閲覧ありがとうございます。
いつも誤字脱字の報告を頂きまして、ありがとうございます。
作品に関する愚痴は出来るだけ避けてますが、1つだけ。
自分が書いているのは果たして九重先生なのか、トワ会長なのか、トワ教官なのか……ふと気づくと違和感が酷いんですよね。
どこか九重先生としての違和感があれば教えてください。
どうやら、同じ生徒の立場のみんなからは情報が得られないみたいだ。もしかしたら、流行の年代層が異なっているのかもしれない。
ということで、今回は先生たちに聞き込んでいくことにしよう。
────>杜宮高校【職員室前】。
「そうですか……失礼しました」
思った情報を得ることはできなかった。
最初に特別棟一階のマトウ先生、本校舎3階にいたシオカワ教頭、屋上にいたサキ先生、保健室前で出会ったタナベ先生に、保険医のケイコ先生。5人の大人に確認したけれど、全然心当たりはないらしい。
そもそも流行を聞いてみたは良いのだけれど、タナベ先生やマトウ先生は自分の好きなことを語ってくれて、シオカワ教頭はそんなことよりすることがあるだろうと怒り、サキ先生とケイコ先生は首を傾げていた。
……これからどうしようか。
他に関わり合いのある先生といえば……あ。
「九重先生!」
「! ……あ、っとと、き、岸波君」
小柄な女性が角を曲がってくるのが見えて、駆け寄る。
眼鏡を掛けて、書類をたくさん抱えた茶髪──九重 永遠先生が、驚いたようにこちらを向いた。その拍子に手に持っていたものが崩れかけたけれど、彼女はすんでのところで止めた。
彼女の手に再び収まった書類を見て、2人でほっと息を吐く。
その後、彼女は照れたように笑った。
「えへへ、ごめんね」
「いえ、自分は何も」
「……えっと、それでどうしたのかな?」
「あ、えっとですね」
聞きたいのは、今彼女の周囲で流行っていることだ。
それを尋ねてみると、九重先生は困ったように眉を寄せる。
「うーん……ごめんね。それはちょっと力になれないかも……」
「そうですか……」
「特に最近話題が偏っているとかもないし、みんなまばらな方向に興味が向いているのかも」
「……何か他に、気になることとかってありますか? 以前と比べて、ここが違うっていうのとか」
「うーん……気になった、っていうベクトルは違うかもだけど、朝、サイフォンを見ながら登校してくる生徒が増えたかも。最近職員室でも話題になってたから。岸波君も気を付けてね」
「……はい」
朝か。明日から少し意識して見てみようか。
「あ、そうだ。話は変わるけれど、岸波君。今日って時間あるかな?」
「? はい、大丈夫ですけれども」
「じゃあこの前の続き、しない?」
「続きというと……」
……プログラミングの特別授業のこと、だろうか。
だとしたら、願ってもない申し出だ。
「是非、よろしくお願いします」
「うん。じゃあ、先に教室へ行っててもらえるかな? わたしも準備したらすぐに行くから!」
「はい」
……視聴覚室へ行こう。
────>杜宮高校【視聴覚室】。
前回の反省を活かし、あらかじめパソコンは立ちあげておくことにした。
そして、先生が来るまでの間に準備が完了したので、復習がてらに前回貰った資料をぱらぱらと捲っていく。
中盤以降は、自分の力で読み進めることはできない。理由は、圧倒的な経験不足。それは今後の彼女との授業で埋めていくとして、後必要になりそうなのは、“知識”くらいだろうか。 ……とはいえ、自分も伊達に“秀才級”と呼ばれているわけではない。このくらいであれば、コツさえつかめば何とかできる、はず。
まあやってみないことには変わりないのだけれど。
……それにしても、遅いな。
彼女の来訪を待って、もうすぐ15分が経つ。
もしかしなくても、忙しかったのではないだろうか。
もしそうであるならば、彼女の好意を無碍にする形になってでも、断るべきだろう。そう思い、席を立とうとしたところで、廊下からパタパタと音が聴こえてきた。
「ごめん! 待ったよね、本当にごめんね!」
視聴覚室の扉が開かれ、息を若干切らせた
「ごめんなさい、走ってまで来てくれて」
「うっ……ううん、申し訳ないんだけど、早歩きだよ? 流石に先生が校舎を走っちゃうと、ね?」
困ったように微笑む先生。
確かに、注意し、諫める立場の彼女が、自ら進んで規律を破ることもないか。
「もうちょっと足が長ければ、もっと早く着いたんだけどなぁ」
──Select──
>気にしていたんですか?
