PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

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6月3日──【駅前広場】わたしが拳を振る理由

 

 

 

 

 

 

 休日の午後。駅の内部にある飲食店で、茶髪の帰国子女──柊 明日香と身体を向かい合わせて軽食を取っていた。現状、他には誰もおらず、2人きり。我がことながら珍しい組み合わせだと思う。

 勿論、理由もなく共に過ごしている訳ではない。

 

「ところで岸波君」

「なんだ、柊」

「どうして私たちだけ呼ばれたのかしらね」

「それは提案者に聞くべきことじゃないか?」

「良いじゃない。ただ単純に推理してみようというだけのこと。時間も余っているのだから」

 

 店内に飾られた時計を確認する。事前訂正された集合時間まで、少しの余裕があった。

 暇を持て余しているのも、共通の話題がないのも確かだ。乗るか。

 

「分かった。じゃあ少し考えてみる」

「折角だし、正答から外れていた方が罰ゲームというのはどうかしら」

「単純に推理するだけって言ったのに……!」

 

 了承した後に条件を出すのは卑怯だ。

 しかし、自分の確認不足と言われれば、悔し涙を呑んで受け入れるしかない。不平不満を言った所で覆らないだろう。涼しい顔をしてえげつないことを仕掛けてくることで──主に時坂単体に──有名な柊だ。こちらの言い分が通らないことなんて分かりきっている。

 だがしかし、勝機はこちらに舞い込んできていた。彼女との対決を避けるには、彼女の意識外にある手を打たなければならない。

 その1手が、こちらに駆け込んで来る姿が見える。

 

「あの、岸波先輩に柊先輩、ですよね」

「ああ。ところで郁島さん、なんで自分たちを呼んだんだ?」

「答えなくていいわよ郁島さん、今どっちが正解に近いものを出せるか勝負するところだから」

「は、はあ。えっと……分かりました」

 

 瞬殺されてしまった。

 間髪入れずに質問したというのに、即座に封じにかかるとは。流石柊だ。

 

 まあ思惑通りにいかなかったものの、待ち人はやって来た。

 郁島 空。高校1年生。空手部。玖州出身。時坂の兄妹弟子。真面目。努力家。そして、天才。自分が持っている彼女についての知識は、その程度しかない。

 ……ああ、もう1つあったか。

 

「「退院おめでとう、郁島さん」」

 

 退院直後。健康体、というやつだ。

 柊と声が被ったが、打ち合わせをしていた訳でもなんでもない。本当に偶然のことだったが、返って良かっただろう。それは彼女の嬉しそうな表情を見れば分かる。

 

「ありがとうございます! その……改めましてこんにちは。それと、お呼び立てしたのに遅れてしまってすみませんでした!」

「いいえ、気にすることはないわ。事前に連絡は貰っていたし」

「病院の手続きの都合なら仕方ないだろう」

 

 どうやら午前中に退院予定だったはずが、病院側の都合で少し時間が押してしまったとのこと。そのまま着替えを始めとする荷物を家に置いて軽く身支度を整えてから急行してくれたのだろう。確かに最初の約束よりは1時間ほど遅いが、訂正の連絡も相談も早く、責めるほどのことでもない。

 急いで来たと分かるのは、平然を装ってはいるものの肩が大きく上下しているから。うっすらと汗もかいている。病み上がりなのに逆に申し訳なかった。

 そういえば、郁島さんの普段着を見るのは初めてだ。空色……というよりはやや暗い碧色のシャツと、黒いジャケットにネクタイ。灰色のスカートを履いている。運動少女という印象だったのでスカートなのは意外だった。だが似合っている。

 しかし、その私服を褒めるのは自分の役目ではなく、時坂や彼女の友人──この場では同性の柊が言うべきことだろう。口には出さないでおく。

 

 

「ところで、勝負の件だけれど」

「……絶対にやらなくちゃ駄目か?」

「ええ」

 

