」

 ごみを見る目で見られた。
 いや、ずっと見られている。
 自分はこれから、ずっとこの視線を向けられるのか……
 ………………衝動で行動するのは止めよう。

→称号「スケベなセンパイ」を手に入れた! (そんなシステムはない)

────
61-4-1

──Select──
 >大胆系。
  清楚系。
  カジュアル系。
──────

「もちろん大胆系だ。胸元が緩く、背中は開いている。そして何より若くて張りのあるふともも! これが嫌いな男なんていない!」
「ですよね!」
「セ・ン・パ・イ?」
「すみませんでした」

→統計の話であって白野の好みではない。彼は興味はあっても行動に移さない紳士であるからして。興味はあるのだろうが。


────
61-4-2

──Select──
  大胆系。
 >清楚系。
  カジュアル系。
──────


 清楚系が良い。
 佐伯先生も、あまり派手なのは好まないだろう。

「なるほどぉ、だからあんなにアプローチを掛けてもダメだったんですねぇ。……ガツガツ行くのは逆効果なカンジ? でもでも、今は積極的に攻めないと……!」
「マリエ? ……はぁ。一応聞いておくけど、センパイが好きなだけじゃないよね? 少し食い入るように見てたし」
「…………もちろんだ」
「うそっぽい」

 いや、佐伯先生からの印象を考えたら、そうだと思ったというのが最優先だ。そこに誓って嘘はない。
 自分の好みが反映されてないかと言ったら、断言できないが。

「……まったく、仕方ないんだから」

→特に変化なし。実際の白野の好みを想像したところ、その個人に会うもので、かつギャップがあるもの、というイメージ。
 だからまあ、マリエに対しては清楚系かな、と。


 取り敢えずこんな感じですかね。
 なんでこんなイロモノ選択肢が多かったんだろう。
 まあいいか。


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