礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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いつもお読み頂きありがとうございます。
決勝トーナメントですが18名という事で、少々順番が不規則になっておりますことを申し上げます。それに伴い、後書きの方に順番を書き記したいと思います。




第31話 トーナメント開戦

雄英体育祭は、かつてスポーツの祭典と呼ばれたオリンピックに代わるほどの熱狂を生み出す程の催しだ。

 

プレゼント・マイクの実況だけでは無く、世界各国それぞれの主要言語で実況が行われ、中継される。

 

当然 此処、アメリカ合衆国ニューヨーク州ミッドタウン高校でも時差はあるものの、視聴されていr_ダダダダダッ!!

 

_ッバン!!

 

「間に合った!!!??」

 

「シモンズッおっせぇよっ!!もう最終種目まで来ちまったぞ!!」

 

校舎内に多数あるラボの一つに駆け込んで来たのは礎の友人、シモンズ。

 

「ヒー…ヒー…しっ仕方ない…だろ…オェッ…!イ…インターン先の社長が出掛けちまってオレら対応に追われてたんだ…!ケイは??どうなった……?」

 

「2種目やって両方2位。見たところ堅実な勝ち方しかしてねぇ。オマエの言う通り強いけど大胆さが欲しいな。シモンズ、水飲むか?」

 

シモンズから聞いていた件の人物の現状と、感想を言う。友人たるシモンズの意見は___.....

 

「ハァッ……フゥ…水、どうも。で、なに?豪快さ??おかしいな…ヴィランのケツを蹴り飛ばした奴なんだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

…………

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レクリエーション終了後。

 

最終種目を見る為、クラスごとに割り当てられた席へ殆どの生徒達は座っている。勿論、礎も。

 

「緑谷はもう下に降りたか、早いな…」

 

「デクくん、3試合目だからね。尾白くんと話してたよ」

 

第一試合で対戦相手が決まる為 早めに席に着き、右隣の麗日と緑谷の話をしていた。

 

そうしている間にも、時は進む。

 

そして___....雄英高校体育祭最終種目、決勝トーナメントが始まる。

 

 

 

「オッケー、もうほぼ完成」

 

『サンキューセメントス!ヘイガイズッアァユゥレディ!?色々やってきましたが!! 結局これだぜ!!!

 

ガ チ ン コ 勝負!!

 

頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!!

心・技・体に知恵知識!!総動員して駆け上がれ!!』

 

セメントスの個性でコンクリートが流動し大きなステージを形作り、四隅から演出用の火柱が上がる。

 

 

(あの火は……無理だな。遠過ぎて使えんか…)

 

礎は立ち昇る火を見て、残念がっているが、個性を ふんだんに使っても問題無しの広さ。決勝トーナメントを待ち侘びる観客の歓声が響く。

 

『第一回戦、第一試合…B組からの刺客!!綺麗なアレには棘がある!?

 

塩崎 茨!!

 

(バーサス)

 

スパーキングキリングボーイ!

 

上鳴 電気!!』

 

 

 

ステージ中央付近。

 

互いに真反対のゲートから歩いて、両者が向かい合う。

 

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にするッ!

 

あとは"まいった"とか言わせても勝ちのガチンコだ!!

 

怪我上等!!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!

 

道徳倫理は一旦捨て置け!!

 

だがまぁもちろん、命に関わるよーなのはクソだぜ!!アウト!!ヒーローは(ヴィラン)を捕まえる為に拳を振るう!!!』

 

「クソの場合は止めるからねーー…」

 

セメントスが副審を務めるようで、特製の椅子を作って主審のミッドナイトの反対側に座る。

 

 

 

 

「上鳴とB組の塩崎さん…か。

相性差があるもしれんのだか…上鳴は分かってんのかなぁ…」

「相性差?」

 

「あぁ。地雷原ん時のを見た限りだけと、少なからず可能性がある」

 

麗日の疑問に答えながら、ステージを注視する。

 

 

 

 

『さぁぁてぇッ!_「あの!申し立て失礼いたします…!」アェ?』

 

突如としてプレゼント・マイクの声を遮り、彼女は実況席に向かって喋り始めた。

 

「刺客とはどういうことでしょう?私はただ勝利を目指し、ここまで来ただけであり…試合相手を殺める為に来たわけはありません…」

 

『ゴッ..ゴメン!』

 

「そもそも 私が雄英高の進学を希望したのは決して邪な考えではなく、多くの人々を救済したいと思ったからであり…」『だからっゴメンってば!!俺が悪かったからっっ!』

 

「ぁぁ…!わかっていただけて感謝します!」

 

