PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

18 / 213

 さて、この間章(インターバル)についてですが、本来ならコミュ回として機能するものです。次章以降のことですね。
 今のところまだ愚者(足場)コミュも魔術師(始まり)コミュも目覚めていないので、キャラ紹介目的やコミュ発生暗示的なものを流してきました。
 でも、いまこれ以上続けても冗長な気がするので、次話からメインストーリー進めます。次話から。



4月21日──【杜宮高校】バイトの選び方(序:生徒会長編)

 

 

 ……気がついたら、朝だった。そもそもどうやって帰ったのかすら分からない。

 …………そういう日もあるだろう。

 

 ………………学校に行こうか。

 

 

 

────

 

 ──>杜宮高校【校門前】。

 

 話し声が聞こえる。

 

「土曜日も授業あるのって結構つらくね?」

「だな。受けた時には覚悟してたけど、これが3年続くと思うと流石に……」

「午前だけとはいえ、隔週だから辛いよな……」

 

 新入生だと思われる二人の男子生徒だ。どうやら土曜日登校について話しているらしい。

 “隔週登校”か。予定を組むときには気を付けないと。

 

「隔週だとバイトの日程も組みづらいだろうなぁ」

「ん? お前バイトしてんの?」

「いいや、これから応募するつもり。何か良いバイト知らね?」

「知らねえ。そういうのは先輩とかに聞いてみろよ」

 

 バイト。バイトか……探さないとな。

 今日の午後はそれに時間を費やすか。

 

 

 

────

 

 ──>杜宮高校【生徒会室】。

 

 扉をノックする。

 

「どうぞ」

「失礼します」

 

 思い立ったが吉日。ではないけれども、取り敢えず相談相手として、美月を選んでみた。

 サイフォンで連絡してみると、生徒会活動が始まるまでなら時間を取れるとのことなので、放課後に生徒会室へ足を運んだのである。

 

「さて、バイトについて相談がある、とのことでしたが」

「ああ、探し方や選ぶ基準などを何か知っていたら教えて欲しい」

「……そうですね。頼っていただけたのは嬉しいのですけど、私自身、他所でアルバイトはしたことがないんです。又聞きのもので宜しければ、お話しできますが」

「それで頼む」

 

 相談相手に選んでおいて何だが、確かにそういった経験は少なそうだ。

 とはいえ他に頼れそうな人も居ない。気軽に連絡ができる人なんて、美月と玖我山くらいのものだし。

 ちなみに玖我山はそういうことに疎そうな業界にいるから、相談相手には向かないと判断した。

 

「やはり情報誌などを広げて探している姿は見ますね。あとは飲食店などなら実際に赴いてみて、雰囲気を確かめておくと良いみたいです。思ったのと違った、という感想もよく聞きますし」

「ふむ」

「基準でよく耳にするのは職種と時給でしょうか。あとは定期シフトかどうか。場所は何処か。雰囲気は朗らかか。他にも少数意見ですけど、得られるものを気にする人も見ますね」

 

 得られるもの。

 バイトを通じて、何が培えるものがあると良い。ただバイトするよりは余程有意義だろう。

 

「自分が何を得たいかで選んだ方が良いのか?」

「どうでしょう。岸波くんは、どうしてバイトをしようと?」

「自由に使える金銭が欲しかったことと、あまり頼りきるのも気が引けるから」

「気にしなくても良い……と言っても気にしますよね。でしたらまずは、高額時給から探してみたらどうですか?」

「そう、だな」

 

 目的を見失ってはいけない。得たいものを得る前に、十分な土台を築かなければ。

 金銭に余裕が出来てから、そういったものを探すべきだろう。

 

「ありがとう、指針が決まってきた」

「そうですか、お力になれてよかったです。また何かあったら気軽に相談してください」

「ああ、じゃあまた。仕事頑張って」

「はい、岸波くんも、バイトだけじゃなく勉強なども頑張ってください」

「……善処します」

頑張ってください(わかっていますね?)

「イエス、マム。精一杯の努力を見せる」

「ふふっ、では、成果を楽しみに待つとしましょう」

 

────

 

 ──>杜宮駅【駅ビル】。

 

 怖かった。何がとは口が割けても言えないが、ただ怖かった。

 あそこまで笑顔に迫力を乗せられる人が居るだろうか。いや、居ない。居てほしくない。

 

 駅ビルに来たのは、無料の求人雑誌を確保する為である。どこに行けばあるか分からなかったが、人の多い場所に行けば有るだろうと当たりをつけ、ふらふらとさ迷っていた。

 考えてみれば、杜宮駅内部へと入るのは初めてである。引っ越して来た時はタクシーだったから。

 早く色々な場所に行ってみたいが、はたしていつになることだろうか。

 

「……あ」

 

 発見した。改札の横、ぽっかり空いたスペースの所に。

 一冊手に取る。

 杜宮・國分寺エリアと書かれたその雑誌には、多くの求人情報が乗っていた。

 帰って読むとしよう。

 

 

 目的は果たしたし、帰ろうか。

 そう思い、歩こうとする。

 やはり時間帯が時間帯、学生が多く見られた。杜宮高校の制服を着ている人ももちろん居る。帰宅部か活動休息日の人か、あるいは新入生かどうかも分からないが。

 この中の一部は、バイトに行く途中だったりするのだろうか。

 

 ……杜宮高校のバイト学生で思い出した、時坂という知り合いがいる。

 

 アルバイトを、しかも複数掛け持っていそうな人間。カフェと本屋で働いていたし、少なくともどちらかはアルバイトとして採用されているはずだ。

 なら、何か紹介してもらえるように頼めないか。

 

 ……いや、難しいな。

 紹介すると言っても、あまりよく知らない人間のことをバイト先に進めることはできないはずだ。もう少し仲が良ければ或いは、と言ったところだろう。

 とはいえ、経験談などを聞いておくことが出来れば、それは貴重な判断材料となるかもしれない。

 こうなると、連絡先を知らないことが痛い。

 今度、話をする機会があれば積極的に行こう。

 

 






 時たま主人公の思考に上がる時坂くん。さすが原作主人公、話したのは一回のくせに記憶に色濃く残っています。
 まあ白野が初めて話した同年代男子が時坂氏だったという背景もあるんですがね。

 さて、次から第2話。原作では4月27日辺りからでしたが……さて。
 原作と時期がずれ始めてますが、気にしない。異界踏破期限みたいなものもあるし、あのペースで行ったら色々と主人公がヤバイ。そもそも原作は3ヶ月に詰め込みすぎたんや……うん、濃すぎるよな。
 ゆっくり行きたい。
 ゆっくり行きたいのにシナリオ進行が早まっているのはなぜか。
 知らぬ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。