礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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第2章 雄英高校
第4話 入試


2月26日。

 

日本(ここ)に来てから約1年が経ち雄英高校入学試験の日を迎えた。

 

「それじゃあ行ってきます。」

 

「は〜い..行ってらっしゃい…」

 

叔母さんは半目で答えた。

 

「なぁ甥っ子が入試に行くんだけど。」

 

「合格するでしょ..飽きもしないでトレーニングと勉強しt..おやすみ、鍵閉めといてね….」

 

踵を返して玄関から寝室に戻って行ってしまった…心配されるよりは良い。

 

「行ってきます。」

 

叔母さんは後ろも見ずに手を振って返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校に到着。

 

下見で1度来たがやはりデカイ…!

 

周りには受験者であろう人達が校門をくぐっていった。

 

そして..あぁそうか、普通は制服だよな。一応ジャケットは着てきたが…変に目立たないよう祈っておこう。

 

 

 

 

 

 

実技試験の説明会が終わり服を着替え、靴を履き替えて他の受験者と共に演習会場Gへ着いた。

 

腕を伸ばして軽くストレッチをしながら門の前へ歩いた。P(ポイント)制って事は得点が見られるだろうが、0P...これだけが引っかかる。

 

プレゼント・マイクの印象と見た目は想像と殆ど変わらなかった。だけどあのテンションに目が行きがちだが、かなり思わせぶりな事を言っていた。

 

不意にコーチ(キャプテン)と会った時のことを思い出した。

 

..()()()()人だ…。

 

「フフッ」

 

思わず笑みが溢れた。

 

(1人で笑ってる…)(キモっ…)

(うわぁ....)

(緊張で壊れたか…)

(気持ち悪っ!)

 

他の受験者達は目を逸らした。

 

 

しかし、ヒーロー養成学校の対(ヴィラン)の模擬演習か。

なら、たぶn「ハイ、スタートー!!」

やっぱりッ!!

 

ほぼ同時に俺は走り出した。

 

キャプテンが言っていた。「敵と戦う場合殆どが奇襲をかけるか(ヴィラン)にかけられる、向かい合って対敵するなんて()()()()で争わない限りない」と。

 

本当に..感謝しかないッッ!!

 

間も無く俺は"個性"を使わんと踏み込んだ右脚の膝を曲げ___ダンッ!!!!

ビルを一瞬で駆け上がり、屋上から屋上へと跳んで、走った。

 

[運動エネルギー]放出→[重力]吸収

この1年"個性"の切り替えを中心に鍛えた成果が実った。

 

走りながら敵を探す。

まずは1体。弱点を見つける.....

ッ!!下に2体、その先に多数の敵影を発見。

 

俺は下の仮想(ヴィラン)の前方に向かって()()()

 

_____タンッ!タッタッタッ!

 

[重力]吸収→[落下の衝撃]吸収

仮想(ヴィラン)に向け走った。

 

ウィィン..『標的補足‼︎ ブッ殺ス‼︎』

 

懐に入り込み胴体部に手を触れ_____

[運動エネルギー]放出

覆っていた鉄板が歪曲し仮想(ヴィラン)の胴体部が数メートル先へ弾けた。

 

...!たいした威力でもないのに脆い…

ウィィィ..『標的補足‼︎ 』

!2体目が来たか…攻撃は..?

 

ウィィッ!ウィィィッ!

仮想敵が攻撃を仕掛けてきた、俺は回避に動いた。

 

..動きは素早い、だが単調。速さも__キャプテンほどじゃない…!なら…

隙だらけの頭部を左手で掴んで、右手で頸部に触れた。

[運動エネルギー]放出

 

バッッギッ!!

頭部を切り離した。が、仮想敵は俺を見失ったようだがまだ動いていた。

 

『テキ、te..kグッッシャッ!