と彼女は笑顔で頭を下げた。

 

「B組にもこういう感じいるのね…

(どんぐりまなこで綺麗な面してっけど実力はガチめっぽいな…ここはもうここはもう全力で放電していくしかなくね!?)」

 

初戦という事で緊張気味の上鳴は、目をギュッと閉じて気合いを入れ直す。

 

…のだが

 

「(……つーか…キレイっつーかカワイイ系も入ってね?よし、今度お茶するしかなくね!?よーし!!)」

 

 

 

『とっとにかく!すっSTART(スタート)!!』

 

最終種目、トーナメントバトルが始まった。

 

 

 

体育祭(コレ)終わったら飯とかどうよ?俺でよけりゃ()()()()

 

「………ぇ?」

 

「多分この勝負……一瞬で終わっからッ……!!」_BZZ…!

 

上鳴の身体を電光が走り 静電気によって髪が互いに弾き合い、浮き上がる。

 

「ッ無差別放電っっ!!

 

130万!!

 

ボルトッ!!!」_BZZZZZZZ!!!

 

纏っていた電気を最大出力で放つ___が

 

電光を見るや塩崎は背を向け、掌を祈る様に握り合わせた。

 

すると途端に自身の髪の毛___彼女の個性だが、それが地面に伸びて瞬く間に壁を作り上げた。

 

当然、上鳴の攻撃は緑の壁に阻まれる。

 

「ーッウェ?!」

 

電光が消えるとそこにはさっきまで無かった壁があった。最も既に上鳴の頭はショートした状態だった。その時、

 

_バキキキキキッッ!!!

 

コンクリートの下を何かが猛スピードで掘り進む。それが顔を出した時には勝敗は決まっていた___....

 

………

 

「ウェ…ウェイ……」

 

 

『瞬殺!

 

あえてもう一度言おう!!

 

瞬!!殺!!!』

 

『二回戦進出!塩崎さん!!』

 

 

 

.....大量に織り込まれた鉄線の如き緑のツルで上鳴は文字通り、縛り()()()()()()()

 

「ああ…与えられたチャンス……無駄にせずに済みました…」

 

塩崎はどこか神秘的な様子を見せ、吐息のような声で呟く。

 

 

 

ーー塩崎 茨(シオザキ イバラ)

個性"ツル"頭髪のツルは伸縮自在で切り離すことも可能。水と日光さえしっかり摂っていれば、直ぐに生えてくるーー

 

 

 

「ぃヨッシャアー!!塩崎っっ良くやったァ!!」

 

B組の快挙に拳を突き上げ喜ぶ、鉄哲を始めとするB組。

 

「あっちゃ〜…」

 

「…わかってなかったか……ハァ…」

 

クラスメイトの敗北に耳郎と共に肩落とした。

 

礎に至っては些か、消沈気m_「アレアレ?一瞬で決めるんじゃなかったっけ〜?おかしいなぁ〜 一瞬でやられたよねぇ?A組はB組より優秀なハズなのにおっかしいなぁ〜〜ッハハハハh_グギッ…!「うっ…!?」

 

チャンスとばかりに嫌味を乱射する物間…だったが、拳藤の手刀が彼の延髄を捉えた。

 

「ゴメンなーー」

 

(((((((今の何?)))))))

 

 

………

 

 

変わって此方は会場外。マウントレディとシンリンカムイが警備に当たっている。

 

「カムイさんっカムイさんっ」

「ん?」

 

「あの子、サイドキックに良いじゃないですかぁ〜!」

 

彼女は背後のモニターに映る塩崎を指す。

 

「うむ…しっかり見たかったな」

 

「堅物そうだけど、かっわいいしっ!」

「おい、仕事しろ…」

 

 

 

此方は会場内、プロヒーロー達へ用意された席。

 

〔塩崎の個性のツルは切り離せるのが厄介だったな〕

 

〔ツルを防御だけではなく、アースとしても使ってた…アレじゃ感電させられないわ〕

 

〔そこから更にツルを伸ばして拘束。上鳴の個性が完封された〕

 

〔相性もあるからな、そんな中で上手く立ち回れれば まだ良かったが…〕

 

 

………

 

 

(相性差ってコレの事……!)

 

「'何でこうなるかね…'」

 

礎は試合結果が悩ましいものだったのか 歯をカチカチと鳴らしてボソリと呟いている。同時に、俯く礎の隣で麗日は彼の顔を両の目で注視していた。

 

 

……………

………

 

 

 

『続いて!第二試合…攻防一体!黒影(ダークシャドウ)を従える黒き侍!!ヒーロー科

 

常闇 踏陰!!