 苦笑いをする郁島さんを尻目に、痛感した。

 柊さんって勝負事に全力を投入するタイプだ、と。

 

 

 

 

 

 まずは映画を見に行きましょう。

 郁島さんの提案で、最初の行き先は蓬莱町に決まった。なんでも事前にリサーチした結果、そこが安くて空いているらしい。

 自分、郁島さん、柊という順で座って見たのは、巷で話題になっているという、コメディとアクションのメリハリが効いた洋画。

 テンポの良さが退屈さを感じさせず、怒涛の展開が目を離させない。映画を見る機会はあまりなく、最後に見たのも病院のベッドでだったが、こういう大画面で見るのも良いものだと感じた。

 何より一緒に見る人がいる、というのは大きい。笑える部分は笑い、迫力のあるシーンは目を輝かせる。隣に座った郁島さんの感受性は豊かで、つられてこちらも数倍は愉しめただろう。自宅などのテレビでは味わえない魅力だ。

 

 

「すみません、はしゃいじゃって」

 

 視聴後、退館するまでの道中で、顔をやや赤らめつつ郁島さんは謝った。

 だが、そんなに気にすることでもないだろう。周りの迷惑となる程に騒いだとかなら話は別だが、全然そんなことはなかったし。

 

「……あの、正直に答えて欲しいんですけど、お2人とも、あまり面白くなかったですか?」

「楽しかったぞ」

「面白かったわよ」

「え、でも、柊先輩も岸波先輩も、表情を変えずにじっとモニターを見てたので」

 

 ……自分が郁島さんを見ていたように、郁島さんも自分たちを観察していたらしい。

 でもそうか、感情が表情に出てなかったか。良かったような悪かったような。

 

「そうね、私としては、派手なアクションに目を奪われたわ。仕事柄危険なことはしているけれど、ああいった日常の中で起こる事件はまた違うもの」

「アメリカに居た時はそういう事件なかったのか」

「ステイツをどんな風に捉えているかがよく分かる台詞ね。首都圏で銃の乱射事件程度なら起こるけれど、日常に映画のような大事件が溢れていたら、誰もこんな映画作らないでしょう」

「それもそうか」

 

 外国、と一口に言われても、あまり想像がつかない。日常として捉えているものが違う場所。そこはもう未知の領域──もはや別の世界だ。

 機会があれば、色々な人に話を聞いてみたいものだが。

 

「自分は主人公の名乗りが面白かったな。『おいおい知らないのか? オレの中等部でのあだ名は愛のヘラクレス。同じクラスで12股をかけていたのがバレても生きている伝説のプレイボーイさ』ってやつとか」

「え。あ、あれですか……?」

「ええ、思わず声をあげてしまいそうなくらい面白かったわね」

 

 柊は心底同意するように、郁島さんは心底不思議そうに、自分の感想へ反応する。

 面白かったとおもうんだけどなあ。

 まあ確かに12股って聞いていて気分よくないかもしれない。非常識だとは思う。特に郁島さんみたいな真面目な人にとっては、冗談だとしても笑えないのかも。

 ……そうだな、この話はここまでにしようか。

 

 

────>杜宮記念公園【杜のオープンカフェ】

 

 

「すみません、ほんとは昼食をご馳走するつもりだったんですけど」

「あら、気にしないで良いわよ?」

「ああ、これで十分すぎるくらいだ」

 

 そのまま移動し、公園で軽食をとることとなった。自分はチリホットドッグを、柊は濃厚メロンクレープを郁島さんに奢ってもらいつつ、3人で食べ歩きをする。

 

「それで、どうして私と岸波君だったのかしら。お礼というなら、私たちより時坂君にすべきだと思うわ」

「……その、実は、時坂先輩と久我山先輩は何度かお見舞いに来て頂いた時にお礼する機会があったんですけど、お2人はなかなかお会いできなかったので」

 