 

四肢を潰して動きを止めた。

 

この分だと手、頭、足を繋ぐ部分が細くて脆い、そこを攻めるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験をモニターしている一室がざわめく、1人の受験生に審査をするヒーロー達は注目していた。

 

スタートの合図と共に走り出すと瞬く間に高いビルを登りきり、情報を集める判断力。仮装敵の壊れた部品を躱し、或いは踏み台にする機動力。

 

教師らの目を引いたのは戦闘能力だ。

動きが素早く、充分な筋肉の発達が伺える。だが仮想敵を破壊する時ほぼ、一触れかあるいは全く触れずに倒してしまうのだ。

 

空中からの攻撃で仮想敵の胴体部を粉砕したかと思えば、一瞬で次の目標に接近して今度は手で頭と胴体を繋ぐ神経回路を引きちぎる。

 

その倒し方も独特だ。最初の2体はほぼ全壊したのに対し、その後は行動不能にするに留めている。

 

当然仮想敵は戦闘不能。

個性を発動しているのだろうが、その正体が掴めない。

 

しまいには塊になっている仮想敵の中心に降り立ち、片脚で地面を踏んだ。すると途端に仮想敵が動きを止め胴体部を残し、関節部分が千切れたのには歓声を上げていたヒーローも少し呆れた様子だった。

 

 

「こいつ、ヤッッベェな!!!」

 

プレゼントマイクが興奮して声を上げる。

 

しかしこの年で妙に戦いなれているのは……まさか。そう思い、相澤が動いた。

 

「校長..もしかして()()…」

 

「うん、そうだよ。相澤くん。」

 

そうか、それでこの戦闘力…納得だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで今..何P(ポイント)目だ?数えてたのに忘rドォォンッ!!

誰かが破壊したんであろう仮想敵の大きな部品が飛びあがり、そちらを見た。

 

落下先は…?...ッ!ヤバイなあの子。

 

その子は倒れて直ぐには動けなさそうだった。

 

ダンッ!!

 

[運動エネルギー]放出

 

その子の前へと跳んだ。

 

「うわぁッッ!」

その子が叫んだ。

単に弾くより、

こういう時は____受け止めるッ!

[落下の衝撃]吸収

 

一瞬前の勢いが嘘のように部品は止まりそのまま自分の背中と両手で支えた。

 

その子は心底驚いたようだ。

「手を貸そうか?」

 

そう言って部品を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13号が冷静な意見を述べた。

 

「彼、今倒れていた子を助けましたね。先程から戦うのが苦手な子を度々、庇っている様子も見受けられますね。」

 

奇妙な戦闘の間に隠れていたが、そのような場面はいくつかあった。

 

「それに今の救助の仕方、いいやり方だよ。ああいう状況だと無為に力で弾いてしまっては救助される側は怖がってしまうかも知れないからね。」

 

オールマイトが評価する、と言っても彼は審査には加わってないのだが。

 

「うん。全体的に見て優秀..と言うより習った事を実践しているようだね。彼の師の教えがいいのだろう。

これからの彼がとても楽しみだ。僕はきっと彼はいいヒーローになるだろう。さっ、時間も無いし審査も終わらせるとしよう!」

 

校長が丸く黒い目を光らせ、周りに言い聞かせるように言うと、ざわついていた切り替え評価を始めた。

 

「礎 遷形…」

 

教師陣の様子を見て、カメラに写る礎を眺める。

 

”彼は合格する”

 

そう予感した相澤は、画面の中でビルの合間を縫うように飛ぶ彼をその瞳に写していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、マジ凄かったよ!敵を見つけてドーン!倒れてた子を助けて“手を貸そうか?”ってそんでまた敵がやって来てバーンッッ!!んで、試験の終盤になるとバカでかいヤツが出てきて街を壊し始めるわで、もうF○○K!!」

 

「俺は離れた所にいたから向かったんだけどそこでタイムアップしちまって

マジ、あの試験確実にイカれてたっ!」

 

「ヤッベェなぁそれ…。流石平和の象徴(オールマイト)の国だぜ…」

 

画面越しにシモンズが答えた。

 