 

 

万 能 創 造!!

推薦入学とあって、その才能は折り紙付きィ!

ヒーロー科

 

八百万 百!!』

 

 

セメントスによってステージが修復され、2試合目が始まる。

 

 

 

 

(…プレゼント・マイク先生の言う通り、相手は攻防一体の黒影を持つ常闇さん…!

しかも常闇さんは黒影をタイムラグ無しで出すことが出来るから、間違い無く先制攻撃を仕掛けて来る筈っ…時間が掛からないシンプルな盾を創造して常闇さんの攻撃を防ぎ、武器を創造する時間さe_『第二試合!START!!』ッ!?」

 

 

 

 

「行け!黒影!!」

「アイヨォ!!」

 

(素早く盾を!)_ガンッ!

 

大方の予想通り、先手必勝。常闇は黒影を放ち、八百万がそれを防御する。

 

「〜っっ!!次に武器を…!!」_ッガァン!!

 

(〜!!っ思考が…まとまらないっ!)_ッッズガァッン!!

 

黒影の特攻により、盾ごと場外まで八百万が弾き飛ばされた。

 

『二回戦進出!常闇くん!!』

 

 

『圧勝!

 

正に圧勝!!

 

常闇のダークシャドウ!これって最強の個性なんじゃねぇの??!』

 

 

 

 

 

「…常闇は盾の上からしか攻撃してなかった。自信というか、気遣いというか余力を残したか」

 

「…八百万は悔しいだろうな……」

 

「ぁ!尾白」

 

緑谷との話が終わったのか、尾白が背後からやって来た。

 

「デクくん、どうだった?尾白くん」

 

「伝えれる事は全部伝えたよ。後は緑谷が試合で どう動くかだね…」

 

 

………

 

 

ステージへ至る出口付近。

 

先の2組の試合が終わり、緑谷は緊張しながらも前から光が差す狭い通路で立っていた。

 

「HEY!」

 

後ろから聞き慣れた声。幼い頃から画面越しで聞くだけで心を暖め、元気をくれるその主は…

 

「遅れたけど…ワン・フォー・オール掴んできたな!」

 

「…オールマイト…いや……」

 

大き過ぎるスーツが肩を撫でるが、オールマイトは緑谷に親指を立てる。しかし緑谷は不安と緊張からか、顔を伏せてしまう。

 

「まだ…不安です……敵に撃った時のイメージを電子レンジに あてはめて頭の中に浮かべてるんですけど…

 

まだ気を抜くと今にも崩れそうな危うい感じで…全然で…

 

それに…見て頂いた通りなんですが…今の僕の身体じゃ成功しても、ちょっとパワーが上がったくらいなものにしかならないです……」

 

騎馬戦時の轟チームに使用した事を指して、現状の所感を説明する。

 

「うむ。以前話した0か100かの出力で言えば、今の君の身体で出せてるのは5くらいだね」

 

(5……!!)

 

言葉を連ねる度に、不安が高まっていた緑谷。オールマイトの分析は殊更に重いものだった。

 

「そう言われると本当、僕って…皆と運に恵まれたって感じですよね…」

 

「そこは"こなくそ頑張るぞー!"で良いんだよナンセンスプリンスめ!

君の目指すヒーロー像はそんな儚げな顔かい?!いいかい?怖い時、不安な時こそ___......」

 

ネガティブな緑谷へ頭と首へチョップを送り、喝を入れる。思わず打たれた首を手で摩って、彼の方を見た。

 

「__....笑っちまって臨むんだ!

 

ここまで来たんだ、虚勢で何でも良い胸は張っとけ!私が見込んだってこと忘れないでくれよな!!」

 

逞しいマッスルフォームへと姿を変え、いつもの良い笑顔を見せる。

 

「………っはい!!」

 

彼の、師の励ましの言葉に、緑谷は唾を飲んで大きく頷いた。

 

 

………

 

 

 

2試合だけの一回戦が過ぎて、尾白と礎が懸念する試合が始まろうとしていた。

 

 

『第二回戦、第一試合!!成績の割に何だその顔!

ヒーロー科!

 

緑谷出久!!

 

 

ごめん、まだ目立つ活躍なし!

普通科!

 

心操人使!!』

 

 

 

「わかるかい…緑谷出久」

「……!」

 

プレゼント・マイクの実況もそこそこに、心操が緑谷に話しかけた。

 

「これは心の強さを問われる戦い。強く思う"将来"があるなら なり振り構ってちゃダメなんだ…!」

 

「……??」

 

背後の炎が彼の顔に影を落とす。そのせいか、彼の語気が強まる様に感じた。

 

()()()はプライドがどうとか言ってたけど__...『レディィィィィィSTART!!』

 

猿…それは尾白を指している…!