 お見舞いに来なかったと。

 まあ確かに、経過観察役を買って出たのがあの2人だったというのもあるが、正直ほとんど初対面の人のお見舞いは行きづらかったというのもある。正直任せっきりだった。

 時坂はともかくとして、璃音はすごい行動力だろう。時坂が行けなかった日は比較的よく訪れていたらしい。彼女も自分と同じく事件前に面識はないはず。その積極性は見習いたいところだ。

 

「律儀なのね、郁島さん」

「いえ、そんな……当然のことをしているだけです! その節では、大変な迷惑を掛けてしまったので」

「迷惑だなんてことはない。寧ろ、救出が遅くなってすまなかった」

「一応、目標としたラインは割らなかったけれど、遅れたのは事実。つらい思いをさせてしまって、本当にごめんなさい。私たちももっと精進しないといけないわね」

 

 期限を6月の7日、目標を5月中と決めた異界攻略。今の自分たちからすれば、結構なペースで探索を進められたと思う。しかし勿論、早ければ早いほどいい。自分たちにもっと実力があれば、可能だったはずなのだ。

 頑張ろう。次こそは無事に助けられるように。入院なんてさせられないくらい、颯爽と。

 

「あの、その件でお2人に相談があるんですが」

「なんだ?」

「わたしも、仲間に入れてもらえないでしょうか!」

 

 お願いします、と頭を下げる郁島さん。見惚れるほどきれいなお辞儀だ。

 対する柊は少し怖い表情をしている。

 

「言っている言葉の意味が分かっているのね?」

「はい。相沢先輩のとわたし自身のとで異界に2度関わりました。正直怖かったですけど……でも、また周りの人が巻き込まれるなら、力になりたい、と思ったんです!」

「死ぬかも、しれないわよ」

「……ッ。死にません。死ねません。この拳に乗せる想いを見失ってる今のわたしですが、より良い未来に向けて拳を振りたいと思ってます」

「郁島さん……」

「それに決めたんです、わたし。夢を見つけるまで何も諦めないって!」

「……」

 

 決死の覚悟ではなく、生き残る覚悟。声には、強い決意が込められている。

 それが分かっているのか、柊も即決で断ることはせず、しかと最後まで聞き届けた。その上で、彼女は口を開く。

 

「時坂君にこのことは?」

「話しました」

「何て?」

「『白野と柊に聞いてくれ』って。久我山先輩も同じように」

 

 ……柊は異界経験者だから分かるが、なぜ自分にも?

 

「どうかしら、岸波君。実際に指揮をする人間として」

 

 ……ああ、だから意見を求められているのか。

 実力的には、申し分ない。性格的にも、途中で投げ出すような少女でないことは知っている。ただ常識として、彼女をこんな危険なことに巻き込んで良いのか、という疑問は当然ある。

 

「……」

 

 でも、彼女の決意は本物だ。似た決意をした自分だから分かる。そこに差なんてものはない。だったら、自分が拒否する理由なんてないだろう。

 

「自分は賛成だ。決意も覚悟も分かった。決して知らないから言っているんじゃない。経験して、悩んで、決めたんだろう?」

「はい!」

「なら、自分に言えることはない。そういう柊はどうなんだ?」

 

 問い返しに、数秒黙り込む柊。

 郁島さんが不安そうに答えを待つが、彼女が返したのは呆れたような溜息だった。

 

「まあ、今更1人も2人も変わらないわね。少なくとも時坂君や久我山さんよりは戦力として期待できそうだし」

「ご、ご期待に添えられるよう頑張ります!」

「……」

 

 戦力増強、というのは大きな課題だ。勿論、郁島さんという大きな助力を得たからといって気は抜けない。また合わせる練習をしなければならないし、自分たちもレベルアップしていかなければ。

 

「……?」

 

 唐突に、ズボンのポケットにしまってあったサイフォンが振動した。

 ディスプレイには、久我山 璃音という表示が。

 

「そろそろか」

「……? 何か?」

「ああ、移動を再開しよう」

 

 実際、郁島さんの提案は渡りに船だった。色々と策を講じていたものの、完璧というには程遠かったし。

 