もう大丈夫なんですか?
何かあったんですか?
──────
「それは……少し、少しだけ、ね! こういう時に、ちょっと羨ましく思ったりもするくらいかな。いつもはそこまでじゃないんだよ? ほんとだよ!?」
「そうですか」
「……むぅ。絶対信じてないよね?」
「まさか」
「微笑ましいものを見る目をしてる」
「……まさか」
サイフォンのカメラをインサイドモードに切り替える。
……いつも通りの顔だ。
「いつも通りでした」
「自分の顔を見たからじゃないかな?」
「なるほど」
……なるほど。
まあ一理ある。
「と、取り敢えず、自分は九重先生が今の見た目で良かったと思いますよ」
「……ふふっ、コーくんも、同じこと言ってくれそう」
「同じこと?」
「うん。えーと……『トワ姉はトワ姉だろ』とか、『それもトワ姉“らしさ”じゃねえの』って言ってくれるそうだなって」
「……確かに、洸なら言うかもですね」
言いそうな気がする。分からないけれど。
しかしよく見てるなと思ったけれど、九重先生と洸は確か従姉で、付き合いが長いんだったか。
「洸って昔から変わらないんですか?」
「昔からって、何が?」
「真っすぐというか、誰かの為の労力を惜しまない感じというか」
「そうだね、そうかも。元々すごい優しかったっていうのはあるけど、その上でお爺ちゃんの教えと言うか、武術を習う上での心構えがあったからかな。推測だけどね」
「なるほど」
「……でも、昔はあんなに……」
「はい?」
「う、ううん! なんでもないよっ」
……昔はあんなに?
ということは、前はそこまでではなかったということか。
そういえばどこかで、九重先生に心配をかけているという話を聞いたような気も。
「九重先生は、洸が心配ですか?」
「……うん。なんというか、今のコー君は、なんか無理している気がするから」
「無理を?」
確かにどこか張り詰めている気はする。
無理をしているかどうかは分からないけれど、何と言うか、生活に余裕はないよな。常日頃から皆のお願いを聞いている関係で、常に忙しそうだし。
「まあそうですね。彼に救われている人は多いですけれど、彼自身はどうなのかって思います」
「うん。本当はちゃんと話した方が良いとは思っているんだけど……でも、コー君が頼ってくれるまでは、出来るだけ見守るって決めてるんだ。」
「それはどうして?」
「多分、自分で気付いた方が、良いと思うから」
それは、そうかもしれない。
だけれど、ただ見守るというのは、案外難しいことだろう。今まで異界攻略を終えた後に、
特に距離が近い相手ならば、一層。
姉弟のように昔から接してきた相手ならば、特に口を出したいことでいっぱいなのではないだろうか。いや、洸がなにか悪いというわけではないのだけれど。
しかし、そう考えると。
「九重先生は」
──Select──
良い先生なんですね。
良いお母さんなんですね。
>良いお姉さんなんですね。
──────
「お姉ちゃん……そうだね。コー君がトワ姉って呼んでくれる限りは、そうでありたいかな」
一見するとその慈愛は母性のようにも見えるけれども、流石に若い九重先生を母親呼びするのは躊躇われた。
まあ、母の何たるかを実際には知らない自分が、それは母性ですね。だなんて口が裂けても言えないけれども。
しかし姉か。
姉と言って一番に思い出すのは、祐騎の姉である葵さんだろうか。
彼女は何と言うか、可愛い弟の為に世話を焼きすぎているイメージがある。
弟……いや、九重先生にとって洸は弟分だろうけれど、そんな弟たちを愛しているのは同じのように見えても、やはり環境によって違うんだな。
「……そろそろ、勉強を始めよっか」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「分からないことがあったら、何でも聞いてね」
優しく微笑む九重先生。
