とある世界の魔獣図鑑   作:名無しの権左衛門

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2:真白学区[マサラタウン]--起動

 

「ここが研究所か……」

「そうですたい」

 

 上条当麻と土御門元春が真白学区の学生寮を出て、そのまま道行く道を行けば目的地が見えてきた。どう見ても病院にしか見えないが、皆には研究所に見えるのだろう。

 

「ほら、上やん」

「お、おう。上条当麻です!ポケモンを受け取りに来ました!」

 

「やっと来たね、上条君」

 

 研究所に来て、彼ら以外の声が聞こえた。その声は二階から聞こえ、声の主はそのまま階段から降りてくる。一階から三階まで吹き抜けで、見た目9階まである敷地が異常に広大な研究所。

 

「君が最後の生徒だね?」

 

 声の主は、カエルのような顔をしている。

 

「オーキド博士。上やんに渡すポケモンはなんなんですたい」

「まあ待ってくれるかね?上条君に渡すものが、ちょっと特別仕様でね」

「なんだと?良いですなー不幸な上条当麻君」

「よ、よくわからんが、不幸だ……」

「まあそんなに落ち込むものでもないね?」

 

 そういって吹き抜けフロアから、奥の研究エリアに入る。

そこにはいろんな研究機材があり、目を引くのは培養液やらカプセルのようなもの。

 

博士は二人を連れて、研究所エリアの中央に立つ。

 

「上条君には、この腕輪を渡そう」

 

 ポケモンに関して、捕獲・管理・解放・送信等数多の機能が付属している最新の装置だ。

これで過去色んな媒体でなしてきたことが、一つの機械でできるようになった。

 

「す、スゲェ……!」

 

 上条は子供のころに戻ったかのように、興味が目の前のものだけに注ぎ込まれる。

一時的にインデックス達の事は忘れている。

 

「次にポケモン図鑑を渡すんだがね?残念ながら、在庫を一つ間違えてしまってね?

臨時に完全自立思考体に、その役割をしてもらう事になったんだね?」

 

 そういって博士はリモコンを取り出し、スイッチを押す。

 

 すると奥にあるカプセルが微動しだして、結果開封される。

中腹くらいから扉が発生し、そこから何かでてくる。

出てきた瞬間いろんな合金アームが、それに対して装飾を行っている。

 上条はその装飾が見たことのある服だったのを、見逃しはしなかった。

それは念願の願いか。はたまた、何故ここに?と疑念を抱かせたものだ。

しかし喧嘩をしてきた上条当麻は、いろいろお世話になったことがある医者と同じ顔をした博士が、そんな悪いことをするわけがないと頭を振るい考えを捨てる。

 

「さて、彼女がポケモン図鑑だよ」

「おいおい、上やんだけずるぜよ!こんなかわい子ちゃん――いや、上やんだ。きっと図鑑相手でも、フラグを乱立させやばいのに巻き込まれるだろう」

「まあ、問題がないものはないよね?」

 

 

 というわけで、よろしく頼むよ?

 

―――Pokemon’s Library:魔獣図鑑『インデックス』―――

 

 

 

「嘘……だろ……?」

「上やん?」

 

 驚愕する。破壊され安全ピンでとめられているハズの『歩く教会』が、完全に修復されている。魔術と科学が関わればまずいことになるのを、身をもって知っている上条当麻は色々考えた結果『不幸』であると結論付けた。

 

「マスター登録をします。ポケモントレーナー、上条当麻。

貴方が私のマスターです、トウマ」

 

 その台詞に言葉が詰まる上条。

 

 首輪を解除した時の無機質な聲や抑揚のない声ではない。それでも、以前の明るく優しい彼女の様相が全て失われていることに、少なからず衝撃を受けてしまう。

しかし表情はある程度あるので、徐々に慣れていけばいいかとおもう上条さんであった。

 

「うむ。次に君の相棒だけど、あの子にしてもらうよ」

 

 博士が指を向けた先にいるのは、黄色の体――ではない。

 

 

「か、上やん!ピカチュウだぜ!?この世に二万体しかいないと言われている、幻のポケモンだ!最高に幸運じゃねえか!」

「え、は?いや、ピカチュウか?ピカチュウは黄色……」

「どう見てもピカチュウだ!『不幸』だなんて言わせねぇからな!」

 

 土御門が上条の肩を掴んで興奮している最中、目の前の存在に狼狽える上条。

 

「ピカ?」

 

「え、えーとよろしくな……ピカチュウ」

「ピッ」

「へ?」

 

 上条はそのまま立った状態で、てを差し出す。

しかしピカチュウはそっぽを向く。そう、腕を組んで。

 

「あの。やっぱ、ピカチュウじゃねえよな?」

「ピカチュウだね?」「ピカチュウですたい」

「ふ、不幸だ……ってか、なんでビリビリがピカチュウやってんの!?

なんのどっきりですか!?俺が何をしたっていうんですか!?確かに上条さんは、学生寮とか色々ぶっ壊すような被害拡大しかしてないし、いろいろやばいことをやらかしてる自覚はある!

でもこれは冗談がすぎるだろ!ピカチュウは黄色いからだに茶色の三本の線、赤いほっぺにギザギザしっぽ!なんなんですか!?上条さんに対するあてつけか!?一体全体、お前らは俺にどんな恨みとか抱いてるんだああああ!!!」

「上やん、落ち着けよ」

「ここでどなられても困るね?」

 

 そういってピカチュウこと、御坂美琴を連れていくことになった。

もちろんインデックスもそのままついてくる。

土御門とは一度別れた。さあ、はちゃめちゃな冒険が、君を待っている!

 

 




 読んでいただきありがとうございます。
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