「え、いったい何処に」

「レンガ小路だ」

「「……?」」

 

 

 

────>レンガ小路【壱七珈琲店】。

 

 

「ここは……」

「柊の下宿先なんだってな」

「え、そうなんですか!?」

「ええ、けれど、どうして知って……」

「転校してくる前に、客として訪れたら働いていたし。この前、聞き込みしている時にマスターに話を聞いたから」

「……焦ったわ。本当になんで知ってるのかと思った。そう、ヤマオカさんが……」

 

 日も沈み、暗闇が上空を覆うなか、店の前へとたどり着く。

 

「……あれ?」

 

 郁島さんが、何かに気付いた。

 

「先輩方、看板……」

 

 躊躇いがちに指された指の先には、『閉店中(CLOSED)』の文字。

 

「おかしいわね。朝、確かにひっくり返したはずなのだけれど」

「まあまあ、取り敢えず入ろう」

「え、良いんですか!?」

「ああ、大丈夫なはずだ」

 

 怪訝そうに首を傾げる柊を取り敢えず宥め、入店を促す。

 流石に郁島さんは入りづらそうだ。

 一応、柊は看板を表にしてから店の扉を開いた。

 ……まあ、入った後に戻すんだけど。

 

 

 

 

 

「「「誕生日、おめでとう!!」」」

 

 

 

 

 

 パンッパンッパンッと楽し気な音たちが、店に入った柊を出迎える。

 今日一日持参していたクラッカーを彼女の背後から鳴らし、祝いの言葉を掛けた。

 なお、クラッカーを構えているのは自分と璃音、時坂、ヤマオカさんの4人。ヤマオカさんには場所を貸し切らせてもらうのと準備とで、だいぶ無茶を言ってしまった。今度みんなでお礼をしないとな。

 

「…………」

 

 柊が呆然と立ち尽くす。

 その様子を見て璃音が、サプライズ成功! とハイタッチを求めてきた。

 手と手がぶつかり、乾いた音が響く。

 

 しかしかなり冷や汗ものだったが、なんとかなったか。

 元々計画自体はあったのだが、このタイミングでやる予定ではなかった。ただ、今日までずるずると来てしまったことと、突如郁島さんから、柊と自分宛に連絡が来たことで突貫で始動。時坂と璃音で準備をするから、どうにか夕方まで時間を稼ぐようにお願いされていた。

 ここまで驚いてくれるなら、頑張って黙っていた甲斐があったというもの。正直彼女の勘の鋭さは油断ならないもので、いつボロを出して見破られるかとドキドキした。結果としてバレなかったのは、郁島さんの計画が夕方まで組まれていたこともあり、自分から無理なアプローチをせずに済んだことも大きい。

 

「ほらアスカ、いつまでボケてんの。主役なんだし、こっちこっち」

「ソラもハクノも、こっちに来いよ」

「ああ、今行く。……ほら、郁島さんも」

「あ、はい!」

 

 柊を対面真ん中の席に置き、その両脇に璃音と時坂。璃音の正面には自分が、時坂の正面には郁島さんが座った。机は四角いものを2つくっつけて並ばせている。広々、という程ではないにしろ、食事と会話には一切困らないほどの範囲は確保できていた。

 

「柊先輩、今日誕生日だったんですね」

「ううん、アスカの誕生日は5月の18日。ほんとはそこでパーティをやるつもりだったんだけど、色々重なっちゃって今になったんだ。せっかくだし、ソラの退院祝いと合わせてやっちゃおうって」

「……だからって、サプライズにすることないでしょう」

「あ、漸く復活した。まあ、その方が面白くてよかったでしょ? あんなボケっとした顔のアスカ、初めて見た」

「……忘れて」

「 ム リ 」

 

 良い笑顔で断る璃音。

 悔しそうに、少し頬を赤らめながらも目を逸らす柊。

 それを面白そう見つめる郁島さんと、その3人を微笑ましく見守る時坂。

 全員楽しそうで何よりだ。

 

