PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

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 今更ながらにオリキャラ注意報。
 ベルベットルームのキャラはオリジナルにするしかないし、仕方ない気がする、うん。告知が遅れたことは本当に申し訳ないです。

 ストーリー上でメインに関わるオリキャラは、多分居てももう1体くらいかな。クロスオーバーだと何処までをオリジナルと定義するかがわからなくてもう……






インターバル 1
4月20日──【ベルベットルーム】住人


 

 

「ようこそ、ベルベットルームへ」

 

 目が覚めた……訳ではないみたいだ。

 周囲を見渡す。

 見覚えのある不思議な空間。濃い蒼で統一された部屋──ベルベットルーム。

 歓迎の言葉を口にしつつ、目の前で操舵席に座る老人はイゴール。ベルベットルームの主を名乗る男性だ。

 そしてその隣にいる女性は……誰だ?

 

「前回は紹介が出来ずに済みませんでしたな。この者の名はアメーリア。彼女も、お客人の今旅の供を勤めさせて頂く、この部屋の住人でございます」

「アメーリアです、以後、よしなに」

 

 蒼い服に銀色の髪。艦長のような帽子を被る彼女は、浮世離れした美人という表現が似合う女性だった。

 アメーリア。旅の供という紹介だが……そもそも、旅とは?

 

「今後進んでいく道。将来への旅路でございます。契約を果たされたお客人に付き添い、時に手助けさせて頂くのが、私どもの勤め」

「見事力を覚醒させたご主人様には、こちらを」

 

 アメーリアが差し出した手には、鍵のようなものが乗せられている。

 ──……って、ご主人様ぁ!?

 

「? 何か不都合がお有りで?」

 

 ──いや、無いが。無いが……!

 

「無いのでしたら、構いませんね?」

 

 ──……はい。

 ご主人様と呼ばれているものの、まったく敬われている気配がない。そもそも何故ご主人様なのか。イゴールのようにお客人とかでは駄目なのか。

 駄目なのか、そうか。

 

「フフ……それは、契約者の鍵。今この時より、あなた様はこのベルベットルームの正式な客人となりました。今後、あなたがこの部屋を訪れたいときはそれを使われるとよろしいでしょう」

 

 そもそも何処からここに来るのだろうか。

 

「では、初回は私が町でお待ちしております」

 

 ──どこで?

 

「お探しください」

 

 ──……はい。

 

「さて、では私から本日お呼び立てした本題の、要点をお伝えします。ご主人様のペルソナ能力についてです」

 

 ペルソナ能力。タマモのことか。

 

「部分肯定します。正確には、その根元。ペルソナ能力の特性……とでも言えばよいでしょうか。ご主人様の能力は、“ワイルド”。特別、特異、他者とは一線を画したもの。無限の可能性を持ちつつ、埋もれやすい才です」

 

 ワイルド、自分の才能。

 無限の可能性と言われてもピンと来ないが、まだ定まってないという意味では、理解できる所もある。

 

「ペルソナ能力は心を御する力。その力は誰かとの縁によって築かれていくもの。その力の行く末を見届け、記録していくのが私の役割です」

 

 その力は、付けていくとどうなるのだろう。

 

「いつか、分かる時が来るはずです。今説明しても、納得しきれないかと」

 

 ──……そういうものか。

 

「そういうものです」

 

 なら仕方ない、取り敢えずは納得しておこう。

 その時を楽しみにするしかない。

 

「ええ、お楽しみに」

「それでは、今宵はこれまでにしておきましょう」

 

 イゴールの言葉に引きずられるように、身体が謎の浮遊感に誘われる。

 

「またお会いする時まで、ご機嫌よう」

「また会う日を楽しみにしています、ご主人様」

 

 

────

 

 目が覚めた。

 今度こそはっきりと、現実の朝だと断言できる。

 カレンダーを見た。今日はもう金曜日。早いものだ。

 

 1日検査入院し、退院。

 そもそもあの一件があったのが月曜の夜。最初に目を醒ましたのが翌日火曜日の夕方で、美月たちから説明を聞いたのが水曜。木曜が退院なので、編入初週だというのに全然学校に行けていなかった。

 

 ここまでくると、今日が編入初日でもいい気がする。

 だいたいあの日は質問攻めにあって終わったし。編入生だというのに、自分のこと以外しか尋ねられなかったことだけ残念だが。

 

 ……少しだけでも、今日を良い日にしたい。

 積極的に他人へ絡んでいこう。

 

 

 

────

 

 

 とか、思っていたんだが。

 

 

「ヤッホー、岸波クン!」

 

 教室で掛けられた出迎えの一言が、自分にキツい視線を集めた。

 おかしい、どうしてこうなる。

 

「退院、おめでと!」

「ああ、ありがとう……ございます」

「なんで敬語?」

「周囲の圧力がな……」

 

 無言で睨み付けるの止めていただきたい。切に。

 

「玖我山も元気そうだな」

「うん、お陰さまで!」

「そうか、それは良かった」

 

 強くなる圧力は良いことではないが。

 とはいえ、攻撃的な視線はそう多くないはず。先日の弁明あっての効果かもしれない。どちらかといえば、含まれる主成分はやはり好奇心だろう。よく分からないが月曜日以来来なかった編入生とアイドル、その関係性が知りたいとか、そんな感じじゃないだろうか。

 だが、期待されるようなことは一切ない。ただ死線を潜り抜けた仲間というだけのことだ。……ただという副詞が装飾できる言葉じゃないな、死線を潜り抜けるって。

 

 今後、仲間として行動するならば、玖我山と仲が良いことは周知にしておいた方が面倒がないかもしれない。その前に刺されなければ良いが。

 その辺りの上手な付き合い方は彼女の方がわかっているだろう。訳を話して、任せてしまいたい。

 今は取り敢えず……逃げようか。うん。 

 





 という訳で、ベルベットルームのキャラ名はアメーリアになりました。
 本来ならアメリアにするところだけど、伸ばした方がらしいからいっか。と。多目に見てください。


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