礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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いつもお読み頂きありがとうございます。
第2章の小ネタ解説にて抜けている部分があったため書き足しました。申し訳ございません。

それでは23話です。





第23話 開幕

雄英体育祭までは2週間。近況報告を含め、シモンズと連絡を取った。

 

『見ろよこれ、"雄英襲撃さる。オールマイトが(ヴィラン)を撃退するも、生徒含む5名が怪我"だって。正直 ケイ、お前死んだと思ってた!』

 

「っ悪かったな生きててよ。痛い思いして怪我したぐらいじゃ、お前の身障には響かないよな」

 

シモンズがネットニュースの記事をタブに上げて読み上げる。“全米を震わせた"とはいかないが、大々的なニュースされた事は幾分か驚いた。

 

『そりゃニュース見たとき"マジやべぇ!"って思ったけど、メールで"全快した!"つって包帯 振り回してる動画送ってきたろ?違うのか?』

 

「あのなぁッ殆ど怪我しないで生きてたんだ。けど骨折れるわ、手に穴が空くわ、ヴィランに食われかけるわ。その上、その日の内に完治すりゃテンションがッ……馬鹿になんだよっ!!」

 

飯田並みに腕を動かして、事態の大きさを表現するもシモンズは眉をひそめるだけだった。

 

『弁明するぐらいなら やる意味ないだろ……怪我した後なんかあったか?』

 

「………」

 

言葉が詰まってしまった。が、悪い事ではないで歯切れ悪くだが話すことにした。

 

 

……

 

 

『…良かったじゃんっその人ら全員喜んでたろ?…このコミュ障め 壁なんざ破られるためにあんだ、歴史が証明してる』

 

「あぁお前の言う通りだ。おかげで、いじられ役が2人に増えたよ。仲間割れしなくて済むぜ、最高」

 

皮肉で画面の前で、顔伏せ両手の親指を立てた、動画サイトの高評価のそれのように。

 

『2人??お前みたいなのが?寧ろ仲間割れの原因になりそうだ。そんなに戦争が好きか』

 

「違う違う 違うッ違うッ!俺とは…対極って程じゃないけど…かなり離れたとこにいる奴なんだよ。性格は粗暴だし、口が悪い。プライド高いわ、人より血管が切れやすいん…だッ………って…なんて顔してる……」

 

画面を見ると両の口角を下にして、顎に梅干しを作っている半ニヤケのシモンズが目に入った。

 

『………いやさ!お前とそいつ_「爆豪」バクゴウはさ、ベクトルもバラバラで考え方も違うんだろうけど___....絶対値だけが近いんだよ』

 

「……………………」

 

今度は俺が片頬を上げて目元を歪めた。

 

『ha!ha!ha!そんな顔すんのもわかるけどさ、話聞いてっと"似てるなー"って思ったんだわ』

 

「…そうかい……あ。似てるといえば___......」

 

そこから物間の話になり、爆豪に宣戦布告じみた事をしたと話した。彼はいっそう笑ったが___本題にしようとした事から遠回りになってしまったが、ようやく雄英体育祭の話になった。

 

『長期戦か、お前にとっちゃあ…まぁ不利な闘いになるな。作戦 考えた?つーか準備してんか?俺とくっちゃべってて大丈夫か?』

 

「一気に聞くなよ大将……作戦ね まぁ参加種目は決まったけど当日まで知らされてない。だから、いつも通りの自主練を反復するしかない。当日は臨機応変な対応を見るんだろうな」

 

と現状を伝える。過去の体育祭を見て傾向は鑑みれるが、この中のどれかかも知れない。或いは全く違うかもしれない。

 

シモンズが言った襲撃事件。これをどう受け止めているのか、なんて考えるだけ無駄だ。

 

『というより()()()()んだろ そっちのプロに。お前んトコの生徒は金の卵、色艶見て好みのサイドキック見つけさせんのさ』

 

「…成る程…(食ってるドーナツでハイになってんな…)」

 

『まぁ当日は液晶越しに応援してるわ。ウチの工房の連中も一緒に観っから、頑張れよ〜ぅ…お休み』

 

と言ってシモンズは通信をオフった。言った通り、いつも通りで備えるしかない。と思い運動着に着替えてトレーニングを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二週間後。

雄英体育祭 本番当日。

 

外はマスコミやプロヒーロー達の多くが行列になって並び、入場を今か今かと待っている。

 

襲撃事件を受けて敵への警戒、防止として入場検査が長引いているようだ。その為ゲートの外では人混みで溢れていた。

 

 

 

1ーA控え室。

 

「あ〜あっコスチューム着たかったなー」

 

「公平を期す為 着用不可なんだよ」

 

