PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

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 閲覧ありがとうございます。
 PCが壊れた関係で、更新を止めてしまい申し訳ございません。
 ちょっとプロットも全消去されましたが、メインストーリーだけは大筋の立て直しが完了したため、後は手探りで進めていきます。
 本年もよろしくお願いいたします。

 ※かなり時間が空いてますし、なかなかの長期連載になってきたので、その話で進めるコミュのあらすじを導入してみます。


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 前回までの節制コミュのあらすじ。

 旅をして得た思い出を歌にするミュージシャンのオサムは、岸波白野との思い出も歌に含めようとする。しかし、うまいことフレーズが出てこないまま、時間だけが過ぎていった。



10月14日──【マイルーム】路上ミュージシャンの歌 2

 

 やや遅くに目が覚めた、日曜日のこと。予定を決めておかなかったけれど、今はテスト前。より多く勉強をしておいて損はないだろう。

 せっかくなので勉強会でもどうかと思い、手当たり次第に2年生たちへ声を掛けてみる。

 一番最初に反応があったのは、小日向だった。

 

 

『今、ちょうど僕らも集まって勉強してるんだ。メンバーはリョウタとシオリちゃん。コウも呼んでるんだけど、そっちはバイトが終わり次第だって』

『なるほど。参加しても良いのか?』

『大歓迎だってさ』

 

 そこまで言ってくれるのであれば。と参加の旨を送る。

 どうやら彼らは杜宮記念公園の【杜のオープンカフェ】で勉強をしているらしい。とても近所だった。なんならベランダから覗き込めば見えるかもしれない程度には近場。

 同じマンションに住んでいる小日向も分かったうえで呼んでくれているのだろう。『すぐに来る?』と聞いて来た。

 『準備してから行く、15分くらい』とだけ返答。サイフォンをベッド脇に置いて、着替えを始める。

 教科は……近いし荷物が増えても問題ないから、全教科持っていこう。

 

 そんなこんなで向かった勉強会は、始まって3時間後に洸が合流し、その後もまた2時間と少し続いた。

 おかげで結構捗った気がする。

 合間合間の休憩でそれぞれとも仲良くなれたし、小日向にも倉敷さんにも、より深く踏み込めるようになったと思う。 

 

 夕飯を共に食べた後、大人しく解散した。

 

 

──夜──

 

 

────>【駅前広場】。

 

 

 そういえば最近彼の歌を聞いていない。

 そう思い、駅前広場へと足を運んだ。

 連絡を取れないのは厄介だった。実際に現地を訪れなければ、彼に会えるかどうか分からないのだから。

 しかし、自分の耳が聞き覚えのある声と朗らかな音色を捉えることに成功し、その心配が杞憂だったことを理解する。

 音を頼りに歩いていけば、人通りの最も多い通路から少し外れたところに、彼――ミュージシャンのオサムさんは笑顔で立っていた。

 

「……ふう、おおきに!」

 

 今日も快活な声で周囲へお礼の言葉を伝える彼の姿に、元気をもらう。

 とはいえ、足を止めて彼の歌を聞いていく人はいない。待ち人が来ず手持ち無沙汰そうな人が数人、サイフォンを弄りながら耳を傾けているくらいだ。

 だけれども、彼にへこたれる様子はない。さてさて次は~と、曲の選択らしきことを始める。

 

 誰も集中しては聞いていないようなので、遠慮なく最前列へ向かう。

 ある程度近づくと、彼の目が自分の姿を捉えたらしい。目が合う。一瞬目を丸くした彼はニコッと笑い、しかししゃべりかけてくることなく、次の曲を奏で始めた。

 

 久方ぶりにしっかり聞く彼の歌に、胸が温かくなる。

 1曲、そしてまた1曲と彼は続けて歌い続けた。

 そして、3曲目が始まる。

 やはりこの曲も聞いていて心地いい。と思っていた。

 しかしながら、聞いていくにつれて、喉に小骨が刺さったような違和感が生まれた。

 その正体が何なのかを、考えてみる。

 ……聞いている感じ、歌声などは普段と差異がない。

 いやそもそも、そんなに聞き分けられるほど、音楽に造詣が深いわけではない。正直璃音と関わり始めてから曲を聞き始めたので、半年ほどといったところ。それも色々な曲を聞いている訳ではなく、主に彼女が所属するSPiKAの曲をすべて聞いたくらいだ。

