PERSONA XANADU / Ex   作:撥黒 灯

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 タイトル通りでございます。どうぞ。



4月16日──【杜宮高校】(ネタバレ)この日、彼のあだ名はザビに決定した。

 

 

 ──サイフォンのアラームに目を覚ます。

 まだ3日目ではあるが、見慣れた景色だ。

 整理がある程度終わり、しかし特徴のないままのマイルームを、寝ぼけた視界で眺める。

 

 目が冴えてきた。

 ……今日は編入日だ。学校へ急ごう。

 

 

────

 

 

「おはようございます!」

「おう、おはよう」

 黒の学ランに袖を通し、しっかりと着込んだ自分は、少し妙なテンションになりながらも杜宮学園に到着した。

 校門に立っていた教職員らしきジャージ姿の女性に挨拶をする。

 そのまま校舎内へと入ろうとするが……下駄箱がない。土足で踏み行っても良いものか。

 というかそもそも、自分はどこへ行けば良いのだろう。

 

 ──困った。事前に登校日の流れについて聞いておくべきだった。

 誰かに聞きたい所だが、周囲に人影がない。

 仕方ない、校門まで戻り、教員らしき女性に話を聞こう。

 

「あん? 転入生……? ああ、アンタか。まずは職員室へ行きな」

「土足のままですか?」

「ん? ああ、そうだが」

 

 下駄箱がない時点でそうじゃないかとは思っていたが。

 しかし、学校内は上履きじゃなく土足とは……都会の学校とはそういうものなのだろうか。

 

 一旦自分の中で疑問を保留にして、校内へと入る。

 土足で移動する割りに床はきれいだった。

 きっと生徒たちが丁寧に掃除しているのだろう。入口に敷かれたカーペットも大きかったし、入る前に汚れを落とそうという意識が結構高いのかもしれない。

 そのまま目の前の階段を上がって3階突き当たり。3年A組横の職員室の前に立つ。

 

「……」

 

 どのタイミングで入ろう。

 

「あれ、キミは……?」

 

 声が、掛けられた。少女の声だ。

 振り返る。

 しかし視線の先には誰もいない…ように思えたが、少し視線を斜め下に下げると、その人は居た。

 

「えっと、違ったらごめんね、新入生の子かな?」

「あ、はい」

「ホント? ふふっ、良かったぁ。じゃあ君が岸波くんだね!」

 

 自分のことを知っていたということは、教員なのか、この人。

 背丈は150cmあるかないか。いやないだろう。ないと思う。

 自分の首ほどしかない身長に細い手足。大きい瞳に眼鏡。髪は水色のリボンで一房に纏められている。

 ……うーん、確かに、なんとなく自分より年上な気が、しなくも、ない……?

 

「担当の先生を呼んでくるから、ちょっと待ってて!」

 

 そう自分に告げた小柄な女性は、職員室の中へと入っていく。

 やはり教職員だったらしい。

 

「お、来たか、岸波」

 

 交代で出てきたのは、佐伯先生。以前に受けた説明では、自分が所属するクラスの担当教師らしいが。

 

「ああ、改めて自己紹介をしておこう。佐伯 吾朗だ。岸波が編入する2年D組の担任で、かつ2学年の英語を受け持っている。以後、見知りおき願おう」

 

 

────

 

 ──杜宮学園【2ーD教室】

 

 佐伯先生と再会した後、校長にも改めて挨拶をし、数十分の時間を過ごした。

 その後、彼の誘導で、教室前へと連れてこられる。

 

「1階の中央階段を昇った場合、2階に上がって左手奥にあるのがこの教室だ。この校舎は教室が少ないから迷うことはない思うが、他所の教室に入ると恥ずかしいだろうからな、最初のうちは気を付けてくれ」 

 

 頷きを返す。

 そう難しい構造もしていない為、彼のいう通り間違いはないだろう。

 自分のクラスさえ忘れなければ、だが。

 

「では呼んだら入ってきてくれ。そうだ。自己紹介は考えておけよ?」

「何を言った方が良いんですか?」

「ふむ……名前、趣味、意気込みくらいか。言いたいことがあったら言っていいぞ。多く情報を渡せばコミュニティが出来やすい反面、多すぎると相手も受け止めきれないからな」

「難しそうですね」

「はは、そう悩ましげな顔をするな。気楽に、ありのまま行けばいい。だがそうだな……1つ助言するなら、インパクトはあった方が良いぞ」

 

 時間はないが少し考えておけよ。と言って、教室の扉を開ける佐伯先生。

 

 インパクト……インパクトなぁ。

 いきなり、「記憶喪失です」ってやればインパクト強いだろうか。

 ……強いだろうが、引かれるだけな気がする。数年眠ってました。も、やはり同様だろう。

 やはり己の状態でインパクトをとるのは間違っている気がする。

 だとしたらどうするべきか。

 趣味……趣味の所でなにか言うべきか?

 なにもないから、募集でもしてみれば良い案が出るかもしれない。

 ……自己紹介ではないな。

 

 そもそも趣味はありません。なんて無個性の代表のような弁だろう。それは少し嫌だ。

 それを打ち消せるような何か……何かないか!

 

「おーい、入ってくれ!」

 

 佐伯先生の声が聞こえる。

 もう、なるようになれ、だ。

 

「失礼します」

 

 教室に入る。

 同じ服……まあ学校だから当然だが、同じ制服を着た少年たちの視線が集まる。

 見られている。不思議な感じだ。こんなにも多くの視線を集めたことはない。

 

「それじゃあ、自己紹介を」

「自分は岸──」

 

 待て。普通に名乗って良いのか?

 趣味はなく、意気込みも無難。そんな自分がインパクトをとれるとしたら、此処しかない。

 今、インパクトのあることを言わずに、いつ言う──!

 

「自分は──ッ、フランシスコ・ザビ「ちょ、ちょぉっと待ったぁ!!」」

 

 乾坤一擲、すべてを賭した挨拶が掻き消された。

 扉が大きな音をたてて開く。

 音の主は、見覚えのある少女。

 

「玖我山 璃音、間に合ってます!」

 

 

 

 教室には、なんとも言えない間が空いた。

 次第に、ざわ、ざわ……とざわめきが起こる。

 生徒たちの内緒話の対象は、編入生(自分)遅刻者(アイドル)か。

 

「え、なに、この空気……」

 

 遅れてきた少女、玖我山 璃音が再起動する。

 自分が一昨日会った、違和感を覚えた彼女。

 参った、本当にアイドルとクラスメイトになるとは。

 

「ってキミ確か……そう、岸波……岸波 白野くん!?」

「どうも」

 

 取り敢えず、自分の挨拶は遮られてしまったものの、アイドルに自己紹介される、というインパクトは及第点……なはず。

 

 

 






 鉄板ネタ(?)回。

 P3……キタロー
 P4……番長
 P5……ジョーカー
 Fate/Extraシリーズ兼今作……ザビ
 Fgo……ぐだ
 自由名系主人公は分かりやすいあだ名が多くて良いですね。



 原作をやってて思ったこと。
 職員室と校長室どこじゃい……そもそも校長誰じゃい……
 あと下駄箱も……まあ校内でローファというのも可笑しくない……のか?
 それにしては廊下きれいすぎィ!
 ……ふぅ。


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