試験勉強のため連絡ができなかったこととシモンズの学校が忙しいって事が重なっていて、中々機会を作れなかった反動だろうか?妙なテンションでまくし立てる。

 

試験が終わって1週間毎日のようにこの調子で話をしている。というか今向こうは夜だ。

 

「で、通知は?」

 

「今日か、明日。」コンッコンッ。

部屋をノックする音が聞こえた。

 

「誰か来た。」

 

「はいよ。」

シモンズに断って扉を開けたら叔母さんがいた。

 

「英語でうるさくしてるとこ悪いんだけど、あなた宛の手紙。」

 

「俺に?……これ、雄英のだ。ありがとう。」

 

手紙を持って画面の前へ戻った。

 

「なにそれ?」

 

「雄英からの手紙とデカい封筒。多分…通知だ。」

 

「席外すか?」

 

「いや…居てくれ。」

手紙を弄りながら答えた。

 

「はいよ。」

 

手紙は真ん中が膨らみ、今では殆ど見なくなった蝋封がされていた。

中々にファンタジー染みた趣向の趣味に頬を崩した礎はハサミを手に取り、手紙の横の部分を切り取って外側からでもわかった手紙を膨らませていた物を取り出す。

 

「なんだこれ。」

 

何かの機械だろうか。

 

中央にレンズがあり、撮影用のものか、投影するものかがわからない。

 

「シモンズ。」

彼にその装置を見せる。

 

「それ投影機だよ。あーそのタイプは裏にスイッチがあるか、捩って起動するからやってみ。」

 

言われたままに探すと突起のようなものを見つけ、そのまま押した。

 

『私が投映された!』

「what the f…!あっ…!」

起動音とともに、オールマイトが馴染みの台詞を放って現れた。

 

「ッウソだろ?!オールマイト?!!」

俺よりシモンズが驚いた。

 

機械をパソコンの向かい側、ベットの上に置いた。

 

その間、オールマイトは高らかに笑い声を上げ続けていた。

 

『まずは礎少年、私から一言言わせてもらおう』

 

オールマイトの醸し出す緊迫した雰囲気に呑まれ、唾を飲み込む、シモンズも同じだろう。

咳を一つして声の調子を整えると、スゥッと息を吸い込んだ。彼の一挙一動に前かがみになって聞いた。

 

『合格おめでとう!筆記、実技、両方とも文句なしの高得点だ!!』

 

「あぁーっ良かった!」

 

と詰めていた息と共に言った。

 

「よしっ!!」

 

シモンズもガッツポーズだ。

 

まぁ、こんな手の込んだ装置が同封されていた時点で気づくべきだった。

 

それでも安心する。キャップテンにもいい報告ができそうだ。あ、違うかスタークさんにもだ。あれ?あのスーツ、合作だっよな。連絡先を知りようもない人達だぞ、まずいな…。

 

「おい、映像まだ続いてる。」

シモンズが俯いてる俺を諌める。

 

オールマイトは審査の基準と俺の最終的な得点を告げると、グイッと画面に寄った。アップで見てもその目がうかがえない彫りの深さは迫力だ。

 

『さて、君達はこう思っているんじゃないのか?"なぜ私が合格発表を行っているのか"ってね』

 

「それは知ってる。」

 

『HAHAHA!なんと、今年度から、私が!雄英高校の教師として勤める事になった!って知ってたか!』

 

認知されてるみたいだ、嬉しいやら困るやら。

 

映像はオールマイトは

『それじゃ、学校で会おう!』

と告げるとプツンと切れた。

 

「凄かったな。」

 

「火山が目の前で噴火したかと思ったよ。」

 

「俺も。ンな事より報告してきたら?俺もう眠い。」

 

「そっか、ありがとな。おやすみ」

 

「おやすみ。」

 

彼が回線を切ったのを確認して、俺も切った。

 

さて早く報告しないと、思ったより人数が多いからな。

 

 

 

 

 

 




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