PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

106 / 213
8月10日──【杜宮記念公園】水泳部の2枚看板の片割れ

 

 ……異界攻略の期限はまだ先だが、少しずつでも始めた方が良さそうだ。

 そんなことを考えつつも、自分が取った行動は異界探索ではなく、町巡り。

 特に理由があるわけではないが、異界探索は明日にしようかなと思った。

 皆には先に連絡しておこう。

 

 さて、今日は何をしようか。

 ……そういえば最近、水泳部の方に顔を出せていない。

 行ってみよう。

 

 

────>杜宮高校【プール更衣室】。

 

 

 先にプールへと寄り、活動していることを確認した後、水着へ着替えに更衣室へと向かった。

 何処と無く久し振りな感覚を味わいつつ、扉を開ける。

 するとそこには、見覚えのない人物がいた。

 

「うん?」

「お?」

 

 

 自分の上げてしまった声に反応して、男子生徒が振り返る。

 目があった。

 

 見覚えのない、というのは嘘だった。同学年の生徒だし、何より挨拶はしていないものの、名前は伺ったことがある。

 茶髪で、紹介者曰く、軽薄な男子。

 水泳部の同じ2年生──ユウジがそこで着替えていたのだ。

 

 

「お、おー……確か……何だっけ。ザビ?」

「違う」

「ち、ちげえか。悪いな」

 

 別に、名前を憶えてもらえていないことに腹を立てたりはしない。自分だって、同学年だと言うのにハヤトから名前を聞くまで、ユウジのことを知らなかったわけだし。

 まあ問題があるとすれば、少しばかり不名誉な覚え方をされていることくらいか。

 

「改めて、自分は岸波白野。よろしく、ユウジ」

「お? オレのこと知ってんの? 話したことあったっけ」

「いや、ハヤトから聞いた」

「あー、なる……」

 

 その受け答えの後、彼は黙々と着替えに戻ってしまった。

 何か気に障るようなことを言ってしまっただろうか。しかし後姿を見た限りではあるが、怒っている気配はない。

 

 

──Select──

 >一緒に活動するのは初めてだな。

  幽霊部員かと思った。

  黙って着替える。

──────

 

 

「ああ……そうだな」

「あまり練習には出ないのか?」

「まあ、色々やりたいこともあるしな。そっちはよく出てんのか?」

「いいや、自分もあまり」

「なんだ、嫌味でも言われるのかと思ったぜ」

 

 

 少し元気を取り戻したように笑顔を見せるユウジ。

 嫌味を言われたくない。つまりは、自分の行動が咎められることだと認識していることになるな。

 ……そして、話の流れとさっきの反応から推測するなら、その嫌味を言ってくる人間というのは。

 

「ハヤトとはそりが合わないのか?」

「……べっつに、そんなことねえよ」

 

 その返答と裏腹に、彼の表情は少し曇っている。

 少なくとも、見当違いのことを言ってしまったわけではないらしい。

 ハヤトにしても、ユウジに対して何かしらの感情を抱いているような反応をしていたし、彼らの間には何かあるのかもしれない。

 

 ……そういえば、ユウジはハヤトと並んで、泳ぐのが早いのだったか。

 

 

──Select──

 >一緒に泳ごう。

  泳ぎを教えてくれ。

  一緒にどこか行かないか?

──────

 

 

「は? どうしたいきなり」

「いや、ハヤトが以前、ユウジのことを速いって言ってたから、気になって」

「アイツが……?」

 

 首を傾げること数秒、まあアイツなら……と何かに納得したように頷いた。

 

「それで、岸波は早いのか?」

「まだ泳げないけれど」

「泳げねえのかよ! それで何で誘おうと思った!?」

 

 確かに。

 

 

 一頻り笑った後、話題は普段の練習に移る。

 

 

「なんだ、たまにハヤトにも教わってんのか」

「ああ。色々と助かっている」

「だろうな。面倒見も良いだろうし、まあ岸波は恵まれてんじゃねえの?」

 

 そうなのだろうか。

 いや、きっとそうだ。

 水泳部の中でも際立って目立つ彼が空き時間などとはいえ、直接教えてくれる。これが恵まれていないわけがない。

 

「なら、なおさらオレには教わらねえ方が良いな」

「? どうしてだ?」

「タイプが違いすぎんだよ。アイツのが分かりやすいなら、オレのはきっと分かりづらいぜ」

 

 ユウジは小さく口角を上げる。何処となく自嘲を含んだ発言のようにも聞こえた。

 ……どうやら、ユウジはハヤトのことを嫌っているというわけではないらしい。

 この齟齬のような何かも、彼らに付き合っていけばいつか明らかになるのだろうか。

 

 

 また1つ、水泳部についての理解が深まった気がする。

 

 

 ……今日はもう帰ろう。

 明日は帰って、異界攻略だ。

 

 

──夜──

 

 

 今日はゲームセンターの清掃をすることに。

 ……いつも対戦席に居座っているBLAZEの人たちがいない。

 何というか、少しだけ寂しい感じがした。

 

 




 
 

 コミュ・剛毅“水泳部”のレベルが5に上がった。
 
 
────



 度胸  +2。



────



 選択肢回収です。

────
106-1-2

──Select──
  一緒に活動するのは初めてだな。
 >幽霊部員かと思った。
  黙って着替える。
──────


「お、おう。だいぶはっきり言うのな」
「会わないから都市伝説かと」
「ちょ、それは盛り過ぎっしょ」

 ケラケラと笑う彼。だが、否定の言葉は来ない。あまり自身が練習に参加していない自覚があるのだろう。
 まあ自分がそれを非難することはないが。自分も参加率は決して高くない訳だし。


→こちらは多分♪3つ出ます。




────
106-1-3
──Select──
  一緒に活動するのは初めてだな。
  幽霊部員かと思った。
 >黙って着替える。
──────

「……」
「……」

 黙って着替える。
 会話はなく、空気は完全に死んでしまっていた。
 ……これでは、口を開くのも億劫になってしまう。
 話すのは、またの機会にした方が良いだろう。
 
 
 →上がらずですね。1日無駄にしてしまいます。
 
 


────
106-2-2
──Select──
  一緒に泳ごう。
 >泳ぎを教えてくれ。
  一緒にどこか行かないか?
──────


「いや、教えてくれって言われてもな。別にいいけどよ、今は何の練習中?」
「息継ぎ」
「いや初歩の初歩じゃねえか。普段は誰に教わってるんだ?」
「ほとんど独学で、たまに先輩やハヤトにも教わっている」
「ああ……まあ独学ってのは怖いが、ハヤトに教わったり相談したりできるなら、今は駄目でも近いうちになんとかなんだろ」


 ……意外な発言だ。ユウジはハヤトのことをしっかりと認めているらしい。
 彼らの間柄が読み切れない。ただのライバル……なのだろうか。そう断定するには、彼らは腹の内に感情を抱え過ぎていると思う。
 
 
→ユウジは決して、教えることに消極的なわけではありません。彼の中では然るべき理由があって断っています。


────
106-2-3
──Select──
  一緒に泳ごう。
  泳ぎを教えてくれ。
 >一緒にどこか行かないか?
──────


「……いや、もう着替えたんだが」
「……そうだな」


 自分も着替えよう。
 
 
 →やはり何もない。





 追記
 すみません。アトリエとイースやりたいので今月更新減らします。来月p5rやるので、もっと減らします









▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。