 

「...チャンスをドブに捨てるなんてバカだと思わないか?」

 

「______!!ッ何てことをっ言うんだ!!______......」

 

合図で試合が始まり、緑谷は心操に向かって走る。が__...

 

「俺の___勝ちだっ…!!」

 

...急に脚を止めてしまった。

 

 

 

「デクくん…!?」

「緑谷!折角忠告したってのにっ!」

「…おい…これは…どういう事だ…?尾白…」

 

尾白は頭を抱え叫び、礎はあまりの事に唖然として言葉が出てこない。

 

………

 

「えぇ……」

 

流石のオールマイトもこれには驚いていた。

 

 

 

 

『緑谷ッ試合開始早々___完全停止!?アホ面でビクともしねぇ!!心操の"個性"か!!?

 

全っっっっ然目立ってなかったけど彼__ひょっとして、ヤベエやつなのか!?』

 

「っだからあの入試は合理的じゃねぇって言ってんだ」

「ん?何?」

 

「二人の簡単なデータだ。個人戦になるから、まとめてもらっといた。

心操…あいつヒーロー科実技試験で落ちてる。普通科も受けてたのを見るとると想定済みだったんだろう。

アイツの"個性"相当に強力なものだが、あの入試の内容じゃ___P(ポイント)稼げねぇよ」

 

相澤は二人の資料を見つめてそう呟いた。

 

………

 

「お前は…恵まれてて良いよなぁ……振り向いてそのまま場外まで歩いていけ」

「……………」

 

 

『あぁーー!

 

緑谷!

 

ジュージュン!!』

 

 

心操が命令すると、緑谷は心操の言葉通りに動き出した。そのまま場外へと歩いていく。

 

ーー心操 人使(シンソウ ヒトシ)

個性"洗脳"彼の問いかけに答えた者は洗脳スイッチが入り、言いなりになってしまう。本人にその気がなければ洗脳スイッチは入らないーー

 

 

「っ?!洗脳か…っ!??」

「多分、そうなんだっ…緑谷〜!忠告したってのに…!」

 

礎の分析は正しかった……

 

 

 

 

実況席。

 

(体力テストの結果は…緑谷はヒーロー科にしちゃし酷いもんだが、個性を活かしてない種目でも心操はそれより劣っている…

これなら普通にやり合って勝つのは緑谷だ

洗脳さえ攻略出来ていれば…何にせよ…決着は早い___...)

 

資料をめくり 項目を読めば一目瞭然だ、身体能力の優劣は緑谷に軍配が上がる。

 

………

 

(っあぁ緑谷少年…!来ちゃ、ダメーー!!!)

 

オールマイトは観客の目に触れない様、隠れて観戦しているが今にも声を張り上げそうだ。

 

………

 

(ダメだ!!

 

体が!!勝手に!!

 

頭が…モヤがかったみたいに…駄目だ!ちくしょう!!

 

止まれ…とまれって!!)

 

頭の中で精一杯抗うものの変わらない、緑谷の洗脳は解けない…

 

(折角…折角 尾白くんが忠告してくれたのに!くそう…!!)

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー「操る個性か…強すぎない?」心操の個性を聞き、緑谷は思ったままを口に出した。

 

「ああ、でも多分初見殺しさ。俺 問いかけに答えた直後から記憶がほぼ抜けてた…そういうギミックなんだと思う」

 

「うっかり答えでもしたら即負けだね…」

 

心操の個性を聞いてしまい、背筋が凍る思いだ。しかし尾白は首を横に振る。

 

「いやでも、万能ってわけでもなさそうだ。記憶、"終盤ギリギリまでほぼ"って言ったよな?心操が鉄哲のハチマキ奪って走り抜けた時、鉄哲チームの騎馬と俺ぶつかったみたいで…したら、覚めた。そっからの記憶はハッキリしてる」

 

「衝撃によって解ける…?「の可能性が高い…」

 

尾白が頷き、緑谷の表情が幾分か明るくなる。

 

「つってもどの程度の衝撃かは分からないし、そもそも一対一で そんな外的要因は期待出来ないけどなぁ…まっ、俺から出る情報はこんなもん」

 

「ありがとう!ものすごいよ!」

 

己が出せうる情報を全て教え、心操へのの対策を出した尾白は座ってた椅子から立ち上がり、緑谷は尾白に感謝を示した。

 

「すごい勝手なこと言うけどさ…俺の分まで頑張ってくれよな」

 

尾白は緑谷の肩に手を置き、託すようにそう言ったーーーーーー

 

 

 

 

 

 

(…こんな!!あっけなく!皆が託してくれたのに…!!こんな___ところで...)