 だから違和感があっても口に出せない。

 

「~~! ……ふぅ、おおきに!」

 

 挙げた手を振る彼。

 それに拍手を返す。

 結局、違和感の正体はわからなかった。

 3曲を奏で終え、オサムさんはこちらへ歩いてくる。

 ……少し話してみれば、何か分かるだろうか。

 

「今日もおおきに。すっかりオレのファンやな」

「そうですね。毎回応援してます」

「……ほんまにありがとうな」

 

 どこか、しみじみとした口調で自分に感謝の言葉を伝えてくれるオサムさん。

 やはり何か違和感あるな。

 

「どうかしたんですか」

「……とりあえず、また敬語になっとる」

「あ」

 

 忘れていた。そういえば何回も敬語はいいと言われていたのだ。

 どうしても年上と話している意識が強く、敬語抜くのを忘れてしまう。

 

「すまない。気を付ける」

「……まあ、それもキミらしさ、なのかもな。別に無理せんでええで」

「そうしてもらえると」

「それにせっかくやし、自然体で話してほしいからな」

 

 

──Select──

  しくよろってことで!

  これからもよろしく。

 >よろしくお願いいたします。

──────

 

 

「いやめっちゃ距離離れてるやん!」

 

 ケラケラと笑う彼。

 良かった、楽しそうだ。

 

「……まあ冗談抜きで、残り少ない時間やしな」

「……オサムさん?」

 

 残り少ない時間とは、いったい。

 

「実はな、ぼちぼち次のところへ行こかと思うとんねん」

「!!」

 

 元々、全国を旅して歌っている彼がこの地を去ることに、不思議はない。

 しかしながら、もうその日が近いなると急に寂寥感が込み上げてくる。

 

「……いったい、いつ頃?」

「せやなあ……せっかくやし、キミの進級に合わせて3月末にしようか」

「自分に合わせて良いんですか?」

「何言うとんねん。東亰で唯一のファン兼友達のキミに合わせるのは当然やろ」

 

 ……そうか。

 自分との縁を大事にしてくれていることが分かって、何とも言えない嬉しさがある。

 寂しさは打ち消せないけれども。

 

「でな、さっきの歌が東亰での日々を歌った歌やねん」

「! ……もしかしてさっきの、3曲目ですか?」

「お、分かってくれたんか」

 

 ……分かったというか、感じるものがあったというか。

 何か、さっきの違和感を確かめることはできないだろうか。

 

 

──Select──

 >歌詞を尋ねる。

  どんな気持ちで歌ったか聞く。

  率直に変えたところがあるか聞く。

──────

 

 

「歌詞? ……せやなぁ、纏めたノートならあんで」

「それは借りても?」

「ええけど……なんか恥ずかしいな」

 

 後ろのギターケースからノートを取り出した彼は、若干頬を赤らめながら自分へ手渡してくれた。

 さすがに目の前では開けられないな。

 しっかりとそれを受け取り、今度必ず目を通そうと決める。

 

「……今日はここまでにしとくか」

「え、もうですか?」

「ああ。キミに曲も聞いてもらえたしな」

 

 そう言って、ギターをしまうオサムさん。

 どうやら本当に今日はここまでらしい。

 いつもは自分が帰っても続けているんだが……まあそういう日もあるか。

 取り合えず、オサムさんとの仲も深まった気がするし、今日は自分も帰ろう。

 

 




 

 コミュ・節制“路上ミュージシャン”のレベルが5に上がった。 
 

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 知識  +2。


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 慣れない環境で執筆しているので、誤字脱字等が多いかもしれません。
 見つけた場合は、ご報告頂けるとありがたく思います。




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