 

 

 

 その後、ケーキを始めとした料理が運ばれてくる。ヤマオカさん、時坂、璃音の共同料理らしい。もっとも仕事比率は7:2:1だとか。璃音が申告するにはトッピング部分において十二分な活躍をしたらしいが、はたして。

 ともあれその力作を頬張りつつ、他愛無い会話を続ける。

 お互いがお互いを知るために。

 よりすべてを任せあい、守り合うために。

 

「……なあ、ハクノ」

「? なんだ、時坂」

「いや、なんだ……?」

「こちらこそなんだ?」

「その、呼び方。こっちだけ名前で呼ぶの、割とハズいんだが」

「……」

 

 それは確かに、申し訳なかったかもしれない。

 そういえばあれ以来、時坂はずっと自分のことを、ハクノと呼んでくれていた。

 

「ああ、すまなかった、“洸”。改めてよろしく」

「……おう」

 

 そんな会話で男子間の友情を深めたり。

 

「じゃあわたしも、ソラで良いですよ! いつまでも苗字にさん付けじゃ呼びづらいでしょうし」

「それじゃあ遠慮なく“空”って呼ばせてもらう。自分の……いや、自分たちのことは好きに呼んでくれ」

「では、アスカ先輩、リオン先輩、岸波先輩って呼ばせてもらいますね」

「……岸波君だけ苗字なのね」

「オトコノコ相手だからじゃない?」

「まあ、いきなり下の名前で呼び合う男女なんて、噂の格好の的だものね」

「……え、なんでこっち向くのアスカ。……あ、いや、そっち向けば良いんじゃなくて。……ってだからこっちでもないって! 分かった。分かったから!」

 

 なんか璃音が顔を真っ赤にして暴れていた。酔ってでもいるのか?

 まあ何にせよ、全員の距離が縮まっていくのが分かる。

 

 

 

 

「そうだ、写真撮ろう、写真!」

「わあ、良いですね! 是非撮りましょうよ、アスカ先輩!」

「……仕方ないわね。ほら、並ぶわよ。女子3人が前、男子が後ろで良いかしら」

「構わないぞ」

「ああ。……ヤマオカさんすみません、シャッター頼んでも良いっすか」

「このくらいお安い御用です。……それでは行きますよ。はい、チーズ」

 

 

 

 




 

コミュ・愚者“諦めを跳ね退けし者たち”のレベルが3に上がった。


────


 これにて3章終了。思ったより時間が掛かってしまいました。
 次回からはインターバル。コミュとバイトの期間ですね。
 今年中に6月分を駆け抜けたいが、まあ無理そうです。ゆっくりやります。



 おまけ。

「どちらも正解じゃなかったわね」
「? 何がですか?」
「私と岸波君が呼び出された理由を2人で推理してたのだけれど、的外れだったから」
「ああ……そういえばやっていましたね」
「というか、謝れていなかったな。1度もお見舞いに行けず、すまなかった」
「……私からも、ごめんなさい」
「い、いえいえ、こちらこそ、そんなつもりはなかったんですけど、すみません」
「空が謝ることはないだろう」
「ええ、その通りよ。……そうね、罰ゲームは郁島さんに償うというものにしましょうか」
「なんでも1つお願いを聞く、とか?」
「えっ」
「そうしましょうか。郁島さん、なんでも言って頂戴」
「ええ……そんなこと、急に言われても……」
「叶えられる範囲で頼む」
「あとはそうね、人を害するものだけは受け入れられないから、そのつもりでいて頂戴」
「ど、どうしてもですか?」
「ああ」「ええ」
「うう……分かりました! ただし、嫌だと思ったら絶対拒否して下さいね!」


「……ところで、お2人はどうして呼び出されたと思ったんですか?」
「岸波君の答えは、”時坂君の素行調査“だったわよね」
「柊の答えは、”果たし状のようなもの”だったな」
「お2人はわたしのことなんだと思ってるんですか?」


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