尾白の言う通りコスチューム(サポートアイテム含む)は原則着用不可だ。

 

俺はスーツを調べたかったが……時間が取れるのはもう少し先のようだ。

 

「さぁ皆んな!もうじき入場だ!!準備は出来てるか!?」

 

委員長 飯田が大声で叫び、皆の胸中に緊張が走る。

 

峰田は人という文字を手の平に指でなぞって飲み込んだ。緑谷は心臓の位置に手を置いている、大分緊張してる様子だ。俺も忘れないようにポケットから出して確認する。ッカチャッ……

 

「ん?礎くん!なにそれっ?」

 

「あぁ唯のゴーグルだよ。体育祭って性質上速く動くだろから、眼を守らなくちゃね。申請出して許可降りたし」

 

葉隠は気になったのか、礎の手元にあるものについて聞いた。それは透明なガラスと、伸び縮みする布の作りで目の周りも守れるよう、少々大きめのものだった。

 

「使わない時はホラ…」と言って額にレンズの部分を乗せる。

 

「あっ!おでこがクッキリ、ちょっとだけ幼くなったね。ふふっ」

「ふっ ひでぇよ」

 

と言って葉隠は笑った。

 

 

 

 

 

 

「緑谷」

 

後ろから自分を呼ぶ声がしたので振り返ると、そこには轟くんが立って歩み寄って来た。

 

「轟くん…なに?」

 

言葉を返すと珍しく口を開いた彼と、それに答えた自分に視線が集まった。

 

 

「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思ってる」

 

「へ!?う、うん…」

 

その言葉にビクっと身体を震わせ、眼を伏せてしまう。

 

「けどお前、オールマイトに目をかけられてるよな」

 

「っ!」

 

「まぁ別にそこは詮索するつもりはねえが…お前には勝つぞ」

 

微かに眼を細めるが確かな視線で自分を捉えた。

 

(これは宣戦布告…!)

 

 

 

 

「おぉ…!クラス最強が宣戦布告!?」

 

上鳴は興味津々なようで、どういう展開になるのかとソワソワして見る。すると、どうにも居た堪れなかったのか切島が立った。

 

___「っお 「'ちょい待て切島' 」ぃ…?」

 

俺は彼の肩に前から触れ、止めた。切島の行いは正しいが此処では少々 無粋だと思えたからだ。

 

'おっ…ぉぃ止めなくても__'

 

切島が小声で口を開いたが、俺の視線を緑谷に向けるとそちらを向いた。

 

 

緑谷は冷や汗を垂らしながら、ぎこちない様子で口を開く。

 

「……と…轟くんが、なにを思って…僕に勝つって言ってんのかは分からない。それは…客観的に見ても実力は君の方が……上だと思う…」

 

'…みd 'シーッ……!'

口に人差し指を立て、ほんの僅かだが彼の肩に触れた手に力を入れる。

 

 

 

 

 

 

「ッでもっ!み、皆…他の科の人もっ本気でトップを狙ってるんだ!!」

 

勝手に大声が出た。

 

「………」

 

「遅れを取るわけには行かないんだ…!!」

 

脳裏に浮かんだ事を思い出す。

 

 

 

〈貴方みたいな、最高のヒーローに!!〉

 

 

 

「だから、僕も本気で獲りにいく…!!」

 

「……あぁ…」

 

「(……ケッ)!」

 

 

 

 

緑谷の誓約の如き言葉とその威勢に感心する轟。そんな二人を忌々しく見つめた爆豪は頭の中で悪態をついた。

 

'…止めなくても良かったろ?'

'おう…熱いぜ…!二人共……!!'

 

切島は俺の肩に手を置き、拳を握って感動していた。

 

 

 

そして入場時間が刻々と迫り、控え室を皆と同じく後にしようとしていた。

 

(…切島には言わなかったが轟のあの宣言、俺には___.....)

 

「礎」

 

「(………今度は俺か…わざと待ってたな…)なに」

 

「緑谷にはあぁ言ったが…俺は()()にも勝つ」

 

……彼の言葉の真意を考え、手で頭を"…ボリ…"と掻いた。

 

「ひどい嫌味だ。訓練の時w__「違う、一対一でだ。俺はあの時__お前に、お前の力と戦略にしてやられた……ッ!キャプテンの弟子なんだよな、なら俺は__お前()超えるッ」

 

「………随分と買われたな…わかった…俺も悔しかったからな、あンときゃ……いいよお前がそうなら___迎え討つ(アベンジする)だけだッ」

 

 

 

 

....__俺にはあの言葉はA組、全員への言葉と思った俺の予想は少し違っていたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

1年A組はステージへと舞出んと進んだ。

 

 

大イベントが今、幕を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 




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