 

間も無く場外を示す線外へ出る。その時_ザアッッ!!

 

「!!?」

 

緑谷の両目が通用口を捉え、何者かの人影が眼に飛び込んできた。

 

(何っっっっっだ……!!これ!!!)

 

 

 

 

「わかんないだろうけど___....」

 

(動い___...)

 

「こんな個性でも夢見ちゃうんだよ。さぁ…

 

負けてくれっ…」

 

心操がトドメの一言w_ッバギンッ…!

 

_ブォッッッッ!!

 

骨が折れる音、その刹那の間に強烈な突風が吹いた。

 

「〜〜ッ!!!ハァ!ゲホ…ゲホッ!

 

ハァ…!」

 

 

『____これは…!!緑谷!!とどまったああぁぁ!!?』

 

(ッ!指が…!暴発させて洗脳を解いたのか!)

 

「すげぇ…無茶を……!」

「指がまた…!あのアホが…ッ」

 

実況席と観客席 双方が驚嘆する中、緑谷は二指が血が滲んでいるものの後ろに首を回し心操を睨みつけた。

 

「何で…?!体の自由は効かないハズだ…何をしたんだ!?」

 

心操は冷や汗を垂らし、さっきまでの余裕が消えさり焦りを露わにする。

 

(指は僕だ___....でも、動かせたのは違う!何だ!?知らない人達が浮かんで__

 

一瞬、()()()()()…!!)

 

 

ワン・フォー・オール…聖火の如く引き継がれてきたもの

 

オールマイトの言葉が頭を駆け巡る。

 

(人…この力を紡いできた人の……気配……!?

 

救けてくれたのか!?

 

あるのか!?そんなこと!?__いや!

 

今考えても答えは出ない!後でいい!)

 

 

 

頭を振り、此方を意識し直す緑谷に、心操はますます焦る。

 

(…………!!答えない…ネタが割れてたか…いや最初(ハナ)からあの猿の奴に聞いてた筈……!)

 

また口を開かせるしか___.....「なんとか言えよ…」

 

「______....ッ」

 

「〜〜〜〜〜…!」

 

心操は煽るが、緑谷は抑えた口を開かない。

 

「……ッ指動かすだけでそんな威力かっ!羨ましいよ!」

 

(僕もソレ、昔思ってた)

 

緑谷は痛む手を握り、前へ進む。

 

「俺はこんな"個性"のおかげで、スタートから遅れちまったよ。恵まれた人間にはわかんないだろ!!?」

 

(わかるよ。

 

でも…そうだ。

 

僕は

 

恵まれた…!)

 

心操の胸の内___綯い交ぜとなった言葉が緑谷の胸に刺さるも____走る!!

 

「誂え向きの"個性"に生まれて!望む場所に行ける奴らにはよ!!」

 

(人にっ!恵まれた…!!

 

だからっ!こそ!!!)

 

同情する思い。自分には心操の気持ちが分かる、指の痛みよりも痛い程。

 

彼に近づき押し出さんとして、肩を掴む。

 

「〜〜ッッ!!っなんか言えよ!!」_CRACK!

 

掴んできた手を抑え、緑谷を殴る。が、

 

「(っ僕だって!)ッッあ゛あ!!」

 

緑谷は、心操から、目を離さない。強引に彼を押し続け、今度は反対側。場外を知らせる白線が迫る。

 

「(ッ!押し出す気か?!)ッフザけたことを…!!っっお前がっ___....」

 

押し続ける緑谷の振り払い、顔面を抑えて迫る場外へと圧する。

 

「_...っ出ろよ!!!」

 

その瞬間_「んぬあぁぁあ!!!!」

 

緑谷の雄叫び。逆に心操の腕を掴み、戦闘訓練で爆豪にやったように背負い、投げ__(負っけられないんだっっぁ!!)

 

両足が場外ラインの線を超えた。

 

 

 

『心操くん場外!緑谷くん!!

 

三回戦進出!!』

 

勝負が決まり、会場が大きな歓声に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




このまま第二回戦が続き、麗日 対 爆豪の後は
1.礎 対 塩崎

2.常闇 対 障子

となります。
ご不便をお掛けしますが、ご理解頂けたら幸いです。

お読み頂きありがとうございました。
感想・評価心よりお待ち申し上げております。

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