少しだけれど、彼女の思いやりに触れることで、彼女に対する理解が深まった気がする。
そのまま、プログラミングの勉強を始めた。
一時間半ほどは行っただろうか。
理解が深まったような気がする。
……今日はもう帰ろう。
──夜──
今日は読書をしよう。
『水泳・入門編』はもう2回読んでいる。そろそろ読み終わりそうだ。
序盤では基本的な泳ぎ方の一覧や遊泳に必要な筋力について。中盤ではその筋力を育成する方法や、、水がなくてもできるトレーニング方法などを学んだ。
終盤では、水に対する心構えなどが書かれている。
──水とは感情を映すもの。恐れを持って挑めば、彼らはきっと諸君を呑み込むだろう。故に水と向き合う際は、関心と好奇心のような良好なものを持って挑むべきだ──
……ふむ。失敗を恐れていては成功はない、ということだろうか。
確かに溺れるイメージを持って泳いでいたら、一向に浮かぶ泳ぎをできないだろう。
よし。さっそく試してみたい……けれども、次の練習日は来週になるのか。随分と先の話のように感じるけれど、楽しみだ。
コミュ・法王“九重 永遠”のレベルが3に上がった。
────
知識 +1。
根気 +2。
────
選択肢回収150-2-2。
──Select──
気にしていたんですか?
>もう大丈夫なんですか?
何かあったんですか?
──────
「うん、ゴメンね、ちょっと急ぎの相談があって」
「相談、ですか?」
「うん。その、詳しいことは言えないけど、受験生の子が困ってるみたいだったから、ちょっと。ゴメンね?」
「いえ、そういうことなら」
元より、彼女の好意で特別授業を施してもらっている身。文句なんてあるはずもない。
……というより、その困った人を放っておけない性質。やはり血筋なのだろうか。
「九重先生は、やっぱり洸の親族ですね」
「ふぇ?」
可愛らしく首を傾げる彼女。
「そういえば、洸って昔から変わらないんですか?」
→ここから合流ですね。好感度♪はなし。
選択肢回収150-2-3。
──Select──
気にしていたんですか?
もう大丈夫なんですか?
>何かあったんですか?
──────
「うーん。何かあった、という訳じゃないんだけど、ちょっと困っている子が居たみたいだったから、声を掛けたんだ。ゴメンね、遅れちゃって」
「いえ、ぜんぜん他の方を優先していただいて構いません。自分の要件は約束をしている訳ではないですし、緊急性もないので」
「……ううん、そういう訳にはいかないよ。せっかく頼ってくれたんだもん。しっかりやらなきゃ。とにかく今回はゴメンね!」
→特にコメントもなくこの後選択肢合流。こちらは♪1。
選択肢回収150-3ー1。
──Select──
>良い先生なんですね。
良いお母さんなんですね。
良いお姉さんなんですね。
──────
「良い先生……そっか。ありがとう!」
花が咲くような笑顔を見せてくれる。
「えへへ、そう言ってくれると、本当に嬉しいなぁ。頑張って教えるねっ」
身体の前で握りこぶしを作る彼女。気合いを入れてくれるのは嬉しいのだけれど、何がそこまで彼女のやる気に繋がったのだろうか。
“良い先生”という単語。これに九重先生が反応したというのなら、彼女は良いと認められたい“理想の先生像”があるのかもしれない。その姿勢を誉められたと思い、嬉しくなった、とか?
あくまで推測でしかないけれど。
……何はともあれ、彼女がやる気に答えられるよう、頑張らなければ。
→♪3。
選択肢回収150-3ー2。
──Select──
良い先生なんですね。
>良いお母さんなんですね。
良いお姉さんなんですね。
──────
「お、お母さん……!」
言うと、少しショックを受けたように彼女は後ずさった。
……確かに、彼女の年齢を考えると、少し失礼だったかもしれない。
「お母さん……あはは、そう、見えるかな……」
「ごめんなさい、忘れてください」
→少しどころではなく失礼。♪なしですね。